恋姫無双〜天の御使いの守護者〜 第5話
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「ふぅ……まずいか?」

 

 

「旦那様?」

 

 

刑天は部屋で聖が入れてくれたお茶を飲みながら呟いた 内容は狂骨について

 

 

「何がまずいのですか?」

 

 

聖にしてみれば結構甘い空間を作っており、見てるこっちが中てられる事もある そして、毎夜女性のみでお茶会をするといつの間にか自分の恋愛感を話すやつらの集まりになる そんな事もあるが、幸せそうな二人を見ていると顔がほころぶ それのどこが悪いのか

 

 

「狂骨は雛里に若干依存している 今度は違う意味で壊れる」

 

 

昔から愛と憎しみは表裏一体・可愛さあまって憎さ百倍 よく別れ話の縺れで相手を刺すという者がいるのは、そういうこと ありえない事とはいえ、今後雛里から拒絶されたり雛里を失ったりすれば即効で壊れる

 

 

「まあ、太公望が居る限りその事態はないが……少し矯正したほうがいいかも知れん」

 

 

まあ、本当に少しでいい 自分だって似たような経験をしたので気持ちは分かるから

 

 

「……なんか最近こんな位置づけだな」

 

 

「でも、旦那様だと安心しますから」

 

 

外見は20代後半 父親と言われればそう見える ただ、体からにじみ出る哀愁とか父性オーラとかで30代半ばぐらいに見えなくも無い ただ素材がいいためオジサマと見えるのは幸いというべきか

 

 

「俺はまだ20代なんだが……ってこういう発言はいかんな」

 

 

最近の自分のキャラに納得がいっていない様子のようだ

 

 

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「え〜それでは、これより会議を始めます」

 

 

翌日、狂骨たちも増えたのでそれらの事を一気に片付けるため会議をする事にした一刀

 

 

「とりあえず、狂骨は……雛里の部隊に入って」

 

 

「分かった」

 

 

その様子を見て刑天は少し考え込むが、雛里が普通にしているし狂骨も自制しようとしているで大丈夫かと考える 自分のの心配は杞憂だったようだ 共依存だと手がつけられなかったが

 

 

「……尻に敷かれているという訳か?」

 

 

誰にも聞かれないように呟く刑天 その顔は晴れやかだった

 

 

「それで、刑天なんだけど……得意な戦術とかは?」

 

 

「ふむ……拠点防衛を始めとした守戦、撤退戦の殿といったところか?」

 

 

そう言って、自らの能力を説明し始めた 刑天の最大の強みは「肉体再生による不死」 どのような傷も致命傷にはならず、まさしく鉄壁 首を落とされようとも倒れる事は無い 故に最強の盾と呼ばれる事もある

 

 

「そして! 一度女性を愛すれば、必ず守って愛してくれる最高の殿方で「お前は何を言っている」キャン!?」

 

 

途中から説明に入ってきて、脱線し始めた聖にチョップを食らわし下がらせる

 

 

「ちなみに、狂骨は「俺から説明する」そうか」

 

 

「俺が得意とする戦術は……殲滅戦、奇襲、火計……か?」

 

 

「いや、か? って聞かれても……」

 

 

話を向けられた一刀 聞かれても知らないし、仙人なんてついこの間知ったので分かるわけが無い

 

 

「まあ、狂骨は攻撃に特化した能力だな 火を自由に使う事ができたり、火薬を精製出来るからそれを転用し、地雷を作ることが出来る さらに、仙人であるが故に身体能力が高いから対人戦闘もできる さらに、体の熱を上げ陽炎を使いある程度の隠行もできる……多種多様な運用ができるな まあ、そこら辺は軍師に任せるとして……ん? どうした」

 

 

狂骨の説明と共に運用方法なども考え始めた刑天 それを見ていた狂骨を除く将たちが尊敬のまなざしで見ていた

 

 

「刑天さんは何歳なんですか?」

 

 

桃香が聞いてきたので20代後半である事を話すと驚かれた

 

 

「待て……その驚きは何だ?」

 

 

「てっきり30代半ばだと……」

 

 

愛紗の言葉に崩れ落ちる刑天 最近「父親」のイメージがついてきたが「おっさん」のイメージも今つけられた

 

 

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「お前ら……俺をどう思っている?」

 

 

蜀に合流して数日、自分なりに仲良くしようと世話を焼いてきたのだが、自分のイメージを聞いてみたくなった

 

