或る中古UFO販売店店員の悩み(Unsold Flying Objects)
説明
「C.T.W.(Colour-Trash World)内には
外の世界から流れてきた
中古品や骨董品を取り扱う店は
数多く存在するのだが、
何かを専門に取り扱う店も少なくない。
この中古UFO(Unknown Flying Object)販売店もその中の一つである。

UFOと言えば、
よく映画の中に出て来るような
巨大な円盤と呼ぶべきものや、
一つの国家や惑星に匹敵する程の
大きさの個体までが
現在確認されているのだが、
ここは店舗の規模自体が小さい事もあり、
取り扱うUFOも
個人用・家庭用の小型のモデルばかりだった。
旧式ロケットを活用した事務所には
巨大な惑星国家を本拠地とする
大手UFOメーカーによる
「優良認定中古UFO販売店」のラベルが
よく見える位置に貼られていた。

尚、C.T.W.に於いてUFOは、
購入には様々な手続きが
必要となる事から、
数そのものはまだ多くはないのだが、
小型モデルを中心に
他惑星等から中古のUFOが続々と輸入されており、
その数は年々増加傾向にあるとの事である。
巷の書店やブックスタンドでは
UFOの専門雑誌等も販売されており、
ユーザーが購入する上での
一つの目安にはなっているようである。

年式や本体価格、
飛行距離数にその他スペック、
オプション等の
文言が記されたラベルを貼り付けた
UFOがズラリと並んだ店頭では丁度、
カップルがちょっとした宇宙旅行に使えるような
手頃なUFOを探していた。
男の方はUFO雑誌で仕入れたばかりの蘊蓄を
得意気に彼女の前で披露していた:
「買うんだったらやっぱり
型落ちになったばかりのモデルが
価格も手頃で狙い目かな。
そんなに年式が経っていなくて
操縦性に優れていて、
尚且つ瞬間移動装置と
対隕石バリアやレーザーは勿論標準装備のヤツで。
あとキャトルミューティレーション出来ればもっといいな」
「牛なんて運んでどうするのよ?」
「何かカッコイイだろ?
雑誌にだって
"キャトルミューティレーションは
初めてUFOを手にした者のたしなみである"って
書かれてあったし...」
(...その雑誌もかなりいい加減な事が書かれてあるようだ)
すると背後から
店の販売員と思しき異星人が
丁寧に話しかけてきた:
「あの、お客様、
キャトルミューティレーション行為は
C.T.W.内に於きましては
現在禁止となっておりまして、
その規定に同意されない場合は
お売り出来ない決まりとなっております」

彼はバツの悪そうな表情を浮かべた
彼女に引き摺られるようにしてその場を去って行った。

先程のカップルの話を聞いていたと思しき別の客が、
販売員に話しかけた。
「そう言えばさ、
ここってもう少し年式が新しいタイプの輸入UFOは置いてないのか?
この雑誌に載ってんだけど、
主だった惑星では
さっきのお2人さんが言ってたような、
瞬間移動装置だとかバリアなんて
メじゃないって位の最新機能や
ホテルのように内部設備が
充実しまくりのタイプが主流だって書いてあるぜ」
販売員は客が手にしていた雑誌に目を通しながら言った:
「このタイプの機体でしたら、
当店への入荷には
最短でも数億光年は掛かりますので、
お客様がどうしても入手されたい場合は
こちらで瞬間移動機能の備わった
中古UFOをご購入頂いた上で、
その惑星にワープした後に、
現地のディーラーさんで直接ご購入された方が
お早いかと思います」

その客はブツクサ文句を言いながら店を出て行った。

「このUFOを貰おうかね」
初老の男性が販売員に声を掛けた。
「ご購入、誠に有難うございます!
おや、この機体を選択されるとは
お客様、大変お目が高い!
...それではですね、まず
UFOの所有に関しての規約が書かれた
こちらの分厚い本の内容一語一句全てに目を通して頂いてそれから、
各ワールドや惑星間に於いての条約等が記された
この数万ページ以上に及ぶ文書を
全て声に出してお読み頂き、
それから―
(中略)
...生体情報を提供して頂く旨のサインをして頂いた上で
お代の方をお支払い頂ければ...
あれ、お帰りですか?
...またのご来店をお待ちしております!」

...逃げるようにして
その場を立ち去って行った客を見送った後、
販売員はため息をつきながら
「それにしても今日も中々売れないな...。
先程のお客さんにしても一体何が良くなかったと言うのだろう...」と呟きながら、
店頭に並んだ在庫のUFOの埃を払っていた」

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

A4(210×297)サイズ程に完成後に切り取った
水彩紙に水彩絵の具、水彩色鉛筆で描いたもの。

鉄道車両に関しましては、
自分がかなり昔に落書きで描いていた車両を
ベースにして描いたものなのですが、
うろ覚えで描いている上に
実際に鉄道線を走っている事を想定したものになっておりますので、
当時描いていたものとは若干(大幅な)変更はあるのかも知れません。
尚、(今回の車両は)一般特急・長距離(・末端線区のローカル運用)用の
白基調+オレンジの塗装となっておりますが、
この車両は専ら支線直通の一般特急・急行運用に
充てられているようです。
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C.T.R. C.T.W. Train UFO アナログ 鉄道 販売店 電車  

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