真・恋姫無双「三国放浪記」第九話『桃香の勧誘』 |
俺たちや桃香たちが白蓮のところに来てから、結構な月日がたった。乱世における平和というのは本当に束の間で、その後も規模はそこまで大きくないけど、黄巾党は現れ続けた。俺も時々、討伐戦に参加して、実戦で武を鍛えさせられ、実地における銀や風、時には稟に戦術・戦略など智も学ばさせてもらった。もちろん普段からの鍛錬も継続して、着々と実力を身に付けてきている・・・と信じたい。
そういえば、銀指導の鍛錬、というか虐待?を受けた桃香は次の日も筋肉痛やら何やらで動けなかったため、ドクターストップではないが、愛紗からやめるよう言われて、泣く泣く(うれし泣き?)諦めた。・・・まあ、初日であれだからなぁ・・・。俺もよくやってるもんだ。
ちなみにこっちの世界に来て一番上達したのは、間違いなく料理の腕だろう。・・・なんでだろう・・・言ってて、すごく悲しいな・・・。
黄巾党が度々現れるようになったけど、他の所に比べると規模はまだ小さいようだ。不幸中の幸いとでも言うべきか。ただ、これから規模が膨れ上がらないとも限らないので、調練を増やしたり、色々対策は練っているようだ。まあ、普段あんなにいじられてても白蓮もちゃんとした太守なんだな、という事を再認識した。
義勇兵を募った分、領民に不満が溜まらないように、軍師の三人は内政の方にも力を注いでいた。俺も少しは手伝った。もちろん三人とも内政だけじゃなくて他の事もちゃんとしてたけど。「そこら辺はまだハムは甘い。」って銀が言ってたな・・・。
他に、桃香とは政務とか風や稟が教鞭を握る授業をいっしょにうけたり、愛紗との距離も大分近づいてきたり、鈴々とは警邏の途中に時々食べ歩きとかをしたり、劉備一行とも仲を深めていった。
そんなある日、白蓮の下に朝廷からの御達しがあった。内容は『大陸各地で暴れている黄巾党を討伐せよ』というものだった。・・・・・・いや、遅すぎるだろ。銀曰く、「まあ、そう言うな。対応は遅すぎたが、一応軍隊は出してるんだ。・・・・・・ボロ負けだけど。」とのこと。・・・腐ってやがる。
・・・もう本格的に漢王朝は成り立たなくなってきていることが俺にもわかった。・・・桃香や鈴々は微妙だが・・・。まあ桃香の場合、馬鹿だからということじゃなく、楽観的だから漢王朝は絶対的なものだと思い込んでいて、それで弱体化に気付かないだけだと思う。・・・・・・そう思いたい。
それからさらに数日後、桃香たちを含めた俺たち客将は白蓮に呼び出された。その時、白蓮は俺たちにある提案をした。その提案とは・・・
「これを機に独立したらどうだ?」
と、いったものだった。愛紗や稟は信じられないと驚き、桃香と星も二人程ではないが驚き、鈴々は首をかしげ、風は棒読みの台詞で驚き、銀はやっぱり、とでも言うように微笑んだ。ちなみに俺はみんなのリアクションを観察していた。あまり驚いていない自分に一番驚いた。まあ、俺も白蓮ならこういうことになるかな、と思っていたからなんだけど。
その提案に、桃香たちは悩んだ挙句、従う事にしたみたいだ。俺たちはとりあえず保留という事に。
・・・俺はどうするべきなんだろうか・・・?ただ、ついて行くとかじゃなくて・・・。そろそろ真剣に考えないとな・・・。
――side愛紗
「他のみんなも誘っちゃだめかな?」
「・・・他、というと、例えば?」
桃香様のいう『他のみんな』が誰なのかはわかっていたが、とりあえず聞いてみることにした。
「えーっとね、銀ちゃんたちだけど・・・」
まあ、予想はついていた。
「鈴々も、出来ればみんなといっしょがいいのだ!」
「そうだよね〜。」
「しかし、他の者全てを引き抜いてしまっては白蓮殿にも悪いでしょうし・・・。」
