追姫†無双 6
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scene-???

 

 

「起きなさい季衣」

「むにゃ……おかわり〜大盛りで……」

 季衣はいまだ夢の中だった。

 ならばと耳元で囁く華琳。

「起きないのならまた目覚めの口付けね♪」

「にゃっ!」

 華琳が口付けするよりも早く飛び起きた。

 

「か、華琳さま! お、おはようございますっ!」

「おはよう季衣。……どうしたの? 顔が真っ赤よ」

「!」

 逃げ出したいくらい恥ずかしかったが、華琳から逃げ出すわけにもいかず視線をさ迷わせる季衣。

 その先に明命を捉えた。

 

「おはよう明命ちゃん!」

「はぅあ! お、おはようございます!」

 明命も季衣と同じくらいに頬を染め、華琳と目を合わせようとしなかった。

「ほ、本当に魏の目覚めの作法はこうだったのです……」

「え? もしかして華琳さま、まさか明命ちゃんにも……」

 明命の呟きを聞いた季衣が華琳に尋ねる。

「あの鏡の光を浴びて、眠ってしまった者を起こすんだもの。確実な方法はアレしかないわ」

 

 

「あれは恥ずかしいですよぅ……ってここは!」

 自分の時を思い出してさらに照れていた季衣だったが、やっと周囲の風景に気づいた。

「知ってるの?」

「はい! 兄ちゃんとよく遊んだ公園です」

「公園? ……どの一刀とかしら?」

「あ、天にいた兄ちゃんです。四番目の兄ちゃん」

「桃香のかわりに愛紗たちを率い、大陸を統一したという一刀ね」

 季衣と流琉から聞いた異世界の一刀の話を思い出しながら。

 

「すると、ここはその世界……私たちが一刀と学校へいってる外史なのかしら?」

「いえ、たぶん違いますよ〜」

 自分や華琳の格好を確認する季衣。

「ボクたちの服が、出発する時のままです。むこうだったらフランチェスカの制服か、別の服着てると思うもん」

「そう。……とりあえず、天にきたというのは確かなのね?」

「はい! きっとボクたちの兄ちゃんのとこですよ!」

 

 

「そうだといいわね。まずはみなを探しましょう」

「あ!」

 やっと自分達以外の者が周囲にいないことに気づいた季衣。よほど目覚めの時に動転したのだろう。

「急いで探さなきゃ! ……えっと、華琳さまはあそこの時計の側のベンチで待っていてもらえますか?」

「時計?」

 季衣が指差したポールの先端の時計を見る。

「あの時計、待ち合わせの集合場所の目印にピッタリなんですよ〜。あ、ベンチっていうのは長椅子です。誰かきたらいっしょに待っていて下さい」

「慣れているのね」

 ベンチに向かって三人で歩きながら華琳が聞いた。

「はい。兄ちゃんだけじゃなくて、むこうの華琳さまやみんなともよく来ました。もうちょい先によくいる屋台のソフトクリームがおいしいんですよ〜」

 公園とはいっても大きい部類に入るここで、集合場所を決めての別行動をとったのを思い出す。

 華琳と一刀を二人きりにさせるために春蘭、秋蘭とともに桂花を連れ回したことを。

 

「ここが、集合場所ですね」

「うん。明命ちゃん、誰か見つけたらここに連れてこよう」

「了解です」

「華琳さま、いってきま〜す」

「いってらっしゃい」

 

 二人は仲間を探しに公園の散策へ向かった。

 

 

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scene-噴水広場

 

 

「流琉!」

 目印の時計から少し離れた場所で流琉を見つけた季衣。

「季衣!」

 流琉も季衣を見つけ近づいてくる。

「って鈴々、なにしてるんだよ〜!」

「にゃにゃっ?」

 その側で噴水の水を飲もうとしていた鈴々に気づいた。

「季衣おねーちゃん、このお水のんじゃだめなの?」

「試したところ、大丈夫そうだったのだけれど……」

 紫苑と璃々の親子もそこへいた。

 

