英雄伝説〜灰の騎士の成り上がり〜 |
地下道を抜けて帝都の競馬場の地下室に出たエリオット達は競馬場を出てドライケルス広場へと急行するとそこにはクレイグ将軍率いる少数精鋭部隊と人形兵器が待ち構えていた。
〜帝都ヘイムダル・ドライケルス広場〜
「―――――父さん!」
「………やはり来たかエリオット――――――そしてZ組の者達も。」
クレイグ将軍達の所に到着したエリオットが声をあげるとクレイグ将軍が静かな表情でエリオット達を見つめて呟いた。
「クレイグ将軍閣下。帝都奪還の先鋒部隊の司令官であるシュライデン伯爵が既に貴方達に宣告したように、貴方達”第四”の指揮権があるオズボーン宰相の地位は陛下達アルノール皇家全員の総意によって剥奪され、更には陛下達を含めた各国のVIPの方々によってS級テロリスト認定されました。オズボーン元宰相の地位が剥奪された上オズボーン元宰相自身テロリスト認定された以上、貴方達がこれ以上オズボーン元宰相に従い続ける必要はありません。」
「それに戦後のエレボニアの政府もオズボーン元宰相を含めた現在の政府――――――”旧政府”ではなく父さん――――――レーグニッツ知事が立ち上げた”新政府”になる事も陛下を含めたアルノール皇家の方々全員並びに各国のVIPの方々に正式に認められています。オズボーン元宰相もそうですが、”現在のエレボニア政府の存在自体の正当性”を失った以上将軍閣下達がこれ以上オズボーン元宰相達の指示に従う必要はありません!今すぐに帝都郊外で抵抗を続ける”第四”への戦闘中止・連合軍への投降の指示並びに将軍閣下達自身も投降してください!」
「我々の為に決戦の地となった帝都に潜入し、ここまで来た事には感謝している。――――――だが、どちらの要請も応える事はできん。」
アンゼリカの言葉に続くように答えた後要請をしたマキアスの言葉に対してクレイグ将軍は重々しい様子を纏って答えた。
「そ、そんな……どうしてなの、父さん!父さん達の指揮権を持つオズボーン元宰相達”旧政府”の”正当性”や”大儀”は失われたから、父さん達がこれ以上オズボーン元宰相達の命令に従う必要はないんだよ!?」
「将軍達が行った”焦土作戦”で甚大な被害を被ったクロイツェンの民達に対する”償い”ならば死して償うより生きて償うべきだと”かつてのクロイツェンの主”――――――アルバレア家当主たる俺や”クロイツェンの新たな主”もそうだが、陛下達も望んでいると知ってもなお、何故オズボーン元宰相に従い続ける!?」
クレイグ将軍が答えた信じ難い答えに仲間達がそれぞれ血相を変えている中エリオットは信じられない表情で、ユーシスが怒りの表情でクレイグ将軍に問いかけた。
「その”焦土作戦”をこの手で実際に行った第四(われわれ)だからこそ、例えどのような劣勢の状況に陥ろうとも、”大儀”を失おうとも、最後まで宰相閣下達に――――――帝国政府――――――いや、”旧政府に従い続け、滅ぶ事が敗戦後のエレボニアの為になるから”だ。」
「将軍達が”旧政府に従い続け、滅ぶ事が敗戦後のエレボニアの為になる”とは一体どういう事なんだ……?」
クレイグ将軍の話を聞いたエリオット達がそれぞれ困惑の表情を浮かべている中、ガイウスがエリオット達の代わりにエリオット達が抱いている疑問を真剣な表情で訊ねた。
「今回の世界大戦で我が国が敗戦した事で、言うまでもなく国民達の敗戦の責を問う怒りの声は”大陸統一”を掲げ国民達に戦争を強要し続けた宰相閣下達帝国政府もそうだが、政府に従い続けた正規軍に向けられる事になるだろう。その”怒り”は戦後再建されることになる正規軍にも向けられる。――――――例え大戦時政府から離反し、ヴァイスラントに合流したゼクス将軍達を主体とした正規軍が再建されようともな。そして正規軍がそのような事態に陥れば、正規軍自体の存続が問われる可能性へと発展する事もあり得る。」
「そいつは………」
「……なるほどな。エレボニアはメンフィルを除いた他国と違って、政府に指揮系統がない軍事勢力が存在しているからな。そいつらがいれば、国民達から悪感情を抱かれている正規軍は必要ないという声が挙がる事を将軍は予測しているのか。」
「”政府に指揮系統がない軍事勢力”――――――”貴族に指揮系統がある領邦軍”か………」
「ましてやその領邦軍は”大陸統一”を掲げて暴走したエレボニアを正そうとしたアルフィン皇女殿下を最初から最後まで支え続けたという”実績”があるものね……」
クレイグ将軍の話を聞いて事情を察したジンが複雑そうな表情で答えを濁している中ヴァンとヴァンダール子爵は静かな表情で呟き、エレインは複雑そうな表情である事実を呟いた。
「!まさか………将軍閣下、貴方達は正規軍の存続の為に、決戦時は我々”第四”――――――いえ、正規軍同士がぶつかり合い、その戦いによって閣下達が討たれる事で国民達に『オズボーン元宰相達旧政府の傀儡であった正規軍は滅び、正規軍は正された事』を示す事を考えておられるのですか……!?」
「そ、それってどういう事なんですか……!?」
「恐らくだけど、将軍達――――――帝都奪還戦で抵抗を続けている”第四機甲師団”はこの世界大戦での敗戦によるエレボニアの民達の怒りを全て自分達が背負って討たれる事で戦後再建される事になる正規軍に対する民達の溜飲を下げようとしているのだと思うわ。」
「ある意味ハーケン平原での戦いを止めたヴァンダイク元帥のやり方と同じだな………」
