「小猿七之助」 |
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談春師匠曰く「面白くない噺」。えーと、この日を大分楽しみにしていたのですが(笑) 話の大筋を読むと確かに陰鬱な展開が続いていき、金や恨みにまみれた七蔵一家の顛末を見届けるといった物語なのだが、「一人船頭一人芸者」の抜き読みである落語「小猿七之助」の部分だけ聴くと、その因果が七之助と芸者のお滝の悲恋物語にエッセンスを加えた程度に収まり、夏に聴きたくなる噺に仕立て上げられている。鳴り物も使って情感を際立たせているので、良い意味で雰囲気を楽しむ噺と受け取っている。 元は講談という事もあり、天気雨で星も見える中で屋根舟がまっ暗な大川(隅田川)を滑るように渡る時に、遠くから誰かの船唄が聴こえてくるという件や、幸吉を突き落とした後の七之助とお滝が二人舟の上、明かりは築地の方向、波除稲荷の灯明だけいう件と、演者自身がつぶさに情景描写に時間をかける部分が多い。 こういう場面を聴いて自分なりにイメージを膨らますと、ただただ「いいなあ」などと思ったりする。 六代目伯龍と談志さんのCD、神田"松之丞"の国立演芸場に今回の談春独演会。 自分なりのペースではあるが、様々な「小猿七之助」を今まで聴き続けている。 そういえば談春師匠がまくらで「お金がないから5000円(チケット代)取ってるんだよ」と言っていたが、あれだけの人気落語家でも窮状に瀕しているのか・・・、芸能の世界は厳しいなあ、なんて。 |
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