「う〜ん、そうなんだよね。白蓮ちゃんのことだから、後になって後悔しそうだし・・・。」
確かに・・・あの人ならそうなりかねない。
「でも、鈴々はやっぱり出来ればいっしょに行きたいのだ。」
「どちらにしても我々だけで決めるわけにもいくまい。」
「それじゃ、早速勧誘しに行こう〜!」
「わかったのだー!」
そう言って、鈴々は走り出した。
「あっ!ちょっと待て、鈴々!」
「ふにゃ!?」
なんとか鈴々の首辺りの襟を掴む。
「じゃあ、私も〜♪」
その隙に桃香様も走り出した。
「お待ちください、桃香様!」
「ふみゅっ!?」
桃香様も鈴々と同様になんとか引き止める。
「何するのだ、愛紗。」
「そうだよ〜。」
「・・・いくら親しいといっても、我らは弱小勢力です。こういうことは主君たる桃香様が直接した方がいいでしょうし、各々が勝手に動き回らない方が良いかと思います。勧誘に行くのなら三人で行きましょう。」
「あ、そうだよね。独立するっていっても、まだそんなに力があるわけじゃないもんね。」
「うーん、鈴々、難しい事はわからないのだ。だからそういうことは全部愛紗にまかせるのだ。」
「そうだね〜。任せるよ。」
「桃香様は少しぐらい考えてください。」
「はぁ〜い・・・。」
「にゃはは、お姉ちゃん怒られたのだ。」
鈴々も丸投げされては困るが・・・まあいいだろう。
「ではまずは・・・」
「―――申し訳ありませんが・・・」
稟に頼んでみたら、すぐに断られた。
「なんでなのだー!?」
「鈴々!・・・とりあえず理由を聞かせてはくれないか?」
「知っているかもしれませんが、以前の旅で私は仕えるのならば曹操殿がいいと思いました。しかし、その頃曹操殿は軍師を募集していなかった上に、私には自らの実力を示す方法がなかったので、とりあえず白蓮殿のところに仕えることにしたのです。しかし、最近、私の昔の同僚が曹操殿に仕え始めたという噂を聞きまして、もう少ししたらその者を訪ねて、曹操殿に仕官しようかと思っています。」
むぅ、そこまで決めているのなら、無理強いは出来ないな。
「まあ、君主にではありませんが、共にいたいと思う人は他にも・・・」(ボソッ)
「?今、何と?」
「な、何でもありません!」
明らかに焦っているが・・・。
「稟ちゃん、それってもしかして、おn・・・」
「ふ、風!!」(////)
「「「?」」」
風の言葉に稟の顔が一気に赤くなったが、どうしたのだろうか?・・・まあ、考えても答えは出ないだろうし、追求する必要もないものだろう。
「風ちゃんはどう?いっしょに行かない?」
私が色々思案している間に桃香様が風を勧誘されていた。だが、おそらく答えは決まっているのだろう。
「おいおい姉ちゃん、聞くだけ野暮ってもんだぜぇ。」
「こら、ホーケイ!失礼ですよ。」
・・・突っ込むべきか、否か・・・。
「そんな事より、結局どうなのだ?はっきりするのだ!」
「うーむ、申し訳ないですけどー、私も遠慮しておきますー。」
「・・・何故?」
何と答えるかは薄々わかっていたが、一応理由を聞いておこう。
「風もですね、稟ちゃんについて行こうと思いましてー。」
「風!?どういうことですか!?」
どうやら稟も初耳だったようだ。
「実はですねー、夢をみたのですよ。」
「夢?」
「ええ、簡単に言うと、光り輝く日輪を風が下から支える、という夢です。」
「ただの夢ではないのか?」
「そうかもしれませんねー。でも、風はただの夢ではないと思うのです。だから、名前も程立から程cと改名しようと思っているのですよー。」
「ふえ〜、そこまで考えてるの?」
桃香様は感心しているが、そんな夢で決めていいものだろうか?
