2年寮長が児童書の次回作が長続きしない理由を語るそうです。
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リドル「翼の世界(角川つばさ文庫)や未来の世界(集英社みらい文庫)の移行作戦は、結局、ボク達が見た限りではほぼ失敗続きだったね」

アズール「確かに次回作のほとんどが、前作よりも早く終わってしまっています。

     これは作者も編集も、移行に関してはかなり下手だと認めたようなものです」

カリム「『オンライン!』から『ウラオモテ世界!』は3巻で終わり。まあ当然だよな、『オンライン!』と似たような展開だし」

リドル「『生き残りゲーム ラストサバイバル』から『絶滅世界 ブラックイートモンスターズ』は4巻で終わったみたいだね」

カリム「『1%』から『スキ・キライ相関図』は5巻で終わっちゃったか。絵も同じだったのに、いや、絵が同じだったからかな?」

アズール「そうですね。内容が前作と似ていたからでしょう」

リドル「『いみちぇん!』から『星にねがいを!』、『恐怖コレクター』から『怪狩り』、

    『こわいもの係』から『キミト宙へ』はいずれも前作より短い7巻で終わったようだね」

カリム「『オンライン!』は引き延ばしに引き延ばしてやっと27巻で終わって、『生き残りゲーム ラストサバイバル』は20巻まであるし……」

アズール「『1%』は16巻、『いみちぇん!』は19巻、『こわいもの係』は14巻で終わりましたが、

     『恐怖コレクター』は23巻まで続いて未だ完結していません」

カリム「監督生によれば、『仮面ライダー電王』の次回作の『仮面ライダーキバ』の人気が出なかったみたいだぜ」

リドル「失敗ランキングワースト6だと、こんな感じになるよ。まあ、あくまで巻数で巻数を割っただけなんだけどね」

 

ワースト1位:『ウラオモテ世界!』(『オンライン!』の約11%)

ワースト2位:『絶滅世界 ブラックイートモンスターズ』(『生き残りゲーム ラストサバイバル』の20%)

ワースト3位:『怪狩り』(『恐怖コレクター』の約30%)

ワースト4位:『スキ・キライ相関図』(『1%』の約31%)

ワースト5位:『星にねがいを!』(『いみちぇん!』の約37%)

ワースト6位:『キミト宙へ』(『こわいもの係』の半分)

 

