英雄伝説〜黎の陽だまりと終焉を超えし英雄達〜 |
20:02――――――
夕食を終えたヴァン達は足りないピースを集める為や、アイーダが村に現れる可能性も考え、夜の徘徊をしていた。
〜クレイユ村〜
「……………………」
「わぁ……凄そうな機械ですね。乗り物、なんでしょうか?」
「ええ、導力バイク――――――自転車に似た導力器(オーブメント)ですよね。」
バスや自分の車の近くに駐車しているサイドカー付きの導力バイクに気が付いたヴァンが真剣な表情を浮かべている中、興味ありげな表情を浮かべているフェリの質問に答えたアニエスはヴァンに確認した。
「………ああ、よく知ってるな。3年前エレボニアで実用化されたんだが、ヴェルヌも研究していたらしくてな。翌年、四大ライセンシーから競うように色んなタイプが発売された。こいつはレッドスターの大型バイク……時速2300セルジュを叩き出すモンスターだ。多分――――――というか間違いなく、”暴君”が乗ってきたんだろう。」
ヴァンの推測を聞いた二人はそれぞれランドロスを思い浮かべた。
「なるほど……いかにもそんな雰囲気ですね。」
「これだけ大型の乗り物、背が高い事もそうですが、力もないと無理そうです。」
「出たばかりの新モデルだからピックアップ以上の値段のハズだ。さすがクロスベル皇帝、ミラには困ってなさそうだなぁ〜。……俺の愛車をあんな目に遭わせといてよぉ〜……」
ランドロスが目の前にある導力バイクを乗っている様子を思い浮かべたアニエスが納得している中、フェリはバイクを扱える人物がある程度条件がある事を推測し、ヴァンはランドロスに対する皮肉を口にした後ランドロスに対する怒りの言葉を口にした。
「え、えと……」
「あんな目というのは一体……?」
ヴァンの様子が気になったフェリは言葉を濁し、アニエスはヴァンに質問したが
「―――――よくぞ聞いた。あれは2年半くらい前の話だ。」
「え、いえあの、そんなに詳しくなくても――――――」
「いいから聞け、裏ルートで”暴君”の依頼を受けたんだ。」
愛車に対する思いが強いヴァンが詳しく語り始めると嫌な予感がしたのか苦笑しながら諫めようとしたが、ヴァンは軽く流して詳しい事情を語り始めた。
”もう一人の皇帝”と違って色々とヤバイ野郎だが、依頼内容については納得できた。何より困ってるヤツがいたから、運転手とサポートを引き受けて……ゲス極まる連中を叩きのめして無事、仕事を終えた筈だったんだ。―――――だが連中はあろうことか、エレボニアからの横流し兵器を繰り出してきた。全高7アージュ、エレボニアの貴族軍が使っていた機械で動く巨大な人型だ。
さすがに生身で敵う相手じゃねえ、撤退するようアイツに言ったら――――――俺の……色々カスタムした愛車を”片手で掴んで投げ飛ばしやがった。”人型は中破――――――後はヤツが拳と得物の大剣だけでブチ壊していった。……俺の愛車?完全スクラップに決まってんだろうが。
「そ、その……ご愁傷様です。」
「えっと、でも無事、直せたってことですよね……?」
ヴァンの説明を聞いたアニエスは冷や汗をかきながら慰めの言葉をかけ、フェリは自分達が乗ってきたヴァンの愛車に視線を向けてヴァンに確認した。
「そいつは二代目だ!完全大破から直せるわけねーだろ!?あの野郎が迷惑料とかいって代わりの同型車を用意しただけだ!中古車だが状態は良かったからそこん所は我慢するとして……手間暇かけてカスタムした愛車を一瞬でスクラップにされた気持ちがわるか!?元通りにするのに2年もかかったし!……ゼッテー許さねえ……絶対にだ。」
フェリの指摘に対して反論した必死の表情で答えて怒り心頭の様子のヴァンに二人が冷や汗をかいて表情を引き攣らせたその時、車のクラクションが聞こえてきた。
「クラクション……?」
「こんな時間に誰か来たのか?」
聞こえてきたクラクションにフェリが首を傾げている中、夜の村に新たな訪問者がある事にヴァンが眉を顰めていると新たな車が村の入口に駐車し始めた。
「えっと、普通の乗用車とは違いますよね……?」
「レノの導力LC(ランドキャリア)――――――悪路にも向ているタフな車種だな。だがあのエンブレムは……」