「では曹操殿がその日輪であると?」
「さあ?どうなのでしょうか?」
・・・疑問に疑問で返されても困るのだが・・・。
「風が支える日輪が誰なのかはわかりませんが、稟ちゃんが惚れ込んでいる曹操さんである可能性は十分あります。だから稟ちゃんと一緒に行こうと決めたのですー。」
「それじゃ、仕方ないね。」
「せっかく誘っていただいたのに、申し訳ありません。」
「いいよ、いいよ。それじゃ、お邪魔しました。」
「あ、さっきの夢の話はまだお兄さんたちには言ってないのですよー。だから秘密にしておいてくださいねー。」
「そうなのか、わかった。」
「お願いしますねー。」
そこで別れる際に、風が何かを言っているのが聞こえた。
「・・・そういえばお兄さんといえば・・・天の・・・それと、風の見た日輪・・・まさか・・・」(ボソッ)
「どうかしましたか、風?」
「いえ、なんでもないのですよー。」
「「「「???」」」」
首をかしげる四人。風の言った事が何かはともかく、二人への用事はもうない事だし、次に向かうとしよう。
「・・・稟ちゃんと風ちゃんはだめだったね〜。」
「む〜!次なのだ!」
「なら、次は―――」
「―――ふむ、悩むところではありますが・・・」
「どうしてなのだー!!」
「こら、鈴々!」
「理由を聞かせてくれないかな?」
「たいした理由ではないのですが、私自身まだ迷っているのですよ。」
「迷っている?」
「そう、故にもう少し情勢が落ち着いた後に此処を発ち、主君たる人物を探そうかと思っている。」
「そうなんだ・・・じゃあ仕方ないね。」
「ですが、その後、もしかすると桃香殿の下につくことになるやもしれませんな。」
「えっ!?ほんと!?」
「志すものが同じならば、そうなってもおかしくはないでしょう。」
「それでは、これから一刀にメンマの素晴らしさを語らねばならぬので失礼させてもらいます。では。」
そういって、星は去って行った。・・・仕事はしなくて良いのだろうか?
「うーん、星もだめだったのだ。」
「そうだね〜。残念。」
「なら、次は―――」
「ん?どうした?一刀なら今警邏中だぞ。」
銀は執務室の一角を陣取り、尋常ではない量の武具の手入れをしていた。・・・何故ここでするのだろうか?白蓮殿も迷惑そうにしている。
「いや、お主に話があるのだ、銀。」
「あのね、銀ちゃん、わたs」
「だが断る。」
「まだ言ってないよ!?」
「予想はつく。大方、また政務を手伝って、とかそんな類のことだろう?全く、たまには全部自分だけでやってみようとか思わないのか?」
「違うよ!」
「・・・桃香様?」「お姉ちゃん・・・」
「ち、違うよ!?ちゃんと仕事してたよ!た、たまに・・・!そう、たまに手伝ってもらう程度だったんだから!ほ、ほんとだよ!」
・・・眼が泳いでいらっしゃる。
「で、何のようなんだ?」
銀は手入れの終わった大鎌を外套の内側にしまいながら聞き返す。・・・あの外套の中はどうなっているのだ?
「えっとね、銀ちゃんも私たちと一緒に行かないかな〜と思って誘ってみたんだけど・・・。」
「えっ!?引き抜き!?せめて私のいない所でやってくれよ!」
銀より先に白蓮殿が反応した。確かに主君の目の前でこのような事をするのは少し非常識だな。そんな事を考えていると、銀が手入れの終わった双剣をしまいながら答える。
「・・・なんだ、やはりそんな類の事じゃないか。断る。」
なっ!銀にとって政務の手伝いと我々の勧誘は同列なのか!?・・・いや、そんな事より理由を訊かなくては。
「理由を聞かせてもらえないか?」
「やだ。めんどい。」
「なっ!!」
「冗談だ。・・・・・・言わないとだめか?」
「やはり面倒なだけではないか!!」
「あ、愛紗ちゃん、落ち着いて!」
「愛紗は短気なのだ。」
ぐぐぐ・・・
「まあ、簡単に言うとだな、桃香が私の求める主にはまだ届かないと感じたからだ。」
「それは、今の桃香様には主君たる素質がないと言いたいのか?」
「いや、そういうわけじゃない。むしろ素質は十二分にある。」
