ウイークエンダー・ラビット 〜パーフェクト朱墨の山〜 10.私たちのバーストした授業
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キーンコーンカーン

 

 休み時間が終わった。

 次の授業、歴史の準備をしないと。

 このチャイムの音色も、鳴ってからのドタバタも、たぶん全国共通じゃないかな。

 心のモヤモヤは切り替わらないけど、切り替えていかないと。

 {臨時 暗号世界&MCO国際会議}の時、私に一気に集まった、あの熱狂。

 一晩過ぎたらなくなっていた。

 それとも、気を使ってもらってるのかな?

 そういえば、石川県はお役人天国だと聞いたことがある。

 お役人なら、お店のつけも、それ以外のこともある程度自由自在、という意味だよ。

 私の場合は、基本週末だけだけど。

 だから乗ってるのもウイークエンダー(週末の)・ラビット(うさぎ)。

 私はお役人なんだね。

 だけどそのせいで、仲間が言いたいことを言えないとすれば、それは良いことではないよね。

 それでも頭を切り替える環境としては、ありがたいよ。

 そうだ。放課後には久々にサークル活動できるんだ。

 わーい!

 それを目標にしていくぞ!

 

 今日の歴史は第二次朝鮮戦争だった。

 あの戦争は私の幼い記憶にもチラッとある。

 日本のすぐ近く、日本海を渡ってすぐのところで起こったから。

 原因は2010年代に見つかった。

 北朝鮮からロシアや中国へ向けられた核兵器が。

 まさかと誰もが思った、同盟国同士の戦争。

 あっという間に燃え広がった。

 直接戦火をまじえただけでも、日本や周辺諸国まで。

 それに関する情報なら、私たちパイロットには必須科目だよ。

 覚えておかなくてはいけない兵器。

 思いだすのも嫌な悲劇。

 そして、そこにいてほしくなかった人たち。

 数えきれない戦いと被害のはて、終戦はした。

 でも、終戦を認めたくない人は、恨みが焦げ付き、こびりついた人たちは、今でも確かにいるんだよ。

 

 この時間は、いやがる脳をなだめて終わりそう。

 そういえば、前回の授業は明治時代だった。

 維新とか、大日本帝国の誕生とか。

 明治。

 そういえば、メイジーって女の子がいたね。

 SF映画で、恐竜をクローン技術でよみがえらせたら暴れまわる人気シリーズの終わりのほうにでてた。

(メイジーが走る、明治神宮。プププ)

 

 そういえば、こういう大昔を学んでいても時々現代を学ぶ歴史授業のやり方は、バーストの後に始まったんだった。

 突発的な事態に正確な判断を下すためには、歴史教養を養わなければならない、として決められたの。

 

(そういえば、か)

 この思考パターンとも長い付き合いだね。

 怪獣とか戦とか、怖いことを考えたくないから、(そういえば)を繰り返して関係ないことを考え続ける。

(もう、クセになっちゃった。普段の会話で出ないようにするの、めんどくさいな)

 

 そういえば、ついでに私たちの戦略の根っこから思い出しておこう。

 

 バースト。

 20世紀末とも言う、20年くらい前に発生した、世界規模での超常発生現象。

 人間の中から、数万人に一人の確率で異能力者を現した。

 そういう人たちのための学校が、魔術学園。

 そういえば、あちらの教室はどれでも豪華なの。

 ガラス張りを多くした全体が明るい校舎。

 教室も個性的で円形なのもある。 

 特別、と言うか廊下と普段使いの教室以外の、部活用の部屋は絨毯がしかれ、シミ一つない。

 扱いが丁寧なのか、もしかすると、いつもリフォームしてるのかもしれない。

 

 異能力者のほかにも現れたものがある。

 怪獣だよ。

 文字どうり、怪しい獣。

 サイズはポケットに入るものから、普通の動物の姿をしたもの、何十メートルも百メートル00超えるあるものもいる。

 異能力者と同じ力を持ち、ボルケーナ先輩みたいに人間的な意思を示すこともある。

 時には嵐や地震などの自然災害を引き連れてくる。

 そうなると被害は増えるばかりだ。

 そして、その強大な力を狩猟に使う捕食者が、ハンター。

 

 ハンターキラーはハンターを狩る者。

 私の週末の仕事。

 

 ウイークエンダー・ラビット。

 私の乗る巨大ロボット。

 鉄板を溶接したゴツゴツ装甲は、首さえない。

 鉄骨を組み合わせて防弾ガラスをはめ、各種センサーを詰め込んだキューポラになってる。

 塗り抜かれた鮮やかな赤がトレードマーク。

 格闘戦に特化した人型。ただし脚は逆関節。

 バースト直後に計画がスタートした第一世代。

 バーニング・エクスプローラー型2号機。

 高さは53,1メートル。

 重量1,822トン。

 

――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――

 

 お昼ごはんは、食堂で全校生徒と先生が集まって食べる。

 これも全国共通だっけ?