「……!遊撃士協会(ブレイサーギルド)……!?」
初めて見る車に首を傾げているアニエスの疑問に答えたヴァンは車に刻まれている”支える篭手”のエンブレムに気づくと真剣な表情を浮かべ、フェリは驚きの表情で声を上げた。
「ふう、遅くなったな。あれが例のバスか……見たところ修理は完了したのか?駐在と運転手に話を聞かないと……へえ、インゲルトのピックアップか。なかなか趣味がいいじゃないか。」
車から降りたジャケットの遊撃士はバスに視線を向けた後ヴァンの愛車に気づくと興味ありげな様子で呟き、更にランドロスのバイクにも気づくとバイクに駆け寄ってバイクをよく見た。
「!?なんだこの導力バイクは……レッドスターのモンスターマシン!?エトワスのモデルも凄かったけど……う〜ん、こっちも恰好いいよなぁ。」
「よう、結構好きみたいだな。」
ジャケットの遊撃士がバイクを興味ありげな様子で見つめて呟いているとヴァンが声をかけた。
「わわっ、人がいたのか……驚かせないでくれよ。ひょっとしてバスの乗客かい?俺は遊撃士協会の――――――!お、お前は……!?」
声をかけられたジャケットの遊撃士は驚いた後自己紹介をしようとしたが、アニエスやフェリと共に近づいてきた人物がヴァンである事に気づくと厳しい表情を浮かべた。
「昨日、旧首都で会ったな?不動とエレインと一緒だったか。列車で何処かに行ってたようだが、戻ってくるなりこっちまで出張か?」
「えっと……お疲れ様です。」
「いや、ジンさんたちと違ってこっちの用事はすぐ終わったから……――――――じゃなくて!―――俺はアルヴィス。北カルバードギルドのC級遊撃士だ。胡散臭い汚れ仕事をやっているヴァン・アークライドだったな?一体どうしてこの村にいる……!?」
ヴァンの質問に答えかけた遊撃士――――――アルヴィスだったがすぐに話し相手がヴァンである事に気づくと自身の名前を名乗った後厳しい表情でヴァンに訊ねた。
「……むっ……」
「ちょっとした野望用でな。ま、お前さんとは関係ないさ。ちなみに聞いてるかもしれねえが昼間バスの危機を救ったのは俺達だぞ?」
アルヴィスの態度にフェリがムッとしている中、ヴァンは軽く説明をした。
「な、なんだと……!?――――――いやいや、聞いた話によれば厚かましくも謝礼を要求したそうだな?緊急時の人命救助でミラを取るなんて少なくとも遊撃士じゃあり得ない!ギルドより割高な依頼料も含めて恥ずかしいとは思わないのか!?」
ヴァンの話に驚いたアルヴィスだったがある事実を思い出すと厳しい表情でヴァンに指摘した。
「って言われてもねぇ〜……」
「耳をホジるなあああっ!」
一方ヴァンは全く動じず耳をほじり、その様子を見たアルヴィスは声を上げた。
「―――――あの、ちょっといいですか?私もバスの件については最初、少し気になっていたんですけど……謝礼と言っても常識の範囲内でしたし、ヴァンさんは遊撃士ではありません。同じ対応を要求するのは筋違いでは?」
するとその時アニエスがアルヴィスに反論した。
「え。」
「ギルドの運営費はエプスタイン財団の基金からも賄われているそうですし。後ろ盾がない事を考えると、多少割高な依頼料も仕方ない気がします。……ギルドの理念は尊敬していますけど、ちょっとだけ言い方が乱暴のような……」
(乱暴というよりも、一種の”押し付け”ですね。)
「え、いや、その……」
アニエスは真剣な表情で反論し、アニエスの反論にメイヴィスレインが同意している中、返す言葉がないアルヴィスは言葉を濁していた。
「……なるほど。確かにその通りかもです。」
「ハン……」
更にフェリも同意し、その様子を見守っていたヴァンは苦笑しながら鼻を鳴らした。
「(……くっ、エレインさんだけじゃなく、こんな娘さんまで味方につけて……よく見ればそっちも女の子?なんなんだ、コイツは……!?)――――――言いがかりだったのは認めよう。バスを救ったのもよくやった。だが、良い気になるなよ裏解決屋!?ここから先は遊撃士の仕事だ!おかしな魔獣の件、こちらの解決を指をくわえて眺めているんだな――――――!」
