タイムトラベルママ/フォーリンスター・チルドレン 05 |
時間管理局内のがららんとした一室にアオイは来ていた。トラベルする際に余計なものを巻き込まないように作られた、トラベルルームと呼ばれる部屋だ。
これからアオイは四十二年前の時間を跳躍し、過去へと向かう。
「要救助者は三名。共に身体的未熟者であるため、救助には迅速さが求められる」
アオイの隣でバインダーに挟んだ資料に目を落としながら浦沢は言った。
「……身体的に未熟、ですか…?」
「ああ、子供が三人だ」
「やっぱりお断りします」
アオイは子供が嫌いだったりする。
「君しか出られるものが居らんのだ。たらい回しに割く時間はないし、頼む、やってくれ」
時間管理局は管轄かぎっちぎちに区切られていて、別の局に人員を借り受けるには多大な時間がかかる。
「嫌ですって!子供なんて大嫌いなんですって!」
「君は立派に娘さんを育てただろう」
「サエちゃんは頭がいいから別なんですよ!でも他の子はみんなあったま悪いじゃないですか!」
とんでもないことを言い出す人だ。
「……親の欲目、というやつだと思うが…。しかし、それならば仕方ないか。退職手続きを取ることに……」
「あ、凄いやりたくなってきました。やります。子供ってかわいいですよね!」
浦沢の切り札発動に、アオイは唐突にラジオ体操のような動きをとり、やる気アピールをし始めた。おいっちに、さんし。
「アオイさん、これ、非異時間性アームバンドと、位置情報端末です」
時間管理局の技術スタッフの制服を着た結城が二つのアイテムを差し出した。非異時間性アームバンドは異時間に触れることによる分解症を防ぐ為のもので、位置情報端末は携帯電話の電波を探知するレーダーだ。
「ありがとう菊池君」
「……結城です」
名前を覚えられていなかったからか、結城はしょんぼりとした表情になる。
「でも、なんか嫌ですよね。あー、子供なんてかわいくないし……」
この期に及んで潔くないことを言い出すアオイ。
「美人でかっこいいお姉さんが助けてくれると、三人とも期待しているのだがなぁ」
ため息混じりに浦沢が言うと、
「お姉さん一肌脱いじゃおっかなー!」
この人はあっさりだまされるのである。
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タイムトラベルSF小説 ノーテンキなママの第二話 今回も12分割だと思います(6/12) |
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