「ここなら、道は一つしかないから、敵は嫌がおうにも一対一で戦わざるを得ないからな」

一刀はデンオウベルトを腰につける。

「さてと、まだこないかな〜」

一刀はライダーパスをお手玉のようにして遊んでいる。それから約一時間後、曹操軍がやって来た。

「やっときたか〜」

赤いボタン押してないのに何故かモモタロス状態に近い一刀。

「誰がどんな風に来るのかな？」

一刀は様子を見て電王のフォームを決めようとしているのだ。

「さてと……」

とりあえず敵の大量撃退のためガンフォームになろうと紫色のボタンを押した。

「変身」

「ガンフォーム」

一刀は電王ガンフォームに変身し、曹操軍を撃ちまくる。

敵が乱れたとして、さきにねねを撤退させて、鈴々、恋と共に殿の殿として残った。

一刀はいったん変身を解いて、またベルトをはめなおした。

そして一刀は敵将が夏侯惇、夏侯淵、張遼、許緒の四人だと知る。

鈴々と恋、一刀が夏侯惇達と対峙した。

そんな中旧友である恋と張遼が話をすると一刀の話になる。

「ふむ。ウチもその一刀って奴に会いたくなってきたわ」

「おいおい、本人はここに居るぜ」

張遼は今まで一刀の存在に気付いておらず、一刀の声でようやく気付いた。

「うおわっ！？」

「俺が恋が恋している相手のご主人様の北郷一刀だ」

「あんたが、噂の……」

「ああ、しかしお前……変わった口調だな。何で関西弁？」

「はぁ？　かんさい？」

「ま、俺の居た世界の地方の言葉に似てるってだけだが、関西弁なら関西弁だ！」

一刀は黄色のボタンを押した。

「泣けるで！」

一刀はキンタロス状態になり四股を踏む。

「いくでぇ！　変身！」

「アックスフォーム」

一刀は電王アックスフォームに変身。

「俺の強さは泣けるでぇ！」

「ほな、その強さを見せてもらおうか！」

一刀と張遼の武器が激しくぶつかり合った。

一刀が張遼と戦っている間、鈴々と恋は夏侯惇、夏侯淵、許緒と戦っていた。

鈴々と恋はかなり健闘しており、特に鈴々の活躍はすごくその闘気で敵を圧倒していた。

その間にも一刀と張遼は未だに激しくぶつかり合っていた。

「くそ！　思ったよりやるやないか！」

「言うたやろ！　俺の強さは泣けるってな！」

「フルチャージ」

一刀はライダーパスを通して、フルチャージし、そのオーラエネルギーがデンガッシャーアックスモードにエネルギーが溜まる。

「これで終いにしたる！」

「それはこっちもや！」

一刀と張遼は距離を取り、そして二人は走り出した。

先に攻撃をしてきたのは張遼である。張遼は偃月刀を斜めから振り下ろすが、一刀はデンガッシャーを上空に投げた。

「この攻撃を受ける気か！？」

「そんなつもりはあらへん！」

一刀はデンガッシャーの後を追うように飛び上がり、張遼の攻撃を間一髪避けた。

そして一刀は空中でデンガッシャーを手に取り、そのまま落ちる勢いを利用して張遼目掛けてデンガッシャーを前にして、仕掛ける。

その勢いは早く張遼は防御を固めるために偃月刀を盾にするが、フルチャージされたデンガッシャーは偃月刀を真っ二つにした。張遼は得物を完全になくした。

「ダイナミックチョップ」

一刀は技が決まった後に、その技の名前を言った。

「ウチが負けた……」

「まあ、そういうことやな」

一刀と張遼の戦いが終わったとき、夏侯惇は鈴々に捨て身の攻撃を仕掛けようとしたときであり、その時曹操がやって来て夏侯惇を止めた。

「待ちなさい春蘭。私の許可なく死ぬ事など絶対に許しはしないわよ」

「しかし！」

「下がれ春蘭！　そして武器を置け！　これは命令だ！」

「は、はっ！」

「秋蘭、軍を下がらせろ！　これ以上張飛を刺激しても何もならん。無駄な損害を増やすだけよ」

「しかし御身になにかあっては…」

「何も無い。……でしょう？　張飛」

「様子見なのだ」

「だそうよ。下がらせろ、秋蘭」

夏侯淵は曹操の指示通り、軍を下がらせた。

「何考えてるのだ？」

「何も。…ただあなたの誇り高さを愛おしいと思っただけよ」

「鈴々にその気は無いから、そんなこと言われても困るのだ」