そしてアルヴィスは内心の焦りを隠しながらヴァンへの捨てセリフを口にした後村の中へと入って行った。
「……わたしの知っている遊撃士とはちょっと違うような。戦士団とは対立していたものの、落ち着いた人達でしたが……」
「あ、大陸中東部にもギルドの支部はあるんですね?」
去って行くアルヴィスの背中を見つめながら呟いたフェリの話を聞いたアニエスはある事に気づき、二人に確認した。
「それが連中の理念だからな。ヤツも若造丸出しだがC級ならそこそこ腕は立つはずだ。ハッ……いざって時はアテにしておくか。」
「ヴァンさん……また何か考えています?」
「……あの人、どこに行ったんでしょう?」
「多分、駐在所だろうな。気が向いたら行ってみるか。」
その後村での情報収集を再開したヴァン達は情報収集を終えると一旦宿の前まで戻ってきた。
「……気になる情報が色々と入ってきましたね。」
「はい……」
「ギルドの若造が来たのはいいとして。”暴君”と”キリングベア”が追ってるあの若いのは村で見かけなかったな。それと―――――工房で聞いた話か。」
「はい……ガソリン、ですね。昔の機械に使われてた、今は溶剤か燃焼剤としてのみ使われる液体……クルガの里でも一部の武器用に保管されていた覚えがあります。」
「確か大陸中東の地下から原料が採取されるんでしたよね。でも……一体どうしてそんなものを?」
ヴァンの話に頷いたフェリは自身が知る情報を口にし、アニエスは新たな疑問を口にした。
「手に入れた大量のワイヤーにも関係してそうだが……」
「―――――あ、お客さん!ちょうどよかったよ!」
そしてヴァンが考え込んだその時宿の娘がヴァンに声をかけた。
「?どうした嬢ちゃん。」
「どうしたもこうしたも……―――――つい今しがた、例のお姉さんが立ち寄ってさ!」
「ええっ……!?」
「ア、アイーダさんが……!?」
捜していた人物とついさっき会ったという娘の驚愕の情報にアニエスとフェリはそれぞれ驚きの表情で声を上げた。
「うん、お客さん達の話をする間もなく頼みごとをして、すぐ行っちゃってさ。手紙を3つ預かったんだけど……これは”アイゼンシルト”って所かな?後旧首都のギルドと、”クルガ”――――――これは外国に送るものみたいだね。一緒に手間賃を貰ったんだけど封筒に1万ミラとか入っててさ……!こんな大金受け取れないから慌てて追いかけようとしたんだけど……そういえば調子も悪そうだったな。よかったらお客さん達に頼めないかな?」
「アイーダさん……っ!」
「おい待て……!――――――俺達も行くぞ!」
「は、はい……!とりあえずお任せください!」
(”調子が悪そう”………これはほぼ、”確定”でしょうね。)
3つの手紙と封筒を取り出して説明をした娘の話を聞いたフェリは血相を変えてその場から走り去り、それを見た二人もフェリの後を追い、娘の話を聞いていたメイヴィスレインは目を細めていた。
「クク、なにやら面白そうな匂いがプンプンするじゃねぇか。」
「ったく、アンタみたいなのに目をつけられたことには同情するぜ。……しかしアイーダの奴、幾らしばらく会っていなかったとはいえ、俺に気付かなかった事といい、何かありそうだな……」
一方その様子を客席から見ていたランドロスは不敵な笑みを浮かべ、ランドロスの様子に溜息を吐いたガルシアは真剣な表情で考えていた。その後3人がアイーダがまだいると思われる村の出入口に急行すると、アイーダらしき緑黒髪の女が村の出入口からどこかへと向かっていた。
「アイーダさん……!?」
「フェリ……!?ハハ、驚いたね……夢でも見てんのかい……?フフ……ちょうどさっき、アンタへの手紙を預けた所だよ。ひょっとしてウチの連隊長がクルガにも問い合わせたのかい……?」
フェリに声をかけられた女――――――アイーダは驚きの表情を浮かべた後苦笑しながらフェリに訊ねた。
「はいっ、それでわたし、アイーダさんのことが心配で……!北カルバードの旧首都でこちらの裏解決屋さんを捜して、それでっ……!」
(”やはり、私の想定通りでしたか。”)
