英雄伝説〜灰の騎士の成り上がり〜 |
〜逆しまのバベル・中枢区画〜
「や、やった……!?」
「はい、今度こそ本当に……!!」
終焉のイシュメルガの様子を見た”マキアス”と”ミュゼ”が自分達の勝利を確信したその時終焉のイシュメルガの姿はゾア=ギルスティンからイシュメルガ=リィンの姿へと変わり、イシュメルガ=リィンの姿へと変わった終焉のイシュメルガは地面に叩きつけられた。
「……何故ダ……コノ私が………!!貴様ラ如キガ………私ヲ降ス可能性ナド……!」
「それがお前の限界だ、もう一人の――――――いや、”イシュメルガ”。今迄の戦いだって、簡単に乗り越えられたわけじゃない。文字通り可能性がゼロだったことすらあったかもしれない。それでも……そんな僅かな可能性を、俺達は何度も掴み取ってこれたんだ。一人じゃなかったから――――――支え合う事ができたから。」
「ああ、それこそが俺達が手にしてきたもの……そしてヒトがこれからも紡いでいくものなんだろう。」
地面に倒れた終焉のイシュメルガはリィン達を睨みながら自分達の敗北を信じられない様子になっていたがそこに”クルト”に肩を貸してもらって立っている”リィン”と”ロイド”が終焉のイシュメルガに自分達の勝因を指摘した。
「ッ……馬鹿ナ……ソノヨウナ、取ルニ足ラヌモノガ……」
「取るに足らないのはあなたよ。ただのまぼろし……”エリュシオン”が視た泡沫の悪夢――――――帰るべき”無”に帰りなさい。」
二人の指摘を聞いて信じられない様子で呻いている終焉のイシュメルガに近づいたラピスが終焉のイシュメルガに指摘した。
「ッ………忌々シイ元管理者ガ……!貴様ノヨウナモノニ”エリュシオン”ハ渡サヌ……!」
ラピスに指摘された終焉のイシュメルガはラピスを睨みながら呟いたが
「ううん、誰の手にも渡らない。……もうとっくに決めていたの。”エリュシオン”は――――――削除する。すでにプロセスを実行したわ。」
「愚カナ……!!自分ガ何ヲ言ッテイルノカ分カッテイルノカ!?ヒトヲ、世界ヲ更ナル高ミヘト導ク奇蹟ノ産物ナノダゾ……!?」
ラピスの決意とその決意を既に実行済みである事を知ると信じられない様子でラピスを睨みながら指摘した。
「ううん……エリュシオンは、まだ人類には早過ぎた。そして、やがて到達する必然的な領域でもある。数年後か、数十年後か、数百年後になるかはわからないけど……いつか人類が再び”エリュシオン”を誕生させる時が来る。その時こそ正しい形で使われることを――――――私は祈ってる。」
(そう……その選択が今の世界の人々にとって正しい選択よ……私もいつか人々が”ミトスの民”の技術に追いつき、それらが正しく使われる事を祈っているように……)
(クレハ……)
(クレハ様……)
ラピスの話を聞いたクレハは微笑みを浮かべてラピスを見つめ、クレハの小声を聞いたナユタとノイは静かな笑みを浮かべてクレハを見つめた。
「”祈ル”………!?機械ガ、人形如キガ………!?ソンナモノガ通ジルトデモ――――――」
「通じるよ、きっと。」
終焉のイシュメルガの反論に答えたラピスは自分達を見守っている人物達――――――ルーファス、スウィン、ナーディアへと視線を向けて笑みを浮かべて頷いた。
「……ククク………ハハハハハ………!ナント愚カデ……救イヨウガナイ………ヨカロウ、ソレガ”ヒト”ノ選択ナラバ私モソレニ委ネルト――――――」
それを目にした終焉のイシュメルガが笑った後不敵な笑みを浮かべてある事を言いかけたその時
「させません!」
「ガフッ!?」
何とエイドスが神槍を終焉のイシュメルガ目掛けて投擲し、エイドスが投擲した神槍に貫かれた終焉のイシュメルガは呻き声を上げて再び地面に倒れた。
「ちょっ、アンタ、突然何をするのよ!?」
「え?だってこういうタイプの敵って、大体この後『これで勝ったと思うなよ、こうなれば貴様らも道連れだ!』と言って自爆したり、『貴様らの思い通りになると思うなよ!』と言って私達にとって起動されたら不味い何らかの装置を起動したりする等の”お約束のパターン”になるのがわかっていましたから、それをさせない為ですが。」
「お、”お約束のパターン”って……」
「まあ、確かにエ……っとと。”彼女”の言っている事も一理あるんだけど……」
「完全に場の空気を壊していますよね……」
「そういうことをしているから、仲間達から”KY女神”みたいな貴女が気にしている様々な”悪名”で呼ばれたりするのが、わからないのかしら?」
困惑の表情で指摘した”ユウナ”の指摘に対して悪びれもない様子で答えたエイドスの答えにその場にいる全員が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中アリサはジト目で呟き、アドルとエレナは困った表情で呟き、フィーナは呆れた表情で頭を抱えた。するとその時周囲から何らかの起動音が聞こえて来た。
「チッ、まさか……!」
「”刻限”ですか……!?」
「そ、そんな……!まだ十数分くらいはあるはずじゃ!?