カリム「やっぱり、次回作って長続きしないのか? 前作も次回作も10巻以上続いた成功作があったらいいのにな」

アズール「そんな事はありませんよ? 例えば『名探偵夢水清志郎事件ノート』から『怪盗クイーン』」

カリム「違う! それはスピンオフって奴だろ! それ以外で聞きたいんだよ!」

アズール「なら……僕が確認した限りでは『こちらパーティー編集部っ!』から『スイッチ!』のみですね」

カリム「マジかー……。でも、どうしてなんだ?」

アズール「恐らく、構造は同じですがコンセプトが異なるからだと思います。

     『こちらパーティー編集部っ!』は、パーティーという雑誌を復活させたい明るく活発な女子が主人公です。

     一方で『スイッチ!』は児童書では珍しく男子が苦手な女子主人公が、男子アイドルのマネージャーになるというお話です。

     そういう変わった設定が、成功の理由ではないかと僕は推測します」

カリム「なるほど、コンセプトが違うから成功したのか。

    でも、『キミト宙へ』は前作とジャンルが全然違うのに、前作の半分の巻数で終わっちゃったんだよな。どうしてだ?」

リドル「ボクなりに解説しよう。まず、主人公のポップが地味すぎて、剣術大会準優勝という実力はあるのに活躍した描写が全然ない。

    それと、どうせ冒険ものを出すなら、ネージュのようなライバルや、エース達のような親友も出してほしかったね。

    それに、前作にも登場したこわいもの係を出したのが、『キミト宙ヘ』にとどめを刺した要因だったとボクは思うよ」

カリム「要するに、監督生が言ってる『少年漫画』みたいな感じにすりゃよかったんだよな」

リドル「そうだね。ボクから見たら、『キミト宙ヘ』は男子向けなのか女子向けなのか、はっきりしなかったよ。500点満点中100点」

アズール「それで、その作者の三作目を見ましたが、全て前作、前々作と似たような題材でしたね。

     『しゅご☆れい探偵』は地味な主人公が不思議な子と共に事件を解決しますし、

     『レジェンド☆ファイブ』は地味な女子がゲーム世界で『えー!』と言うほど事件に巻き込まれますし、

     『サバイバー!!』は男子と女子のコンビが困難に立ち向かいますし、

     『海斗くんと、この家で。』は、大人しい女子がヒーローと恋仲になる話ですし、

     『呪ワレタ少年』は男子の主人公が都市伝説が蔓延る町を旅する話ですし」

カリム「案の定だよな」

アズール「『海斗くんと、この家で。』は、絶対に叶わない恋というキャッチコピーが『1%』と被っていますし、

     『呪ワレタ少年』は骨組みと主人公の性別や性格が『恐怖コレクター』と被っていますので僕はもうその作者の三作目には期待していません」

カリム「勝手に期待するお前が……」

アズール「何か言いましたか?」

カリム「ナンデモアリマセン」

リドル「……まあ、それはそれとして、こんなに似たような作品が続いたら、作者にはこう言いたくなるよ。『キミが書きたいネタはそれだけ?』って」

カリム「酷いなぁ」

リドル「同じような作品が何度も続いていると、はっきり言って、食傷なんだよ。そんなのしか書けないなら作者し」

カリム「リドル、もうやめろ! 作者をディスりまくってやる気を削いだらこれ以上書けなくなるかもしれないんだぞ!」

リドル「……仕方ないね」

カリム「それじゃあ、辛気臭い話は無しにして、オレの番! 次回作が10巻以上続いたのは、アズールが言った作品だけじゃないぜ。

    『ソライロ♪プロジェクト』から『時間割男子』がそうだ! これもオレが確認した限りだとこれしかないんだけどな」

リドル「これはどういう事だ? アズール、説明してくれ」

アズール「勉強が嫌いだった女子が、勉強ができないと消える男子のために頑張る、というのが人気の要因だからでしょう」

リドル「『ソライロ♪プロジェクト』から『時間割男子』は、作者や編集がどうして長続きしなかったのかを反省したようだね」

カリム「うーん、編集とか、オレにはよく分かんないんだけど、反省はしたいって思う」

アズール「そう、作者も編集も、反省が全くと言っていいほどできていないのです。だから、作品が新鮮さに欠け、売り上げが伸びないのです」

リドル「新鮮さに欠ける……確かに、言われてみればそうだね。そんな作品しか書けないのかな? って思っちゃうよ」

カリム「いつも同じ風が吹いてたら、オレも飽きちゃうしな……って、リドル、もう作者はディスるなって言っただろ!」

リドル「ボクは思った事をはっきり言っただけなんだけどな。素直な感想こそ、作者の原動力じゃないかと。たとえどんな内容であってもね」

カリム「うぐぐ……まあ、つまらないものを面白いと言う嘘、オレはつきたくないけどな」

アズール「では、もしもあなた達が作者の立場なら、それぞれの次回作はどうしましたか?」

カリム「オレだったら『ウラオモテ世界!』の次回作は男子を主人公にしてゲーム世界じゃないものにする!

    あと、『星にねがいを!』の次回作はコンビじゃなくて、四人一組の主人公にする! どうだ、アズール?」

リドル「ボクなら『キミト宙ヘ』の次回作は、主人公をもっと熱く、かっこよく描くね。

    たとえ編集者が『主人公は地味にしてください』と言っても、それに従わず、ボクが決めたルールに従うのが正しいんでね。

    それから、『絶滅世界 ブラックイートモンスターズ』の次回作は、子供がどうして戦うのかを理由付けしてないから、成人を主人公にする。

    児童書は読者と同じような境遇や感情移入する主人公ばかりでうんざりしていたからね。これでどうだい?」

アズール「二人とも、素晴らしいと言っておきましょう。

     本来の作者の意図からは大きく外れてしまっていますが、その方が新鮮で、斬新で、売り上げが良くなった事でしょう」

カリム「サンキュー、アズール!(何気に作者をディスってる気がしたけど……)」

リドル「作者には期待してないとアズールが言ってたから、全然違うものにしただけなんだけどね(それを作者本人に伝えたら負けだよね)」

アズール「では、僕からはこんな提案をしましょう。長くなりますが、ちゃんと聞いてください」

カリム&リドル(ごくり……)

アズール「僕が考えた『スキ・キライ相関図』と『怪狩り』の次回作は、こうなります」

 

『スキ・キライ相関図』の次回作:ホームランハート!

リトルリーグに所属する唯一の少女が主人公。

恋はした事がなかったが、少年が少女のためにお弁当を作った事で、少しずつ彼に惹かれる。

主人公は男勝りで、自分の意見をはっきり言えるが、失敗を根に持つタイプ。

少年は心優しく家庭的な性格で、失敗しても何とかなるさと言えるタイプ。

 

『怪狩り』の次回作:魔法の守り手

生まれつき強い魔法力を持った少女が主人公。

世界各地に現れるモンスターを、選ばれた仲間と共に退治していく。

『恐怖コレクター』や『怪狩り』より戦闘シーンが多めで、熱く激しい。

もちろん、児童書の女主人公特有の恋愛要素もそれなりにある。

 

アズール「以上が、僕なりに考えた『スキ・キライ相関図』と『怪狩り』の次回作です」

カリム「おー! ナイトレイブンカレッジは男子校なのに、よく言えたな! 流石アズール!」

アズール「作者の作風を確認した上で、こんな感じの方がいいと思いましたから。

     しかし実際にそうならなかったため、児童書の作家も編集者も、僕から見れば能力はたかが知れたものですね。

     新しい風を吹かせないと売り上げは落ちますよ、と言っておきます」

リドル「しかもプロの児童書作家や社会に出ている編集者がこのザマだから、アマチュア作家で挑戦するのが正しいと思うけどな」

カリム「それじゃあ、オレ達2年寮長が、児童書の次回作が長続きしない理由を結論するぜ!」

リドル「ボク達はただの一読者。児童書だから内容は子供に寄り添うものばかりなのも分かってる。

    所謂『大きいお友達』と呼ばれる読者が『期待外れだ!』と失望するのも身勝手なのも分かってる」

アズール「ですが、作者はそういうものを専門に書いていき、それ以外のものを調べない。良く言えばやり込んでいて、悪く言えばネタ切れ。

     また、編集者もそういう風になるように、別のジャンルを書かないように児童書の作家を導いている。

     児童書の作家や編集者は、僕達から見てぞっとしない人が大半を占めていると認識しておきましょう」

カリム「だけど、予想通りの結果なんて面白くないだろ?

    児童書の作家や編集者はいつも同じようなジャンルじゃなくて、新しいジャンルに挑戦するべきだぜ!

    絨毯に乗って空を飛ぶのも、色んな風が吹いてた方が楽しいしな!」

説明
※薔薇族向けではありません。
※あくまで私の意見を代弁しただけですので、不快になっても責任は負いません。

どうして児童書の次回作が長続きしないのかを、彼らに語ってもらいました。
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