魔法少女リリカルなのは〜儚き夢の少女〜 プロローグ
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とある次元にある世界、『ネセリウス』・・・その世界は今、崩壊の時を迎えていた。

 

・・・・・・たった一人の男によって・・・・・

 

「ひゃははははっ!なんだなんだ、こんなにも弱ぇもんなのか?世界を管理するっていう人間がよぉ。」まさに地獄絵図のような光景だった。

 

笑いながら言う男の周りには人の死骸や血が散らばり、建物は崩れ去り、火の海になっていた。

 

その中で、未だに立っているのは場違いなドレスに身を包んだ少女だった。

 

しかし、そのドレスも血に染まり、あちこちが破れている。

 

「はっ・・・・は・・・は・・・いくらなんでも強すぎじゃない?」

 

少女は自嘲気味に前に居る男に向かって呟く。

 

 

「あぁ?まだ生きてたのかよ、小娘?」少女に気付いた男は邪悪な笑みを浮かべながら近づいてきた。

 

「生憎と、私は丈夫なのよ。それにね・・・あんたなんかに『始界原書』(しかいげんしょ)を渡すと思う?」

 

「思わねぇな、だからこの世界ごとぶっ壊そうとしてんだよ。ところでよぉ〜・・・」

男が近づきながら少女に向かって言葉を紡ぐ。

 

「お前、何でそんなに戦おうとしてんだぁ?そんなもん意味無ぇだろ、人間なんて自分さえ良けりゃ他人の事なんてどうでもいいもんだろうが」

 

「はっ笑わせないでよ。理由なんて一つでしょう?私は世界が好きなのよ、その世界に住んでいる人もね。だから・・・・」

 

「あんたみたいな奴を見ると無性に腹が立つのよ!!!!」少女は男に向かって怒鳴った。

 

「はぁ〜ご立派なことだな、そんじゃまぁ〜死ねや!!」

男はそう言うと地面に転がっている建物の残骸を少女に向かって飛ばす。

 

「あんたが、ねっ!!!」少女はその残骸を避けると男の周りに幾十の魔方陣を出現させる。

 

「なっ!!!」その瞬間、男の動きが止まる。

 

『森羅万象、理を為す者よ。彼の者に永久に解けぬ眠りと永遠の苦痛を』

少女は歌うように呪文を唱えていく。

 

『東を守護せしは水を司りし青き龍』

『西を守護せしは風を司りし白き虎』

『南を守護せしは火《ほむら》を司りし朱き鳥』

『北を守護せしは地を司りし玄《くろ》き亀』

『扉よ開け、彼の者を・・・・』

 

「させるかぁ!!!」男は自らに掛けられている捕縛魔術を無視して、少女に向けて鎖に短剣が着いたものを幾本も飛ばした。そして・・・・“ザシュッ”

 

肉を切り裂く嫌な音と共に少女の体を幾本もの短剣が貫いた。

 

「かはっ・・・・くっ・・・は、は・・・」少女は口からも血を吐き、貫かれた部分からは血が滴り落ちていた。

 

「ひゃははは!いいぞ!道連れだ!そのままくたばっちまえ!!!」男はそう言って今度は貫いた短剣を魔法で少女の体から引き抜いた。“グシャッ”

 

「ぐっあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」少女の体は短剣が抜かれた所から物凄い速さで血が流れていく。

 

「いいぞ!もっと苦しめ!のた打ち回れ!それこそ俺の快楽だ!」

 

男に掛かっていた捕縛魔術も解ける寸前までに弱まっていた。

 

「ぐっ!はぁっ・・・・はぁっ・・・・かっ『彼の者を久遠の彼方に誘《いざな》い堕とせ!』」

 

「なっ!!」最後の詠唱が終わった瞬間、男の周りに四本の柱が現れる。

 

四本の柱は男の周りを回りながら、男の魔力を奪っていく。

 

その四本の柱の向こう側。突如空間が割れ、中から幾千の手が男に掴んでいく。

 

「はぁっ・・・は、誰があんたみたいなのと心中しますかって・・ゴホッ・・死ぬなら一人で死になさい、イフリィート!『無限漂牢』!」

 

幾千の手が男・・・イフリィートを掴み、空間の奥・・・漆黒の彼方へと引きずり込んで行く。

 

「マリアァ〜!!テメェ覚えてろ!俺はまだ諦めたわけじゃねぇぞ!!この呪縛いつか破ってテメェを殺しに行ってやるからよ、それまで首洗って待ってやがれ!ひゃはっははははははははは」

 

「ゴホッそ、それは楽しみに待っといてあげるわ。いい加減、眠りなさい」

 

イフリィートが空間の奥に引きずりこまれ、空間の歪《ひずみ》が閉じると同時に世界が揺れ始めた。

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【マリア視点】

「これは、ちょっとヤバイね。朱雀は無事かな・・・・ゴホッ」

 

世界が崩壊を始める・・・私は最後まで私と戦ってくれた私の半身とも言える相棒・・・朱雀を探す。

あのイカれた男-イフリィートの攻撃でかなり深手を負ったけど、少し動くくらいなら大丈夫なはず・・・

 

