雷と棍棒をもつ英
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説明
シリアで「21世紀のモンスター」と呼ばれたアサド大統領が追放されて ロシアに亡命した。 そのシリアにはウガリット神話がある。地中海岸にあった古代都市ウガリットに保存されていた粘土板文書に記されていた神話だ。これは旧約聖書と共通する内容も多いらしいが、注目視されているのはシリア最強のモンスターとも言える英雄神バアルの戦いと死、そして再生を描いた物語である。バアルの名は、すでに紀元前3千年期初頭の中近東の文献に登場しているらしい。バアルはカナン人の高位の神であり その信仰は周辺に広まって 旧約聖書の「列王記」などにもその名があるという。また、エジプト神話に取り入れられ嵐の神のセトと同一視されている。フェニキアやその植民地カルタゴの最高神バアル・ハンモンと結びつける説もある。さらにギリシアでもバアルの名で崇められたそうだ。キリシア神話のゼウスと同一視する向きもあるようだが、神話の舞台が別なので、それはあり得ないだろう。彫像などでは、棍棒と槍(稲妻の象徴)を握る戦士の姿が多いらしい。嵐の神とみなされているが、乾燥している地域では雨をもたらす豊穣神として崇められてるようである。この高位の最高神とも言えるバアルが、聖書の著者達から たびたび批判や揶揄されている。まるでSMSで誹謗中傷されるようにだ。だから僕は聖書が嫌いになるのだ。「列王記」ほか、「民数記」「士師記」「ホセア書」にバアルへの言及があるらしい。「列王記」上18章では、預言者エリヤがバアルの預言者と雨乞いの儀式をもって争う。もともと「バアル・ゼブル」(崇高なるバアル)と呼ばれていたのに 旧約聖書で「バアル・ゼブブ」(蝿のバアル)と呼んで嘲笑う。それが新約聖書になると、ベルゼブブ(蠅の王)と呼ばれる大悪魔に変化していくのはあまりに酷すぎると感じる。 「士師記」ではバアルの祭壇を破壊したギデオンはエルバアル(バアルは自ら争う)と呼ばれた。新約聖書のマタイによる福音書でイエス・キリストが悪霊のかしら ベエルゼブルの力を借りて悪霊を追い払っているとの嫌疑をかけられている。聖書の中にバアルと合成してできた固有名詞が出てくるたびに、本文が書きかえられることがたびたびあったという。たとえば、ダビデの子のひとりにベエルヤダ 「バアルは知る」という人物がいると、サムエル記下ではエルヤダ 「神は知る」に変えられているそうだし、サウルの子のひとりエシュバアル「バアルの人」はサムエル記になるとイシュ・ボシェテ 「恥の人」に変えられているらしい。もしかして 中東はバアルを蔑ろにして、ユダヤキリスト教だのキリスト教だのイスラム教だのと争っているから、戦争が無くならないのではないだろうか? 戦争はバアルを誹謗中傷するところから すでに始まっているのかもしれない。
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