一方双方の話を聞いてクレイグ将軍の考えを悟ったナイトハルトは信じられない表情でクレイグ将軍に確認し、ナイトハルトの推測を理解できず困惑しているアネラスにシェラザードが複雑そうな表情で説明し、アガットは複雑そうな表情で呟いた。
「本当にナイトハルト教官達が今言った話を考えて最後まで抵抗を続けることにしたの、父さん!?」
「………私は”情報局”や”鉄道憲兵隊”のように宰相閣下自身に従った訳でなく、あくまで正規軍を率いる者として正規軍の指揮権がある政府の指示に従っていただけだが………”焦土作戦”の件で国民達は私の事もリーヴェルト少佐達のように政府ではなく宰相閣下自身に従っていると見られていると思われる上、私は軍属時代の宰相閣下の直属の部下でもあった。その私の死は国民達にも『オズボーン宰相閣下達の影響力が強い正規軍は滅んだ事』を示す為にも都合がいいのだ。――――――軍属時代の宰相閣下の上司であったヴァンダイク元帥閣下が討たれたのだから、後は私が討たれれば少なくても『戦後の正規軍に宰相閣下の遺志を継ぐ可能性がある人物は皆無である事』は国民達も信じるだろう。」
血相を変えたエリオットの問いかけに対してクレイグ将軍は重々しい様子を纏って答え
「敗戦を悟った後大戦の決着をつけて一人でも多くの犠牲者を減らす為に自ら”死兵”となって討たれた学院長の死が将軍に悲壮な決意をさせる切っ掛けになったなんて、皮肉な話だね……」
「……ッ!例えそれが将軍達の望みだとしても、残された人達の気持ちはどうなるんですか!?それにエレボニアは敗戦したからこそ、復興の為にも一人でも多くの人達の協力が必要なんですよ!?戦後のエレボニアの事を考えるならば、将軍達も生きるべきだとわからないのですか!?」
クレイグ将軍の話を聞いたアンゼリカは複雑そうな表情で推測し、マキアスは真剣な表情でクレイグ将軍に指摘した。
「エリオットやフィオナを含めた軍人の家族にはそれぞれ”戦争になれば、軍人である我々が戦死し、それを受け入れる覚悟をする事”を教えているはずだ。――――――それに戦後のエレボニアの状況を考えれば、正直な所私はこの決戦で散りたいのだ。」
「か、閣下……!?」
「戦後のエレボニアの状況を考えたら、この決戦で戦死したいって、どうしてそんなことを考えているの、父さん!?」
マキアスの指摘に対して返したクレイグ将軍の驚愕の答えを聞いた仲間達がそれぞれ血相を変えている中ナイトハルトは困惑の表情を浮かべ、エリオットは信じられない表情でクレイグ将軍に訊ねた。
「先程も言ったように戦後”焦土作戦”の件もそうだが”大陸統一”を掲げていながら無様に敗北し、祖国を衰退させた事で間違いなく国民達の正規軍を見る目が厳しくなる事もそうだが、敗戦の責を負う件を含めた様々な政治事情で正規軍の”力”は大きく削られる事になるだろう。……そのような状況に陥った正規軍でこの大戦での罪を生きて償うくらいならば、国の為に戦って死ぬ方がいいのだ。」
「”様々な政治事情で正規軍の力は大きく削られる事になる”ってもしかして……」
「将軍達は戦後エレボニアは”軍縮”を行うと推測しているのだろうな。」
「まあ、現にエレボニアは戦争で敗戦しちまったんだから、当然勝者――――――連合がエレボニアに2度と自分達に歯向かえない力をつけさせないように、軍事力の低下を要求する事を政府もそうだが軍の関係者なら普通は考えるだろうな。」
「それに例えその件がなくてもエレボニアは今回の戦争もそうだけど、内戦で疲弊した国力を回復させる為にも今までエレボニアが最もコストをかけていた部分――――――軍へかけていたコストを大幅にカットすると推測しているのでしょうね。」
「おい、まさかとは思うが………」
「”軍事大国という今まで世界に誇っていたエレボニアの誇りを自ら捨てた戦後のエレボニアで生きるくらいなら、この決戦で軍事大国のエレボニアの軍人として華々しく散った方がいい”と考えているの!?」
クレイグ将軍の話を聞いてある事を察して不安そうな表情を浮かべたアネラスの言葉に続くようにジンが真剣な表情で答え、肩をすくめて呟いたヴァンの推測に続くようにエレインは真剣な表情でヴァンとは別の推測を口にし、二人の推測を聞いてクレイグ将軍達の意図を悟ったアガットは目を細め、シェラザードは厳しい表情でクレイグ将軍達に問いかけた。
「私達は”軍事大国エレボニアの正規軍に所属する軍人である事”を”誇り”にしていた。その”誇り”を失う事を受け入れる等、ナイトハルト達のような柔軟な考えができる若者達はまだしも、長く正規軍の軍人であり続けた事で考えが固く、古くなった我々にとってはその”誇り”を捨てたエレボニアを見たくないのだ……」
「そしてエレボニアをそんな風にしてしまった”元凶”の一つである我々ができる事は、せめて戦後の正規軍の為の”礎”になる事なんだよ、エリオット坊ちゃん。」
「祖国の為に戦って死ぬ事こそ、我ら軍人にとっては”誇り”でもある。そしてそれが戦後の正規軍の為にもなるのならば、望む所だ。」
「戦後のエレボニアに我らのような”老害”は不要だ。だから、我らの事は愚かな理想を抱いた宰相閣下に従い続けた愚か者達として遠慮なく斬り捨てて構わん、ナイトハルト。」
するとその時クレイグ将軍側である軍人達がそれぞれ答えるとクレイグ将軍や軍人達の足元から黒い瘴気が現れた!