「朱雀!いるの〜!!無事なら返事しなさい!!!・・・くッ」 私は大声を上げて朱雀を探す。

けれど、朱雀は見つからずおまけに無理して動いたからかなり血が流れた。 さすがにちょっとマズイ

 

「朱雀!!いるなら・・・ヤバ、意識が・・・」目の前の景色が遠退いていく・・・ここで倒れるわけにはいかないのに・・・ それでも私の意思とは反対に体は支えを失ったように倒れていく。

 

でも次に感じたのは地面の固い感触ではなく、柔らかい人の温もりだった。

 

「大丈夫ですか!?主《あるじ》」目の前にいたのは黒い髪と紅い目をした青年だった。

 

「遅いよ、朱雀。あと、これが大丈夫に見える?」

 

「見えませんね。聞くのは一様、礼儀かと思いまして」苦笑しながら答える朱雀。

 

「あなたの方こそ大丈夫?」よく見ると朱雀も私ほどじゃなくてもかなりの怪我をしている。

 

「ええ、主ほどでは無いので心配には及びません。しかし、あの男かなりの実力者のようでしたがどうなさったのですか?」朱雀は、心配そうに私の顔を見ながら尋ねた。

 

「まぁ、かなり手こずったけど・・・最終的に倒すのは無理と判断して、『無限漂牢』で封じるのが精一杯でした」

 

「・・・・・」

 

「ん?どうしたの、朱雀?」珍しく相棒が黙っているので聞き返すと

 

「あなたは馬鹿ですか!!」

 

「ひゃ?!」思いっきり怒鳴られた。

 

「あんな超高度で複雑な演算が必要な術を助けも無しに何でしたんですか!!」

相棒の怒気を孕んだ声に私は萎縮してしまう。取り合えず、私怪我人なんだけど・・・・

 

「それは、あなたが無茶をした結果でしょう!!自業自得です」

 

バッサリと切り捨てられた。うぅ、ちょと悲しいかも

 

「それに・・・」朱雀の声が少し小さくなった。

 

「それにあの術は、自分の魔力の殆どを使ってしまう。その怪我でそんな術を使用すれば、あなたは・・・主は死んでいたかも知れないんですよ!!」

 

朱雀は泣いていた。普段は泣く事なんて滅多に無い相棒が泣いていた。 だから・・・

 

「ごめんね、朱雀」私は素直に小さく謝った。

 

「判っていただければ結構です。」朱雀はそう言って私に笑いかけた。

 

「それで主、少し深刻なお話があります。」朱雀は私の傷に回復魔法をかけながら私に話しかけた。

 

「何?」

 

「それが、僕があいつの『使い魔』の相手をしている最中に別口の『使い魔』が『クロノス』本部に攻め込んだらしいのです」

 

「うそ・・・そんな・・・」私は驚きを隠せない。クロノス・・・それは全ての次元世界を管轄し、平和を守る巨大組織。そこには数多くの管理者が在籍している、かく言う私もその一人だった。ちょっと訳ありではあったけど・・・

 

「僕も信じられませんでしたが、先程本部の方で大規模の爆発がありましたので事実です。」

 

「そう、だとすると皆死んじゃったのかな?」私は流れ出てくる涙を拭きながら朱雀に尋ねる。

 

「おそらくは・・・」朱雀は顔を悔しさで歪めながら私に答えてくれた。

 

「そ・・・う・・・」私は今度は我慢できなかった。だって、涙が止まらなかった。仲良くしてくれた皆や本部で働いていた事務関係の一般人達のことを思うととめる事が出来なかった。

 

「それで、深刻と言うからにはそれだけじゃないんだね」私は涙を拭いて朱雀に続きを促す。

 

「はい・・・あいつらはまず、『バンク』を壊そうとしたようですが・・・まぁ、あそこは壊そうとしても壊れませんのであいつらもすぐに諦めました。」

 

バンク・・・そこはクロノスが所有する全ての情報が保管されている書庫、『蒼天の書庫』の通称。あそこは万が一にでもこの世界−ネセリウスが崩壊しても決して壊れないように術式が組み込まれているという

 

「それで、次にあいつらが狙ったのが『宝庫』だったそうです。」

 

「また、とんでもない所を・・・」

『宝庫』とは文字通り宝の蔵。クロノスが管理、封印を行った『魔具』を保管している場所のこと。

 

「それじゃ、あいつ等は魔具を壊したのね。」

中に保管してある『魔具』の保有魔力数はとてつもなく大きい、それが全て壊れれば世界が一つ壊れてもおかしくない。この崩壊の原因はソレかと私は予測を付ける。

 

「はい、しかし全てと言う訳ではありません。幾つかの魔具は壊される前に防御システムが発動して、何処かの次元世界に」

 

「そう、クロノスは無くなっちゃたけどそれは私達で回収しようか。それで、『あの子達』はどうなったの」私は宝庫で、眠っていたはずの三人の『神器』達がとても気になった。

 

神器とはクロノスが管理している『魔具』の中でも高い保有魔力を誇り、管理者の手助けをしてくれる自我を持った魔具の事。

 

