『想いの果てに掴むもの 〜第9話〜』
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真・恋姫無双 二次制作小説 魏アフターシナリオ

『 想いの果てに掴むもの 』蜀編

  第9話 〜 出逢いと遭遇そして再会〜

 

 

 

ガサッ

 

「はぁはぁはぁ」

 

ザサッ

 

シュッ

 

「ひぃぃぃーーー」

 

俺は必死に、追撃をかわしながら逃げ走る。

"氣"を用いた疾走は、他人の追随を許さない速度が出る。

だが追撃者は、そんな俺にあっさり追いつき、しとめるべき攻撃を仕掛けてくる。

 

「これ、おまえ、急ぐのです」

 

俺の両手の中の緑髪の女の娘が、涙目に強気で命令をする。

この軍服のようなイメージの服を着た子は、俺に必死にしがみ付いている。

強気の命令も、恐怖から逃れるためのものかもしれない。

俺はそんな娘を放さぬよう、見放したりはしないと決意しながら、

恐るべき追撃者でから必死に逃げまとっていた。

今の俺には、風も護衛の兵も付いていない。

頼れるのは自分の身一つ

何でこんな事になったんだろう。

ついさっきまでは、平穏だったんだけどな

危機を乗り越えねばならないのに、現実逃避が頭に浮かぶ

 

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許昌を出て半月、成都まで後1日と言うところまで、俺と風が引き連れた隊は来ていた。

 

「思ったより、早く来たな」

「そうですねー、お兄さんが、これだけの小隊で長期間動く事はなかったから、そう感じるのですよー」

 

俺の言葉に隣の風が答えてくれる

 

「まぁ、少数のほうが小回り利くから、いろいろ準備も早いのが原因なのか、ほんの少しの差でも、

 長期間となると、それだけ影響するってことかな」

「そうなのですよー」

 

風の言葉に、俺は判りきっていた事を再確認する。

頭の中で判っていても、やはり長年暮らしてきた感覚って言うのはなかなか消えない。

俺の世界では、車で一日、二日の距離でも、この世界では月単位かかってしまう。

そこに集団行動となれば、その差は開く一方だ。

俺はまだまだ、この世界の住人になれていない事実を噛締めた。

 

「ではお兄さん、今日は目の前の村で泊めさせていただくのですよー」

 

風の言葉に頷き、馬を進める

村は、比較的大きな村で150戸ぐらいあるだろ。

村自体が大きな楼閣で30〜80戸くらいで一つ楼閣として、大中小の3つの楼閣があった。

楼閣はドーナツ型で、外方の襲撃に備える形になっている。

俺達を迎えてくれた楼閣は、中規模のところで、代表者の老人に、敵意が無い旅人だという事を話し、

魏の使者の隊と知ると、警戒心を解き、楼閣内に迎えてくれた。

老人は最初、俺達を歓迎する宴を開くと言ってくれたが、その必要は無いと丁重に断り、気持ちだけ頂く

事にした。

大きな楼閣には、なにやら成都の兵が来ており、むやみ関わりあうのは良くないだろうと判断

部屋の中でヘルメットだけ外して体を休めていると、老人が尋ねてきて、宴の変わりにせめて湯浴みをと、

薦めてくれた。

さすがに、これを断るのは失礼と思うし、正直はいりたいとも思っていたので、それを心から感謝する旨

を伝える。

 

「風からどうぞ、俺はちょっと中庭を散歩してくる」

「はいはいなのですよー

 でも、お兄さん判っているでしょうけど、一応用心しておいて欲しいのですよー」

 

風の言葉に、俺は判っていると言わんばかりに、刀(真剣の方)を腰に差してみせる

俺は隣の部屋に待機している兵に、風の身辺警護を頼み、俺は中庭を散歩する旨を伝える。

中庭に下りると、そこには、大人や子供達がそれぞれ生活をしていた。

隅の方で、なにやら作業している男達、食事の支度をしている女性、子供達も大きな子は体を動かし、

小さな子は邪魔にならないように遊んでいた。

ここは、楼閣一つが一つの小さな村であり、巨大な家族なんだと伺わせる光景だった。

・・・家族か・・・あの夢で家族を捨てる事を覚悟した俺に、そんな事を言う資格は、もう無いんだろう

なと思う反面、羨ましいと思う気持ちも湧き上がる。

 

トンッ

 

そんな事を思っていると、足元に何かが当たり転がる。

見ると、鞠・・・いや、布を丸めただけの玉が転がっていた。

持ってみると以外に硬く重い、きっと中に何か入っているんだろう。

ボールを転がってきた方を見ると二人の男の子がこちらを見ていた。

きっと玉遊びをしていてこちらに飛んできてしまったのだろう。

俺はその二人に、玉を返すと、二人はまた玉遊びを再会する。

キャッチボールみたいなものだろう、お互いが投げた玉を受けあいっこしている。

それをしばらく見ながら、昔親父とキャッチボールをしていたことを思い出す。

放任主義ながらも、俺を愛してくれた両親、褒めるところは褒め、叱る時は叱ってくれた。

もう会うことはできない今では、感謝と申し訳ないと思う感情が浮かぶ。

そんな事を思っていると先ほどの二人が、楼閣の入口に立っている。

俺は近づいてみると、俺を警戒してか、子供達は、何もしゃべらなかった。

仕方ないので、俺は子供達が見ていたほうを見ると、さっきの玉が転がっている。

どうやら、あれを取りに行きたいのだが、何らかの事情で、勝手に出てはいけないようだ。

確か門番がいたはずだが・・・・あっ、いた

周りを見渡すの、さっきまでいた男が、作業していた男達と談話をしている。

しかたない、俺は楼閣を出て、その玉を拾い、子供達に向かって投げてやると。

 

「あ、ありがとう」

 

