精鋭なる横須賀艦隊 |
横須賀鎮守府は立て直しのために直近の大きな作戦を抱えているわけでも無いため比較的暇な時間が多く泰治郎や秘書艦の大淀と榛名、霧島、鳥海以外は商店街へ行ったり鍛錬をしたり自由な時間を過ごしていた。が、この執務室だけは違った。泰治郎と大淀そして鳥海、榛名、霧島がある艦娘について頭を悩ませていた。
遡ること1時間程前。
執務室に大淀、霧島と入ると鳥海が困った顔をしており、机の上で妖精さん達が再び建造炉を動かそうと必死になっていた。
「やすじろうさん。また、けんぞうをしましょう!」
「はじめてけんぞうしたときからかなりのじかんが、たっています!」
「けんぞうをやらせてください!」
妖精さん達はなかなか、建造をしない泰治郎に対して偶にこのようにデモを起こすが大抵の場合は大淀によって建造がさせて貰えずに終わるが今回はそうはならなかった。
「この前も言いましたが、横須賀に建造をする余裕は」
大淀がいつも通りに反対しようとしたが泰治郎が待ったをかけた。
「大淀の気持ちも分からなくもないが、永田司令長官から建造の報告書が少ないと言われていてな。通常建造で6回分の資材が送られてきているからな。久しぶりに建造をするか」
「分かりました。大本営から資材が送られてきているのなら反対はしません。」
「だそうだ。妖精さん達頼むぞ」
「おまかせなのです」
「うでがなるぜ」
「つぎは、むさしをだすぞ」
「大型建造はしないからな!」
ちゃっかり大型建造をしようとした妖精さん達に対し泰治郎が大型建造はしないと言うとガーンと音が聞こえそうなぐらい落ち込んだ。
「そ、そんな・・・」
「いっかいだけ、やらせてください」
「おねがいします」
執務室を鳥海と霧島に任せ、周りで騒ぐ妖精さん達を連れて工廠へ向かった。
「提督、どうかされたんですか?」
「榛名か。いや、建造をしようと思ってな。榛名はどうしたんだ?」
「艤装の整備をしていました。点検等は明石さんにもして頂いていますけど、偶には自分でしないと落ち着きませんから」
「そうか。レロンにいた頃と変わらないな」
「提督も変わっていませんよ?」
「この前、比叡にも同じことを言われたよ」
「そうですか」
泰治郎が工廠にいた榛名と話していると、大淀が戻ってきて建造炉の準備が出来た事を伝えた。
「提督、準備が出来ました。資材の量をお願いします」
「あぁ、今回は重巡を中心に狙う。四つある全ての炉にこの紙に書いた量を入れてくれ」
燃料 弾薬 鋼鉄 ボーキ
400 100 600 30
戦艦や重巡を狙うのに適した資材数だ。
「ていとく、じゅんびができました。」
「やすじろうさん、ぼたんをおしてください」
妖精さん達に言われ泰治郎がボタンを押すと第1号〜第3号の炉には1:30:00、第4号の炉には1:25:00と表示された。
「妖精さん、炙って良いよ」
「よっしゃー!あぶれー」
テンションが復活した妖精さん達が炙り終わると煙が周りを包みやがて腫れる。
「さぁやすじろうさん、あけてください」
「おう」
そういい第1号の炉を開けると小豆色の服装にツインテールの髪型をした艦娘が現れた。見た目からして最上型だろうか?その艦娘が炉から出てくると挨拶をした
「初めまして提督。最上型2番艦三隈です。」
「初めまして、ここの司令の戸村泰治郎だ。三隈、君の着任を歓迎しよう。それから、もう少し待っていてくれるか?他にも建造した子がいるからな」
「分かりましたわ。」
泰治郎は続けて2号の炉を開けると水色の髪に茶色のブレザーを着た艦娘が出てきた。
「あ、すずやんですわ」
「最上、三隈の姉妹か」
「ちょっと、無視するとか失礼過ぎない!?」
「すまん、三隈の呼び方からして鈴谷かな?」
「そうだよ。最上型3番艦の鈴谷だよ」
「そうか。ここの司令の戸村泰治郎だ。鈴谷、君の着任を歓迎しよう。それから、もう少し待っていてくれるか?他にも建造した子がいるからな」