「あのね、ここの水は飲むためのじゃなくて、見るためのなんだよ」

「見るため?」

「うん。時間になると噴出すんだ」

 噴水を説明する。

「見たいのだ!」

 興奮する鈴々に。

「時間になったらって言ったろ。まだ噴出さないから。それより、華琳さま待っているから早く行こう」

 

 

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scene-花壇

 

 

「軍師さん発見です」

 明命は軍師の三人を見つけ出していた。

「華琳さま〜! どこですか! 華琳さま〜! 華琳さま〜! 華琳さま華琳さま華琳さま華琳さま華琳さま華琳さま〜!!」

「ふがふが」

「ぐ〜」

 近づいても三人はすぐには気づかなかったが。

 

「ここは天の世界なのね」

「そうらしいです」

 華琳が待っていると聞いてやっと落ちついた桂花。

 集合場所へ向かいながら現状を確認する。

 

「一刀殿はまだ発見できていませんか?」

 鼻に紙を詰めたまま、稟が問う。

「まだです」

 

「ぐ〜」

「起きなさい!」

「……宝ャを探し疲れて眠いのですよ〜」

 器用にも歩きながら居眠りをしていた風。居眠りの言い訳の通り、トレードマークである頭上の宝ャがいない。

「探し疲れたって、周囲を見回しただけでしょう?」

「それで充分なのです。ここには宝ャはいないのです」

「探しものなら手伝いましょうか?」

 明命のその申し出も。

「ありがとうなのです。でも、風にはわかるのですよ。無駄なのです」

「私達の荷物はちゃんとあります。探せば見つかるのではありませんか?」

 

 稟の指摘通り、彼女たちの鞄、手をつなぐのに邪魔にならぬよう肩にかけたり背負ったりしていた、はこの世界についてきていた。

 鞄の中身はこの世界で困らぬよう用意した金や宝石類である。

 もっとも、季衣の言葉によれば、「身分証がないと換金できないと思うよ〜」なので一刀に会うことがまず前提であるのだ。

 

「宝ャはきっと、前の季衣ちゃん流琉ちゃんと同じく魂だけがこの世界に来ているのです」

「風、あれと同じものがこの世界にあると言うのですか?」

「はいなのです」

 自信たっぷりに言う風に三人はそういうこともあるかもしれない、と思うのだった。

 

 

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scene-遊具施設

 

 

「どうだ姉者?」

「うむ。この程度の高さではあまり変わらんな」

 ジャングルジムの天辺に立ち、辺りを見回す春蘭。

「しかしなんだこれは? なにかの訓練装置か?」

 鉄棒やブランコ、滑り台を眺める秋蘭。

「なんやろ? わからんなあ」

 霞も首を傾げる。

 三人がいるのは子供向けの遊具が設置されている一角であった。

 

「春蘭さま〜!」

「季衣!」

 流琉たちを集合場所に送り、残りを探しに出た季衣。ジャングルジムに仁王立ちするという目立つ姿を発見しすぐさま駆け寄る。

「秋蘭さま、霞ちゃんも!」

 

 

「そうか華琳さまは無事か」

「はい。すぐに案内しますね〜」

 ジャングルジムから春蘭が飛び降りる。

「季衣、この設備はなんなのだ?」

「これですか、春蘭さまが乗ってたのがジャングルジムで、あっちのがブランコ、あれが鉄棒で、こっちのが滑り台です」

 秋蘭の疑問に季衣が遊具の名前を言っていく。

「ふむ。じゃんぐーじゃむ? で、結局なんなのだ?」

「子供が遊ぶんですよ〜」

「そ、そうか……」

 子供の遊具に仁王立ちしてしまったと知り、赤面する春蘭。

「姉者はかわいいなあ」

 それを堪能する秋蘭。

 