 

「……親友若しくは同類(仙人的な意味で)」←狂骨

 

 

「いろいろ頼りになるアニキみたいな感じ」←一刀

 

 

「ご主人様を助けてくれた人です」←雛里

 

 

「「「「父親/オヤジ/お父さん」」」」←その他の将

 

 

「頼りになる男」←桔梗

 

 

「璃々の父親代わりになってほしいです」←紫苑

 

 

「旦那様です」←聖

 

 

「真ん中が違う……」

 

 

一気に背負う空気が重く暗くなった刑天 だが、璃々が部屋に入ってきて服が破れたというと―――

 

 

「とりあえず、これを着ておけ」

 

 

そう言い、自分の上着を着せ璃々の服を脱がせ部屋の隅でチクチク縫い始めた 

 

 

「「「「「……違和感無い」」」」」←それを見ていた璃々以外の人間

 

 

「ほら縫い終わったぞ」

 

 

「ありがとー♪」

 

 

刑天から服を受け取り、刑天に隠されながら着替える璃々 そして、着替え終わった後

 

 

「……ハッ!? 俺は……」

 

 

自分がしたことに気づき震え始める 後ろを見ると暖かい目をした仲間たちが

 

 

「おとーさん!」

 

 

璃々がそう言いながら抱きついてきた さらに、紫苑がこんな事を言い始めた

 

 

「女手一つで育ててきましたが、やはり父親というものがあったほうが―――」

 

 

よよよ…と悲しそうに呟いたその瞬間刑天の中にあった『何か』が弾けた

 

 

「……よろしい! ならば俺が父親だ!」

 

 

この時『刑天父さん』が誕生した 宣言を聞いていた璃々は喜び、狂骨たちは拍手で迎えた

 

 

「それなら妻は私かしら?」

 

 

「それなら儂も立候補しよう(面白そうだし、いい男だしな)」

 

 

「待ってください! 旦那様の妻は私です!」

 

 

ついでに、「刑天ラヴァーズ?」も誕生した

 

 

「……どうする?」

 

 

「もう会議じゃないな」

 

 

一刀と狂骨がため息を吐きながら目の前の光景を眺めていた 

 

 

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「盗賊?」

 

 

「はい 付近に大規模な盗賊の集団がいるようです」

 

 

一刀は政務をしていたが、愛紗より盗賊の事を聞かされどうするか迷っていた そこで誰に任せるかを歩きながら考える事にした

 

 

「ん? あれは……刑天?」

 

 

中庭には璃々を膝に乗せ、鈴々たちと日向ぼっこしている刑天が居た

 

 

「……和むな」

 

 

「ぽかぽかしてきもちーのだ〜」

 

 

「おとーさん……璃々眠くなってきた」

 

 

ちびっ子たちと日向ぼっこをしている姿は、まんま日曜日のお父さん 刑天が『蜀の父親』として覚醒した日から既に一週間が経っている その間、刑天はちびっ子たちに勉強を教えていたり、紫苑たちと共に子育てについて熱く語っていた その光景に古参メンバーは「あれ? この人虎牢関で私たちを殺そうとしてましたよね?」と刑天の今と昔にとてつもない違和感を感じていた でも、鈴々や月は即効で馴染んだ

 

 

「……どうしよう」

 

 

「え〜っと……一応頼んでみたらどうですか?」

 

声をかけるべきかどうか迷っていた一刀だったが、愛紗に言われ話しかけることにしてみた

 

 

「―――なるほど……盗賊か」

 

 

璃々を膝から下ろし、話を聞く刑天

 

 

「数、ねぐらは?」

 

 

「えっと……愛紗」

 

 

「はい 数は約500ほど ねぐらは谷の奥に拠点を置いているようです」

 

 

500という数は盗賊にしては多い方 そして、谷の奥に拠点を置いていることにより入り口を押さえれば城にも似た防御力を持つ だが―――

 

 

「朱里や雛里、詠などは有効な手立てを考えているはずだろう? 入り口を押さえ、谷の上から火計を仕掛ければいい……と言ったところか?」

 

 

「「!」」

 

 

刑天が言った策は朱里たちが考えていた事 それを見抜いた刑天に一刀たちは驚いた

 

 

「当たりか……まあ、伊達に長く生きていないからな そうだな……その策で行くなら俺が入り口を押さえよう そして、谷の上からの攻撃は狂骨、紫苑、桔梗あたりだな」

 