「あの悪しき風は……!」
「なるほどね。”焦土作戦”を行った事に対する自責の念を覚えている事に加えて、祖国の敗戦による意気消沈していた将軍達が”呪い”の影響を受けてしまったのか。」
「しかもエレボニアの各地の霊脈も遮断された事によって行き場を失った事で帝都に充満していた”呪い”だからこそ、普通に考えれば降伏して当然の状況でありながら抵抗を続ける考えにさせてしまっているのでしょうね。」
黒い瘴気を目にしたガイウスは真剣な表情で声を上げ、クレイグ将軍達の状況を察したアンゼリカは疲れた表情で呟き、マキアスは複雑そうな表情で推測を口にした。
「ユーシス・アルバレアもいるのならば我々にとっては尚更都合がいい……クロイツェンの統括領主として、クロイツェン州全土を焦土にした憎き仇である我々を討つがいい!」
「――――――舐められたものだな。幾ら”呪い”の影響があるとはいえ、この俺が俺自身の意思ではなく相手に煽られて級友の家族を討つと言った短絡的な行動をすると考えているとはな。――――――将軍達の望み通り相手はしてやるが、それは将軍達を討つ為ではない。かつてのクロイツェン州の統括領主だからこそ、将軍達には生きてクロイツェン州の民達に償ってもらう為だ!」
「ユーシス………Z組の一員として……そして父さんの息子として、父さん達の馬鹿な考えを絶対に止めてみせるよ!Z組B班、父さん達を止める為に全力で行くよ!」
「おおっ!!」
クレイグ将軍の指摘に対して静かな表情で答えた後クレイグ将軍達に自身の得物である騎士剣を向けて睨んで答えたユーシスの言葉に呆けたエリオットは決意の表情を浮かべて号令をかけ、エリオットの号令に対して仲間達は力強く答え
「全員ぶん殴ってでも正気に戻すぞ!」
「はいっ!」
「今の彼らは”D∴G教団”のロッジを制圧した時の様子――――――戦闘不能にしても自殺した教団員に似ている。制圧した後の挙動を一番気をつけろ!」
「つまりは制圧したら自殺する可能性が高いって事ね………――――――だったら、完全に気を失わせた方がよさそうね……!」
「はい……!ヴァン、自分が請けている依頼内容ではないとはいえ、もし手を抜いて戦ったりしたら、絶対許さないわよ……!」
「わざわざ念押ししなくても、この状況で手を抜くみたいな器用な真似を俺にはできないから、無用な心配だぜ。」
アガットの言葉にアネラスが力強く頷き、真剣な表情で忠告したジンの忠告を聞いたシェラザードは疲れた表情で呟いた後決意の表情を浮かべて呟き、真剣な表情で指摘したエレインの指摘に対して溜息を吐いたヴァンは苦笑した後格闘の構えをし
「”第四”別働部隊、閣下達を正気に戻す為にも全力で閣下達に挑め!」
「イエス・サー!!」
「皆の者、”守護の刃”たる”ヴァンダール”の刃で”呪い”に憑かれし将軍達を救うぞ!」
「はいっ!!」
ナイトハルトとヴァンダール子爵はそれぞれ部下や門下生達に号令をかけてエリオット達と共にクレイグ将軍達との戦闘を開始した!
