恋姫無双〜正義の柱 第四話 |
我々華琳さん率いる討伐隊は先ほど判明した賊の本拠地である砦に向かって行軍していた。
その行軍中、私は許緒に話しかける。
「許緒くん?だったかな?」
「なに、兄ちゃん?」
「いや、さっき小刀を突きつけた事を謝っておこうと思ってね。
一時とはいえ味方なのだからケジメはつけておこうと思ってね」
「気にしなくていいよ、あれはボクが悪かったんだし」
そう言って微笑む。それと同時に真名である季衣という名を呼ぶ事を許してくれた。
なんていい子なんでしょう。それに私の事を兄ちゃん≠ニ呼ぶのも好印象だ。
この子に年下だと思われてたら立ち直れなかったでしょう………
しかし兄ちゃんか……なじむ 実になじむぞ!フハハハハハ
嬉しかったので季衣に特別に『ふしぎなアメ』をあげてみる。
「季衣ちゃん、お礼にアメをあげましょう」
「えっ、くれるの?ありがとー」
季衣は喜んでアメを口に含んだ。
ピロリン♪ 季衣のレベルがあがった
「あれ?なんか強くなったような気が………」
気のせいじゃないですか?
………さてこの後自己紹介をすませ季衣と話つつ行軍していると山の影に隠れるようにしている盗賊団の砦を見つけた。
「なるほど、これは見つけ辛い」
「許緒、この辺りに他に賊はいるの?」
「いえ、この辺りにはあいつらしかいませんから、曹操さまが探しているっていうのも、多分あいつらだと思います」
「敵の数は把握できてる?」
「はい、およそ三千とのことです」
「多いな」
「それでも、連中はただの烏合の衆、統率もなく、訓練もされておりませぬゆえ、我々の敵ではありません」
「けれど、策はあるのでしょう? 糧食の件、忘れてないわよ?」
「無論です。兵を損なうことなく戦闘時間を短縮する策、既に私の胸の中に」
桂花の策とは先ず華琳が少数の兵を率い砦の正面に展開。その間に春蘭、秋蘭の二人は残りの兵を率いて後方の崖に待機。本隊が銅鑼を鳴らし盛大に攻撃の準備を匂わせればその誘いに乗った敵は必ずや砦から出てくるはず。その後、華琳は兵を退き、十分に砦から引き離した所で春蘭と秋蘭が敵を背後から叩くというものだった。
しかしそれでは私の出番があまりないな、それに私の武器は多対一の方がやりやすい。
他の兵がうじゃうじゃ周りにいると正直邪魔だ。
「なあ、その策に一つ付け加えてもらいたいんだが………」
そう言おうとしたら桂花が噛み付いてきた。
「あなた!獣の分際で私の策にケチをつける気!?」
「いやそういうわけじゃない。
ただ敵が砦から出てきたら先に私が突撃したいというだけだ」
「は?……………正気?」
「私は正気だ………ただ周りに味方がいると
思うように戦えないから先に突撃して戦おうと………」
「許可するわ。あなたの好きなようにしなさい 士郎」
以外にも華琳さんから援護が来た。
「あなたの実力なら一人で突撃したとしても私達が行くまでもつでしょう?
それに死んだとしても自分の力量も解らない馬鹿は私の配下にはいらないわ」
まあ死ぬ気はないけどね。この後も春蘭が『華琳様を囮に使う気か!?』とかごねてたが我々の説得に渋々応じた。
しかし『烏合の衆なら、正面から叩き潰せばいいだけだ!』とは…………春蘭……君って奴は………
時は流れていよいよ戦場に銅鑼の音が響き渡る。
「……」
「……」
響き渡る………これも桂花の策ですか?