 

そして、爆薬などで一気に殲滅できる狂骨・弓兵が優秀な紫苑と桔梗の部隊 後は、紫苑たちに油をくくりつけた矢を撃たせれば、一気に火は回る

 

 

「さて、行くか とりあえず、守戦……若しくは臨機応変に対応できる部隊を用意しておけ」

 

 

言い終わらない内に璃々の頭を撫で、歩き出した刑天 その姿に一刀は震えていた

 

 

「……格好いい!」

 

 

狂骨とは外見が似ている上に、聞いた話では実年齢も自分と同年らしいので「友人」として付き合っているが、刑天は外見も実年齢も年上 なので、頼れる年上というものはいいものらしい

 

 

「まあ確かに、頼りがいはありますが」

 

 

やっぱり、以前のことがあるので少し一歩退いている愛紗 まあ、そこら辺はこれらか埋めていけばいいだろう

 

 

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「紫苑、桔梗……準備は?」

 

 

「いつでもいいですよ」

 

 

「こっちもな」

 

 

谷の上では、狂骨や紫苑たちが部隊を率いて眼下にいる盗賊たちを見下ろしていた そして、桔梗は油瓶を部下に大量に持たせ一気に投げ落とさせた

 

 

「さて……新型の爆弾投下」

 

 

「火矢……放てー!」

 

 

紫苑の号令とともに一斉に火矢が放たれた

 

 

「これはしばらく肉は食えないな」

 

 

「そうだな」

 

 

眼下から聞こえてくる断末魔の声を聞きながら呟いた

 

 

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「……焼肉……いや燻製肉? それとも……」

 

 

「刑天……ボソッと嫌なこと言うな!」

 

 

谷の入り口には、刑天と白蓮と翠が陣取っていた 逃げてくる盗賊を斬る為に

 

 

「でも、本来なら必死になっている奴を相手にするのはきついのに」

 

 

白蓮がそういうが刑天に言わせれば「むしろ、逃げられたと安心したところに敵が居れば心が折れる」とか何とか さらに、矢の射程範囲に入った瞬間に矢を放ち、取り逃がした奴を刑天が斬るという役割分担になっていた

 

 

「……来ないな」

 

 

「そうだな」

 

 

「暇だな〜」

 

 

先ほどから待っているのだが、一向に盗賊たちがやってこない 数人ぐらい逃げてくると予測していたのだが

 

 

「……全員こんがり?」

 

 

「だから、嫌なこと言うな」

 

 

盗賊たちが一向にやってこず刑天が再び嫌な事を言い出したのでツッコミをいれる白蓮 すると翠が何かの音を聞いた

 

 

「……なあ、叫びが聞こえないか?」

 

 

「「え?」」

 

 

―――「ギャー!」―――「雛里を馬鹿にしたやつはどこだー!?」「お助けー!」―――

 

 

「「「……」」」

 

 

多分盗賊が「こんな陰険な策を考える奴は性格とか顔が悪い」とか言ったのだろう 今回の作戦は雛里が主体になり考えたので、それに狂骨がキレたのだろう

 

 

「……最近狂骨に「敵が雛里をバカにしていたぞ?」と吹き込めば、一人で殲滅しそうな気がしてきた」

 

 

「「ああ〜」」

 

 

何故か納得してしまった

 

 

説明
第5話です

最近刑天が動かしやすくなってきました
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コメント
ブックマン様:きっと番外編や次の外史で見せてくれるはずですw(鴉丸)
韻様:こういう男はいませんね……居ても困るけど(鴉丸)
紫皇院様:いつからこんなキャラになったのか?(マテ(鴉丸)
jackry様:刑天はどこの外史でもこの扱いです(鴉丸)
brid様:やりかねませんというかやります(鴉丸)
狂骨がマッドじゃない・・・新型爆弾のお披露目なのに、あの笑い声がない。(ブックマン)
狂骨・・・素晴らしく尊敬できる男だ。。(韻)
狂骨おそるべし!!(紫皇院)
狂骨ならやりかねないなwwww(brid)
クォーツ様:とりあえず、次回辺りからシリアスが入ってくる予定です(鴉丸)
何か最近は戦闘や神仙としての強さよりも狂骨&刑天 その周辺によるコメディになってきた・・・久し振りに最初の頃のような話が読みたい・・・ 次作期待(クォーツ)
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