昨年放送した 王様戦隊キングオージャーに登場したラスボスの宇蟲王ダグデド・ドゥジャルダンは、頭部の琥珀のカプセル内はクマムシの姿だったらしい。 実物のクマムシは1.7mm以下の微小な生き物だ。クマムシの一部は乾眠(かんみん)によって絶大な生命力を持つそうだ。乾眠というのはクリプトビオシス(隠された生命活動)と呼ばれ、無代謝の休眠状態になり 死んでいるように見えることをいうそうだ。クマムシの一部は 周囲が乾燥してくると体が縮まって(これを樽「tun」と呼ぶ)代謝がほぼ止まり 乾眠の状態に入る。その後 どんなに過酷な条件にさらされても、水を与えれば再び動き回ることができるそうだ。クマムシ類がみなこうした能力を持つわけではないし、単に動き回ることができるというだけで、その後通常の生活に戻れるかどうかは分かっていないそうだ。乾眠状態にするには、ゆっくりと乾燥しなければあっさり死んでしまうという。乾燥状態になると、酸素の代謝も止まり 完全な休眠状態になる。クマムシは他の多細胞生物に比べて非常に大きな耐性強度を持つことが知られている。・ 体重の85%をしめる水分が、3%以下まで減った極度の乾燥状態でも死なない。 ・100 °Cの高温から、ほぼ絶対零度(0.0075ケルビン)の極低温まで耐えられる。 ・真空から7万5000気圧の高圧まで耐えられる。・ 高線量の紫外線、X線、ガンマ線等の放射線に耐えらる。X線の半致死線量は3000-5000グレイだ(ヒトは4グレイで死ぬ)。・ピストルの弾より速いスピードでの射出に耐える 。クマムシは『通常の気候では寿命が半年しかもたない』が、乾眠状態になると長期の生存が可能となる。例えば、ある博物館に保管されていた130年前のコケに水をかけたら、ひからびていた樽状のクマムシがもとに戻ったという記録がある。ただし、この現象は実験をして実証されているわけではなく 学術論文にもないそうだ。2007年にクマムシの耐性を実証するため、ロシアの科学衛星フォトンM3でクマムシを宇宙空間に10日間直接さらすという実験が行われたらしい。回収されたクマムシを調べたところ、太陽光を遮れば、宇宙線と真空にさらされても 蘇生して生殖能力も失われていないことが確認されたという。こんなことを聞くと、今もクマムシが宇宙空間を漂っていそうだ。 クマムシを地球最強生物とする人は多いが、水のある環境なら たった半年の寿命しかない。もしかすると クマムシは地球最弱の生物の間違いではないだろうか。 |