 

 とにかく今日の給食はわーい!

 ビビンバ大好きー!

 

――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――

 

 給食を終え、午後の授業を終え、放課後になった。

 部活にしろ、帰宅にしろ、楽しいことがまっててほしい時間の始まりだ。

 この街の学生は数がすくない。

 だから複数の学校からメンバーが集まってチームを作るの。

 これは前に話したっけ?

 こういうチーム編成は、他の過疎地域でもあると思う。

 でも、私たちのような集まりかたは、世界でも数えるほどしかないだろうね。

 

 生徒たちが学校をでていくとき、必ず通るのが玄関。

 安菜も一緒。

 クツを外ばきに替えて、内ばきを袋にいれる。

 ガラスドアをくぐると、そこは外ではまだない。

 ガラス張りの大屋根の下。

 もとから有った校舎に後からつけたされたそこから、私たちの行き先は分かれていくの。

 灰色の四角いカーテンのようなものが、地面から浮いている。

「魔法部! ここだよ」

 カーテンから染みだすように、白いシャツと青いネクタイをした男の子が現れた。

 魔術学園の男子生徒だよ。

 手にもった魔法部の看板で、この学校の部員たちを呼んでいる。

 呼ばれた生徒たちは、カーテンに染み込むように消えていく。

 あのカーテンはテレポートするために開かれた、ポルタだよ。

 ここから遠くはなれた場所へ空間を飛ばして一瞬で繋げる異能力のための力場なの。

 ここ、玄関外の大屋根は主に文化系部活がテレポートに使っている。

 サッカー部や野球部など運動部なら、体育館や外の運動場に開く。

 ポルタはならびながらふえ続けて、人のでいりが激しくなる。

「文芸部、通りまーす」

 料理部を通したポルタから、こっちに染みだしてきた。

 カバンをもった下校スタイルに、内ばきを忘れず手に、玄関へ向かう一団が。

 ポルタの列と反対側では、帰宅部が通る。

 そして、私たちの番が来た。

「音楽部、シャイニー・シャウツ。こっちだ!」

 小宮山 孝太さんだ。

 身長が190センチもある瞬間移動能力者。

 丸く空間に開けられたポルタから呼びかけてくれる。

「やあ佐竹さん。久しぶり」

 本とですね。もう、3週間ぶりですね。

「今日は俺、みんなを送ったら本活に戻らなきゃいけない。リーダーもいないから」

 残念ですよね。

 さっきのポルタ社が緊急出働したから、連れていかれたんだ。

 本活とは、本業の部活のこと。

 小宮山さんの本活は、高等部の音楽部。しかも副部長。

 こうやってわざわざ迎えに来てくれるだけでも、ありがたい。 

 ちなみに私と安菜は料理部。

 週二回だから、今日はお休み。

「トロワグロ、佐竹のサポート頼むぞ」

「はい」

 安菜のとなりに、女の子がもう一人来ていた。

「そっちは頼んだよ」

 クラスメートの塚原 栄恵ちゃんだ。

 残念そうに。

 この子は、この学校唯一のギタリスト。

 そして、本活は音楽部。

 小宮山さんのことを尊敬してる。

 そして彼女の後ろには、この学校の音楽部が続いてる。

「今日は未来文化研究部だから、白部長に頼れ」

 白さんは、ペクさんと呼ぶの。

 白 明花、ペク ミンファさん。

「「はい」」

 メンバーがそろったのを見て、小宮山さんはポルタの縁を手で改めてなぞった。

 ポルタに力が補充され、安定する。

 この丸いポルタをくぐれば、さあ、平和な楽しい時間の始まりだ!

 でも、リーダーたちはいてほしかったな。

説明
学校を最後に卒業して、はや21年くらい?
あの頃は小説ご全く書けませんでした
キャラの動きが、全く思い付かなくて
進歩したかな?
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