中でも『宝庫』の中で管理されていたのは、『四聖神器』と呼ばれている人の形が取れる特殊な神器である。ちなみに朱雀もこの『四聖神器』の一つだったりする。

 

「あの3人は如何にか脱出できたようですが、どの世界に行ったかまでは・・・・」

 

「誰もそこまで期待してないって、多分また何処かで会えるでしょ」

 

「そうですね、それから今から話す事が一番重要な話です。」何時に無く真剣な顔つきで朱雀は私に向かってそう言った。

 

「なに?」

 

「はい・・・『始界原書』の封印が解けました。」

 

「!!!うそ・・・」

 

『始界原書』・・・多分、クロノスが管理している『魔具』の中でも最大級に危険な代物で、その魔導書を使えば次元世界全てを滅ぼし、新たな世界を作り出すことが出来るとゆうとんでもない物らしい。

 

まあ、何でこんな魔導書があるのかは・・・ここでは言わないでおこう、うん。

 

「本当です、それを見たのは僕でしたから」

 

「そう・・・封印が解けたってゆう事は、術式がバラバラになったってことだね」

 

「はい、しかも厄介な事にコレもまた次元世界に・・・」

 

「あの狂科学者《マッドサイエンティスト》♯・・・イタチの最後っ屁って訳?」

 

どうりで封印される時、勝ち誇った顔してた訳だ。

 

「主、女の子なんですからもう少し言葉を選んでください」朱雀が頭を抱えている。

 

こればっかりは・・・ね?

 

「これは、キングの影響なんですかね」朱雀が疑いの目を向けてくるけど、取り合えず無視しとこ♪うん

 

「でも、これも大問題だよね。あんなのがバラバラになったって事は世界の存亡に関るし・・・・早く探しに行かないと」

 

「そうですね・・・・・」朱雀の返事が聞こえる・・・・所で、何時まで回復に時間掛かるの?

 

「それが・・・・」朱雀は顔を曇らせて言う。

 

「先ほどから何度も行っているのですが、傷が回復しません。おそらくは、阻害の術式が掛けられているものだと思います。それでも、出血は止まっているのでそこは不幸中の幸いだと・・・」

 

「そう、まぁ動けるから別に良いけどね。それより、包帯巻くの手伝って」

 

「はい」それからは黙々と、包帯を巻く作業に集中していた。

 

「さて、それじゃ早くこの世界から脱出しなきゃね」

 

包帯を巻き終えた後、私は朱雀に向かってそう言った。

 

「はい、もう既に外殻は崩壊を始めているようです。」

 

世界と言うのは球体の形をしていて、外殻と内殻の二つの幕によって守られている。そのうち、外を守る外殻がもうそろそろ限界なのだ。

 

「そんじゃ、『無限回廊』開くから少し離れててね。朱雀」

 

「大丈夫なんですか?その怪我で」心配そうに朱雀は声を掛ける。

 

「大丈夫だって。これくらいなら」私は笑顔で答える。

 

無限回廊とは、次元世界間を渡る為に使う長距離転送術で目的地の座標さえ分かれば使える簡単な術式だ。

 

「・・・・・ウソ」無限回廊を開こうとした私は、またしてもあの男にしてやられたようだ。

 

「どうしましたか?主」朱雀は私のほうを見ながらそう聞いてきた。

 

「空間凍結が掛かってる・・・これじゃ、この世界からでれない。」

 

私の言葉に朱雀はただ黙っているだけだった。いや、違う多分何もいい提案が出来ないんだ。

 

だけど、私は一つだけ方法を知っている。でもこれは、かなり危険だし下手をすれば異世界の間に取り残されるし、最悪死ぬかもしれない。それでも・・・・

 

「朱雀、最後まで私についてきてくれる?」私は覚悟と決意を込めて、朱雀に話しかける。

 

朱雀は、私の顔を見てどうやら察しが付いたみたいだ。

 

「ええ、僕はどこまでも主についていきますよ」

 

「さすが、私の相棒♪」そう言って私達はお互いに手を繋ぐ。これからやる事は、凍結された空間を無理矢理こじ開けて無限回廊を開いて脱出するとゆうものだけれど、何分不安定な所に無限回廊を開くからどうなるか分からない。それでも・・・・ここで、死ぬよりは100倍もマシだ。

 

「行こうか?朱雀」

 

「はい、主」

 

私達は言葉を交わすと、黒い空間の穴にとびこんだ。 こうして、第一管理世界「ネセリウス」は崩壊をむかえた。

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<あとがき>

 

アニメの再放送を見て、何か書きたくなったんで書いてみたモノです。

 

なのはと言っているのに原作メンバーが一人も出ていないと・・・何やってるんだかOrz

 

そんな訳で、誤字脱字があれば教えてください。ただし、冷やかしとか批判とかは勘弁してください。(TT) それでは、また

説明
これは、私が本当の『人』として生まれ変わる切っ掛けをくれた3人の少女達との触れ合いの物語。

魔法少女リリカルなのはの再構築モノ。
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