アイーダの疑問にフェリが答えている中、アイーダの”正体”に逸早く気づいたメイヴィスレインは厳しい表情を浮かべてアイーダを睨んでいた。
「アンタは……フフ、噂は聞いていたが。」
フェリの話を聞いたアイーダは目を丸くしてヴァンを見つめた後苦笑した。
「ヴァン・アークライドだ。3年前に世話になったようだな。……だいぶ辛そうだが何があった?」
「そ、そうですよ……!どこかケガでも――――――」
アイーダに自身の名を名乗ったヴァンは顔色を悪くしているアイーダの状態について訊ね、ヴァンの言葉に頷いたフェリはアイーダに近づいたが
「近づくんじゃないよ!!」
「……!ア、アイーダさん……?」
アイーダが真剣な表情でフェリに忠告し、忠告されたフェリは驚いて立ち止まってアイーダを見つめた。
「ああ、そんな顔すんな。アンタが悪いわけじゃない……ちょっとばかり遅すぎた……ただ……それだけのことさ。」
「その……何か事情がおありなんですよね?お力になれるかもしれませんし、話していただけませんか……?」
「……?お嬢ちゃんは……」
「ウチのバイト助手だ。それよりアンタ、ひょっとして――――――」
「おい、そこで何をやっている?」
アニエスに訊ねられたアイーダが不思議そうな表情で訊ね返すとヴァンがアニエスの事を説明した後アイーダにある事を訊ねようとしたその時、駐在所の警察官を連れたアルヴィスがヴァン達に声をかけた。
「!またお前達か。って、そこのアンタは……?」
「見かけない顔だねぇ。観光客――――――いやひょっとして。」
声をかけた人物がヴァン達である事に気づいたアルヴィスはアイーダに視線を向け、警察官はアイーダの顔を見つめてアイーダの正体に気づき
「まさか……猟兵か?」
アルヴィスも同様アイーダの正体に気づくとアイーダに確認した。
「はは、遊撃士まで来てるのにのこのこ寄っちまうなんてね……団長に付けてもらった”火喰鳥”の名が泣くってもんだよ。」
「アイーダさん……!わたし、力になりますから!だからどうか――――――!」
苦笑しながら呟いているアイーダにフェリは真剣な表情で声をかけ
「ふふ、アンタにはまだ色々と教えたかったんだが……裏解決屋――――――この子にここまで付き合ってくれたんだろう……?できればこのまま――――――」
アイーダはヴァンにある事を頼もうとしたが、何かの衝動がアイーダに起こった。
「遅かったか……っ!」
衝動を感じたアイーダが顔を歪めると周囲から何かの動物の唸り声が聞こえてきた。
「な、なんだぁっ!?」
「魔獣の群れ……!?いや――――」
「チッ……恐怖で狼型を突き動かしていた連中か―――――!」
「……!」
「そ、それって……」
唸り声を聞いた警官とアルヴィスが驚いている中、正体を察したヴァンは厳しい表情で推測を口にし、それを聞いたフェリが目を見開き、アニエスが不安そうな表情で訊ねたその時軍用の狼型魔獣がヴァン達に向かってきていた。
「フフ……これも縁かねぇ。何とかこの場は凌いでみせな、フェリ、裏解決屋に遊撃士も―――――!」
一方アイーダは不敵な笑みを浮かべてヴァン達に激励の言葉を送った。すると魔獣たちがヴァン達に近づいてきていた。
「っ……!?」
「ひえええええっ!?」
「ぐ、軍用魔獣か――――――!?」
「ああ、しかもコイツら……」
自分達に近づいてきた魔獣の正体を目にしたアニエスは息を呑み、警察官は悲鳴を上げ、アルヴィスは真剣な表情で声を上げ、アルヴィスの言葉に頷いたヴァンは魔獣たちが暴走状態である事に気付いて厳しい表情を浮かべた。するとアイーダは空高くへと跳躍して魔獣たちの背後に着地した。
「!待ってアイーダさん……!」
アイーダの行動を目にしたフェリは慌ててアイーダの後を追おうとしたが魔獣たちがフェリの前を遮った。
「っ……どいてよおっ!!」
「今は後だ――――――”火喰鳥”も言っただろうが!?」
魔獣たちを睨んで声を上げるフェリにヴァンが指摘したその時、村のあちこちから悲鳴が聞こえると同じ魔獣たちが村人たちに近づこうとしていた。
「くっ……!」
「ど、どうすれば……!?」
「お二人はどうか……!こちらは任せてください!
