追憶 そして 目覚め |
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闘いの日々は続いた。
死を間近に感じながら合間の快楽にふける日々。
少女は どうでもよくなっていた。
安寧の日々へのあこがれも
王宮での凄惨な過去も
姉への罪悪すらも
日々に少しのはけ口あれば
世は事も無し。
チャプターの内乱。
総長テロパスと
キャプテンライノロフスの堕落。
そして
巨大な不浄物の襲来。
目まぐるしい騒乱の荒波
ただ中にその身があっても
少女は無関心だった。
変化の神があざけった通り
少女は
心底
どうでもよくなっていた。
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テロパスの内なる恐怖。
黒き怒りと紅き飢えに対する彼の恐怖が
暗黒のインマテリアル世界から恐るべき客人を招いてしまった。
疫病と腐敗
生と死の輪廻をつかさどる神
ナーグル
ワープの渦巻きと共に
父なる皇帝の館に来訪せしは
その従者である。
大いなる不浄物は語りかける。
「我が主ナーグルの贈り物を受け入れよ。
さすれば その身を蝕むあらゆる苦痛から解放しよう。」
元々
テロパスと
その友ライノロフスは
妖しげな魔術 おぞましい人体改造
現状の人生からの脱却 など
背徳的思考それらに倒錯 固執していた。
即答であった。
秘密裏に交わされた邪悪な契約は
エルフの少女が訪れる前から進行していた。
大いなる不浄物は
自らが傑作と自負する作品で
チャプター内をゆっくりと染め上げていった。
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そして ついに結果があらわになったその日
不浄物は新たな興味の対象に
甘い言葉を投げかける。
ただ一人だけ
手塩にかけたバイ菌が通用しなかった娘。
「娘よ 我が子とならぬか?
我が子となれば
そなたの苦痛も今日この時をもって終焉を迎える。
過去を省みることもない。
窮屈な背徳感もない。
ただ大いに
己の内なる 肉の欲情を解放するがいい。」
血を滴らせる赤黒い膿玉が
少女に差し出される。
「我が子よ 哀れな我が子よ
血の病を受け入れよ。
そなたの後悔
そして悲しみを
消し去ろう。」
少女は 膿玉を飲み干した。
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自由があった。
ただ自由があった。
黄ばんだ世界と たくさんの友達。
快適なヘドロの泉は
少女の足が疼くたびにそれを慰めた。
怒号や非難は聞こえない。
友達は
少女の下劣な行為を目にしても
ただ微笑みを送った。
笑いの絶えない日々を
少女はひたすらに謳歌した。
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そんな折 少女は
じぃじと呼び親しむ あの不浄物から
あるお使いを頼まれた。
新しいおクスリを創るために 材料をとってきてほしい。
肉の頭巾やマントを羽織った 鉄の鬼たちを
何匹か捕まえてきてほしいのだ。
大好きなじぃじのために 喜び勇んで出かける少女。
しかし 巨大な翼のオオハシが
少女の旅に目を光らせた。
彼は
じぃじのお仕事を邪魔するためにやってきた
わるいオオハシだったのだ。
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旅の帰路
オオハシは逃げる少女を捕まえると
魔女の館に放り込んだ。
魔女の館は
息が詰まるほど窮屈な鍾乳洞の迷宮にも
虚無なる虚空の無重力空間にも
絶えず姿を変え続ける。
振りむくとコンクリートの壁がうねり
向き直ると深海の底で怪物が口をあけ
目をつむり次に開けたときには
足元に晴れ渡る青き空が広がっている。
そして館の中はいろいろな世界につながっていた。
放射能に焼かれた瓦礫のアメリカ
呪いのビデオテープが横行する日本
機械に支配され 電脳の中に生きる人々
さまざまな世界を垣間見
目を回す少女に
血濡れの怪物が話しかけた。
「我を探し求めるは貴様か?」
あなたはだれ?
「我はかつての星の神。
我らの力あっての勝利もたらしたもう かの者どもの!!
かの者どもにっ!!我は砕かれ消え失せた!!
されど
来たる未来に我存在せずとも!
過ぎたる過去に我の断片ありけり!
かの者どもであろうとも!
過去に漂いし我が欠片打ち砕くこと叶わぬ!!
我が名は ルルアンドゥゴール!!
娘よ! そなたの主が探したもう存在は
他ならぬ我その人!!
肉かぶりの機械人形どもが
許しを請いひざまずくべきは
我 ザ フレイヤーなり!!
さぁ娘よ! お前の光をよこせっ!!
我が声に描き換えるのだっ!!
娘よ! 我らの声拾いし 姉妹の片割れよ!!
我が依り代となれっ!!
貴様の御霊で
我 現世に顕現せんっ!!!」
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私・・・わたしが 消え・・・
私 は・・・
私は
誰 だったんだろう・・・
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優しそうな 笑顔・・・
大好きだった・・・
覚えてる あなただけは・・・
おぼえて おきたかった
私が 裏切ったんだ・・・
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・・・・。
ドコ・・・
ボクは
コレ なに?
コレ・・・おいしい・・・
これ・・・血・・・
ぼくハ ・・・?
ぼくは ダレなのだ?
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「ん? あれ?
寝てたのだ?
ん? どしたのワーでん?
んえ?お肉?
今 別におなかすいてないけど?
ん? 顔ふけ?
・・・・
? ボク
泣いてたのだ?
・・・そだね そろそろ迎えに行かなきゃね。
おねえちゃん・・・。」
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