風が吹く。

絶望薙ぎ払う蒼神風。

絶望覆いし処刑場が嵐によって薙ぎ払われた。

「あれは……」

剣の姫君は息を飲む。

彼女達を助けた日本人を見上げる。

只の日本人と彼は名乗っていた。

そんなはずないあり得ない。

魔族を薙ぎ払い、一人立つ。

只人はおろか一流の戦士ですら不可能。

あの在り方は只人と対極にある。

軍主にあるまじき特攻戦術。

剣姫はあの蒼を知っていた。

あの日世界が変わった神の日。

百万の魔軍を討滅し、一億総殺を止めた。

神風無道。

――蒼生守護の希望の風。

「蒼生大和オオォ！」

響く軍主の号令。

そして、蒼生軍があらわれる。