「流石にそういう意味じゃないでしょ」

そこに電王アックスフォームに変身中の一刀と戦いに負けた張遼が来た。

「ええ、そうよ。ところであなたは……」

一刀がベルトを外して元の姿に戻る。

「やはり北郷一刀だったのね」

「久しぶりだね、曹操」

「霞が一緒に居るという事は霞に勝ったという事ね」

「まあな」

「なあ、華琳……」

張遼がなにやらモジモジして何かを言いたげなしぐさをするが、曹操は張遼が何が言いたいのかはわかっていた。

「その男の下に行きたいのでしょう？　いいわよ」

「ホンマか！？」

「ええ。あなたはその男に負けた。そして奪われてもおかしくない命も助けられた。それでその男の下に行くには充分な理由よ」

「華琳……」

「それにその男に惚れたでしょ？」

「わかる？」

「わかるわよ」

「ははははは……」

一刀は少々苦笑いをした。きっとまた愛紗に怒られだろうと思ったからだ。

「北郷一刀。劉備に伝えなさい。今回は逃がしてあげる。…更なる力をつけて私の前に立ちはだかりなさい。その時こそ決着の時。

あなたの理想の力がどれほどのものか…楽しみにしていると。そう伝えなさい」

「……わかった」

「お兄ちゃん、信じて良いのか？」

「華琳はそんな嘘は言わへんよ」

「我が魂にかけて」

「……だそうだぜ」

「それと霞…」

「わかっとる。次は敵同士であっても手加減はしないやろ？」

「ええ、そうよ」

「それはウチも同じや。ほな……」

「それじゃあ、俺達も撤退するか……」

一刀、鈴々、恋は張遼を連れて、撤退した。

「しかし本当にいいのか？　俺について来て…」

「何言うとんのや。ウチはあんたに惚れたんや。あんたについていくのはおかしいことやあらへんと華琳も言うとったやん」

「……まあそうだけどな」

一刀達はねねと合流して、張遼が一緒に居る経緯を説明し、速度を上げて、桃香達の後を追う。

一刀が桃香達と合流したのはもう夜であり、桃香達は益州の城の一つに入っていた。

「ご主人様っ！」

桃香が帰ってきたばかりの一刀に抱きついてきた。

「うわっ！　桃香」

「ご主人様、ご主人様、ご主人様〜……！」

桃香はずっと離れ離れでようやく親に会えた子供のように泣きながら一刀に抱きつく。

「ただいま、桃香……」

一刀は自分の胸に頭を寄せる桃香の後頭部を優しくなでる。

「心配かけたね。けど、約束どおり、ちゃんと戻ってきただろ？」

「うん……うん……良かったよぉ……！」

「いくらなんでも泣きすぎじゃないか？」

「ぐすっ……ごめん、でもね、嬉しくて……」

「でも俺も皆にまた会えて嬉しいよ。大丈夫だったか？」

「主こそ。それに鈴々、恋、ねね。…ご苦労だったな」

「無問題なのだ！」

「……（コクッ）」

「このくらい、ねねにとっては朝ごはん前なのです」

「何か妬けるな〜」

後ろにいた張遼がようやく声を出す。

「お主は……」

「ああ、これにはちょっとした事情があってね……」

一刀が張遼が居る理由をその場に居る皆に話した。

「なるほど、さすがは主…。ところで主よ……」

「ああ、状況は？」

「はい。現在、私達は益州の国境近くにある、このお城に入城してます。

入城は速やかに、そして穏やかに進みました。思った以上に州牧である劉璋さんから人心が離れているという事でしょう」

「ってことは戦闘はならへんかった？」

「城内の住民たちが諸手を上げて歓迎してくれた。もはや劉璋を認めるものは居ないかもしれん」

「それはそれで可哀想だが…。ところで愛紗と雛里はどうした？」

朱里から話を聞くと、二人は北方に現れた謎の部隊の確認に向かったとの事であるが、話しているうちに愛紗達は帰ってきた。

「ただいま戻りました、桃香様。そして…お帰りなさいませ、ご主人様」

「ただいま。約束どおり帰ってきたよ」

「はい。信じて…おりましたよ？」

「疑問系のように聞こえるが…、ま、いっか。ありがとう、愛紗」

「やっぱり、妬けるわ〜」

「お前は……張遼」

「よう、関羽」

「ご主人様、こやつは曹操軍の者の筈。何故ここに？」