〜同時刻・幻想機動要塞・最奥〜
同じ頃中枢区画を攻略していたリィン達が最奥へ続く巨大な扉を開くと、宰相としての姿ではなく外套を纏い、強化スーツを身に纏っている”鉄血”のギリアス・オズボーンが広間の奥で待ち構えていた。
「ふふ………来たか。まずはよくぞ参ったと言っておこう。我が騎士達と地精、猟兵王を制し、”紫”の力も手に入れた。並大抵の試練ではなかったはずだ。」
「……生憎ながら、俺達は彼らと激戦を繰り広げる程の戦いは行っていない。彼らと激戦を繰り広げて制したのはこの戦争で少なからず因縁ができた者達と”第三の風”だ。」
不敵な笑みを浮かべて自分達に対して賞賛の言葉をかけたオズボーンに対してリィンは静かな表情で答えた。
「……なるほど。”剣聖”の子供達にかつてのクロスベルの小さな希望、そして”Z組”か。他勢力に我が守護者達を制させ、”本隊”である自分達は大した消耗はせず、我が元に辿り着くとは考えたではないか。――――――まあ、そのような些細な事はどうでもいい。これで、”終わり”を始める事ができるのだからな。その前に――――――ヴァリマール、来るがいい!」
リィンの話を聞いてすぐにクレア少佐達を制圧した人物達はエステル達にロイド達、そしてアリサ達である事を察したオズボーンはリィンの”将”としての判断に感心しながらリィン達へと近づいてリィン達と対峙した後ヴァリマールの名を呼び、オズボーンの行動を目にしたリィン達はそれぞれ驚きの表情を浮かべた。
「ええっ!?どうしてオズボーン宰相がヴァリマールさんを……」
「そうか、彼(ヴァリマール)にとってかつての起動者だった人物……」
アルフィンは困惑の表情で疑問を口にし、オズボーンが何者であるかをすぐに思い出したローゼリアは真剣な表情でオズボーンを見つめた。
「ふむ……リィン、どうする?」
その時ヴァリマールがリィンに問いかけ
「ああ、来てくれ。」
リィンの許可を聞くと転位でリィン達の傍に現れた。
「――――――久しいな、ドライケルス。いや、今生ではギリアス・オズボーンだったか。」
「フフ、どぢらで呼んでも構わぬ。――――――”リィン”が世話になった。それに、どうやら全ての記憶を取り戻せたようだな?」
「うむ、この戦争でリィンと共に刃を振るい続けた事とリアンヌのお陰だ。」
「フフ、そうか。――――――改めてにはなるが、お初にお目にかかる、”シルフィア殿”。リアンヌから”後を託されたと”はいえ、リアンヌの代わりに”リィン”を支え、我が元へ辿り着かせてくれた事、感謝する。」
ヴァリマールの答えを聞いたオズボーンはリアンヌに視線を向けて感謝の言葉を口にし
「私は大した事はしておりません。勿論私の代わりに彼を支え続けてくれたデュバリィ達――――――”現代の鉄騎隊”も関係している事は否定しませんが……彼がここに辿り着く事ができた一番の要因は、彼自身の成長に揺るがぬ信念、そして彼が今まで築き上げた”絆”のお陰です。」
「マスター………」
オズボーンに対するリアンヌの返答を聞いたデュバリィは真剣な表情を浮かべ
「そうか…………そして、その”絆”の中に貴女も含まれているという事か。――――――200年ぶりだな、”ロゼ”。其方までリィン達と共にこの場に辿り着いた事は少々意外だったぞ。この場に辿り着くにしても、リィン達とではなく、其方の縁者がいる”Z組”と共だと思っていたのだがな?」
「フン、放蕩娘の尻拭いやメンフィルの謀(はかりごと)も関係しているとはいえ、朋友(とも)に何も相談せず、一人で全て抱え込んだ阿呆にせめてもの介錯をしてやる為にもエマ達ではなく現代の灰の起動者(ライザー)達に加勢する事が、妾にとっても都合がよかっただけじゃ。」
オズボーンに視線を向けられて話しかけられたローゼリアは鼻を鳴らした後口元に笑みを浮かべて答えた。
「フフ、相変わらずだな。――――――こうして言葉を交わすのは”西ゼムリア通商会議”以来ですな、メンフィルの姫君の方々。まさか”英雄王”と称えられているリウイ陛下ではなく、貴女達がこの場に辿り着いた事は意外でしたが………さすがは武勇でその名をゼムリア大陸全土に轟かせているリウイ陛下のご息女の方々と言うべきでしょうか。」
「ほう、敵ながらわかっておるではないか。余としても、こんなにも早く結社以外でゼムリア大陸で唯一余達メンフィルに刃を向ける可能性が高かった貴様と決着をつける機会が訪れるとは、意外だったぞ。」
「うふふ、そちらこそ追い詰められた状況でありながら、全く動じていない事については素直に賞賛するわ。」
「僭越ではありますがお父様達に代わり、メンフィルと貴方との因縁をここで断たせて頂きます、オズボーン宰相。」
オズボーンに賞賛の言葉をかけられたリフィアとレンは不敵な笑みを浮かべ、プリネは静かな表情で答えた。
「フフ、お互い様という事ですな。――――――お初にお目にかかる、”斑鳩”の”白銀の剣聖”。共和国よりも更に東で活動している其方達”斑鳩”の参戦は、私にとっても想定外だったぞ。」
「へえ?旧共和国で活動していたエレボニアの間諜達はメンフィルの凶手達によって全て葬られたにも関わらず、旧共和国よりも更に東の地を主に活動している私達がメンフィルに雇われた事を鉄血宰相が知っているなんて、私達にとっても想定外かな。」
「メンフィルの凶手達が葬ったのは旧共和国で活動していた情報局の者達との事ですから、恐らく我らの情報を掴んだのは大陸東部で活動している情報局の者達なのでござろう。――――――さすがは”鉄血宰相”肝いりで設立された諜報組織と言うべきでござるな。」