周囲の様子を見て何が起ころうとしていることを察した”レクター”と”クレア”は厳しい表情を浮かべ、二人の言葉を聞いた”ノエル”は信じられない表情で声を上げた。一方ラピスは再び”エリュシオン”に干渉しようとし
「ラーちゃん……!」
「今なら止められるんだろう!?」
その様子を目にしたナーディアとスウィンはラピスに駆け寄って声をかけた。
「もうやってる――――――で、でも……!”逆しまのバベル”が……”天の雷”が制御できない!?」
「ええっ!?」
「ッ………一体何をしたんだ!?」
焦りの表情で声を上げたラピスの話を聞いた”アリサ”は驚きの表情で声を上げ、”リィン”は終焉のイシュメルガを睨んで訊ねた。
「”バベル”ト”天の雷”ノ制御権ヲヨリ高位ノ存在ニ委ネタマデダ。エリュシオンヲ生ミ出シタ存在、愚カナル”ヒト”ノ”集合無意識”ニ。”ヒトノ憎悪ガ最モ集マル地ニ裁キガ下ルヨウニ”。」
「な―――――」
「何だと!?」
仰向けに倒れながら不敵に語る終焉のイシュメルガの話を聞いた”ユーシス”は絶句し、”ロイド”は厳しい表情で声を上げた。
一方その頃ゼムリアの各地の人々の足元に蒼白い光が輝いた後次々とプレロマ草が咲き始めていた。
「あれは”プレロマ草”……!?」
「碧の大樹や黄昏の時とも違う……!?」
「これは――――――霊脈をネットワーク化して世界中の人達の感情を読み取ってる……!?
「!?そんなことまで!?」
端末に映る各地の状況を目にした”エマ”と”エリィ”は驚きの表情で声を上げ、”キーア”は状況を分析してその場にいる全員に説明し、それを聞いた”ロイド”は信じられない表情で声を上げた。
「クク、これぞ”再創世”ノ最終フェイズ……モハヤ”天ノ雷”ハトメラレヌダロウ。”コノゼムリア大陸カラ全テノ憎悪ガ消エヌ限リ、永遠ニ”。セイゼイ見セテモラウゾ。ヒトノ『貴方にはそんな資格はありません!消えなさい――――――イリスの焔!!』グギャアアアアアアァァァァァ………ッ!!??」
不敵に笑って自分がしたことをその場にいる全員に伝えた終焉のイシュメルガは話の最中にエイドスが放った神術の炎に包まれて断末魔を上げた後動かなくなり、それを見たその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「全く。追撃してもまだ生きていたとか、ゴキブリのようにしつこ過ぎです!」
「それには同意だけど、ちょっとはその場の空気を考えて行動しなさいよ。」
神術を放ち終えた後に溜息を吐いたエイドスにエステルがジト目で指摘し
「……機能停止。ですが……」
「大陸から憎悪が消えない限りって……!」
「……不可能だ、それが人間が持つ感情である以上は。」
我に返った”ティオ”は終焉のイシュメルガの状態を分析した後不安そうな表情で呟き、不安そうな表情で呟いた”エステル”の言葉に続くように”ヨシュア”は重々しい様子を纏って呟いた。
「共和国の空軍基地どころじゃありません……!」
「……最後の一人が消えるまで”天の雷”は止まらないだろうね。」
「あるいはそうなる前にエネルギー源である霊脈が完全に枯れるか……」
「……どの道、待ち受けるは破滅か。」
「そ、そんな……!」
「くっ……まさか最後にこんなものを残していくなんて……!」
不安そうな表情で呟いた”リーシャ”の言葉に続くように”ワジ”と”ミュゼ”はそれぞれ推測し、二人の推測を聞いて重々しい様子を纏って呟いた”ラウラ”の言葉を聞いた”ノエル”は悲痛そうな表情を浮かべ、”リィン”は唇を噛み締めた。
「最後は人自身に裁きを委ねるか。フフ、なんとも皮肉な話だ。だが……これも人の業か。」
「兄上……」
「言っている場合ですか……!!」
「………?」
皮肉気な笑みを浮かべて呟いたルーファスの言葉を聞いたユーシスは複雑そうな表情を浮かべ、”ユーシス”は真剣な表情で指摘し、何かの違和感を感じたラピスは眉を顰めてルーファスを見つめた。