「良いよ」
泰治郎が次に3号の炉を開けると鈴谷と同じ服装に茶色の髪型をした艦娘が出てきた。これは泰治郎も懐かしくなった。かつてレロンで散々振り回された艦娘の1人と同じだ。
「ごきげんよう。最上型4番艦熊野と申しますわ」
「ここの司令の戸村泰治郎だ。熊野、君の着任を歓迎しよう。それから少し待っていて欲しい。他にも建造した子がいるからな。」
「分かりましてよ」
そういい最後の4号炉を開けると出てきたのは黒髪に青色の服装の艦娘が出てきた。
「提督、初めまして。高雄型重巡洋艦1番艦高雄です。」
「初めまして。ここの司令の戸村泰治郎だ。高雄、君の着任を歓迎しよう。」
「はい、これからお願いしますね。」
「もちろんだ。大淀、4人を案内してあげてくれ」
「分かりました。」
大淀が高雄達を連れて出ていった後に同じレシピでもう一度回すと次は古鷹型2番艦加古、青葉型2番艦衣笠、妙高型3番艦足柄、同型4番艦羽黒が顕現したまたま通りかかった摩耶に足柄達の案内を頼み、もう一度同じレシピで回した時に鳥海が書類を明石に届けにきた。明石に書類を渡した後に少しだけ待ってもらう。3回目の建造では、川内、那珂、矢矧、古鷹が建造された。鳥海達に川内達を任せると次に駆逐艦の建造を行う事にした。
「妖精さん、次は駆逐艦をお願いしたい」
そう言い再び紙を渡すそこには
燃料 弾薬 鋼鉄 ボーキ
250 30 200 30
駆逐艦を狙うのに適した資材数だ。
「やすじろうさん、じゅんびができました」
「よし」
そう言いボタンを押すと1号から3号の炉には0:22:00
4号の炉には0:18:00と表示されていた。
「妖精さん、炙って良いよ」
「ほんとうですか!」
「やっほーあぶれー」
こうして妖精さん達が炙り終わり早速1号炉を開けるとツインテールに緑のスカートに白い服装の艦娘が出てきた。
「初めまして、司令。朝潮型駆逐艦5番艦朝雲です」
「初めまして。ここの司令の戸村泰治郎だ。朝雲、君の着任を歓迎しよう。」
続けて泰治郎が2号炉を開けると灰色のスカートに白のブラウスという服装の艦娘が出てきた。
「初めまして司令さん。朝雲型6番艦の山雲です」
「初めまして、ここの司令の戸村泰治郎だ。山雲、君の着任を歓迎しよう。」
続けて3号炉を開けると薄いブロンド髪にサスペンダー付きのプリーツスカートの服装の艦娘が出てきた。
「初めまして司令官。朝潮型駆逐艦3番艦満潮よ。」
「初めまして、ここの司令の戸村泰治郎だ。満潮、君の着任を歓迎しよう。」
「そう、よろしく」
続けて最後の4号炉を開けるとショートカットに白のブレザー、緑の混ざったスカートという服装の艦娘が出てきた。
「睦月型駆逐艦1番艦睦月です」
「初めまして、ここの司令の戸村泰治郎だ。睦月、君の着任を歓迎しよう。」
続けて同じレシピで建造すると浜風、不知火、白露、綾波が建造された。そこに通りかかった時雨に満潮と浜風達の案内を頼んだ時、大淀が戻ってきた。
「提督、三隈さん達を寮へ案内してきました。」
「ありがとう。なら次で最後だな。妖精さんこの量で頼む」
1号、2号
燃料 弾薬 鋼鉄 ボーキ
300 30 400 300
3号、4号
燃料 弾薬 鋼鉄 ボーキ
400 100 600 30
「それじゃボタンを押してください」
「はいよ」
泰治郎がボタンを押そうとした時、何かを思いついたのか榛名に声をかけた。
「そうだ。榛名、押してみるか?」
「え、ですが・・・」
「前回も時雨に押させたからな、心配は要らん。」
「それではお言葉に甘えて、押させていただきます。」
泰治郎は忘れていた。前回幸運艦と呼ばれた時雨に押させた結果を。そして榛名もまた、幸運艦と呼ばれている事を。その結果、1号、2号の炉には1:10:003号の炉には4:20:00と表示されたが、ここまでは通常建造でも出るので問題は無い。問題は次の4号炉だ。4号炉に表示された時間は8:00:00。そう、大和と同じだ。