「え?そうなの?」
「実は私の眼にはある能力が備わっていてな・・・」
銀は武器の手入れを止め、こちらを向く。
「対象を観察する事によって、相手の特性や特徴、その他諸々が視きわめる事ができる。武力とか知力とか素質とかその他諸々。私はこれを『分析眼』と呼んでる。・・・ハム、何かもっといい名前ないかな?」
「今私にそれを訊くのか!?」
「まあ、名前は後でいいとして、私が見たところ、桃香――劉備元徳には人の上に立つ素質はある。質によって多少順位は変わるが、お前のそれは私が今まで見てきた中でも一、二を争う程だな。」
なんと・・・銀はお世辞を言うような者ではないから本心からの言葉だろう。
「まあ、お前に足りてないのは、一にも二にも経験だな。他にも足りないところはあるが、それは他の者が補えるし、まあ、大丈夫だろう。ただ、素質があるって言われたからって調子に乗るなよ。」
「・・・・・・なあ、ちなみに私は・・・?」
「・・・・・・聞きたいのか・・・?」
「・・・いや、やっぱりいい・・・。」
白蓮殿が物凄い勢いでへこんでいく。・・・勝手な思い込みだと思うのだが・・・。
「じゃあ、銀ちゃんが主君に求めるものって何なのかな?」
「鈴々も知りたいのだ。」
「それは言えない。ただそれは心理的なもので私の『眼』ではわからないものだとは言っておこう。」
「教えてくれたっていいのに〜・・・。」
「これは自分で気付くとか身に付けるとかしないといけないと私は思っているんだ。だから教えない。まあ、頑張れ。」
「は〜い。」
「じゃあ次に行くのだー。」
「そうだな。確か一刀殿は――」
「残念だけど一刀は私が連れてくぞ。」
「――え?」
「あいつは私の弟子みたいなもんだから、修行がある程度完了するまでは私が連れて行くのは当然だろう?」
「え〜!そんなの・・・」
―――今思えばその時の私は少しおかしかったのかも知れない。ほんの少しの間とはいえ、あんな態度をとってしまうとは・・・。
「――それは少し横暴ではないか?」
「愛紗ちゃん?」
「一刀殿の意思も考えるべきではないか?」
私の言葉に、銀は少し驚いたような顔をし、すぐに口元に笑みが浮かんだ。が、そのときの私はそれに気付かない。
「・・・これは一刀の意思でもあるんだがなぁ。」
うぐっ!・・・一刀殿の意思ならば・・・しかし、何故か諦めたくなかった。何か反論したかった。
「そ、それでも、心変わりしているかもしれないではないか!」
「・・・・・・」
「・・・・・・?」
・・・何故黙るのだ?
「・・・ぷっ、あははははははは!!」
黙っていた銀が急に笑い出した。
「な、何がおかしい!」
「くくくっ、いや、まさかちょっとした嘘でここまで必死になるとは思わなくて・・・。」
・・・・・・嘘?
「私が連れて行こうと思ってたのは本当だが、一刀がどうするかはまだ聞いてないんだ。」
「な!?」
「てっきり仕方ないとか言って引き下がるかと思ったら、まさか、な・・・くくく。」
「あんな必死な愛紗を見たのは久しぶりなのだ。」
「そうだよね〜。」
「・・・ううう。(////)」
「・・・それにしても、一刀の人気がここまでとは・・・」(ボソッ)
「ん?何か言ったか?」
「・・・この『眼』が間違ったのかと思ったが、まさか水面下で進んでいたとは・・・」(ブツブツ)
「どうしたのだ?」
「・・・この魅力の高さに、ある程度の武と智、・・・・・・を名乗れば、私の考えていた構想も夢物語ではなくなる・・・」(ブツブツ)
「銀ちゃ〜ん?」
「・・・はっ!?しまった。つい考え事に没頭してしまった。」
「大丈夫?」
「稟が鼻血を出すくらいによくある事だ、気にするな。」
「それはよくあることなのか?」
・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・よくあるな・・・。」
「よくあるね。」
「あるのだー。」
私たちが来てからだけで、十回以上出してるかもしれない。