オズボーンが自分達の事を知っている事に目を丸くしたシズナは興味ありげな表情でオズボーンを見つめ、クロガネは自身の推測を口にした後若干感心した様子でオズボーンを見つめた。
「ふっ、褒め言葉として受け取っておこう。――――――こうして、直に顔を合わせて言葉を交わすのはこれが初めてになるな、”嵐の剣神”セリカ・シルフィル。思えば其方との因縁はクロスベルでの”西ゼムリア通商会議”での私とロックスミスの謀(はかりごと)を”六銃士”やメンフィルに粉砕、利用された時からだが、其方の存在を知ってからはずっと其方の行動に疑問を抱いていた。リアンヌに劫焔、そして猟兵王と言った私ですら勝利するには容易ではない相手を易々と退ける程の超越した使い手の其方は何故遊撃士達に力を貸した挙句、メンフィルやクロスベル――――――国の思惑の為の”手駒”として利用される事を甘んじて受け入れていたのだ?」
「………遊撃士達に力を貸していたのは”とある遊撃士”から受けた”その遊撃士が生きている間には返し切れない恩”の極一部を返す為だが、俺がリウイやヴァイス達に利用されていたというお前のその推測は勘違いだ。」
「ほう?ならば、何の為にメンフィルやクロスベルに力を貸していたのだ?」
自分の問いかけに対して答えたセリカの答えが気になったオズボーンは興味ありげな表情でセリカへの問いかけを続けた。
「―――――俺と俺の大切な者達の未来を阻もうとしたお前達の愚かな計画を潰す為にリウイやヴァイス達に力を貸した方が俺にとっても都合がよかったからだ。」
「ふふ、まさかそんな”ありふれた理由”が我が策を悉く崩壊させる想定外(イレギュラー)の一つになったとはな。――――――そして其方が”空の女神”か。」
セリカの答えを聞いて苦笑を浮かべたオズボーンは興味ありげな表情でエイドスへと視線を向けた。
「チッ……やっぱり、エイドスさん達の事も情報局の連中に掴まれていたか。」
「そもそも、エイドスさん達は名前も一切偽らずに様々な所で自由自在に活動した上、星杯騎士団(わたしたち)が常に身辺警護をしていたから、エイドスさん達の事は隠しようがないと思うけど。」
「……ただ、その割には今まで一切襲撃どころか、接触すらもしてこなかったわよね……?」
(正確には『接触しようとはしたが、できなかった』からでしょうね。)
(ああ。ケビン達とは別に隠密僧兵(イスカリオ)の連中が裏で動いていたらしいからな。女神に接触しようとした情報局の連中はそいつらに”撃退”か”処分”されたんだろうぜ。)
オズボーンがエイドスの正体が”本物の空の女神”である事を知っている事にケビンは舌打ちをして厳しい表情でオズボーンを睨み、疲れた表情で呟いたリースの言葉に続くようにルフィナは真剣な表情でオズボーンを見つめながら疑問を口にし、ルフィナの疑問について察しがついていたリオンの小声の言葉に頷いたセリスは真剣な表情を浮かべた。
「私としては”空の女神”よりも”ただの新妻”の方で呼んで欲しかったのですが………――――――それで、”本物の空の女神”である私にも他の方達のように何か言いたい事か聞きたい事でもあるのですか?先に言っておきますが、歪められし二つの”至宝”による”呪い”関連での私への苦情は受け付けませんよ。そもそも貴方が今の状況に陥ったのは元を正せば焔の至宝(アークルージュ)と大地の至宝(ロストゼウム)を歪めさせた貴方達の先祖なのですから。」
「フッ、”空の女神”だけあってやはり全てを識(し)っていたか。――――――私が”空の女神”である其方への問いかけはそんなことではない。――――――二つの至宝のぶつかり合いによって生まれてしまった”鋼”によって私を含めた多くの人々の人生や運命が歪まされてしまった事、あらゆる世界の不条理を識(し)った事で消滅の道を選んでしまった幻の至宝(デミウルゴス)と同等の存在(もの)を生み出す為に多くの人々の運命や人生を歪めさせて悲劇へと追いやった結果生まれた”零の至宝”、人に無制限の欲望を与えた事で人を破滅の道へと歩ませようとした空の至宝(オーリオール)………私も知らぬ残りの至宝も恐らく何らかの形で”人”に害を与えてしまい、その結果消滅か封印されているのだろう。――――――何故、其方は”人”が持つにはあまりにも分不相応な”力”を与えたのだ?其方ならば気づいていたはずだ。人に”七の至宝(セプト=テリオン)という人が持つにはあまりにも分不相応な力”を与えてしまえば、その結末は人――――――いや、ゼムリア大陸という世界を”破滅”の道へと歩ませてしまう可能性に。」
「……………………」
「クレハ様………」
エイドスの指摘に対して静かな笑みを浮かべたオズボーンは厳しい表情を浮かべてエイドスにある問いかけをし、オズボーンのエイドスへの問いかけを聞いて神の如き絶大な”力”を持っていた”ミトスの民”に起きた”悲劇”を身をもって思い知ったクレハは複雑そうな表情を浮かべ、クレハの様子に気づいたノイは心配そうな表情でクレハを見つめた。
「何を聞いてくるかと思っていましたが、そんな簡単な質問ですか。――――――”人に本当の幸せを掴み取って欲しい”からこそ、”人への最後の贈り物”として七の至宝(セプト=テリオン)を授けただけですよ。」
「何………?」
呆れた表情で溜息を吐いた後答えたエイドスの答えの意味が理解できなかったオズボーンは眉を顰めてエイドスを見つめた。