そう言って、また中に戻っていった。

周りを見ると、少し先に森林その奥には、写真でした見たことしかない槍のような山がそびえていた。

とりあえず、安全そうだ、俺は周りを見回してそう確認する。

俺は鍛錬を始めるべき刀を抜く、薄目にし、軽く瞑想を行う。

心の中に、己と周りを写すべく鏡のような湖面を浮かべ、そこに一滴の雫を垂らす。

水滴は、湖面に波紋を生じ、その波紋が広がると同時に、自分の中が切り替わるのが判る。

一足飛びに出来ない事は無いが、時間がある時は、必ず、この手順をとるようにしている。

このほうが、自分の中で締まるのが判るからだ。

刀を構え、型を一通り行う。

"氣"の移動は、この半月強で、すでに無意識レベルまで持ってきている。

次に、"氣"の凝縮の限界まで足の裏に溜めてみる。

"氣"で力が強くなったとはいえ、皆に劣る事に違いは無い、足りないものを補強するのも手だが、

俺の戦闘方法としては、力より、速さや鋭さを重視した方が良いと凪が判断してくれた事もあり、

俺は、"氣"の鍛錬を速さに重きを置いていた。

その一つとして、"縮地"を鍛えていた。なれれば戦闘中連続し続けて出す事が可能らしいが、そんな仙人

じみた事には興味は無い、何よりそこまでの"氣"の量が無いからだ。

今の俺には通常の速度の強化と、"縮地"とそこから繰り出す技の連結を鍛える事の方が優先だ。

数度試したところに、声が聞こえてきた。

俺は"氣"を止めて、耳を傾ける。

 

「うん、こっちか」

 

そう判断し、楼閣と森林の間の方から聞こえてくる声の元に向かう。

 

「・・殿ーー、・食・・・・、・・・・かー」

「・・殿ーー、夕・です・・、どこです・・」

 

やがて、声の主を見つける、どうやら、誰かを探しているようだ。

近づく俺に気がついたのか、呼びかけをやめ、こちらを向く

声の主は、緑の髪を腰までおろし、軍服のようなものを着た、女の娘だった。

はて? 何処かで見たような・・・

 

「誰か、探しているの?」

「おまえ誰ですか、何処かで見たような鎧ですが、ここらは危険なのです、とっとと帰りやがれなのです」

 

俺の掛け声に、少女は、俺を キッ と睨み付け言う。

まるでおまえには関係ないというように、

まぁ、たしかに関係ないけど、今、気になることを言って無かったか?

 

「今、危険と言ったけど、何が危険なんだい」

「おまえ、知らないのですか? 此処らはここ最近」

 

ガサッ

 

近くの木々の音に、会話をやめ、そちらを向くと、

 

「ぐるるるるっ」

 

巨大な虎がこちらを狙っていた。

 

「へ?」

 

俺の間抜けな声をあげる。

あまりの出来事にその事態を脳が否定しているのだ

そんな俺をよそに、少女は後ろ向きで虎を刺激しないように、ゆっくりと後ろ足で下がってくる。

やがて、俺に当たると、やっと事態を飲み込めた俺と、俺を見上げた少女の視線が合う。

とりあえず、悲鳴を上げたいが、まだそのあたりは麻痺しているのか、俺は冷静に

心の中に水滴を落とし、"氣"を足に送る。

女の娘を両手で持ち上げると、まっしぐらに、楼閣に向かって走る。

走り出せば、それにあわせるように、麻痺していた感情も次第に取り戻す。

 

「なんで虎がーーーーーーー!」

「がぁぁぁぁぁぁっ」

 

俺の叫びの声と共に、虎もこちらに向かって走る

 

「あれが出るから危険だと言ったのですっ!」

「いまさら、そんな事言われても遅いわーーーー!

 寅年か、寅年だから虎に遇うのかっ」

「何を分けのわからないこと言ってるのです。いいから早く楼閣へ逃げ込むのです」

 

とにかく、少女を両手でかかえ、楼閣に向かってひた走る。

だが、悲しいかな、こちらは二本なのに対してあちらは四本の足を持ってらっしゃる。

いくら"氣"で強化をしたところで、速度は向こうの方が上、虎は俺たちの逃げ道に先回りしたため、

俺はそのまま弧を描いて、森の中に逃げ込む。

 

「こら、おまえどこへ逃げてるのです、楼閣はあっちです」

「だあぁぁぁ、無理だからこっちに来たのどわぁぁぁぁ」

 

いつの間にか追いついて来た虎を、木々を盾にして逃げる。

でもいかんせん、人間は森の中を走るようにはできていない。

このままでは追いつかれるのは時間の問題だか、確かこのすぐ先に・・・・

俺は来る途中で見つけた景色の中から、目的の場所まで必死に逃げ込む。

 

ザッ

 

森を抜けると、そこは竹林だった。

その中に逃げ込むと、予想通り虎は、太い竹にその巨大な体を妨げられ思うように進めないでいる

 

「よし、ここなら」

「なるほど、ここなら、あれを引き離せるですね。おまえ意外に冴えているのです」

「世辞はいいから逃げるぞ」

 

そんな竹林もそう長くは無く、俺と少女は楼閣の近くを流れる川に追い込まれていった。

 

「虎って、泳げるんだよね」

「何を当たり前の事言っているです。早くこの状況を何とかするのです」

 

俺の質問に涙目に少女は答え懇願する。

俺は、このまま逃げ切るのは無理と判断し、覚悟を決め、両手で抱えた少女を降ろす。

 

「まさか、ねねが襲われている隙に」

「そんなことしないよ、絶対」

 

俺の行動に、喚く少女に、俺は精一杯の笑顔で答える。

少女を背に俺は刀を抜く。

そこへ追いついてきた虎が、刀を抜いた俺を警戒して足を止める。

 

キーーーン

 

俺は超特急で意識を色の無い世界へ放り込む。

相手は、巨体で素早く生命力も高い。

今の俺では、まともにやりあったのでは、この少女を守りながら戦い勝つ事など不可能だろう。

なら、どんな手でも使うまでだ。

俺は、"氣"を送り続ける。

今必要なのは時間だ。

俺は虎が襲いかかろうとするたび、睨み付け牽制を入れる。

だが、そう長くは持たないだろう。

だがそれで十分、時間にして十秒程だろう。

左籠手と刀が"氣"を受け薄く光っている。

刀は片手でやや刃先を落として水平に構える

左腕を虎に向かって突き出し、

左手の親指と人差指の間で刀の刃先を添える、

腰を落としやや前屈の構えになる。

縮地に必要な"氣"はすでに装填済み。

今出来る最大の量を足の裏に溜め込んだ。

準備は整った、俺は、左手首内側に隠された仕掛けを発動させる。

そこに溜め込まれた"氣"が一瞬で消費されるのがわかる。

 

カッ

 

「ぐっ」

 

俺の左手から、強力な閃光が前方に向かって放たれる。

強力な閃光に目を焼かれ、呻く虎に向かって、俺は"縮地"を発動させる

 

ダンッ!

