年に1度くらい、訪問してくる 年配の女性がいる。聖書を携えた幸の薄そうな方だ。僕は毎日暇にしているから、こういう勧誘員は大歓迎だ。こういう人はみな「あなたは 今 幸せですか?」と聞いてくる。多分、応酬話法でパターンが決まっていて 練習してから来るのだろう。すかさず「幸せだよ。あなたは?」と答えると、ちょっとたじろぐのが愉しい。適当に世間話をしたあと、聖書を勧めてくる。チャンスだ!僕の方から 神や悪魔の話に誘導してゆく。日本に悪魔はいない。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教にだけ悪魔が現れる(ような気がする)。悪魔がいなければ、神も天使もいないと考えることは、しごく理論的だと思うと諭してあげる。聖書で天使とは、神の使者を意味しているそうだ。神の使いは十戒をモーセに渡し、神の怒りの手先となり ソドムを訪れた。天使は新約聖書においても受胎告知をし、ヨセフを説得した。聖書に230回以上も登場するこの天使は人間より権威にも力にもまさっている(ペトロの手紙二2:11)存在で、霊的かつ人格的な存在だという。天使のイメージは複数枚の羽を持つが、聖書のどこにも羽を持つ天使の記載はないようだ。また、悪魔のイメージは黒だが、悪魔は光の天使を装う(コリントの信徒への手紙二11:14)ので、天使と見分けがつきにくいとされていた。 悪魔は90回以上登場し、堕落した天使、サタン(敵対者)として記されている。「神の子が現れたのは、悪魔の働きを滅ぼすため」(ヨハネの手紙一3:8)としており、パウロの使命は「サタンの支配から神に立ち帰らせ」(使徒言行録26:18)ることとある。もし「天使や悪魔など存在しない」ということになれば、これらの言葉は当時の人にも意味不明となるから、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は詐欺を働いているのである。ということは、神や天使こそが詐欺師であり、人を騙すことに良心の呵責に耐えかねた天使の一人が、反旗を翻したのではないか。そして、その 人間に味方をしたのがサタンといえる。 もし、本当に悪魔が存在するならば日本にも悪魔がいるはずである。詐欺が横行する昨今、天使の振る舞いをする人間こそ 悪人かも知れないから 用心した方が良いかもしれないから、あなたも気を付けた方が良い。と、暇潰しに 幸薄そうな年配の女性をおちょくるのは愉しい。もしかすると、僕が悪魔かも知れない。 |