タイムトラベルママ/フォーリンスター・チルドレン 04 |
ドスンという、音がした気がした。
それは多分、気のせいだった。
だけど気付いたら夜だった。
のぶくんは思っていた。そうか、そうなんだと、思っていた。
小さな山の、一番てっぺん。そこには小さな崖があり、崖のてっぺんには子供一人が座れるくらいのスペースがある。
のぶくんは、小さな手で崖の急斜面をつかみ、ヒザをすりむいて滑り落ちながら、崖を上る。
土壁のようになっている崖の斜面。突き立てた指は、小さな力のこもった手のひらは、傷だらけだ。
それでも彼は上る。
のぶくんは諦めずに上る。
そこは一番高いところだ。
この山の中で、一番高いところだ。
だから、星がよく見えるんだ。
崖の周りには、木が少なかった。
崖上に飛び移れそうな、高くて崖の傍の木はなかった。
茂みに囲まれた崖の上。
のぶくんは、星を見るために崖に上る。
ママ、お星様がきれいだよ。
時間震に飲み込まれ、遡った過去。
数十年の時間を遡り、濁った現代の夜空しか知らない少年にとって、過去の星空はプラネタリウムのようにきれいに見えた。
説明 | ||
タイムトラベルSF小説 ノーテンキなママの第二話 今回も12分割だと思います(5/12) |
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