 

土埃を舞わせながら俺は一気に虎に突っ込む。

俺はその勢いを利用して、そのまま刀を虎の頭に向かって突き込む!

 

トスッ

 

ドゴッ

 

刀が虎の額に簡単に突き刺さると共に、

俺は突っ込んだ衝撃を殺す事が出来ず、虎に衝突する。

俺と虎は共に地面に倒れこむ。

 

しばらくして起き上がったのは俺だけだ。

虎は脳を刺され、すでに息を引き取っていた。

今のは"縮地"と"突き"を組み合わせた"牙突"だ。

"縮地"と"抜刀術"を組み合わせた"抜刀牙"の次に、組み合わせた俺の切札の一つ。

だが、今のようにそのまま相手に激突していたら意味が無い、本来は一歩手前で止まるのだが

今回は、全力で行ったため、止まる事が出来なかった。

まだまだ、自分のものにはなっていない証拠だろう。

だがそんな事より、俺は自分の手を見る。

脳を突いたため、あまり返り血は付いていないが、震えているのが判る

今俺は、自分の手で、自分の意思で、生き物を殺した事実に驚愕をする。

殺さねば殺される。

それは判っていた事。

頭の中では理解していた。

前は、策で多くの人間を殺した。

今度は、直接、人間大の生き物を殺した。

今、俺は、その事実に恐怖している。

この先、この手で人を殺す事もあるかもしれないという事実を、突きつけられ、恐怖している。

判っていた事だ。

これは、前の時にも、

そして、この世界に戻ると、あの夢の中で覚悟を決めた時にも、判っていた事だ。

だが、それでも思ってしまう。

・・・・・と、

 

「・・弱いな、俺」

 

俺は震えが止まらない手を見つめながらそう、呟く

と、そこへ、少女が、俺の元へやってきた。

 

「お、おまえ、妖術使いだったですか」

 

 

 

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「お、おまえ、妖術使いだったですか」

 

怯える少女の言葉が俺に降りかかる。

 

「違うよ、

 あれは天の国の絡繰で、ただの人間だよ」

 

少女の誤解を解くために、

早くもう安心していいんだと、教えてあげたくて

俺は正直に答える。

しかし、妖術使いか、たしかに事情の知らない人間が見たら、そう思えるかもな

華琳の言うとおり気をつけないと、本気で妖術使いとして処分される日が来るかもしれない。

 

「天の国? って、あぁぁぁぁぁ、何処かで見たと思ったらおまえは」

 

俺の言葉に少女が驚愕の声をあげる。

はて、どうやら俺の事知っているようだ。

うーーん、俺も彼女を何処かで見たような気がするが、いまいち思い出せない。

 

そこへ魏の鎧を来た数機の馬が走ってくる。

あっ、やべっ

 

「「「「 北郷様! 」」」」

「あぁぁ、ごめん探した?」

「とにかくお戻りください」

「ああ、判った。心配かけてごめん」

「とにかく、馬へ」

 

兵士さんは俺に自分の後ろに乗れと催促する。

俺はその背に乗り、別の兵士さんに声を掛ける

 

「えーと、その娘、送り届けてあげて」

「わかりました。して、この虎は?」

「あぁ、それはまた後で話すけど、できれば風に内緒にしてくれると助かる」

「駄目です。我々に無断に外に出て危険に遇われたのです、しっかりと報告させていただきます」

「あっ、やっぱり・・・」

 

兵士さんの言葉に俺は がっくり と項垂れる。

 

「・・・じゃぁ俺はこれで」

 

そう言って、俺は少女と二機を残して楼閣に戻る。

 

楼閣の宛がわれた部屋に戻ると、風はおらず。

俺はスーツから部屋着に着替える。

そこへ家人が、風呂に入るよう進めてくれたので、入る事にした。

お湯に浸かると、さっきの感触を思い出した。

"氣"で切れ味をました剣は、簡単に命を奪う事を俺は知った。

正直怖いと思う。

力を手にするということは、守るだけじゃない。

命を奪う事でもあると・・・恐怖した。

だが、目を瞑れば、さっきの少女に"妖術使い"かと問われ『 違うよ 』と言ったあとの、

一瞬見せた、もう助かったと知ったときの安堵の表情が浮かぶ。

守りたいと思う人達の顔が浮かび上がる。

 

「・・間違いじゃないはずだよな」

 

俺はそう呟き、奪うためではなく、守るために力を磨くのだと、覚悟を決める。

これから何度でも、迷うだろう。だがそのたびに俺は覚悟を決めると思う。

そうでなければ弱い俺の心など簡単に折れてしまう気がしたからだ。

風呂から出る頃は、俺の心は少しだけ、楽になっていた

 

部屋に戻ると、そこに風がいた

 

「ああ、風、戻って」

「お兄さん、そこに座るのですよー」

 

俺の言葉をさえぎって、風は床を指差す。

 

「風、そこ床なんだけど」

「ああ、にいちゃん、座れって言うのがわかんないのか」

「ホウケイ駄目ですよー、そんな言い方では、人を怯えさせてしまうのですよー」

 

と、とにかく、今は言うとおりにしたほうが良い

と本能が囁いたので、風の言うとおり木の床に正座をする。

風は俺の前に来ると、俺の右手をとると、風の小さな手が俺の手を優しく包む

 

