DESTINY OR FATE-運命の輪 第十一話十二話
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「はあ、はあ.............。」

 

暗い野山や身を切り裂くいばらが生い茂る深い森を超え、追手より死に物狂いで逃げ惑い、ヒエンを伴い満身創痍のヒスイは、やっとの思いでたどり着いた小さな洞窟に身を寄せた。

 

ヒエンは疲労と恐怖から彼の腕の中で意識を失っていた。

 

彼女の安泰を願いハインのところに身を寄せたのに、再び彼女を危険の伴うさすらいの旅路へと駆り出させてしまった、それも自分自身の手で............、。

 

どうしようもない後悔の念はヒスイの頭の中で絶えず煩悶したが、それと同時にかけがえのない小さな希望や勝利を得たのも、まぎれもない事実だった。

 

火をおこし暖をとって薄暗い氷の洞窟の中でいま、意識を失い自分に一身をゆだね預ける、愛する妹が手の中にいる。

 

ヒエンがその瞳を開けて微笑んでいるあいだは決して許されない、彼の心の奥底の光芒が導くままに、やっとその夢をかなえることができたのだった。

 

(この時だけやっと........、ヒエンを本気で抱きしめて、愛することができる............。)

 

第十二話

 

「お兄ちゃん私ね、ハイン様の屋敷にいた時よりもすっと、今や昔のほうがずっと幸せだわ。」

 

逃亡生活が再び始まると、ヒエンは日増しに笑顔が増えていった。以前よりヒスイのそばにいられる時間が増えたことが何よりうれしかったのだ。彼女にとって、愛する兄のそばにずっといられるならば、さすらいの人生など何の問題もなかった。

 

ただその一方でヒスイは、彼女の行く末を思えば自分の命を引き換えにしてでも、ハインに妹を引きわたしたほうがいいのではないかと、久々に訪れた二人だけの平穏な日々の中で絶えず葛藤していた。

 

彼の妹に向ける穏やかな笑顔の裏で、兄が凄まじいまでの苦悩に苛まれていることを、ヒエンはよく分かっていた。その悲しみに満ちた憂いの瞳を自分だけのものにしたくて、彼女は目を閉じてヒスイにキスをしようとする。それは相変わらず、彼の見えない力で止められるけど............。

 

愛するほどに兄は自分を拒み、求めるほどに遠くなっていく。だけどヒスイの苦しみが増し、自分から離れていくほどに、ヒエンはありったけの笑顔を彼に向けた。

 

本当は彼女だってどうにもならない現実に、心の底から泣き叫びたくなることだって山のようにあった。でもその悲しみを背負い、それでもめいっぱいの、ありったけの笑顔でいる、その笑顔でヒスイに接するそのことだけが、彼とともに生きること、愛し続けることができる唯一の希望であると信じていたから。

 

いつか、互いの願いへたどり着くその日まで....................。

説明
DESTINY OR FATE-運命の輪 最終話をブログにてアップしました。

フルムーンと申します。 オリジナルの小説(漫画小説)をブログにて公開してます。 小説と、挿し絵 (漫画)を投稿いたします。今後はラブストーリーや様々なジャンルを創作していきますので、ぜひ、見にきてくださいね(*^^*)
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現在公開中の漫画小説ーDESTINY OR FATE-運命の輪 こちらの関連画像を投稿していきます。 漫画小説ーDESTINY OR FATE-運命の輪 あらすじ↓↓↓ 双子の兄妹ヒエンとヒスイは生まれながらにして、人並外れた特殊な能力を有していたため、故郷の人々から忌み嫌われ命の危険にさらされていた。 ある日妹のヒエンを守るため、故郷の人々から放たれた憎しみの矢がヒスイの胸に突き刺さり生死の境をさまようことになる。 そんなとき死神が現れて、兄を必死に助けたいと願うヒエンに、死神が彼女につきつけた条件とは? 双子の兄であるがゆえにどんなに愛しても、愛するほどに拒まれて、求めるほどに遠くなっていく。それでもヒエンは双子の兄ヒスイを、何が何でも愛することも、抱きしめ続けることも決してあきらめない。 数奇な双子の切ないラブストーリー。運命の輪の終着駅は何処に!?
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ラブストーリー,死神,小説,恋愛,男の子,オリジナル,双子

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