何を勘違いしたのか賊達は城門を開け怒号を響かせて飛び出してきた。
なにを考えてるんだ………賊達は………………
「……桂花。これもあなたの作戦のうちなのかしら?」
「いえ これはさすがに想定外でした…………」
「連中、今の銅鑼を攻撃の合図と勘違いしているのかしら?」
「どうやらそのようですね……」
もうなにもいえません。
曹操さま! 兄ちゃん! あいつらこっちに突っ込んできたよ!!」
季衣の声で改めて前方に視線をやると、敵軍がこちらに突っ込んでくる。
「かなりの大軍ですね。ていうかあれ全軍じゃないですか?」
「ふむ、多少のズレはあったけど、総員、攻撃は適当にいなして後退するぞ!」
華琳さんの号令を合図に一定の距離をとりながら我々は後退していく。
そして砦からかなり離れたと思ったら敵に後方から矢の雨が降り注いだ。
「後方の崖より夏候惇さまの旗と矢の雨を確認!奇襲成功です!」
「さすがは秋蘭。うまくやってくれたわね」
「春蘭さまは?」
「敵の横腹あたりで突撃したくてたまらなくなっていた所を秋蘭に抑えらていたんじゃないの?」
「さて。おしゃべりはそこまでになさい。この隙を突いて一気に畳みかけるわよ」
「季衣。貴女の武勇、期待させてもらうわね」
「わっかりましたー♪」
「では、私は先に突撃するとしましょう♪\(^0^)/」
「ええ、精々死なないように頑張りなさい」
「むしろ死になさい」
ひどい暴言を吐かれましたよ……
私は涙目になりながらも敵に特攻する。
ああ、結構すごい勢いで突撃して来ますね……
こちらが一人だからって舐めてかかっているんでしょうかね?
さてそろそろアレをだしますか……
私は手甲を右手に取り付け手甲についているツマミをひねる
そして私が右手を振ると…………
首が飛んだ
目の前まで迫っていた賊の首が十ほど刎ね飛ばされた。
賊は何がなんだかわからないという顔、しかしそれでも賊は突っ込んでくる。
そしてまた右手を振れば首が飛ぶ…………
俺の手甲からは三日月型の刃が出ている。これが俺の武器
それは形状こそ違うがその特性、在り方はあるものと同じである。それは………
ギロチン
1792年にフランスで処刑道具として認められたもので
刃が斜めになっており刃についているおもりによって素早く首を切り落とすことができる。
ギロチンの正式名称は「正義の柱」と呼ばれており俺が正義の柱と呼ばれたのは
これを使って罪人の首を刎ねる事を極めたからである。
ちなみにギロチンは三日月型のものもあったそうだ。
俺が右手を振れば首が飛ぶ。賊もただ殺られるだけでなく攻撃してくる………が
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ―――――――ッ!!」
俺の腕が見えなくなる。なあに不可視の速度で腕を振るっているだけのこと。
そして俺に触れる事もできずに崩れ落ちる首なし死体達から血柱が上がる。
呆然とした賊どもの頭上に遅れて降り注がれる鮮やかな赤い雨。
そして賊の誰かが耳を塞ぎたくなるような悲鳴をあげた。 恐怖は伝染する。
「う、うわああああああああああああああああああああああ!!」
「逃げろ! 逃げろ逃げろ逃げろぉ」
「助けてくれ! なんで俺が!」
「嫌だぁ! こんなところで死にたくない!」
「助けて、誰か助けて!」
誰しもが我先にと前のにいる人間を押しのけてその場から逃げ出そうとする。
統率も連携もなくただ本能をむき出しにして逃げようとする兵たち。
おいおい逃げるなよ?俺はまるで散歩しているかのように歩き出す。
そして間合いに入った人間の首が刎ねられる。
おや?味方が到着しましたか………
邪魔だなぁ……味方を避けて敵の首を刎ねなきゃならないから邪魔にしかならないよ。
しかし……………
ふふ ははは アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
そうだよ!これだよ!圧倒的な力で悪を叩き潰す!自分が正義だと自覚する瞬間だ!
考えることもなく!ただ首を落とす堕とすおとすオトス!
こっちに来て正義の柱を振るう機会が無かったからなぁ………
気分ッッッッ爽快だッ!!
………戦が始まってそう時間は経っていない………しかし賊のほぼ全てが死ぬことで戦は終わった。
野戦ではほぼ全ての賊が首を切られて死んだ………そして討伐軍が砦を強襲し主戦力が壊滅した事を知った賊は抵抗もできず降伏した。
今は奪った砦にて休息を取っている最中ですよ。
実に充実した戦いでしたよ〜
おや?なんだか雰囲気が重いですね?なにかあったんですか?
……ああ〜そういうことですか。
「ねえねえ 華琳さん華琳さん」
「…………何?」
私がテンション高く華琳さんに声をかけると華琳さんが顔を上げた。
「私ってまだここにいていいんですか?」
「………どういうこと?」
「いや〜よく考えたらこういうとこ向いてないんですよね私。
協調性とか仲間とか必要ないとこで戦ってましたからね。
何か味方も私の戦い見て怖がってるみたいですし………
このままここにいていいのか華琳さんに伺いにきたんですがどうですかね?」
まあ捨てられたら捨てられたでそれでもいいんですがね。
罪人の首を刎ねるのは一人でもできますからね?