「お兄さん、聞いたのですよー

 大きな生き物を直接殺すのは、お兄さん初めてじゃないですかー?」

 

風の言葉に俺は頷く

風はそんな俺を悲しげに見つめると

 

「その手で、命を奪って、どう思いましたか?」

 

風が俺の核心を付いてくる。

その言葉に俺は泣きそうになる。

自分では納得し処理できたつもりでいても、人に言われたとたん、またあの気持ち悪さが俺を襲う

いや、人に言われた分、自分の罪を糾弾されてたように、俺の心に重くのしかかる

俺が答えられずにいると

 

「お兄さんは優しいですから、きっと罪の意識に際悩まされていると思ったのですよー

 でも、お兄さんがやったことは、間違いではないのです。

 あの虎はこのあたりの人を襲っていたのです。

 お兄さんが殺さなければ、きっと、もっともっと多くの人が、命を落としていたのですよー

 だからお兄さんは、罪を感じる必要は無いのですよー」

「でも、風俺は」

 

俺が風に言いかけたとき、俺の頭を風は、その小さな胸に優しく抱きしめる。

俺の頭全体に、風の温もりが感ずる。

俺の耳に、風の鼓動が聞こえる。

 

 

「それでも、罪を感じるというのなら、その罪の半分は、風が受け持つのですよー

 お兄さんは、そんな事させられないと言うと思いますが、それは違うのです。

 風はお兄さんと一緒に生きたいのです。だからお兄さんの罪の半分は風のものです

 これは華琳さまにも譲らないのですよー。風はお兄さんのものですから

 だから・・・・」

 

俺は、風の言葉に、風の温もりに、風の鼓動に、殺してしまって凍てついた心は、

風にあっさりと融かされ、俺は風の言葉を最後まで聞くことはできなくなっていた。

風の優しさに、俺はいつの間にか風にしがみ付いて泣いていた。

そんな俺を風は優しく、頭を撫で続ける

 

そう、やさしく、

 

風の小さな胸は、

 

まるで母親のように暖かく

 

優しかった

 

風の心臓の鼓動は

 

俺のための子守唄のように

 

俺の心を穏やかにさせる

 

俺は、その胸で

 

小さな子供のように

 

ただ、泣いていた

 

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風の胸で泣いていた俺はやがて、落ち着きを取り戻す

 

「お兄さん、落ち着きましたか」

「ああ、みっともないところを、見せちゃったね」

「いいのですよー、風はお兄さんに甘えてもらえて嬉しいのですよー」

 

風の言葉に俺は、いつもの自分に戻っていくのが判る

そしてそのまま静かな時間がすぎたところに

 

「お兄さんは、これからも、きっとこういう事があると思うのですよ。」

「ああ、わかってる、今回は虎だったけど次はきっと・・・でも、お」

「そうですねー、いつか人を直接殺す日が来るかもしれないのです」

 

俺の言い淀んだ言葉を風は、はっきりと言う

 

「風は、お兄さんに、そういうことをして欲しくないのです。

 でもそれが許されない事も出てくると思うのですよ」

「・・・ああ」

「お兄さんに、罪を感じるなと言うのは無理なのです」

「・・・そうかもな」

「だから、お兄さんの罪は風も背負うのです」

「いいのか?」

「いいのですよー、だって、風はおにいさんのものですから」

「・・・・ありがとう」

「はいなのですよー」

 

さっきと同じ言葉、だけどさっきより、

俺の心の奥に、風の言葉が染み渡る。

心の重りは、消える事はないかもしれない。

そしてこの重りは、これからも俺に圧し掛かってくるだろう。

でも、風の言葉に、優しさに、

俺はその重りを抱えたまま、立ち上がるだけの強さを、歩く力を、手に入れた。

きっと風はこれからも、こうやって折れそうになる俺の心を支えてくれるだろう。

それは風だけじゃない。

きっと、みんなが俺を支えてくれると思う。

何度でもくじけそうになる俺を

弱い俺を、みんなが支えてくれる。

だから、俺はこんな俺を支えてくれる皆のためにも、

俺に出来ることを一生懸命やって、皆に返していこう。

俺はそう心の中で覚悟を決める。

 

俺の覚悟が決まると、風は、そっと俺から離れた。

だから、俺はもう一度感謝の想いを篭めて言う

 

「風、ありがとう」

「はいなのですよー」

 

先ほどと同じ返事が返ってきたが、お互い篭った想いは別のものである事が判る。

 

「さてさて、お兄さん」

「ん、なに? 風」

「お兄さんは何で、外で虎と戦っていたんですかー?」

 

いつもの俺に戻れたところに、風の問いかけが来る。

・・・・やっぱり忘れてないよね

 

「えーーと、外で鍛錬してたら女の娘がいたから、なにしているのかと思ったところに虎が」

「風は、そんな事聞いているのではないのですよー」

「う¨・・・子供達の鞠が外に飛び出たから、それをとってあげようとして」

「門番さんのお仕事を奪ったのですかー」

「う¨」

 

風は俺の言い訳の痛いところを付いてくる。

うん、これでは、以前華琳に怒られた事を、全然生かしてないな俺・・・

 

「しかも、お兄さんは、そのまま戻らず、無断で外で遊んでいたんですよねー」

「い、いや遊んでいたわけじゃ」

「お兄さん、風はこれでも怒っているのですよ」

「はい」

「お兄さんに、鍛錬するなとは言いません。

 ですが、外に出るなら出るとなんで言わないのですかー」

「それは、俺の鍛錬に、わざわざつき合わせるのも悪いと思って」

「それは、お兄さんが考える事じゃないのです。

 護衛に付いた彼等は、それがお仕事なのですよ

 お兄さんは、彼等からお仕事を取り上げるつもりなのですかー」

「いや、俺はそんなつもりは・・」

「お兄さんが優しいことは、知っています。今回もそうなのでしょう。

 でも、お兄さんがやったことは、そう言う事なのです。

 それに、きちんと護衛を付けていたら、虎と戦う危険も冒さずに済んだのですよー

 もしかすると、その場で虎を退治する事もできたのです

 その女の娘にも、怖い思いをさせなくて済んだのかもしれないのですよー」

「う¨」

「お兄さんに何かあれば、護衛に付いた人達とその家族は処分されるのですよ」

「え¨っ、処分って」

「重臣の護衛の任に付くと言う事は、そういうことなのですよ。

 お兄さんは、もう少しそのあたりを自覚してほしいのです」

 