突然の危機的状況にアルヴィスは唇を噛みしめ、警察官が判断に迷っているとヴァン達と共に武装を構えたアニエスが二人に声をかけた。
「っ……わかった!そいつはともかく君達は気をつけろ!」
アニエスの言葉に頷いたアルヴィスは警察官と共に村人を襲おうとしている魔獣たちの対処に向かった。
「―――――今は切り替えます。アイゼンシルトの軍用魔獣が3体!」
「しかもヤバイ状態みたいだ。アニエス、気を付けてフォローしろ!それと”切り札”にも加勢させろ!」
「はい……!援護と回復は任せてください!来て――――――メイヴィスレイン!!」
そしてヴァン達はアニエスが召喚したメイヴィスレインと共に魔獣たちを無力化したが新手の魔獣たちが先を阻んだ。
「ああっ……!?」
「ま、まるで私達を通さないように……」
「―――――高位猟兵団の軍用魔獣。コイツらが狼型を脅してたんだろう。パワーとスピードも異常だが、それ以上に……」
「!させません!」
新手の登場にフェリとアニエスが不安そうな表情を浮かべている中ヴァンは魔獣たちについて分析し、何かに気づいたメイヴィスレインは自身の周囲に魔力による光の槍を具現化させた後倒れている魔獣たちに放った。すると3体の内の2体は起き上がった瞬間に光の槍で止めを刺されたが、残りの1体は起き上がると共に回避行動に移った為止めは刺す事はできず、新手の魔獣たちとともにヴァン達の前を阻んだ。
「チッ、1体仕留めそこねましたか……!」
「そ、そんな……倒したはずなのに……」
「女神(アルージャ)様……」
「……!アニエスとフェリは下がってろ――――――!」
1体止めを刺せなかった事にメイヴィスレインが舌打ちをして不愉快そうな表情を浮かべている中、アニエスは信じられない表情を浮かべ、フェリは真剣な表情で祈り、ヴァンはアニエスとフェリに警告した。
「やれやれ……人が久しぶりのシャバでの酒を楽しんでるっつうのによ。」
するとその時がガルシアの声が聞こえた後ガルシアとランドロスがその場に現れると共に魔獣たちに強烈な一撃を叩きつけて吹き飛ばした!
「……ぁ………」
「ギュランドロス陛下と”ルバーチェ”のガルシアさん……」
「惜しい!オレ様の名前はランドロス・サーキュリー!人呼んで”仮面の紳士”だ!以後間違えるなよ、嬢ちゃん♪」
二人の登場にフェリは呆け、アニエスは驚きの表情で二人を見つめ、ランドロスの指摘にヴァン達はそれぞれ冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「ったく……だが助かったぜ、”仮面の紳士”と”キリングベア”。」
我に返ったヴァンは苦笑しながら二人の加勢に感謝の言葉を口にした。するとその時その場にアルヴィスがかけつけた。
「な、何とか一体は倒した!そっちは――――ふ、増えてるっ!?というかアンタ達は一体―――――」
魔獣が増えている事やランドロスとガルシアを目にしたアルヴィスは驚きの表情で声を上げ
「クク、この場は引き受けてやるよ。代わりに車の件はチャラでいいだろう?」
「チッ……考えといてやる。任せたぜ”仮面の紳士”、”キリングベア”、遊撃士もな!」
ランドロスの申し出を受け入れたヴァンはその場をアルヴィスやランドロス達に任せてアイーダの後を追い
「どこに行くんだ!?――――――じゃなくて”キリングベア”って、まさか”中央”の”ルバーチェ”の!?何で今も拘置所にいるはずの奴がこんな所にいるんだよ……!?」
ヴァン達の行動に驚いたアルヴィスだったがガルシアの事を知ると信じられない表情でランドロスとガルシアを見つめた。
「クク……オレ様はネコ派でな。犬も嫌いじゃねぇが、状況が状況だから悪いが手加減はできねぇぜ?」
「誰もアンタの趣味は聞いてねぇだろうが。しかしこの俺が遊撃士や支援課の連中の真似事をする羽目になるとは、世の中わからねぇものだぜ。」
そしてランドロスとガルシアは魔獣たちとの戦闘を開始した。
21:20――――――
