魔法使いの御用達と魔法少年の無理難題(Comission: Impossible)
説明
「「おっちゃーん、アレ出来てる?」
首都「夢を夢見る都」の下町の
駅前のアーケード街横にある
魔法道具屋の入口の前で、
魔法使いの少年(https://www.tinami.com/view/1133879)の声が響き渡った。
店の前では丁度、
納品を終えた
魔法薬品製造会社の配送トラックが
出発をする所だった。
「そんな街中に響くような声で呼ばなくたって
お前さんのはとっくに出来とるよ。コレだろ」
店主と思しき人物が、店の奥から紫色のマントを抱えて出て来た。

C.T.W.(Colour-Trash World)に於いて
事ある毎に耳にするであろう、
「色彩抽出」と言う言葉、
元はと言えば「自分自身の目に見える或いは感じる事の出来る全ての色」を
欲した魔法使いによって編み出された魔法を基にした技術であり、
それに関わる企業や産業に携わる魔法使いも多い。
C.T.W.には
そうした魔法使い達が使用する
魔法道具を製造する企業、
そして魔法道具の販売店も
数多く存在している。
近頃はホームセンターでも
魔法道具を豊富に取り扱うようになり、
店舗によっては
魔法道具の知識に長けた店員を
常駐させたりもしているのだそうだが、
C.T.W.に暮らす多くの魔法使いは
魔法道具のメンテナンスやカスタマイズ、
さらには、
ホームセンターやチェーン店のような店では
まず聞いて貰えないような
細かな注文や相談も
受け付けて貰えると言う事から今尚、
馴染みの魔法道具屋を
利用する事の方が多いのだそうだ。
この店もそうした店の一つである。
しおりが挟まったままの
古い書物を改装した店舗の内部には、
たった今入荷したばかりの
魔法の薬が入っている木製のコンテナが、
床の至る所に置かれており、
一見手狭のように見えるが
実は、店舗の奥行きは
魔法を用いて拡げてられており、
拡張された空間の奥には
多数の在庫や
修理や改造の依頼をされた
魔法道具の数々を
保管していた。

「コレだよコレ!
やっぱりこのマントがあるとしっくり来るな。
留学先に戻る前に直って良かった」
少年は先進諸国に名を連ねる国の一つである、
魔法に秀でた国にある留学先である
魔法学校からの帰省期間中、
この店の店主に
自分のマントの修理を依頼していたようなのだが、
それは只のマントではなく
何やら模様が描かれており、
中央には魔力を増幅させる為の宝石が嵌め込まれていた。
店主はこのC.T.W.に於いて
名の知られた魔法使いでもある
少年の父親と
古くからの知り合いで、
ずっと魔法使いとその家族の
魔法道具の修理やメンテナンスを請け負って来た。
少年の事も彼がまだ赤ん坊だった頃から
よく知っているのだが、
その当時から
彼のイタズラや無茶ぶりに
ずっと悩まされ続けきた一人でもある。
「直してくれてありがとう。
それと、もう一つ頼みがあるんだけどさ、
留学先に戻る前に
オレがしている
このピアスに、
嵌められている宝石を研磨して
ついでに属性が違う魔法の宝石の粒を
複数繋げて、
複雑で高度な魔法を
脳の中で即座にイメージ出来るようにして、
尚且つ連続で扱えるようにしてくれないかな?」
「お前さんが留学先に戻るのって明後日だろ!?
そんなの無理に決まってるだろ!」
「そこを何とか出来ない?
不確実ではあるけど
時間の魔法や
タイムマシーンなんかも駆使したりとかしながらさ」
「失敗の確率の方が高い
「時間を巻き戻す魔法」を使えだとか
簡単に言うな。
そんな無茶な頼み、
どこの店でも
どんな凄腕の魔法道具職人でも
余程の大魔法使いでも、
即座にお断りだぞ」
少年は尚も食い下がって言った。
「頼むよ。
先進諸国の魔法使い達の間では
そう言うのを使いこなせるのが
当たり前だって言うしさ。
現にオレの周りでも使いこなせる人が
チラホラ出て来ているし―」

「自分自身の魔法で勝負しろ」

店主が放ったその言葉に
ほんの一瞬だけ、
時が止まったような気がした。

少しばかりの沈黙の後、
少年が口を開いた。
「...もしかして今、凄くいい事を言った?
どう言う事?もう一回言ってくれよ!」
「二回も同じ事は言わないぞ。
ともかく、そうした流行だとか
周囲の言う事に惑わされるな、って事だ。
君の親父さんだって、
先進諸国の魔法使い連中を向こうに回しながら
そうやって道を切り拓いてきたんだぞ」
「そう言うけどさ―
オレの留学先の魔法学校って
将来有望な魔法使い候補生が
それこそ全世界から
集まって来ている訳なんだけど、
やっぱり「遅れた地域から来ている」って事で
先進諸国の連中に遅れを取るのは勿論、
同じような事をしてたって
他の連中からはナメられたりする訳―
勿論、その度に何かしら仕返ししてるけどさ。
常に実力や成績でトップに居続けるためにも
オレ、こう見えて結構勉強してるんだよ?
その為には魔法の流行や最先端の
チェックだって常に欠かせない訳だし―
少しでも怠ったらたちまち
置いてきぼりだからね。
C.T.W.も今は
魔法に経済、工業、文化、
その他諸々何もかも全部が
立ち遅れているってバカにされてるけど、
ゆくゆくは魔法だけでも
C.T.W.が世界をリードして
尊敬されるような存在になったら素晴らしいじゃん?
その一翼をオレが担う事が出来ればいいな、って―
あれ?どうしたの?おっちゃん?
何か衝撃的な物でも見たような表情(カオ)をして」
「...あ、いや、お前さんがこうまで言うようになるとはな...。
...ここに来る前に
何か変な物でも
食べたんじゃないだろうな」
「そんな事言わなくたっていいじゃん。酷いな。
で、オレが留学先に戻る前に
さっき言ったヤツやってくれるの?」
「充分な時間もロクに無いのに
出来る訳ないだろう―
お前さんが頑張っているのは
よく分かったけどな。
それにさっき言った筈だぞ。
『自分自身の魔法で勝負しろ』」
「よーし、さっきと同じ言葉を二回言ったな。
(「二回も同じ事は言わない」と言ったのに言わせた)オレの勝ち♪」
「............ッッ!!」
C.T.W.が魔法で世界をリードする日は
まだまだ先のようである」

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The boy wizard had asked the owner of a magic tool store
he acquainted to repair his cloak,
But he had another request.

(※DeepL翻訳を使用・一部改変しております)
(DeepL translation used and partially modified)

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完成後にA4(210×297)サイズ程に切り取った画用紙に
水彩絵の具、水彩色鉛筆で描いたもの。


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少々時期尚早かとは思いますが、
今年は本投稿をもちまして、
この場に於ける2024年最後の投稿とさせて頂きます。

今年も当方の絵をご覧頂きました皆様、
誠に有難うございました。

良いお年をお迎え下さいませ。

        K-OZAWA
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