フォーリンスター・チルドレン10 |
崖から落ちたのぶくんを、茂みの中から飛び出した人影が支えた。
「あー!」
飛び出してきた人影を指さし、ちぃちゃんが頓狂な声を上げる。
「おばちゃんだー!」
みっちゃんもまた、大きく声を発した。
茂みから飛び出して、アオイはのぶくんの体を支えたのだ。
「もー絶対殴る。お姉ちゃんね、怒ったら怖いからね」
草木にまみれ、アオイはぼやくように言った。
『まったく、なにをするのかと思えば無理をして』
耳元で、浦沢がため息混じりに言った。
のぶくんが落ちたとき、とっさの判断でアオイは再び時間を飛んだのだった。数秒単位で時間を跳躍し、のぶくんをその両手で支えたのだ。
「お姉ちゃん、大丈夫!?」
腕の中で声を発したのぶくんにアオイは、
「いい子ね、あんたは許す」
痛みをこらえて笑顔で答えるのだった。
◆
「ママね、途中から居なかったでしょ?」
のぶくんを連れてやってきたサエは、頬を膨らませてアオイに言った。
市内で唯一のプラネタリウム。
のぶくんの家族がよく通っているプラネタリウムだ。
アオイはサエを連れて、のぶくんを誘ってプラネタリウムにやってきたのだった。
だが、アオイは上映開始早々に席を立っていた。
「星なんて、見てたって面白くないじゃない。五分が限度よ五分が」
アオイはぷーと頬を膨らませて娘に言い訳をする。サエも頬を膨らませているので、ふたりともフグみたいな顔になっていた。
それにしたって、プラネタリウムが好きな男の子の前でとんでもない発言である。
「そんなこといいでしょ、サエちゃん。のぶくん、ほら」
アオイはプラネタリウムの施設前の広場で、通りの先を指さした。
示し合わせた時間きっかり。
やってきたその人はのぶくんの……。
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タイムトラベルSF小説 ノーテンキなママの第二話 今回も12分割だと思います(11/12) |
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