「よくわかんないけど、とりあえずこの建物を壊せばいいんじゃないの?エヴリーヌ達”魔神”達やムカつくけどフェミリンスを含めた女神達なら、”本気”を出せばこんな建物、鉄屑に変えられるでしょ?」
「それはそうなのですが……」
「……問題は破壊する時間が残っているかどうかだな。」
エヴリーヌの提案を聞いたプリネは複雑そうな表情を浮かべ、レーヴェは目を細めて懸念を口にした。するとその時その場の室温が上昇し始めた。
「あ、熱い……!」
「発射準備を始めたみたいです!ここにいてはわたしたちも――――――」
熱さを感じたトワは思わず不安そうな表情で呟き、アルティナはその場にいる全員に警告した。
「くそっ、何か……何か止める方法はないのか!?
「駄目だ、ロイド!間に合わねぇ……!」
端末を叩いて悔しそうに考えている”ロイド”に”ランディ”が警告し
「いったん外に離脱します……!皆さん、こちらへ!」
「ロゼ、サポートをお願い!」
「うむ……!!近くの適当な場所に飛ばすぞ!」
”エマ”は”ローゼリア”に念話をしている”セリーヌ”と共に転位魔術の発動の準備を開始し
「ベルフェゴール、俺達やヴァリマール達はレボリューションへの転位を頼む!アイドスはレボリューションを外に転位させてくれ!」
「わかったわ!」
「ええ!」
「フェミリンスはアイドスさんをサポートしてあげて!」
「アムドシアスとエヴリーヌお姉様はベルフェゴール様をサポートしてあげて下さい!」
「わかりましたわ!」
「ん!」
「うむ!」
「ハア……やっぱり私の予想通りの展開になっているじゃないですか……こんなことになるなら、もっと徹底的に”止め”を刺すべきでしたね。」
「今はそんなことを言っている場合じゃないでしょう!?私達も手伝うわよ、エイドス!!」
「私達もサポートするわよ、セリーヌ!」
「わかっているわ!」
「へ……エ、”エイドス”って………」
「まさか貴女が本物の――――――」
一方リィン達も転位魔術の使い手達によって騎神達と共にレボリューションへと転位した後、更にレボリューションはバベルの外へと転位し、去り際にフィーナによるエイドスへの名指しを耳にしたその場にいる全員が血相を変えている中”マキアス”が呆けた声を出し、”ガイウス”が信じられない表情で呟いたその時”エマ”達の転位魔術が発動しようとした。するとその瞬間ルーファスが転位魔術の範囲から離れ
「え――――――」
その事に偶然気づいたラピスが呆けた声を出すと転位魔術が発動し、”ルーファスを除いたその場にいる全員はバベルから脱出した。”
16:42――――――
〜クロスベル・港湾区〜
「……あぁ……」
「”天の雷”が撃たれてしまう……!」
”エマ”達の転位魔術によって港に転位させられた”ティオ”と”エリィ”はバベルを見上げて悲痛そうな表情を浮かべ
「ルーファス……?――――ルーファス、どこなの!?」
「え……」
「そういえば……」
ルーファスがいない事に逸早く気づいたラピスが不安そうな表情で周囲を見回してルーファスの名前を呼び、ラピスの様子を見たスウィンとナーディアは困惑の表情を浮かべながら周囲を見回した。
「ま、まさか転位術が失敗を……!?」
「……いや、そうではない。」
エマが不安そうな表情で声を上げたその時、何者かの声がその場に聞こえた後”ローゼリア”、”クロチルダ”、”ツァイト”が転移術によって現れた。
「発動の瞬間に感じ取った――――――あやつは自ら転位陣を離れたようじゃ。」
「ど、どうしてそんなことを……!」
「……まさか――――――まさか彼が考えているのは……!」
「……ええ、恐らくは。」
”ローゼリア”の説明を聞いた”エリオット”が困惑の表情で声を上げると、ルーファスの目的を悟った”ミュゼ”は信じられない表情を浮かべ、”ミュゼ”の言葉に”クロチルダ”は静かな表情で頷いた。するとその時クロスベルを含めたゼムリアの各地にルーファスの映像が映った。