「……あなたは魏の客将で天の御遣いよ?それを私が手放すと思う?」
「と、いうことは……私はここにいてもいいんですか?」
「あたりまえよ。ただあの武器はなんなの?
手を振るだけで首が飛んでいたけど………………」
「ああ、あれですか?ギロチンと言いましてね。
罪人の首を切り落とす事のみを追求した処刑道具ですよ。
氣を送り込んで振るうと見えない斬撃が首に向かって音速で飛んでいくんです。
ただし射程は長くないですがね。(五b〜十bほど)」
「そう……そのぎろちん≠ヘ使用を控えたほうがいいわね」
「ええ!?それは困りますよ!華琳さん!?」
「仕方ないでしょう。あれは兵達の志気に関わるわ」
「いやいや、あれは罪人か悪人にしか使えないんですよ。そういう制約をつけているんで」
「制約?」
「ええ、私は先程述べたように罪人か悪人にしかギロチンを使わないという制約をつけているんです。
先代からそのようになっているので私もその教えを守っているんです」
「じゃあそのぎろちん≠ヘ普段は使わないのね?」
「そうですね。使うに値しない相手には小刀などで戦いますね」
「そう、ならいいわ」
この話は終わりとばかりに目を背けられた。
まあ、もうしばらくここでやってみますかねぇ。
その後、春蘭がこないだの闘いで手を抜いたとか叫んでたり、
秋蘭先輩がそれを収めてたり、桂花が罵倒してきたり、
それを見た季衣が笑ってたり……まあいつもどおり過ぎて逆に拍子抜けですよね。
向こう(元の世界)じゃ私の戦いを見た奴は例外なく怯えていたのに………
まあ……こういうのもいいですよね?
さてそれじゃそろそろ帰りm……「カラン」……なんか蹴ったみたいですね?
「なんだ、ただの拳銃じゃないですか………って拳銃!?」
おいおい!なんでこの時代に拳銃があるんですか!?
弾は入ってないみたいだけど………なんであんの?
「おい神埼!速く撤収の準備をしろ!」
春蘭が呼んでる……いやそれどころじゃ………まあ……いいか。
とりあえず拳銃をコートにしまい撤収の準備を始めた。
ああそういえば桂花の糧食の賭けの事ですが
結局 生存者や降伏した兵が予想以上に多かったことと季衣が予想以上に食べたことで兵糧は尽きてしまいました。
まあ神算を巡らしてどうにか帳尻はあわしたみたいで賊討伐の功で極刑を相殺したみたいです。
まあその代わりの御仕置きを言い渡されたそうですがね。
ただその時の桂花はなぜか妙に艶やかで華琳さんの横の春蘭と秋蘭先輩はそれを見て少し羨んでいたような……
後は今回の武功で季衣は華琳さんの親衛隊を任されたようです。
それにこの辺りを納めていた州牧が盗賊に恐れをなして逃げ出したから
華琳さんがその任を引き継ぎ季衣が居た土地も納めることになったみたいです。
あと記すことがあるとすれば今回、賊の討伐に出る少し前に夜の闇を黒い流星が流れていたらしい事と
今回の賊に命令を出していた者がいたらしいことぐらいでしょうか?
さて……なにやら不穏な空気が大陸に渦巻いているようですが……これからいったいどうなっていくのでしょうか?
どうも後ろの人です。
年末って結構忙しいですよね?
でもなぜか私は暇です。
なんかオリジナル要素が少ないから新オリキャラ出そうと思ってます。
では少し速いですがよいお年を〜
あけましておめでとうございます。
私は絶対に笑ってはいけないシリーズ見ながら年を越す予定です。
また来年にお会いしましょう。
ではでは〜w
説明 | ||
どうもまたきました。 せっかくの恋姫なのに周りとの絡みが少ないように感じて来ました。 そのうちに絡ませようと思ってるので見守っててください。 なお、言いたいこと書きたいことありましたら コメントにかいといてください。 |
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悪の御遣い?(ブックマン) なんだか神崎が多重人格者に見えてきたなぁ。身体を改造された副作用とかだろうか。それと新たな新キャラが出るようなのでどうなるんでしょうな。(もちら真央) |
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