魔神達の幻想入り 第30話
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シャドー団を倒し、デオキシスを見事捕らえた俺達は永遠亭で少し休んでいる。

バルトも目を覚まして無事でいたが、何よりも天人という者がこの世界にもいるという信じられれぬ事実を聞いて驚いた。空の上にも世界があるというのは童話くらいだろうけど、本当にあったなんて・・・。それだけで俺の身が震える。

もう1人もそうだ。かぐや姫本人に出会えたのだから、この世界はもうなんでもありということがハッキリと分かった。

永琳「それじゃあこっちに来てちょうだい。すぐに始めるわ」

ジュウゴロウ「はいよ・・・」

俺は研究室へ吸い込まれるように入っていった。

 

10分後・・・

 

バルト「会長さん、遅いですね・・・」

エビス「もう少しで終わるっていってたけどなぁ・・・あ!来たで!」

俺が研究室から息を切らしながら出てくる。

ジュウゴロウ「お、おい、誰か・・・水・・・(バタリッ)」

バルト「会長さん大丈夫ですか!?」

鈴仙「はいこれ、水!」

ジュウゴロウ「すまない・・・・・・よし、落ち着いた」

エビス「随分と派手にされたんでっか?」

ジュウゴロウ「地獄よりも先を見たぜ。・・・そういえば咲夜はどうした?さっきまでいた筈だか・・・」

永琳「先に帰るって言ってたわ。はい、お約束の薬よ」

ジュウゴロウ「ああ・・・これで俺も不老不死になるんだな?この薬を飲んだら・・・」

永琳「ええ、心臓にナイフが刺さっても死にはしないわ」

ならばすぐにと俺は蓬菜の薬を口へ放り込んだ。これで俺も不死身の男である。(蜘蛛男的な意味で)

そろそろ俺も帰ろうと立ち去ろうとしたその時、外から霊夢と萃香が息を切らしながらやってきたのだ。

萃香「もう残っているといったらここしかないよね、霊夢・・・」

霊夢「私に言わないで。お賽銭がかかってるんだから・・・」

何かの依頼でもされたかのようだ。

ジュウゴロウ「・・・何の用だ?」

霊夢「化け物を探している途中よ。手がかりがあれば即座に聞かせてもらいたいけど・・・」

化け物?それってまさか・・・

ジュウゴロウ「悪い、それ俺が捕まえた」

霊夢「あっそう、捕まえ・・・はい!?」

ジュウゴロウ「俺がもう捕まえちゃったから、お前の役目は終わりなわけだ」

そんな馬鹿なとショックを受ける。

霊夢「何よそれ!!これじゃあ骨折り損のくたびれもうけじゃないのよ!!だいたい私はこの世界の主役よ!?何であんたに全て掻っ攫われるわけ・・・」

次の瞬間に霊夢の視界がほんの一瞬だけ白くなる。

霊夢「・・・私は何をしてたんだっけ?」

ジュウゴロウ「今すぐお家に帰るんじゃなかったのか?」

そういうと思い出したかのように手を叩き、潔く外へ出て行った。その一瞬とはなんなのかというと、俺はその時にフラッシュマシンで記憶置換させたのだ。

ジュウゴロウ「んで、萃香はこれからどうする?お前も草臥れてるんだろ?」

萃香「じゃあ、疲れたからここで寝る」

そう言ってから3秒で夢の世界へ行ってしまった。っていうか、こんなとこで寝てたら他の皆が・・・

仕方なくこいつをどこかへ放り込んでおくことにしようと担ぎ上げる。

ジュウゴロウ「んじゃあなお前等。世話になったぜ」

永琳「たまには遊びに来てちょうだいね。フフッ」

正直言って、もうお前の顔は見たくない。それが俺の本音だった。

萃香はとりあえず博麗神社の鳥居に置いておき、これで俺は帰宅できるようになったと、快楽を得ながら紅魔館へ戻ろうとする。すると、

映姫「ジュウゴロウさん」

突然映姫と親父が俺の前に現れる。

ジュウゴロウ「何か用か?全て終わったはずじゃないのか?」

映姫「カドマツさんが最後に頼みがあると申し出たので貴方を迎えに来たのです。着いて来てくれませんか?」

ジュウゴロウ「何処へだ?」

親父「君の母親の元へだ」

それを聞いた俺は目を丸くする。めんどくさいと言いそうになるが、俺は仕方なく三途の川までついていくことにした。

 

 

到着した先には小町が手を振って待っていた。

しかしお袋か・・・俺はその素顔をまだ見ていない。産んでから死んだのだからどんな顔だろうか・・・。

俺は頭がボーっとしそうになっていた。もう疲れが限界だからとかではないのに・・・。

映姫「小町、もう用意はできてますね?」

小町「もちろんですよ閻魔様」

どうやらすぐに会えそうだ。と、その時に映姫が俺にこんなことを話してくる。

映姫「このまま先を進みますと、貴方の母親が待っています。時間は5分しかありませんのでそれまで言い残すことの無いようにしてください。時間が経てばこの蛍が貴方の前に現れますので、それを合図に・・・」