「あ、あれは……」
「兄上!?」
目の前に現れたルーファスの映像を目にした”リィン”と”ユーシス”が驚いていると、ルーファスは話を始めた。
「―――――ゼムリア大陸に生きる諸君。”『クロスベル統一国』総統、ルーファス・アルバレアだ。”正午に私が出した声明に対して、この地に終結した抵抗勢力が答えを示した。”武力行使”という最も愚かな形でだ。これが私が望む”恒久平和”の対極に位置する悪行……総統として断固たる決断を下さねばならない。――――――よって予定していた”刻限”をもって、大陸全土に対して”天の雷”による”裁き”を始める。
私は此度の一件で痛感した――――――やはり創造の前には破壊が必要なのだと。ひとつの犠牲すらなく大陸統一の道筋など見出せるわけがなかったのだと……!その意味では――――――”これまで私が裏で推し進めてきたことも同じだったのだろ。”――――――2年半前の”碧き大樹”の事件と、それに連動する形で勃発した帝国の内戦。半年前のユーゲント皇帝の暗殺未遂事件と、それを発端とした”ヨルムンガンド戦役”。そして戦後、ノーザンブリアとジュライで起きた独立運動に、混乱の火種を仕込んだ事も。こうしてクロスベルという足場を利用し各地の混乱の引き金を引いた事も同じだ。全てはゼムリア大陸の統一という大義のため、推し進めてきた事に他ならないのだから……!
だが――――――もはや私は迷わない!”天の雷(ケラウノス)”は一切の慈悲もなくこの世全ての悪を裁くであろう。そしてその先にこそゼムリア大陸の真の未来が待っている……!その大儀を前に、もはや”多少”の犠牲などさしたる問題ではあるまい……!」
「………な、なにを言っているの……?」
「……その全ての裏に、彼が………?」
「ふ、ふざけるな……独裁者が!!」
「誰がてめぇの言いなりになんか……!!」
「非道すぎるわ……!」
「いったいどれだけの人が苦しんだと思っているんだ……!?」
ルーファスの主張と宣言を聞いた世界中の民衆は憎悪の表情を浮かべてルーファスの映像を睨んだ。すると民衆の足元に次々と蒼白いプレロマ草が輝き始めた。
「っ……あの塔に、世界中の人々の思念が……」
「はい………渦巻くような怒りや恐怖、悲しみが………それらに起因する”憎悪”が。」
「……”憎悪”の収束地が”天の雷”の標的になるとしたら――――――」
「……そういうこと、だろうな。」
”キーア”と”ティオ”の分析を聞いて次に何が起こるかを悟った”クレア”は不安そうな表情で、”レクター”は重々しい様子を纏ってバベルを見つめた。
「そ、そんな……!」
「……クソが……!」
”キーア”達の話を聞いた”エステル”は信じられない表情を浮かべ、”アッシュ”は悔しそうに悪態をついた。
「ルーファス……!」
「兄上――――また、貴方は一人だけで……!」
”ミリアム”は不安そうな表情で、”ユーシス”は唇をかみ締めてバベルを見つめた。
「―――――間もなく刻限だ。帝国、共和国はもちろん、リベール王国やレミフェリア公国、アルテリア法国……レマン自治州やオレド自治州、その他の小規模国家もいずれ標的となるだろう。大陸から全ての国が消える前に――――――重ねて懸命な判断を祈る次第だ。それでは諸君――――――ご機嫌よう。」
16:59→17:00――――――
そしてルーファスが語り終えたその時、バベルから空へと向かって放たれた凄まじいエネルギーは逆流してバベルへと降り注ぎ
「ルーファス――――――!!!!」
それを目にしたラピスは悲鳴を上げた。
17:00→16:42――――――
ラピスが悲鳴を上げた所でその場にいる全員はラピスが悲鳴を上げた瞬間で映像が切れたかのような感覚を感じた。
「……な、なに今の……!?」
「僕達全員の脳裏に……」
「まさか、これは………」
