1/144 晨星II型
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説明
「戦闘妖精・雪風は好きですか?」「はい!原作もOVAも大好きです!」
「雪風はおすすめですか?」「う、うん…」
「ガサラキは好きですか?」「はい!大好きです!インパクトォ!」
「ガサラキはおすすめですか?」「うーん…」
「ラーゼフォンは好きですか?」「え、まあ好きですけど」
「ラーゼフォンはおすすめですか?」「はい、結構面白いのでよかったら見るといいですよ」

そんな距離感のラーゼフォンより晨星II型
いうなればフレンチ・トミノや高橋食堂、押井ソバで鳴らした出渕シェフが自分でレストランを立ち上げ、山田章博・佐藤道明・磯光雄といった各界で活躍する実力派スタッフを集めて作った料理
ガサラキ等と比べて距離感があるのは期待して食べてみたら「おいしいはおいしいけど、それまでの店舗から期待していた味となんか違う…」という感想がぬぐえないからでしょうか
自分の中では出渕裕はパトレイバー・ガサラキ・ポケ戦・逆シャアといったコテコテメカデザインの人であったのでこういうファンタジー系デザインに違和感があったんですが、実際はダンバインやガリアンやルーンマスカーもやっているので単にもの知らずだったんでしょうね
それでも本人に陣頭指揮をとらせたらこういうものができるというのは多くの人にとって意外だったのではないでしょうか

そんなラーゼフォンあって私の心を射抜いたのは戦闘機・晨星をはじめとした佐藤道明デザインのサブメカ類です
出渕裕デザインによるライディーンオマージュの主人公ロボ、土器に古代エジプト文明のエッセンスを振りかけたような敵メカに対し、佐藤道明デザインの現用兵器を先鋭化させたような地球側の兵器は地球vs異次元帝国という作中の対立構造をビジュアル面でも見せつけていました
田舎で本編の放送はなかったので初見は月刊モデルグラフィックスの氏による「ミリタリー・パワー・オブ・ラーゼフォン」という本編ではスポットの当たる機会の少なかったメカ類を紹介する雑誌連載で、そこで本編に先立ち晨星を見てその斬新なフォルムに魅了されました
有機的なラインと無機的がラインが融合したフォルム、フランカー系のレイアウトを踏襲しながらぬめっと伸びる機首とパッキリと伸びるカナードと主翼、現用戦闘機と隔絶した技術を明示する機首センサと装甲コクピット、そしてパイロットのお姉さん…
早速レンタルビデオで鑑賞したところ第一話冒頭の出撃シーンで完全に心を奪われつつもその後活躍は思ったほどはなく、α小隊が量産型ロボに機種転換する当たり出番はもう無いのかと残念に思っていたら第25話の「結局、待ってててくれたのはお前だけか」のシーンで涙し、晨星が本当に好きで良かったなという気持ちを噛み締めます(ちなみにここは晨星が主翼を折っている珍しいシーンでもあります)
ティターニア等他の機体も好きですがやっぱり晨星の印象が強いので模型が欲しかった一方、ラーゼフォン自体の立体物も少なかったこともありサブメカのマスプロ製品化は絶望的でした
それで当時佐藤道明がモデグラで晨星をイタレリの1/72シーフランカーをベースにプラ板とパテで製作を始めたのを見て私も同じことを始めますが資料・技術すべてが不足して断念しました
それでも心のどこかに晨星の立体物が欲しいという気持ちは消えませんでした(結局この連載の晨星はどうなったんでしょうか)

それから十数年、3Dプリンタの発展・個人化により造形の自由度は大幅に広がり、晨星を作りたいという気持ちは導入当初からありましたが、当初の解像度の低いFDM式プリンタでは求めるシャープさが再現できなかったことと、モデリングもLightwave3Dを使っていたせいで工業レベルでの滑らかなラインと一定の太さのモールドを作るのが難しかった(作ることはできるが手続き型モデリングではないので修正が困難)ことにより晨星の製作は棚上げになりました
その後安価なSLA式3Dプリンタが登場したこと、モデリングもFusion360を使えるようになったことで晨星製作に向けての機運が高まります
それでまずは手ごろな七試艦上戦闘機を練習用として作り、その後色々作ったり勉強したりプリンタを新型に買い替えながら2022年に至ります
そろそろ作ろうかなと何の気なしに8月末にFusion作り始めたはいいものの、作り始めると公私にわたって忙しくなったこと、下面の面構成がわからなくなって悩んだことなどがあって製作は遅れに遅れました
基本的に本編映像ではなく佐藤道明の設定画を参考にモデリングしていますが、カナード基部周辺など「晨星の実機が存在したらこうなっているはず」と思われる部分はアレンジを加える等いちいち形状に考察を重ねているため余計遅れます
その時ふと気づいたのが2022年はラーゼフォン20周年イヤーということで、自分なりのトリビュートとして何としても年内に完成させようと決意し作業を加速させました

当初は1/72(全長40cm)で作ろうとそのサイズでモデリングもしていましたがトラブル時のリカバリーに時間がかかるので1/144に、着陸脚も省略してフライングモデルに決定
それでも複雑な曲面にモールドを掘りまくったので最後の方はちょっと変更しただけでもFusion360の再計算に5〜10分かかるようになり作業効率は大幅に低下しました
そんなことをしながらようやくモデリングができたら分割してMars3を使い今回のために調達したショーコレジンABS風クールグレーを用いて積層0.05mmでテストプリント
組み上げて軽くスミ入れしたときには「これだあああ!」と叫んでしまいました
それにしてもこのレジンは一般的にどうしてもダレが発生するサポート面においうてダレが少ないのでプリント配置の自由度が上がりますね
その後テストモデルから多少修正を加え本番用モデルを0.025mmでプリントし、ハートマークを自作デカールで貼付、ついでにコクピットとエンジン周辺にRGザク用別売りデカールから数枚張ります
ベースは100均のコースターを黒く塗ってベースとし、TERRAのエンブレムのBタイプを自作デカールで貼って仕上げます
最後に研磨・部分的にスミ入れし、機種センサ部にハセガワの偏光フィルムを張って完成です
偏光フィルムはF-35のEOTSみたいな虹色の偏光を期待していましたが太陽電池パネルみたいな色になってしまいましたが、本体と明らかに質感が異なるのでOKでしょう
完成日は図らずも12月24日、寒波吹きすさぶクリスマスイブだったので「凍る聖夜」としてラーゼフォン日和でした

さて、こうして完成させてみるとラーゼフォン20周年に間に合ったとともに20年間の思いが形になったので感慨深いことこの上ないですが、晨星の製作は自分の模型力(力)向上のモチベーションの一つだったので少し虚脱気味です…

「ところでラーゼフォン(小説・神林長平)は好きですか?」「はい!大好きです!読後巻末の出渕監督のラーゼフォンを小説で出すと聞いて新人が来るのかなと思ってたら大御所が来て驚いたというコメントを読んでさらに好きになりました!」
「ラーゼフォン(小説・神林長平)はおすすめですか?」「うーん…」
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コメント
実はそれずっと気になっているのにまだ読んでないんですよ…デザインは好きです!(branz01)
要塞シリーズのイラスト・ストーリーはお好きですか?(okifuji)
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