（また説明だ）

一刀は帰ってきた愛紗と雛里に事情を説明した。

「そうですか……」

愛紗はなにやら複雑そうな顔をしていた。

「まあそれはそうと謎の部隊って……」

「部隊を率いる者の名は馬超。世に名高い錦馬超だ」

「馬超って……この前華琳に……」

「ああそうだ。お前が前まで仕えていた曹操に馬騰は殺されたんだ」

一刀や張遼の後ろから声が聞こえ、後ろを振り向く。そこには噂の馬超がいた。

「馬超。待っていてくれと言ったはずだが……」

「あまりにも遅かったからさ。何か揉めてんのかと思って……ごめんな」

「ううん。大丈夫だよ。あなたが馬超さんだね。私は劉備。字は玄徳！　よろしくね♪」

「よ、よろしく」

いきなりフレンドリーな態度の桃香に馬超は少々戸惑った。

「それで…その錦馬超がどうしてここに？」

「戦いに負け、行き先もなく流浪していると途中で関羽に会ってね」

「勝手ながら我らの仲間にならないかと勧誘したのです。そのために一度、我らの主に会って欲しいと」

「俺は北郷一刀。一応、桃香達のまとめ役ってところかな？」

「……あ、あ、あ」

「うん？」

「いや、あ、あ、あ、あの、その……」

「はは〜ん」

張遼が馬超の気持ちを見抜いたかのように納得していると…。

「クスクスッ、お姉様ってば、お顔真っ赤にして恥ずかしがっちゃってぇ〜♪」

「た、たんぽぽっ！　余計なこと言うな！」

「えへへ、はーい、ごめんなさーい♪」

「あら〜馬岱もおったんかいな〜」

「馬岱？」

「あたしの従妹だよ」

「何か嫌な顔も居るけど……」

「まあウチのこと嫌ってるのも無理は無いな」

張遼はその西涼侵攻の時に馬超、馬岱と顔を合わせて戦っていたので、嫌われていても無理は無い。

「ま、でも今は曹操軍じゃないからいいや。皆さんよっろしくー♪」

「よろしくー！」

「よろしくー♪」

一刀と桃香は馬岱のノリと合わせる。

「それでお姉様？　仲間になるって決めたのー？」

「まだ分からんって。先走ったこと言うな」

「えー。でもたんぽぽ、もうお腹減らして歩き回るのイヤだよぉ〜」

（どうやら恋達と同じ状況みたいだな）

馬超は悩む。そこに愛紗が一声かける。

「家臣という訳ではない。ただ仲間として、私達の理想に手を貸して欲しいんだ」

「理想？」

「皆仲良く、平和に暮らせる世の中を作る事！　それが私達の理想だよ♪」

「あんたらの理想はこれだったのかいな？」

「ああ、それをわかって付いて来たのかと思ったけど？」

「いや、ある程度は分かったとったけどな……」

張遼は曹操軍とは何か別のベクトルの理想で動いていた桃香達をある意味感心した。

「今の世の中、どっかおかしいのだ。力があればどんな事でもまかり通るのなら、力の無い人たちには地獄でしかないのだ」

「だからこそ、圧政に苦しみ、日々の暮らしの中で笑顔を浮かべる事さえ忘れてしまった人々を助け…そして共に笑って暮らしたい。私達はそのために戦っているのだよ」

「……話は分かる。けど、力で理想を実現しようとするあんたらだって、傍から見れば、他の奴らと一緒じゃないのか？」

「だろうね。確かに俺達は力ずくでやっている。だけどそれは皆わかってる。だけど俺達の目指してる道が、みんなのためになるんだって信じてる。

少し変な言葉を言うけど、力なき正義は無力。正義なき力は暴力。俺達はそのどちらでもないものを使って、戦ってるんだ」

「そんなことして、あんたらに何の得があるって言うんだよ？」

「みんなの笑顔を見るだけでも充分得になるよ」

「そうだよ」

一刀の言葉は皆も同じ意見を持っていたので同意する。

「ははっ。そんな夢物語を、この乱世の時代に思い描いている奴らがいるとはね」

「まあ、ウチはそういうの嫌いやないで」

「乱世だからこそ、夢を忘れるわけにはいかないんだよ」

「確かにね…」

馬超は皆の言葉を聞いて、一刀達の仲間になる事を決めた。

そして馬超と馬岱、そして一刀についてきた張遼は皆に真名預ける。馬超は翠、馬岱は蒲公英、張遼は霞（しあ）である。

こうして一刀の陣営はまたにぎやかになった。