「”エリュシオン”が見せてくれた”最後の未来予測”……!?だったら――――――まだ間に合う!」
自分達に起こった出来事に”ユウナ”や”クルト”が混乱している中察しがついた”リィン”は驚きの表情を浮かべ、ラピスは信じられない表情で呟いた後決意の表情で立ち上がってその場にいる全員に呼びかけた。
「助けて……みんな、力を貸して!ルーファスを………助けて!!」
「―――――その支援要請、受け取った!」
ラピスの心からの頼みにその場にいる全員が互いの顔を見合わせている中”ロイド”が立ち上がって答えた。
「ロイドさん……」
「今からあの塔に戻ろうっていうのかい?」
ロイドの決意を目にした”ノエル”は驚き、”ワジ”は真剣な表情で訊ねた。
「彼には言いたいことがまだ山ほど残ってるからな。それに容疑者不在じゃこの事件を完全に解決したとは言えない――――――だろう?」
「あ………」
「ふふっ……」
「ええ、その通りだわ。支援課として、私達として。」
「フッ……塔への道行きなら任せるがいい。霊脈が激しく乱れているゆえ運べる人数は限られそうだが。」
”ロイド”の説明を聞いた”リーシャ”は呆けた声を出し、”ティオ”と”エリィ”は微笑み、”ツァイト”は苦笑しながら”ロイド”に協力を申し出た。
「ならば俺は同行させてくれ。これも弟としての責任でもある。ミリアム、待っていてくれるな。」
”ツァイト”の話を聞いた”ユーシス”は立ち上がって同行の申し出をした後”ミリアム”に視線を向け
「うんっ、ユーシス達は今までボク達を待っていてくれたんだから、今度はボク達の番だね……!気を付けてね、ユーシス!」
”ユーシス”に視線を向けられた”ミリアム”は力強く頷いて無邪気な笑顔を浮かべて答えた。
「オレたちも行かせてもらう!」
「うんうん、さすがにここまで働かされたら追加料金はキッチリ請求しないと。全部終わったらそれでパフェでも食べに行こう、ラーちゃん♪」
更にスウィンとナーディアも互いに視線を交わして頷いた後立ち上がって同行の申し出をした。
「……ありがとう、二人とも……!」
スウィンとナーディアの同行を知ったラピスは微笑んだ。
「―――――でしたら、私は並行世界の皆さんの代表として、あの塔への転位のサポートを致しましょう。」
するとその時エイドスが転位魔術でその場に現れて協力を申し出た。
「あ、貴女は並行世界のリィン達と一緒にいた……!」
「……本当によいのか?”七耀脈の愛し子”たるお主の協力があれば、霊脈が激しく乱れているこの状況でも位相のズレも可能な限り抑えられるが……”女神”であり、並行世界の存在でもあるお主がこの世界の”理”に干渉してよいのか――――――我ら”眷属”の主たる空の女神――――――エイドスよ。」
エイドスの登場に”アリサ”が驚いている中”ツァイト”は驚きの表情でエイドスに確認した。
「そ、”空の女神”エイドスだと……!?」
「た、たまたま女神様と同じ名前なのかなと思っていたけど……」
「”神狼”――――――”空の女神の眷属”である彼が空の女神(エイドス)だと認めているのだから、彼女は間違いなく”並行世界の本物の空の女神”なんでしょうね。」
「ふふっ、まさか並行世界とはいえ”本物の空の女神”をこの目にする日が来るとはね。」
「空の女神(エイドス)よ、我が友(とも)達の為にどうか”奇蹟”を……!」
”ツァイト”が呼んだエイドスに対する”名前”に驚いたその場にいる全員が血相を変えている中”アガット”は驚きの表情で声を上げ、”ティータ”は信じられない表情でエイドスを見つめ、”レン”と”ワジ”は苦笑しながらエイドスを見つめ、”ガイウス”はその場でエイドスに祈りを捧げた。
「さすがに”奇蹟”はこの世界の”理”に影響を与えかねないので無理ですが転位のサポート程度なら、”誤差”の範囲だから問題ないと”零の至宝”からもお墨付きをもらっています。」
