isolation game【隔離された試合】 〜1〜
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 世界に干渉されない場所。≪isolation space≫…隔離された空間。

 肩から足元にまで及ぶ鞘から長い刀を抜く。

 そして右手に構えると残った左手で腰元の短剣を取り出した。

 二刀流、と呼ぶにはあまりにも不格好な二刀流。

 けれど自分には一番使いやすい形。

 

 俺は息を吐く。深く深く。

 そしてそれが合図だったかのようにまわりに人が音をたてて現れる。4人。

 「今回のメンバーは弱そうだな」

 この空間から抜け出す方法は一つ。

 全ての閉じ込められた奴を倒せばいい。

 最後の一人に残る事。

 あいつに会うまで絶対に死ねない。

 

 勝利条件:相手の行動を封じる事

 

 いちばん簡単なのは相手を殺すことに他ならない。

 けれどあいつは言っていた。

 「レイには誰も殺して欲しくない」

 ずっと昔の言葉でもあいつの言葉。

 絶対に守り通してみせる。だから……絶対に殺さない

 

 「倒されたい奴からかかってこい」

 

 俺は威嚇するように眺めて行く。

 「ぷっ」

 その中の一人が、笑う。

 「そんな長刀と短刀でどうする気だよ!」

 俺の中で決定する。初めはあいつだ。

 「こうするんだよ!」

 交差して構えてそいつに向かっていく。

 

 相手はひゅるんと槍を構える。

 刀を上段に構える。

 そして飛び込む。

 そいつは焦ったように槍を俺の刀に合わせる。

 「かかったな」

 あとは簡単だ。強く強く短剣を

 「!?」

 槍の中腹に叩き込む!

 

 武器折り。

 槍は無残に二つに折れる。

 「くそぉおおおお!!!!」

 槍は別に両の手に握れば武器に使えない事もない。

 だが武器折りは同時に相手の心をも壊す事を俺は知っていた。

 刀の切っ先を相手の首に合わせる。

 少しだけ刺す。

 つぅっと相手の首元から血が流れる。

 「こ、殺さないでくれよ!俺には家族が、家族が待っているんだ!」

 「行動不能を認めろ。そしたら俺も認める」

 「くっ……行動不能!」

 システムアナウンスが俺の脳内に直接響く。

 認めますか?

 だから俺も脳内で返す。

 あぁ、認める

 

 光がそいつを覆って一瞬後には消えた。

 これでこいつはステージ1からやり直し。

 さて。

 「次はどいつだ?」

 振り返りながらいうと残りの3人のうちの1人が叫んだ。

 「俺も行動不能だ!」

 またしても脳内にシステムアナウンス。

 それに応じると同じように光を伴って消えて行く。

 そしてもう一人が。

 残りは一人。

 「作戦が分かったら防ぐ事が出来る」

 「それはどうかな」

 先の一人と同じような方法が通じるなんて最初から思っていない。

 けれど勝つ自信はあった。

 あいつのために負けられない。

 負けない。

 

 今はもう124回戦。

 最初に戻ることなんて望んでない。

 戦いの連続に精神が疲弊しても休憩しない。

 誰かが≪rest mode≫、すなわち休憩状態になっているその瞬間にも俺は駆け上がる。

 

 向かってくる最後の一人に向かって俺は地を蹴った。

説明
≪isolation space≫・・・隔離された空間 に閉じ込められた主人公レイ。あいつとの約束があるから絶対にこの空間から出ようと決意する。 空間から出る条件:閉じ込められたすべての人間と戦い最後の一人になる事。 勝利条件:相手を行動不能にする事。 心にいる彼女との約束を果たしながらも彼は全てをなぎ倒していく。そんな物語の始まり

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