風の言葉に俺は驚愕する。

たしかに、そんな厳しい時代があったとは歴史で習った覚えはある。

知っていたはずなのに、自覚していなかった・・・・これが俺の甘さか

さっきのも、もし俺があそこで死んでいたら、兵とその家族はその責任を取らざるえない。

彼等からしたら、俺のわがままで、自分と家族の首が飛んでいたのだ。

きっと冗談じゃないと思っているに違いない。

そんな自分の甘さに歯噛みする。

 

「お兄さん、それだけじゃないのです」

 

自分の甘さに悔やんでいるところに、風はさらに告げる

 

「お兄さんにもし何かあったら、華琳さまや風や皆がどれだけ悲しむか判らないのですか?」

「お兄さんが虎に襲われた、と報告を聞いた時の風の気持ちが、お兄さんに判りますか?」

「・・・・・ごめん」

 

風の悲しげな声に俺は、ただ謝る事しかできなかった。

風がどんなに俺のことを心配してくれたのか痛いほど判ったから

そして、それだけ想っていてくれる風の心がとても嬉しくも感じた。

 

「お兄さん、もう、こんな勝手な真似はしないと 約束して欲しいのですよー」

「・・・ああ、判った、これからはきちんと言うようにする」

 

俺は、心配を掛けた風に、俺はもう心配かけまいと風に約束をした。

 

「でわでわ、お兄さんも反省して約束してくれた事ですし

 これからお仕置きの時間なんですよー」

「・・・・え?」

 

風の気持ちに、暖かくなったところに、風の爆弾発言が飛んできた。

 

「おいおい、これだけ人に心配させといて、ただで済むと思ってたら大間違いだぜ」

「そうですよー、ホウケイの言うとおりなのですよー

 そういうわけで兵の皆さーん、お願いしますなのですよー」

 

風の声に、護衛の兵が部屋に雪崩れ込み、俺の体を抑えると、俺の服をどんどん脱がしに掛かる

いや、そんな脱がさないで・・・って、そうじゃなく

 

「ちょまて、風、なにを考えて」

「はいはい、皆さん、お仕置きですから遠慮要らないのですよー」

 

風の言葉に兵士達は、俺を下着姿にして、

寝台の上に、仰向けに大の字に寝かして手足を押さえる。

 

「あのー風さん、これは?」

「ふふふ、お兄さん、これは、なんだと思いますー」

 

そう言って風が手にしたのは鳥の羽。

よく見ると周りの皆も手に羽を持っている

 

「あ、あの、まさか・・・」

 

今から俺を襲うだろう悲劇(?)を予想して、俺は頬を引きつらせる。

そんな俺に、風は、楽しげに兵士達に命令を出す

 

「では、皆でこちょこちぉなのですよー」

 

その言葉と共に複数の羽の感触が、俺の全身を襲う

 

 

 

楼閣の中庭で

 

虎が退治され、

 

喜びの宴をする村人達

 

村人は、踊り、歌い

 

生の喜びを楽しんでいた

 

それは同時に

 

虎の被害にあった者への追悼でもあった。

 

せめて、その者達が味わえなかった分を

 

生の喜びを味わおうと言わんばかりに

 

皆は宴を楽しんだ

 

その宴の中を

 

大きな笑い声が

 

響き渡っていく

 

 

 

 

 

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次の日、やや遅めに村を出た俺は、馬の上で体のあちこちを解していく。

 

夕べのお仕置きは、笑いすぎて、酸欠になるたびに手を止められ

また呼吸が戻ってきたところに、手の動きが再開される。

そんなことを何度繰り返されただろう、意識が朦朧とした中、俺はやっと解放された。

確か、擽りって、由緒正しい拷問の一つだった記憶がある。

そんなわけで、体中を擽られ笑いすぎたおかげで、体中が妙な感触なのだ。

朝出るのが遅かったのは、虎退治のせめてものお礼と、

宴も断った俺達への村人精一杯の、手間のかかった朝食だった。

さすがにそれを断るのは失礼と思い、皆で、ゆっくり村人の気持ちを楽しんだのが理由だ

成都の兵は、早朝には村を出たとの事。

どうやら虎退治に来ていたらしい。

まぁ、虎退治に来て、よそ者に先を越されては居辛いに違いない。

悪い事しちゃったな・・・・反省

 

やがて、昼も過ぎてだいぶたった頃、俺達は、成都の街へ入った。

 

 

城の前には桃香と関羽さんが俺達を待ち受けていた。

 

「北郷さん、風ちゃんいらっしゃーい、歓迎するよ」

「ああ、桃香、俺になにが出来るかわからないけど、お世話になるよ」

「ううん、こちらから頼んできてもらってるんですもの、とにかく、あがってあがって」

 

そう言って、俺と風は、荷物と馬を連れてきた兵に任せ、桃香の案内で玉座の間へ通された。

そこには、蜀の将達全員が揃っていた。

 

「迎えにいったら、ちょうど来るんだもん。間に合ってよかった

 とにかく、北郷さん、風ちゃん歓迎するね。」

 

あれ、桃香のお出迎えといい、どうやって俺たちが来た事を・・あぁ、昨日の村の

とにかく、一応俺が代表者なのだからと俺は、一歩前に出て

 

「天の御遣い 魏の臣、北郷一刀、呼掛けに応じ参じました。

 自分にどれだけの事が出来るが判りませんが、全力を尽くす事を約束します」

 

俺の仰々しい言葉に桃香は、両掌を振って

 