「けどな〜、子供は使っておらへんよ?」

「う〜ん、たぶんまだ早い時間だからだと思うけど」

 ジャングルジムに仁王立ちする春蘭さまを怖がったんじゃ? とはとても言えなかった。

 

 

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scene-池

 

 

「なあ、あのおっちゃん」

「なんだ真桜。あれはどう見ても隊長ではないぞ」

「釣り人の人なの〜」

 北郷隊の三人は池の周囲を歩いていた。

「いや、なんや餌が作りモンぽいし、竿や糸巻きもすごいねんで」

「そんなことより隊長や華琳さまたちを探すのが先だろう」

 ルアーやリールに興味を示す真桜をたしなめる。

「まったくなの! ……あっちの娘の鞄、カッコイイの〜、こっちの娘は靴がカワイイの〜」

「沙和まで……」

「あ、凪ちゃ〜ん、あの娘は」

「とにかく、まず隊長や華琳さまたちを探すぞ!」

「ちがうの、明命ちゃんなの〜」

 

「凪さん、真桜さん、沙和さん発見です」

 軍師たちを送り届け、再び捜索に出た明命。三人に合流した。

 

「そうか。隊長はまだなのか……」

「すぐに見つかるの!」

「せや。はよう華琳さまに合流して隊長探すで〜!」

 

 

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scene-並木道

 

 

「天和ちゃん!」

 夏侯姉妹と霞を送り届け、再びの捜索で張三姉妹を発見した季衣。

「季衣ちゃん。よかった〜」

「にゃ?」

「こいつ、しつこいのよ〜。ちぃたちとお茶しないって」

 地和が側にいる男を指差す。彼は季衣をチラッと見ただけで。

「なんやチビッ子。おに〜さんたちは大人の話しとるんや。邪魔せえへんとおとなしうちょっと待っててな」

「なんだと〜。子ども扱いするな! ボクだって兄ちゃんにオトナのオンナにしてもらったんだぞ!」

「なんやて!? えらい鬼畜なやつがおるねんな〜」

「やっぱり季衣ちゃんにも……」

 男と人和が驚愕すると。

 

「あれ? どっかで会ったことなかったっけ?」

「ん? チビッ子なんぞ知らへん。……そっかおに〜さんを逆ナンしたいんやな?」

「それはないって」

 季衣は即答する。

「しゃあないな〜、せめてメアドだけでも教えてくれへん?」

 それにもめげずに、三姉妹をナンパし続ける男。

「無理だよ〜。ボクたち携帯電話持ってないんだもん」

「マジかい? 今時……」

「そうだ携帯貸してよ!」

 

「けーたい?」

「うん。それで兄ちゃんにすぐ連絡とれるはずだよ」

「ホント!? ちぃたちに貸しなさい!」

 地和が威圧的に。

「お願いします」

 人和が頭を下げると。

 

「しゃ〜ないな。ほれ」

「ありがと〜!」

 携帯を受け取りすぐに一刀に電話しようとする季衣。

 しかし。

「え〜と……あれ? ……兄ちゃんの電話番号忘れちゃった……」

 ガックリと落ち込む季衣。

「なんや、それじゃ意味ないやんけ」

 季衣から携帯を返してもらう。

 

「あ〜ん、早く一刀に会いたいよぅ〜」

 天和の愚痴に。

「一刀? なんやかずぴーの知り合いけ?」

 そう男が驚く。それで季衣がやっと気づいた。

「あ〜っ! 兄ちゃんの友達の及ちゃん!」

 

 

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scene-集合場所

 

 

「これでみんな揃ったわね」

 季衣が張三姉妹とともにあらわれたのを見て華琳が出迎える。

 

「兄ちゃんの居場所がわかりました!」

「よくやった、季衣。すぐに行くぞ!」

 季衣の報告を全て聞かずに春蘭が褒め、走り出す。

「待て姉者、どこへ行くつもりだ。話を聞いてからだろう?」

 そう言われて引き返してくる春蘭。

 