「マジ・・・か」
「て、提督・・・」
「あ、あの・・・榛名、何かしてしまいましたか?」
「いや、榛名のせいじゃない」
不安気に見つめてきた榛名にそう答えると泰治郎はポケットから金平糖を出し妖精さん達に見せると建造炉にいた妖精さん達も泰治郎の所に集結した結果4号炉に投入された資材の数字が
燃料 弾薬 鉄鋼 ボーキ
4000/7000/7000/2000
に変わったではないか。前回、大和が顕現した時に投入した資材数を覚えていた妖精さん達が泰治郎達を騙して大型建造をしたのだ。
「な、7000・・・」
「お、大淀しっかりしろ!」
「て、提督すいません!」
「はぁー・・・榛名が気にする事はない。俺がきちんと見てなかった責任だ。」
「で、ですが・・・」
「気にするな。それよりも・・・」
「はい。横須賀に大和さんが2人というのは・・・」
「仕方ない。可哀想だが、大湊か佐伯、三沢、神島、宿毛湾の何処かに託すか」
泰治郎は再び大和が建造されたら同期の誰に託すか考えていた。すると妖精さんが申し訳なさそうにしながら尋ねてきた
「あ、あのやすじろうさん。じかんが、ながいですからあぶりましょうか?」
「あぁ、そうしてくれ。」
「きょかがでたからあぶれー」
「おぉー」
今回ばかりは責任を感じているのか妖精さん達もいつもの元気がなかった。そして炙り終え1号炉から出てきたのは緑の着物とスカートにツインテールの艦娘
「航空母艦の蒼龍です。機動部隊を編成する際は私を加えてください」
「蒼龍、君の着任を歓迎しよう。」
2号炉からはオレンジの着物にスカートの艦娘
「航空母艦の飛龍です。航空戦ならお任せ下さい。」
「飛龍、君の着任を歓迎しよう。これで南雲機動部隊を編成できるな。」
3号炉からは赤いスカートに巫女服のような服装の艦娘が出てきた
「扶桑型戦艦姉妹、妹のほう、山城です。
あの、扶桑姉さま、見ませんでした?」
「山城か。扶桑ならば演習場にいるはずだが少し待っていてくれ」
「分かりました。」
そう言い問題の最後の炉4号炉を開けると中から出てきたのは泰治郎と大淀の予想を裏切ぎる艦娘だった。褐色の肌に綺麗な銀髪の艦娘
「大和型2番艦武蔵推参する。」
「「はっ?」」
そう2人は大和が顕現すると思ったが、顕現したのはまさかの大和型2番艦武蔵。これでは当初の予定通り他の基地や泊地に譲渡する案は潰れた。つまり横須賀への着任を認めるしかないのだ。
「武蔵、君の着任を歓迎しよう。君の姉である大和も数ヶ月前に着任している。大和から砲撃指南を受けつつ出撃の機会まで待機していてくれ。」
「ふむ分かった。」
「榛名」
「は、はい。なんでしょう?」
「すまんが、武蔵達を頼む。俺は大淀と執務室でこれからの事を考えてくる」
「分かりました。」
榛名に武蔵達を託すと泰治郎と大淀は執務室に戻り霧島と先に戻っていた鳥海に事情を説明した。
こうして冒頭へ戻る。
しばらくして遠征と周辺海域の警戒から戻った赤城、天城、阿賀野、能代と明石を加えて話し合いは続け姉の大和と引き離すのもどうかと言う事で武蔵の横須賀への着任が正式に決まった。なお、資材は予想どうりほぼそこを着きかけており最低でも1ヶ月の作戦行動が不可能となり、また一度に建造した艦娘が多すぎて夕食時の紹介だけで泰治郎は疲れ切っていたが、それはまた別のお話。
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建造再び 艦娘の口癖や提督の呼び方が曖昧だったり、分からない艦娘がいるので間違っていてもご容赦ください |
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