「貴方も知っているように私は数十年で寿命が尽きる”人間”と違い、途方もない年月を過ごす事が可能な”女神”で、実際貴方が知る普通の人間よりも遥かに長く生きて来た人物――――――”槍の聖女”や”二代目の魔女の長”とも比較にならないくらいの途方もない年月を過ごしてきました。その年月の間に女神である私に”救い”を求めた人々の願いに応じ、幾度も救ってきました。ですがその結果は世代が変われば過去の過ちを忘れて同じ事を繰り返すという虚しい結果でした。その事に私は思い知ったのです。――――――”神である私自身の存在の恐ろしさ”に。」
「な………」
エイドスの答えを聞いたオズボーンは驚きのあまり思わず絶句し
「そして私は『”神”の判断にゼムリア大陸の人々が左右される事や”神”や”奇蹟”に縋る事で人々が堕落する事を恐れ、”神”や不確かな”奇蹟”に頼らずに自分自身で”選択”して”本当の幸せ”を掴みとってもらう為』に当時の人々に”七の至宝(セプト=テリオン)”を授けたのですよ。」
「……………………だがその結果は其方が望んだ結果どころか、其方自身が恐れていた事態になってしまったが、それについてはどう考えている?」
エイドスの説明を聞いて少しの間目を伏せて黙っていたオズボーンは真剣な表情でエイドスに問いかけた。
「そんなの私の知った事ではありません。七の至宝(セプト=テリオン)を人の手に委ねた時点で、人が空の女神(わたし)に縋る時代は終わり、人自身の手で自分達の未来を創る時代へと変わったのですから、人が七の至宝(セプト=テリオン)を手にした事によってどのような選択をし、どのような結末に至るかは人自身の責任です。」
「ふふ、至宝が起こした悲劇を知って罪悪感を抱くどころか、我々人自身の”自業自得”であると指摘するとはさすがは”空の女神”か。――――――灰獅子隊の面々も改めてようこそ。クルト君、オリエ夫人、ミルディーヌ公女――――――アルフィン皇女殿下。――――――とりわけベルガーには改めて詫びる必要がありそうだな。」
「あ……………」
「フン……今更”ハーメル”の件を詫びられた所で、何の意味もないがな。」
「……………………」
「……その言葉、兄や父にも言って欲しかったです。」
「フフ、私は私自身の思惑で祖国に刃を向けたのですから、お互い様かと。」
エイドスの話を聞いてエイドスに感心したオズボーンはリィン達灰獅子隊の面々を見回してクルト達を名指しし、オズボーンの自分達への”それぞれの詫び”の意味を理解していたアルフィンは呆けた声を出し、レーヴェは鼻を鳴らして不愉快そうな表情を浮かべ、オリエは目を伏せて黙り込み、クルトは真剣な表情でオズボーンを見つめて指摘し、ミュゼは苦笑しながら指摘した。
「ハハ……違いない。」
(なんて悠然とした……)
(それでいて自然体……どこまでも堂々とした風格。)
(フッ、さすがは稀代の宰相にして獅子心皇帝と言うべきだな。)
(そして”黒”の起動者にしてリィンさんの……)
ミュゼの答えを聞いて苦笑しながら腕を組んだ様子のオズボーンを目にしたエリスとエーデルガルトは思わず感想を口にし、オーレリア将軍は感心した様子で、アルティナは呆けた表情でオズボーンを見つめた。
「――――――ギリアス・オズボーン。これまでの流れや水鏡を目にしたアリサ達を通じて俺達は貴方の真実を知った。エレボニアの呪いの渦中にあった男。”黒”に支配され、同化されつつも鋼のような意思で己を保ち続け……エレボニア――――――いや、世界の”敵”となることを選択した人物。」
「……そして、そこに容赦や手加減などは存在しないのでしょう。わたくし達メンフィル・クロスベル連合という想定外(イレギュラー)が現れなかったら、一切の躊躇なく世界を滅ぼす事に専念していたのでしょう。」
「メンフィル・クロスベル連合という存在以上に想定外だったのは、連合とエイドス様達による”七の相克”を封じ込められた事、そして兄様がZ組を離れ、連合側について一切の容赦なくエレボニア帝国を追い詰めた事でしょうね。」
「ええ――――――特に兄様がZ組を離れた事もそうですが、Z組もそうですがエレボニアの人々に”裏切り者”呼ばわりされることを覚悟してでも、連合軍の一員としてエレボニアを追い詰めた事は青天の霹靂と考えられます。」
リィンの言葉に続くようにセレーネが静かな表情で呟き、エリゼとエリスがそれぞれの推測を口にし
「ああ、”見事”と言うべきだろう。――――――ドライケルスだった頃の”私”は晩年、未来に絶望したまま生を終えた。それがリアンヌに余計な使命感を抱かせることにも繋がったが………それと比べれば大違いの状況だ。」
二人の推測を肯定したオズボーンは異空間から巨大な漆黒の大剣を取り出した。
「あの漆黒の大剣は黒の工房の本拠地の戦いでも見せた……!」
「改めて見ると恐ろしい剣だぜ……」
「ええ。まるでこの世の悪意が全て込められたかのような……」
オズボーンが異空間から取り出した漆黒の大剣を目にしたディミトリは真剣な表情で呟き、警戒の表情で呟いたクロードの言葉に頷いたリシテアは真剣な表情で漆黒の大剣を睨みながら推測をした。
「フフ、”黒”の武装でもあるもう一本の”終末の剣”――――――”とある理由”で女神の聖獣を屠ることは叶わなかったが………この世界において最も強力な物理兵器にして概念兵器であろう。さて――――――それでは最後の準備を始めるとしようか。」
オズボーンが漆黒の大剣を軽く振るうとオズボーンの周囲に”幻獣”クラスの大型の魔物や魔煌兵が次々と現れた!