「ええっ!?ぜ、”零の至宝”ってまさか……!?」
「……そっか。貴女達をこの世界に連れてきたのは、”貴女達の世界とはまた別の世界のキーア”なんだね。」
”ガイウス”の祈りに苦笑しながら指摘した後答えたエイドスの話を聞いた”ノエル”は信じられない表情で声を上げ、”キーア”は目を丸くした後納得した様子でエイドスを見つめた。
「そういう事です。――――――彼自身が紡いできた”絆”は甘くない事を彼に思い知らせてきなさい――――――”人の子”達よ。」
「ああ……ッ!」
「うん……ッ!」
「言われるまでもない!」
「「了解……!」」
エイドスに激励の言葉をかけられた”ロイド”達は力強く頷いて答え
「……すまない、俺達は動けそうにない。ユーシス、ロイド達――――――ルーファスさんを頼んだ!」
「協力者の皆さんへの連絡や街の人達の避難は任せてね!みんなが納得できる結末をどうか掴んできて……!」
「絶対に戻ってこい……!あのわからず屋の元総督と一緒にな!」
「了解だ!」
「往くぞ――――――私の近くに!」
更に”リィン”と”エステル”、”ランディ”からも激励の言葉をかけられて頷いた”ロイド”はエイドスのサポートによる”ツァイト”の転位魔術でラピス達と共にバベルに転位した。
〜レボリューション・ブリッジ〜
―――――ゼムリア大陸に生きる諸君。”『クロスベル統一国』総統、ルーファス・アルバレア”だ――――――
「始まってしまったわね……!」
「間に合うといいのですけど……」
「転位のサポートみたいなケチな事だけじゃなく、今からでもこっちの女神や魔王の連中に無理やりにでも連れ戻しに行かせた方が確実だし、早いんじゃねぇのか!?」
”エリュシオンの最後の予言”――――――ルーファスによるゼムリア大陸の人々に向けた主張と宣言が始まるとサラは厳しい表情で呟き、エマは複雑そうな表情で呟き、アッシュは厳しい表情でフェミリンスやアイドス、エヴリーヌ達”魔神”の面々を見回して提案したが
「―――――駄目だ。この世界のルーファスさんの事は今バベルに再突入したこの世界のロイド達に任せるのが”筋”であって、この世界にとって”部外者”である俺達の出る幕ではない。」
「お兄様……」
リィンは両手の拳を握りながら静かな表情でアッシュの提案を却下し、その場にいる全員に悟られないように耐えている様子のリィンに気づいていたセレーネは辛そうな表情で見守り
「リィンの言う通りだ。それに………この世界の俺達が兄上を連れ戻す事に失敗する訳がないだろうが。」
「ユーシス………」
「全く君ときたら、こんな時でもその自信満々な所は変わらないな。」
リィンの意見に同意した後口元に笑みを浮かべたユーシスの様子をガイウスは静かな笑みを浮かべて見守り、マキアスは苦笑していた。
その後”刻限”が来る少し前にルーファスを連れた”ロイド達”が”ツァイト”の転位魔術によって”逆しまのバベル”からの脱出に成功し、”逆しまのバベル”は17:00ちょうどになると”エリュシオンの最後の予言”通り、”逆しまのバベル”から放たれた凄まじいエネルギーが逆流して消滅した――――――
後3〜4話で灰の騎士の成り上がりは完結し、その後はエピローグを出す予定です。ちなみにエピローグは灰獅子隊や紅き翼の関係者、光と闇の軌跡完結時エピローグを出したのが碧篇だった関係でクロスベル陣営で唯一エピローグが判明していなかったユウナを出してから最後に”リィン”を出す予定です。
説明 | ||
第166話 | ||
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他エウシュリーキャラも登場 他作品技あり 幻燐の姫将軍 空を仰ぎて雲高くキャラ特別出演 閃の軌跡 | ||
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