「もう、北郷さん、そんな堅苦しい事いいから、この間みたいに普通でいいから、普通で」

「そう? じゃあ遠慮なく、桃香、約三ヶ月ぶりだね。元気そうで何より」

「うん北郷さんも活躍聞いているよ。

 この間も、魏からの技術提供で私達のところも、今お風呂作ってるところなの。

 すごいよね、これが出来ると毎日お風呂に入れるようになるって聞いて、皆頑張ってくれているんだよ」

「あははは、役に立ってくれたなら嬉しいよ。

 でもあれは他と併用しないと経費削減にはならないと思うけど」

「うん、そのあたりは、朱里ちゃんや雛里ちゃんが頑張って考えてくれたから、なんとかなるみたい

 ただ、元を取るのに大分掛かるって言ってた」

「桃香様」

「うん、わかっているよ愛紗ちゃん、とにかくお仕事の話は、明日改めてするね。

 今日は歓迎の宴を開くから、ゆっくり旅の疲れを癒してね」

「ああ、ありがとう」

「あと何人かは知っていると思うけど一応、みんなを紹介するからね。

 さて、その前に、北郷さん」

「なに、桃香」

「昨日は、隣の村の虎を退治してくれてありがとう。民に変わって、お礼を言うね」

「いや、偶然とはいえ勝手にしてしまったこと、桃香の所の兵達には申し訳ないと思っている」

「そうなのです。おまえが虎を退治したから、手柄を横取りされた恋殿の隊は、惨めにも戻って来なけれ

 ばならなかったのです」

 

桃香の礼を、俺が謝辞で返したところに、元気な声が響き渡る。

あれ、この声たしか

 

「これ、ねね!、客人に向かってなんて口の聞き方をっ!」

 

関羽さんが注意した方を見ると、そこには昨日の少女が怒り心頭って感じに立っていた。

昨日と違うのは、髪を降ろしていないのと、帽子を被っているところだ。

そっか、桃香の所の軍師だったのか。

どうりで見たことあったと思うわけだ。

桃香の軍師と言うと、諸葛亮と鳳統の名前が大きすぎて、その他の存在は忘れがちなりやすい。

げんに俺も忘れていたし。

確か陳宮と賈駆がいたはずだけど、どっちかは覚えていない。

 

「確か、君は昨日の」

「おまえが、手柄を横取りするから、ねね達は村人に冷たい目で見送られる羽目になったのです」

「それは悪いとは思うけど、悪気があったわけじゃないよ」

「ねね、よさんか! 虎は誰が退治しても同じこと、どうせお調子者のおまえの事だ、村人に退治してや

 るから感謝しろとでも大見得を切ったのだろう」

「う¨」

「しかし、恋殿が村人から、あのような冷たい目で見られるのは、ねねには我慢なりませぬ」

「・・・誰が退治しても一緒・・・みんなが幸せなら・・・それでいい」

「そんな、恋殿ーー」

 

ねねと呼ばれた少女は、関羽さんの言葉に呻く、どうやら図星らしい。

なら、それは自業自得と言うもの

それに恋と呼ばれた少女、あれは確か呂布、ということは、あれは陳宮かな。

 

「北郷殿、失礼した、あれには私が、後できつく言っておきますので、ご無礼のほど平に御容赦ください」

「いや、いいよ。彼女達の手柄を横取りする事になってしまったのは事実だし、村人の態度もある程度は

 仕方ないとも思っている。うん、だから、お説教なんていいからね」

「お心遣い感謝します。ねね、この場は北郷殿の顔を立てて許してやる、感謝するのだぞ」

「うぅ」

「でも、お互い無事でよかった。一緒に虎に追いかけられた時には、どうなるかと思ったよ」

「ば、ばか、なにを言うのです。そのような事なかったはずです」

 

せめて無事だったことを喜ぼうと、陳宮に話しかけたが、陳宮は慌てふためき、こちらの言葉を否定する。

あれ?・・・俺、何か不味い事言ったのか?

 

「北郷殿、それはどういうことですか?」

 

俺が陳宮の態度に疑問に思っている時、関羽さんが聞いてくる。

とりあえず、俺は昨日あったことを話すと

 

「ねね、聞いてた話とずいぶん違うようだが、どういうことか説明してもらおう!」

「ひぃぃー、そ、それはっ、その・・・・」

 

うわぁーーー、関羽さん背中に怒れる龍が見えます。

やっぱ、怒らせると怖い人だったのね。

陳宮はその迫力に怯え、呂布の足にしがみ付く

 

「愛紗よ、客人の前だぞあまり怒るでない」

「星っ!これはそういう問題ではない」

「客人の前ですることでもなかろう。ほれ北郷殿がおぬしの形相に驚いておられる」

「まぁまぁ、愛紗ちゃんとりあえず落ち着いて」

「う、うむ、桃香様が言うならばしかたあるまい」

「やれやれ、愛紗は相変わらずじゃのう、とにかく、ねねにはそれ相応の罰が必要だろうな」

「ひゃう・・・」

「そうだな、話を聞くに、北郷殿は ねね の命の恩人、此処は ねね の真名を預けるという事では」

「んな、星、ねねの真名をこんなやつに預けろと言うのですか! そんなの承諾できません!」

「ねねよ、おぬしは、命の恩人に感謝の意も無いのか?

 ましてや、そんな事実を無かった事にしてあのような事。

 そのような器の小さなことでは、名がますます穢れるぞ」

「う¨っ」

「・・ねね・・・真名・・・預ける・・・命の恩人・・・大切」

「うぅ、恋殿まで、うぅぅぅぅ」

「あのー、そんな真名を強制するような真似は」

「北郷殿は黙ってもらいたい、これは我等とねねの問題」

「いや、俺が原因・・・いえ、いいです、はい」

 

陳宮の状況に、助け舟を出そうとしたが、関羽さんの一睨みで、俺はすごすごと引き下がる。

・・・うぅ、俺って立場ないなぁ

そういじけていると、『うー』と呻いていた陳宮が、俺の前まで歩いてきて

 

「仕方ないので、おまえにねねの真名を預けるです

 姓は陳、名は宮、字は公台、真名は音々音。ありがたく受け取るです。

 ・・・あと、昨日はありがとうです」

 