「機甲兵クラスの大型の人形兵器に幻獣クラスの大型の魔物……!」
「ま、普通に考えればこの数相手に一人でやり合うなんてありえないから、”お約束の展開”になる事は予想していたが……」
次々と現れた魔物や魔煌兵を目にしたステラは警戒の表情で声を上げフォルデは疲れた表情で呟き
「ベアトリース、ルシエル!二人は灰獅子隊の兵達を率いて魔物や魔煌兵の掃討を頼む!来い――――――メサイア、ユリーシャ、レジーニア、アンリエット!メサイア達もベアトリース達と共に魔物や魔煌兵の掃討をしてくれ!」
「了解した、我が主!」
「承りました!どうかご武運を!」
「わかりましたわ!」
「どうかご武運を、我が主!」
「了解。さーて、あたしとリィン達の為にも雑事はさっさと終わらせようじゃないか。」
「はい……!あなた様が敵総大将の撃破に集中できるように、わたし、頑張ります……!」
「お主も手伝ってやれ――――――ディアーネ!!」
「フン、あんな雑魚共、さっさと片付けて、敵将に直に我の力を思い知らせてやろう!」
リィンはすぐに指示をベアトリースとルシエルに指示を出した後メサイア達も召喚して指示を出し、リィンの指示に対してそれぞれ答えた二人は兵達を率いて魔物や魔煌兵との戦闘を開始し、メサイア達とリフィアに召喚、指示をされたディアーネもベアトリース達に続くように魔物や魔煌兵達との戦闘を開始し
「それでは予定通りギリアス・オズボーンは俺達が抑えているので、”全ての元凶”への対処はお願いします、エイドス様、セリカ殿!」
「はいっ!」
「ああ。」
更にリィンはエイドスとセリカにそれぞれ声をかけ、声をかけられた二人は魔物や魔煌兵どころかギリアスすらも無視してイシュメルガの元へと向かい、ケビン達星杯騎士達やアドル達エイドスの一族、そしてエクリア達セリカ一行の仲間達は二人に続くようにイシュメルガの元へと向かい
「何……?――――――!まさか……」
エイドス達とセリカ達の行動に眉を顰めたオズボーンは二人の行動の意図を瞬時に悟ると目を見開いた。
マサカ、キサマラ我ヲ……!オノレ……オノレ……200年待ッタ我ガ願イ、決シテ邪魔ハサセヌゾオオオオオオ……ッ!!!