アイーダの後を追ったヴァン達は丘陵地帯に到着した。
〜郊外・丘陵地帯〜
「……”仮面の紳士”達に遊撃士がたまたま来てラッキーだったな。いや、むしろ必然と言うべきか。」
「はい……アイーダさんたちの軍用魔獣が異常な事になって……その影響で元々いた狼型魔獣がおかしな動きをしていたんですね。それで遊撃士の人が来て、………ギュランドロスへ――――――いえ、”仮面の紳士”さん達の方は――――――」
ヴァンの話に頷いたアニエスは複雑そうな表情でランドロスのやり取りやメルキオルのやり取りを思い返した。
若造を見なかったか?ナヨっとした、ミント髪の野郎だ。
いや、僕一人だったけど……この先は民家とかもないしね。
「……あの人を追いかけて訪れ、アイーダさんはこの丘陵から来た……だったらあの言葉はやっぱり嘘で野営地はこの先に……」
「ああ、何者かは知らねえが間違いなくタダ者じゃねえだろう。あの軍用魔獣の異常……”火喰鳥”の様子も考えると。」
「……いくら倒しても倒しきれず、天使様であるメイヴィスレインさんの光の魔法では唯一倒しきることができ、女神の息吹を感じさせない肉体……まるで故郷のおとぎ話の”屍鬼(グール)”のような――――っ……そんなわけないですっ……!」
ヴァンの話に続くようにある推測をしたフェリだったがアイーダを思い浮かべ、必死に否定した。
「フェリちゃん……」
「…………………」
フェリの様子をアニエスが心配そうな表情で見守っている中、ヴァンに視線を向けられたメイヴィスレインはフェリの推測が正解であるかのようにフェリに視線を向けた後頷き、メイヴィスレインの反応を確認したヴァンは重々しい様子を纏って黙り込んだ。するとその時アニエスが常に身に着けている小さなポーチの中にあるゲネシスが光を放ち始めた。
「………こんな時に……」
「アニエスさんのひいお祖父ちゃんの……」
「ハッ、どう絡んでるかわからんがちょっとばかり面倒そうだな。この気配……上位属性も働いているだろう。恐らく野営地はあの高台――――――ブチのめしながら登り詰めるぞ!」
「はい(ウーラ)っ……!」
「行きましょう……!」
「ええ……!」
そしてヴァンの号令にそれぞれ応えたアニエス達は高台に向かい始めた。すると少し時間が立つとその場に数人の”北の猟兵”達を引き連れたローガンが現れ
「……目標は”エースキラー”の奴等が捜していたミント髪の男。対象の写真撮影を必須目的とし、可能ならば制圧、並びに捕縛する。”高台の石柱に拘束されているアイゼンシルトの部隊や高台に向かった火喰鳥”は状況に応じて対処する。」
「了解(ヤー)!!」
ローガンの指示に猟兵達はそれぞれ答えた後ローガンと共にヴァン達の後を追うかのように高台へ向かい始めた――――――
コンキスタの天上篇以降発表がなかったエウシュリー最新作がついに発表されましたね!戦闘や探索は戦女神やグラセスタのような従来のシステムで、更にマイスターシリーズに似たシステムもある上、おまけに舞台がセテトリ地方でミケルティ王国ですから時系列的に神採りの前の時代っぽいですから、神採りが好きだったプレイヤーの一人としては個人的には滅茶苦茶楽しみですwwそれと舞台がセテトリですからもしかしたらセラウィやエリザスレインみたいな種族の寿命の関係上神採りの前の時代にも登場できる神採りの人間以外の種族の神採りキャラも出る可能性もあるのではとも思っていますw
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第12話 | ||
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エウシュリーキャラも登場 ディル=リフィーナとクロスオーバー 他作品技あり 空を仰ぎて雲高くキャラ特別出演 黎の軌跡 | ||
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