ジュウゴロウ「分かった・・・ってか、親父は見ないのか?」

親父「彼と2人きりにしてもらいたいと頼んでいるから、私は行かないつもりだ」

ジュウゴロウ「そうか・・・んじゃあ、行って来るぜ」

俺は濃い霧の中へと進みだした。

その霧の深さは異常で、前がよく見えない。霧払いでもしようかと思っているが、生憎俺のポケモンには霧払いできるポケモンはいなかった。

そう思っていると、目の前に女が現れる。

ジュウゴロウ「・・・御袋・・・?」

髪は腰まで長いポニーテールで青い瞳、そして白と青のカラーからにしては雪国ポケモン、ユキメノコをイメージするような浴衣を着ている。

ハッキリ言えば綺麗な人だった。

ジュウゴロウ「・・・ほんとに御袋なのか・・・?」

御袋は頷いた。気がつけば俺は御袋を抱きしめており、泣いている。

ジュウゴロウ「お・・・御袋ぉ・・・」

悲しみならよくあるが、泣くなんて一度も無い。堪えきれない涙が溢れ出ている。

御袋「・・・ジュウゴロウ・・・私の息子・・・」

御袋は俺の耳に向けて名前を言った。

御袋「私は貴方に会えてよかった・・・そして、きっと私の元に来てくれるって信じてたわ・・・」

ジュウゴロウ「俺もだ御袋。会えてよかった・・・」

その後に俺は、生きてきた思い出や仲間のことを全て話す。御袋は嬉しそうに聞いてもらい、自然に俺の涙は止まっていく。

その時、俺の周りに1匹の蛍が飛んでくる。どうやら戻らなければならないようだ・・・。

けど俺は忘れない。お袋の笑顔は絶対、俺の心に収められたのだから心配ない。

ジュウゴロウ「御袋、俺はこれからも生き続ける。仲間と一緒に戦い続け、真のチームを作り上げるよ」

御袋「フフッ、相変わらずね。それじゃあこれをプレゼントしてあげるわ」

そう言って御袋が取り出したモンスターボールの中には、ユキメノコが入っていた。愛用のポケモンのようである。

ジュウゴロウ「親の形見ってか?」

御袋「そういうこと。名前はヒユリってつけているから、大切にしてちょうだい」

おまけに名前付きだそうだが、そろそろ俺は行かなくてはいけない。

ジュウゴロウ「御袋・・・俺はそろそろ行くぜ」

御袋「頑張ってね、ジュウゴロウ・・・」

俺は頷き、もと来た道へ歩き始めた。後ろを振り向かず、俺は前へ前へ進みだす。

そして俺の姿が御袋の視界から消えようとしたその時、

ジュウゴロウ「御袋!」

俺は言った。

 

 

 

産んでくれて、ありがとな・・・

 

 

 

親父「・・・よく戻ってきたな、御袋に言い残すことは無かったか?」

ジュウゴロウ「何も残さずさ。親父もそろそろ行かなければならないんだろ?」

親父「そう言うことになるな・・・」

やはり親父も御袋と一緒に帰るようだ。けど、これからは夫婦一緒で幸せにしていけるだろう。きっとそうだ。

映姫「それではカドマツさん、そろそろ・・・」

親父「ああ・・・。ジュウゴロウ。最後となるが、お前にこのポケモンを託そう」

御袋だけでなく、親父もポケモンを俺に渡した。あの時使ってたリザードンである。

親父「まだダークポケモンだが、お前ならリライブできる筈だ。受け取ってくれるな?」

ジュウゴロウ「・・・親を知った俺が受け取らないとは言わせないぜ」

ボールを受け取ったあとに俺はグッドサインを出す。

親父「それじゃあジュウゴロウ。さよならだ・・・」

ジュウゴロウ「御袋と幸せにな・・・」

親父は霧の中へ消えていった。残ったのは俺と映姫の2人だけとなり、映姫は「仕事がありますので失礼します」とすぐに立ち去った。

さぁ、俺も帰るとしよう。皆の待つ紅魔館へ・・・

 

 

闇の世界となっている夜、俺は早く寝ようかと門をくぐろうとする・・・が、俺は念のためにも除いた。

美鈴「Zzzz・・・」

あーあ、やっぱり寝てるじゃねーかこの睡魔女が。

渇をするのも面倒になってきたし、今回は咲夜に頼んでもらうことにしようと門をくぐって、館の中へ入る。

レミリア「おかえりジュウゴロウ。助っ人は役に立てたかしら?」

ジュウゴロウ「・・・どうだろうかな・・・」

俺は知ったかぶりをして立ち去ろうとした。のだが・・・

サイ「僕の真似しようとしても駄目ですよ、会長さん」

サイもいつからか帰宅していながらも笑っている。やれやれ、お前には敵わんな・・・。

ジュウゴロウ「でもまぁ・・・これで俺はゆっくり休めるんだし、飯を食って早く寝るとでも・・・」

レミリア「残念だけど、それは無理よ」

 

・・・は?

 

フラン「ジュウゴロウ、遊ぼ〜♪」

ジュウゴロウ「イ゙ェアアアアア!!」

 

 

俺の目の前が真っ白になった!▼

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第30話でした。

まさかの母親が登場!やっぱり夫婦は優しい人だったのだと自分も思わせてくれました。

よかったねジュウゴロウ・・・それだけが何よりの一言です。

次回31話もどうぞご期待ください。

説明
ポケットモンスターの世界に住むトレーナー達が幻想郷へやってくる不思議な物語。
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