一方自分の元に来て自分と対峙したセリカ達を見てセリカ達の行動を察したイシュメルガが怨念を込めるかのような咆哮を上げると魔物や魔煌兵が次々と現れた。
「手筈通り、詠唱の間の私達の守りは皆さんに任せますね……!」
「はい……!絶対に敵にエイドス様達の詠唱の邪魔はさせません……!」
「詠唱をしているエイドス様達への攻撃をさせない事を最優先にして戦うわよ……!」
「ああ!セリス、リオン!出し惜しみはなしで、最初から全力で行くで!」
「ハッ、上等だ!」
「我らが主神エイドスよ、我らの忠誠と信仰心を特とご覧あれ!」
エイドスの言葉にリースは頷き、ルフィナの指示に頷いたケビンはセリスとリオンに呼びかけ、呼びかけられたセリスは鼻を鳴らして不敵な笑みを浮かべ、リオンは戦闘前の祈りを口にした後ケビン、セリス、リオンはそれぞれの背中に聖痕(スティグマ)を具現化させて戦闘を開始し
「僕達も行こう、フィーナ、エレナ!」
「「はい、アドルさん!」」
「ノイはいつものように僕の傍でサポートを!クレハは後ろからアーツによる援護をお願い!」
「任せてなの!」
「ええ!後方からの援護は任せて!」
アドルとナユタもそれぞれの仲間達に声をかけて戦闘を開始した。
「――――――始めましょう、セリカ。この哀しき戦いを少しでも早く終わらせる為に……そして私達の未来の為にも。」
「ああ。――――――全員出てこい!ハイシェラ、お前もだ!」
サティアの言葉に頷いたセリカはハイシェラを含めた自身が契約している使い魔全員――――――風の中位精霊――――”ジルニー種”であるミルモ・メネシス、睡魔族――――――リリエム、龍人族(ナーガ)の王女――――――リ・クアルー、第八位天使の上位種アプサエル――――――天使メティサーナ、ソロモン72柱の一柱にして”盗獅子”の異名をディル=リフィーナに轟かせていた大怪盗――――――魔神ヴァレフォル、精霊領域リスレドネーの主―――――精霊王女リザイラを召喚した。
「お前達はロカ達と共に、俺やサティア、エイドスの詠唱、エクリア達の祈りを邪魔しようとする敵を全て滅ぼせ。」
「うん、わかった!」
「はーい!ボク、いっぱい頑張るね〜!」
「フッ、妾に任せるがよい!」
「メティの鎌で悪は全て滅してやる!」
「やれやれ、仕方ないわね。」
「ふふふ、私達にお任せを。」
「クク、存分に暴れさせてもらうだの!」
セリカの指示にセリカの使い魔達はそれぞれ力強い答えを口にして戦闘を開始し
「ゴーレムさん〜、火獣さん〜、御雪さん〜、シュベルトライテ〜!みんなで協力してハイシェラ様達を手伝ってあげて下さい〜!」
「――――――」
「グオオオオオ――――――ッ!」
「承知しました……」
「いいだろう。」
更にサリアも自身が契約している使い魔達――――――ゴーレム、火獣、東方風の魔人――――――東方では”妖怪”の一種である”雪女”の姿をした氷魔神――――――御雪、そして戦乙女であるシュベルトライテを召喚して使い魔達に指示を出し、サリアの使い魔達もセリカの使い魔達に続くように戦闘を開始した。
「―――――イルザーブ!私達はセリカ達の準備が整うまでの間の時間稼ぎをするわよ!――――――マーズテリアよ、我らに戦の加護を!」
「仰せのままに、ロカ様。」
ロカも続くように自身が契約している使い魔――――――権天使イルザーブを召喚して戦いの前の祈りを口にした後イルザーブと共に戦闘を開始し
「それじゃ、私達も行こうか、ナベリウス。」
「ん……来て…………わたしたち……で……セリカ達……守る………!」
リタはナベリウスに声をかけ、声をかけられたナベリウスは自身が契約している使い魔――――――ケルベロスを召喚してリタとケルベロスと共に戦闘を開始した。
「さあ、みんな!セリカ様とサティア様に祈りを!」
「ええっ!」
「はい!」
「はいです〜!」
「うむ!」
「わかったわ!」
エクリア達――――セリカの”使徒”全員はセリカとサティアに自分達の力を送り込むために二人を包囲するように囲んで祈りを奉げ始め、セリカとサティア、そしてエイドスはそれぞれ詠唱を始めた。
「来い――――――ベルフェゴール、アイドス!二人は俺達と共にギリアス・オズボーンの討伐を頼む!」
「ええ、任せて♪私達の未来の為にも、さっさと終わらせちゃいましょう♪」
「わかったわ。――――――――星芒より出でよ、”真実の十字架(スティルヴァーレ)”!!呪いに魅入られた事で運命を狂わされた哀れな人よ。私達が”慈悲”を持って、今楽にしてさしあげます。」
そしてリィンに召喚されたベルフェゴールとアイドスはそれぞれ頷いて戦闘の構えをしてリィン達と共にオズボーンと対峙し
「総員、これが最後の戦いだ!絶対に誰一人欠ける事なく、この戦争を乗り越えるぞ!!」
「おおっ!!」
リィンは仲間達に号令をかけ、リィンの号令に対して仲間達は力強い答えを返してオズボーンとの戦闘を開始し
「ふふ……ドライケルス・アルノールとして要請する。――――――全身全霊で一切の迷いなく我が身と魂を滅ぼしに来るがいい――――――メンフィルの”灰獅子隊”よ!!」
対するオズボーンは自分に向かってくるリィン達を目にして満足げな笑みを浮かべた後戦闘の構えをしてリィン達に対する戦闘開始の言葉を口にした後、リィン達との最終決戦を始めた――――――!
表と裏、それぞれの決戦前のイベントは書きましたが、表の決戦は省略して裏の決戦であるオズボーン戦のみ、そしてその後のイベントを書く予定です。なお、表の決戦のBGMは閃Wの”Unlikely Combination、黎Uの”Believing Heart”、FE風花雪月の”貫く意志”のどれか、オズボーン戦のBGMは原作通り”Majestic Roar”かFE風花雪月の”この世界の頂で”のどちかだと思って下さい♪
説明 | ||
第157話 | ||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
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他エウシュリーキャラも登場 他作品技あり 幻燐の姫将軍 空を仰ぎて雲高くキャラ特別出演 閃の軌跡 | ||
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