「さて、三人ともそろそろ仕事に移ったらどうだ?どうせ、自分に割り振られてる仕事もしないで来たんだろ。」
「「あ。」」「にゃ。」
しまった・・・!そういえば確かに仕事もしないで勧誘していた。
「お前らが仕事してないせいで、そのしわ寄せが主にハムに行ってるんだぞ。」
「なに!?初耳だぞ!」
銀の独断でとは・・・
「ちなみにハムの仕事の内訳はハム本人の分が二、愛紗の分が二、桃香のが一、鈴々のが一、私のが四だ。」
「お前の分もか!?ちゃんと仕事しろ!!」
「あはは・・・」
「銀も同じなのだー!」
「な、なんという・・・。」
しかも自分の分が一番多いとは・・・。あと桃香様、そこで乾いた笑みを浮かべても、白蓮殿は報われません。むしろ悲哀が増す気がするのですが・・・。
「さてと、久しぶりに鍛錬でもするかな、と。」
「そっか〜、頑張ってね。」
ガシッ
「あれ?どうして銀ちゃんは私の手を掴んでるの?」
「それはね桃香、お前が逃げないようにするためだよ。」
「あれ?どうして銀ちゃんはそんなに邪悪な笑みを浮かべているの?」
「それはね桃香、これから楽しいことをするからだよ。」
「あれ?どうして銀ちゃんは執務室から出ようとしてるの?」
「それはね桃香、今から訓練場に行くつもりだからだよ。」
「あれ?どうして銀ちゃんは私を連れて行こうとするの?」
「それはね桃香、今日の鍛錬の相手が・・・お前だからだよ!」
「・・・!!いや〜!!助けて〜、愛紗ちゃん!!鈴々ty・・・」
「フハハハ!もう遅い!!」
バタン!!
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・いっちゃったのだ。」
「桃香のやつ、大丈夫か?」
「銀も手加減するでしょうし、おそらくは大丈夫でしょう・・・多分・・・。」
「・・・だめそうなのだ。」
「・・・ていうか、この武具の山はどうすればいいんだ?」
銀の武具は執務室の一角を未だに占領していた。
・・・・・・その後聞いた話によれば、訓練場は半壊、よってしばらく立入り禁止になるらしい。
――side一刀
「その後、桃香を見た者はいなかった・・・。」
「そ、そんなこと・・・ないよ〜・・・、ぐすん・・・。」
街の警邏(途中から星によるメンマ談義)から星と一緒に帰ってきたら、まあ、なんというか・・・桃香がやばい。うん。はっきり言って死にかけだ。だけど、俺には何もできない・・・。俺はなんて無力なんだ!・・・いや、それは関係ないか。
「そ、それで・・・ね、・・・一刀さんも、わ・・・たし達とい・・・っしょに・・・ぃか・・・ぃか・・・て。」
「烏賊?」
息も絶え絶えすぎてあまり聞き取れない。
「一刀よ、『烏賊』ではなく『行かないか』ではないか?」
「うん、多分そうだろうな。」
なんと、こんな俺まで誘ってくれるとは!・・・でも他の皆には三人で誘いに行っていたのに俺相手には何故桃香だけなんだろう?やっぱ格の違い?
「愛紗と鈴々なら仕事をすっぽかした罰として、訓練場の瓦礫の撤去作業をしてるぞ。」
そうなのか、別に俺はおまけで誘われたわけじゃないんだな。・・・訓練場の瓦礫ってなんだろう?
「それで、・・・・・・どう、かな、・・・」
「・・・・・・」
・・・どうするべきか、今までずっと考えてきたけど・・・
「――ごめん、俺は一緒には行けない。」
――そう、はっきりと言い切った。
「――それは何故?」
疲れきってる桃香の代わりに星が訊いて来る。
「・・・まだ、俺が何をするべきなのか、わからないけど・・・。他人の理想にただ付いていくだけっていうのはだめだと思ったんだ。」
俺の言葉で桃香が落ち込んでしまった。
「だけどもし、桃香たちが何か大変な目に遭いそうな時は手伝える事があるなら手伝う。約束するよ。」
そう付け加えると、桃香の落ち込んでいた顔に徐々に喜びが加わっていった。
「・・・はいっ!」
「―――さて、結局誰一人として勧誘できなかった桃香に愛の手を。」
そういって、銀は桃香に何かを渡した。あれは・・・手紙?