「さっき一刀さんの友人に会ったんです」

 人和が切り出す。

「それでね、兄ちゃんに電話してもらったんだけど兄ちゃんとは連絡つかなかったんだ」

「でも、あいつ、一刀がどこへ行ってるか知ってたの」

 地和が少し怒り気味に続ける。

「ここんとこ、ご執心のやつがいるらしいわ」

 

「なんですって」

 華琳がピクリと眉を上げる。

 

「あいかわず誰彼かまわずなのね」

 桂花が吐き捨てる。

 

「お兄さんらしいのですよ」

 そう言った風もなんだかご立腹の様子。

 

「兄様……」

 流琉は泣きそうだった。

 

 

「ほな、ちゃっちゃっと行こか」

 霞がいつもの神速を見せようとしていた。

 

 

 

 

 

 

scene-乙女神宮

 

 

「この神社に兄ちゃんは最近通ってるそうです」

 季衣の案内で一行はすぐに神社に辿り着いた。といっても公園からほど近い場所にあったのだが。

「神社? 寺院の一種ね」

「はい。たぶん巫女さんが目当てだと思いますよ〜。兄ちゃん巫女さんもだ〜い好きだから」

 華琳の質問に答えながら、別の天にいた一刀を思い出す季衣。

「そう言えばブルマと巫女服は素晴らしいって力説してたわね」

 華琳もありし日の一刀を思い出していた。

 

「あまり人がいないわね」

「そうですね〜。これだけ大きな神社だともっと人がいていいと思うんですよね〜」

 きょろきょろしながら華琳に答える。

「あ、あれが巫女さんですよ」

 

 季衣に指差された巫女は、大きな大きな胸を巫女服になんとか封じ込め、肌は褐色。

 その巫女に明命は驚き、そしてすぐさま走り出す。

 

 

「なんじゃ幼平? お主も死んだのか?」

 明命が駆け寄ったその巫女は、赤壁で死んだはずの呉の宿将、祭その人であった。

 

 

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<あとがき>

 やっと祭が登場できました。

 一刀はまだです。

 一刀以外にあと一人か二人登場しますが、誰だかはバレバレですね。

 

 

 

説明
対姫†無双の続編6話目です。
タイトルの『追』は『つい』です。
また1人登場です。
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コメント
あと一人か二人というと際と華雄かな?(都非様)
ブックマンさんありがとうございます。また神主の人工呼吸の犠牲者が……(こひ)
祭の巫女さん姿・・・ドサッ?あまりの刺激に気絶したようです。(ブックマン)
Nyaoさんありがとうございます。似合いそうですよね(こひ)
巫女姿の祭・・・。似合いすぎる(ノ▽`)(Nyao)
物語のイレギュラーさんありがとうございます。こんなところで倒れてると人工呼吸されちゃいますよ(こひ)
reriaruさんありがとうございます。はい、黄蓋です(こひ)
ロンギヌスさんありがとうございます。翠とたんぽぽ連れてくるの忘れてたっ(こひ)
レインさんありがとうございます。巫女服は偉大です(こひ)
まさか神主は・・・・ゴフゥ!!・・・・・・パタ(物語のイレギュラー)
さ・・・・・祭・・・・だと・・・・・(゚Д゚)(リーゼア)
あぁ、馬騰さんですね。わかりますwww(ロンギヌス)
姉御〜!生きて(?)いらっしゃったのですね〜!!!しかし、巫女服の祭さんか…あれっ、変には見えないぞ?(レイン)
sayjiさんありがとうございます。降臨というか、解脱というか(天だけに)(こひ)
祭様、降臨!(sayji)
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真・恋姫†無双 季衣 流琉 華琳 春蘭 秋蘭 張三姉妹 明命  つい姫†無双 

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