そう言って、陳宮いや、ねねは元の位置に戻っていく。

最後に感謝の言葉を出すところを見ると、根はいい子なのだろう。

ただ普段は、いろいろ邪魔をする感情があって、それが表に出せないのだろう

 

「北郷殿、重ね重ね申し訳ない。

 あれには、私が後できつく言っておきますので、ご無礼のほど、ひらに御容赦ください」

「・はははっ・・」

 

関羽さんの二度目の言葉に俺は、頬をかきながら笑うしかなかった。

そこへ、桃香が、いつもの明るい声をかけてくる

 

「じゃあ、とりあえず、愛紗ちゃんから順番に自己紹介して」

「では、」

「あっ、その前に自分から、

 姓は北郷、名は一刀、字と真名はないから、好きなふう呼んで欲んでくれ。

 あと、天の御遣いなんて呼ばれているけど、自分はごく普通の人間だから、

 あまり硬くなられても困る、だから普通に接してくれると助かる。

 出来れば、様も殿のないほうが助かる」

 

挨拶をしようとする関羽さんを押しとめ、まず自分から、挨拶する。

やはり、この場合は自分からするのが礼儀だろう。

俺の言葉に、皆が面白げに、俺を見る。

 

「ではあらためて

 姓は関、名は羽、字は雲長、北郷殿、性分ゆえこう呼ばせていただく。

 ねねを助けていただいた事には感謝しているが、まだ貴殿を信用しているわけではない。

 貴殿を我が眼でしかと見極めさせていただく」

「ああ、最初から信用されてもらえるとは思ってないよ。

 俺にどこまで出来るかわからないけど、いろいろとよろしくお願いするよ」

 

俺はそう言って、関羽さんと名を交換する。

 

「やれやれ、愛紗は相変わらず硬いのー

 信用できるかどうかなど、ねねの事や、今までの態度を見れば判りそうなものを、

 では、次は私から、姓は趙、名は雲、字は子龍、私も性分ゆえ、一刀殿と呼ばせてもらおう」

「ああ、よろしく、いつぞやは助かったよ、おかげでこうして生きていられる」

「ん? おぉー、いつぞやの

 吃驚したぞ、あの時は風の真名をいきなり呼ぶから、危うく切り捨てるところだったぞ」

「いや、あれには驚いたけど、あの時は真名なんて事知らなかったから、もう勘弁して欲しい。

 それにあの事のおかげで、そのあと逢った華琳達の真名を、いきなり呼ばずに済んだんだから」

「うむ、たしかに、華琳殿達の真名をいきなり呼んでいたら、一刀殿は今頃」

「ああ、きっと土の下だったろうな」

「まったく、ちがいない。だがおかしな縁というものだ。

 あの時いきなり真名を呼んだ無礼者が、こうして隣に風が立っているなど。

 いやいや、これだから世の中は面白いと言うもの、たまらぬわ」

「そうなのですよー。風もまさかあの時は、こうなるなんて思ってもいなかったのですよー、

 きっとこれが天命なんだと思うのですよー」

「あはははは、そうかもしれませんな。

 では、一刀殿、風、また後程」

「じゃあ、次は鈴々なのだ、姓は張、名は飛、字は翼徳、真名は鈴々、お兄ちゃんは悪い人じゃなさそう

 だから鈴々と呼べばいいのだ」

「じゃあ、鈴々、よろしく頼むよ」

「頼まれるのだ」

 

そう年相応の元気な笑顔を俺に見せる。

うん何度見てもこれが、関雲長に自分以上と言わせしめた、あの燕人張飛とは思えない無邪気さだった。

そう思っていると、俺の前には、いつの間にか音もなく呂布が立っていた。

 

「・・恋でいい・・・かずと・・・ねねの恩人・・だから」

「えーと、ねねの恩人だから、真名で言いと?」

 

コクリ

 

「うぅぅー恋殿ーー、そのようなものに、恋殿の大事な真名を」

 

フルフル

 

「ねね・・・大事な家族・・・だから」

「恋殿ーーー、そのように思っていただき、ねねは嬉しゅうございますです」

「じゃあ、遠慮なく、呼ばせてもらうよ、恋よろしく」

 

コクリ

 

「かずと・・いいひと・・・こちらも・・よろしく」

 

そうして、次々と、その場にいる皆と、名を交換していく

諸葛亮、鳳統、公孫賛、黄忠さん、厳顔さんは、比較的友好で

魏延さんにいたっては、

 

「桃香様に何かしようとしてみろ、その場で貴様を挽肉にしてくれる」

 

と、ありがたい忠告を頂くしことなった。うん、やっぱり、春蘭と似ている

 

馬超には、興味がないと言わんばかりに

馬岱にいたっては、

 

「今度は、あんたなんか、ぎったんぎったんにしてあげるんだから」

 

と再戦の意を熱く表明してくれた。

ちなみに董卓と賈駆は、いまだ理由あって、姓名を隠し、真名を呼ぶこととなっった。

おそらく、その姓名は生涯、使う事が許されないであろう。そのことで彼女達に同情はする。

だが、二人を見て、話をし、その人柄に触れてみたら、それは、彼女達を侮辱すると思い、

俺は、その思いを心の中に封じる事を決意する。

またここにいない孟獲達は、帰国しており

袁紹達も、今は湯治に行っているらしい。

そのことで、諸葛亮が

 

「そのまま、あちらに居ついてくれないかなー」

 

なんてて、愚痴をこぼしていた。

やはりあの性格は、こちらでも持て余しているようだ。

とにかく一部、挨拶には不向きな事もあったが、一通り終わると

 

「みんな終わったね、じゃあ最後に、知っていると思うけど

 姓は劉、名は備、字は元徳、真名は桃香だよ。

 あらめて歓迎するね。あっちの部屋に宴の用意してあるから、今日は楽しんでね」

 

そう言って、俺と風を宴の席へと案内する。

 

 

 

-6ページ-

 

