はなしをしよう |
説明 | ||
G.0(1/2)「受け継ぐ者、受け継いだ後の者」 弱者太郎がリン国の配下になって1週間が経った。 最初の3日ほどはかつてのキン・ニク2の右腕であるマスター・フォールを倒したものとしてもてはやされていたが、 日々の行動や言動から実力に伴わないことが露呈し、国内では噂になっていた。 上手く仕事ができない弱者太郎はリン国での働きぶりにがっくりと肩を落としていた。 「なあ、何かしゃべってくれよ」 ヘルメットにしゃべりかける太郎だったが、 ヘルメットはうんともすんとも言わなかった。 不思議に思った太郎はコンコンとヘルメットを叩いた。 太郎はヘルメットの首回りが緩く なっていることに気付いた。 ヘルメットを少し持ち上げるとやはりヘルメットが緩い。 太郎は思い切ってヘルメットを 持ち上げると呆気なく取れた。 太郎の姿に気づいたのはリン国の見張りだった。 見張りは慌ててキン・ニク2へと報告する。 太郎は肩を引っ張られながらキン・ニク2の目の前に現れた。 「クイックボーグではないな。」 そういったのはキン・ニク2だ。 キン・ニク2から用済みとして見られ始めるが、税金を払うことによって「キン・ニク2 の右腕」 という肩書を維持させてやるという交渉で太郎は毎日好きにさせてもらっていたので 取引に応じた。 キン・ニク2は太郎がかつてのクイックボーグの姿ではないと知ると早々に太郎を見限始め、 太郎としては立場上すぐにやられてしまうと感じキン・ニク2に必死に懇願した。 「見捨てないでくだせぇ」 キンニク2としても一度「右腕」として認めた存在である弱者太郎に 何かしら優位性を与えなければキン・ニク2の沽券にかかわるということも理解してい た。 そこでキンニク2は太郎に税金を払うことで「キン・ニク2の右腕」という肩書を与える ことを太郎に約束した。 太郎はキン・ニク2の提案に応じることになったが、 太郎は高い生活水準の維持を貫いていたため ついに税金を払うことができなくなっていた。 リン国で税金を払えなくなることは重罪だ。 太郎は兵士に捕まり牢獄の中で生きることを強いられてしまった。 しばらく豊満だった体を見せつけるように全裸で過酷な羞恥を晒すことになってしまっ たが、 ある日面会者が現れた。 闇のじゅじゅちゅしだった。 「ヒヒイ。 これは困った。 もうすぐあなたは処刑されてしまう運命のようだ。」 闇のじゅじゅちゅしはにやにやと太郎の全身を嘗め回すように見ながら言った。 太郎は闇のじゅじゅちゅしに自分は「キン・ニク2の右腕」だと説明するが表情は変わら ずにやにやとしていた。 「お前はあまりにもか弱い。 まるで生まれたての赤ん坊だ。 お前が望めば私がキン・ニ ク2様の右腕にもなれる力を与えよう」 闇のじゅじゅちゅしの思いがけない提案に太郎はマジックハンドになった右腕を擦りながら悩んだ。 だがしかし、いまいち決定打にかけると太郎は感じた。 「私の魔法 (改造手術)はお前の悩みをすべてを解決できる。 あと腕治る。」 太郎はその言葉を聞くとどっからでも来いと仰向けになってすべてを受け入れた。 弱者太郎は大手術から目覚めた。 体は軽く気持ちは晴れやか、 まるで生ま れ変わったように心地よかった。 自分のマジックハンドだった腕がピンク色になっていたことには目をつぶるとしてそれ以外は完璧に違いないと太郎は根拠なく確信していた。 闇のじゅじゅちゅしに促されるように鏡を差し出されたので太郎は変わった自分を見るために鏡を手に取って覗いた。 「ふ、ふぁ、 ファンシーになってる」 太郎は驚いた。 魔法(改造手術)による影響で自身の体が耐え切れずにファンシーな姿のぬいぐるみになっていたのだ。 弱者太郎は震えながら驚きを隠せないといった表情で言った。 「これはいったい・・・」 「己の力を具現化した最も強く気高い姿、 お前は獣の力を得た。」 闇のじゅじゅちゅしは不敵に笑いながら言った。 この日から弱者太郎は二つ名を与えられキュービーという名前でお刺身にタンポポを乗せる過酷な仕事をすることとなった。 労働は過酷を極めた。 新しくなった体にまだ慣れないキュービーは時々間違えてお刺身にポンポポを乗せてしまい、 ラインをストップさせてしまう状況を何度も作ってしまっていた。 余りの過酷さに神経質になり気疲れでキュービーは気を失ってしまった。 目覚めたときにはキュービーはリン国のごみ処理場の隅に居た。 「おい。」 誰かが懐かしい声でキュービーを呼んでいた。 目を開くと目の間にST・ケータ (34)がキュービーを覗き込むように見ていた。 「俺にはわかるぞ。 あの日の借りを返しに来た。」 ST・ケータ (34) はそう言うとキュービーを摘み上げた。 そして光る湖へと運んできた。 「俺はお前から敵に立ち向かう勇気を知った。 このままお前をリン国の肥しにさせない」 キュービーはよく意味が分からなかったが、 ST・ケータ(34)がキュービーを救ってくれていることだけは分かった。 そう思ったのもつかぬ間、 ST・ケータ(34) はキュービーを光る湖めがけて勢いよく投げた。 溺れ行く中でキュービーが見たものはあの日と同じ満月が揺らぐ光景だった。 前回 https://www.tinami.com/view/1142665 次回 https://www.tinami.com/view/1155980 関連 https://www.tinami.com/view/1137089 |
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