「・・・これは?」
「私の知り合いの軍師への紹介状だ。詳しい事はこれに書いておいたから読んどけ。」
さらにもう一通渡す。
「その軍師さんの名前はなんていうの?」
「諸葛亮孔明。私が知る限り、最も優秀な軍師だ。」
諸葛亮孔明!?そういえば、劉備に諸葛孔明を紹介したのは確か徐庶だったな。
「ほう、銀にそこまで言わせるとは・・・どのような人物なのだ?」
星はあの銀が一押しの人物に興味があるようだ。まあ普通はそういう反応だろう。
「一言でいえば、・・・はわわ軍師。」
・・・はい?
「何かあると『はわわっ!?』って言ってるからはわわ軍師。」
・・・俺の中の諸葛孔明像が、崩れていく・・・。
「ちなみにはわわ軍師の傍には鳳統っていうあわわ軍師もいるから、一緒に勧誘すればいいだろう。」
はわわの次はあわわ?
「ちなみにこっちは何かあると『あわわ・・・』って言ってる。」
別に聞いてないぞ!?
「ありがとう、銀ちゃん!」
「さて、一段落着いたところで・・・」
うん?銀がこっちを邪悪な笑みを浮かべながらこっちを見てくる。
「次はお前の番だな。」
ガシッ
「あれ?銀さん、どうして僕の腕を掴んでいるの?」
「それ、もう飽きたからやらないぞ。」
「ノオォォォー!!」
・・・・・・その後、一刀の姿を見た者はいなかった・・・。
あとがき・・・・・・という名の言い訳
疲れた・・・そしてすいませんでした、とシンジは心からお詫び申し上げます。
いや〜レールガンとかアスラクとかダーカーとかおもしれー、とか他にも色々と思ってたらいつの間にかこんな時期に・・・てかもう前回から一ヶ月たっているという不思議。更新が遅れて本当に申し訳ないです。怒っていたり、不満に思っていたり、期待して待っててくれた人がいればいいのですが・・・。
さて、今回の話ですが、今回でハム編終わるかな?と、思ってましたが中々しぶとい。多分次回こそハム編最後だと思います。実は水面下で動きを進めていた一刀菌(本人無自覚)。気付いたときにはもう手遅れという、何という罠。いや、どんな病原菌だ、お前は。後、銀の秘密もひとつ明らかにしました。何と銀はちゃんとした君主のところじゃないと寄生虫(ニート)になるという驚愕の事実!そしてそれでも給料は出ているというハムの甘さ!!え?そっちじゃない?
まあ『眼』の方の能力にはもっとちゃんとした名前をつけようと思うんですが、いい名前が思い浮かばないのでよければ何か案を。
あと、もっとオリキャラを創ろうと思うのですが、私は三国志に詳しくないのでお勧めの人がいたら、良ければ教えてください。・・・なんかすごい人任せ。いいのか、これ?
次回はハム陣営から離れられたらいいなぁ、と思いつつ次も読んでいただけると幸いです。
おまけ
―――このままでいいのだろうか?ろくに出番もなく、次回以降からはしばらくの間出番がなくなるというのに・・・。今回だってあんまり目立ってなかったし・・・。よし、次回こそ何か行動を起こさないと!そうすれば、私だってなんとか目立てるようになるはず・・・。
「無理じゃないでしょうかー。」
「おぃおぃ姉ちゃん、寝言は寝ていった方がいいぜぇ。」
「こら!ホーケイ!そんな事言うんじゃありません!」
・・・・・・うぅぅ・・・負けないぞ・・・。
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久しぶりの投稿です。 今回は一刀くんの出番少な目です。 追加:タイトルを訂正しました。 |
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コメント | ||
グラムサイト?(違)というか、最後!一刀死亡エンドみたいなんですけどwツッコミないし。この話だけ見ると桃香は人望が無いように見えますな…(moki68k) ・・・白蓮、まぁ頑張れw(キラ・リョウ) 白蓮仕事がんばれよ。(ブックマン) 第九話?(user2) |
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