宴が始まれば、最初、みんなで俺をかまっていたものの、今ではみな好き勝手に騒いでいる。

まぁ、そんなものだろう。

風も今は諸葛亮や鳳統となにやら話しているが、時折こちらを見ているのが判る。

俺はというと、ついさっきまで趙雲さんに、酒をどんどん進められながら、魏の女将達をどう落としたのか、

しつこく聞かれ困っているのを見て、関羽さんに助けられたところだ。

あれは絶対、聞くことで俺をからかって楽しんでいたに違いない。

とにかく、飲みすぎて、ぼー とする頭を冷やすために、庭に出る。

俺は適当に地面に座り、風に当たっていると

 

「みなで、向こうでで飲まないのですか」

 

ねねが俺の横に来て尋ねてくる。

 

「いや、今ちょっと、飲みすぎた頭を冷やしてただけ、

 やはり、長旅で疲れているのか、どうにも酔いが回るのが早くてね」

「そうですか、それならば仕方ないのですね

 てっきり相手にされなくて、寂しくて出てきたのかと思ったのです」

 

そう言った時の、ねねの表情はどこかさ寂しげだった。

だがすぐに、いつもの高慢な顔に戻る。

たぶん、そう言った経験があるのだろう。

本来、これくらいの娘が、こうして軍師をしているのは、おかしいことなんだ。

むろん、この娘だけではないのだろうが、子供でいられなかった世の中、その才能ゆえ同年代の子とも

一緒にいることはできず。大人の中に混ざるしかなかったのだろう。

もし、諸葛亮や鳳統のように、同じ境遇のものが傍にいれば、そのあり方は違ったのだろうが、

相談できる相手もおらず、大人はその能力ゆえ扱いに困り放任、求めるのは結果のみ

そうなれば、たとえ虚勢であっても強がらなくては、生きてはいけなかったのだろう。

だが、俺がそれを言えば、この娘の必死で生きてきた今までを、侮辱するだけだ。

だから、今の俺に出来る事は、俺は黙って、彼女のあり方を受け止めるだけだ。

そう、ぼー とした頭の中で考えていると

 

「なんで、あの時、ねねを助けたのですか、

 ねねを放っておけば、きっとあの虎は、ねねで満足して帰ったと思うのです」

 

あぁ、やっぱり、彼女は一人ぼっちなのだと、ねねの問い掛けに俺は理解してしまった。

実際は、彼女は呂布と共にいるが、あれは見たところ依存だ。この娘にとって対等じゃない。

この寂しい娘を、守ってくれる、支えてくれる、叱ってくれる仲間を、彼女は見つけることは出来た。

でもそれだけだ。いまだ彼女は一人なのだ。

片翼で飛ぶ小鳥のように、それでも必死に、みんなについていこうとしている。

でも、みんなと一緒に飛んでいくには、力が足りず、自分が足手まといだと言う事を理解している。

回りの皆はそんな事思ってもいないのに。一緒に飛んで行きたいと思っているのに

そして、そのことを理解しているから、この娘は、こんな問いをするのだろう。

俺とこの娘は似ている。

ただ違うのは、俺は皆に頼り、甘える事が出来る。

甘えっぱなしではいけないが、自分なりに頑張り、いつか皆にそれを返せる日が来るまで、

皆待っててくれることを知っている。

でも、この娘はそうやって、人に頼ってよい事だと、甘えても良い事だと気がつかず。

まだ一人、泥の中をあがいている。

気づけば簡単にその泥から抜け出し、飛んでいけるのだというのに、

だから俺は、そんな彼女のために出来る事をするだけだ。

 

「虎に食べられたかったの?」

「そんなわけ無いです!何を言っているのですか、あなたは!」

「じゃあ、そういうことだよ

 ねねは、虎に食べられたくないと無いと思った。

 俺は、そう感じたから、ねねを助けるって決めたんだ」

「そんな事して、おまえに何の利が在るですか?・・・まさか、ねねの体を」

「違うよ」

 

ねねは、なにを勘違いしたのか自分の体を抱きしめて俺から一歩引く。

クソーきっと、ろくでもない噂のせいだな。

 

「とにかく、利なんて関係ない。

 俺がそうしたいと思ったからそうしただけ。人を助けるのに理由が必要?」

 

俺の言葉に、ねねは一瞬 ぽかーん としたと思ったら

 

「おまえ、変わってるですね」

「そうかな、なんか皆に言われるけど、俺は変わっているとは思ってないよ」

「絶対変わっているのです。

 それに、そんな甘い事言っている奴が、なんで曹操のところに居れるですか」

「そうだね、たしかに、華琳に何度も甘いって言われ続けている。

 俺の武も、俺の智も、他のみんなに比べたら、全然たいした事無い。

 でも華琳はそんな俺を傍に置いていてくれる。何でだと思う?」

 

ねねの質問に、俺は質問で返す。失礼な事だが此処は無視する

 

「そ、それはおまえを傍においておけば、天の知識と風評が」

「それならば、何処かに軟禁でもしておけば済む事だよ。

 華琳がそんな事、気がつかないわけないだろ」

「そ・・それは・・・」

「これは、俺が勝手に思っていることだけど、

 きっと、楽しいからだと思う。俺が皆と居れるのはそれが一番の理由だと思う。

 むろん、ねねの言うとおり、俺の知識や風評も在るとは思うけど。

 それだけの奴を、いつまでも傍に置いて置くほど、華琳は甘くないよ。

 俺の自惚れかも知れないけどね。

 ねぇ、ねね、ねねは皆と居て楽しくない?」

「そ、それは・・」

「思っていてくれているんだね?」

 

コクッ

 

言い淀む、ねねに俺の再度問うと、その小さな顔を頷かせる。

うん、これなら

 

「じゃあ、きっと皆もきっと、ねねと居るのが楽しいんだよ」

「そ、そんなことないです。あいつらはいつも、ねねのことを」

「それは、ねねのことを心配して言ってくれているんだと思うよ。

 ねねと、一緒に居たいから、ねねと一緒に楽しみたいから、ねねと一緒に居られるように、

 いろいろ言ってくれているんだと思う」

「そんな事、おまえになんでわかるですか」

「だって、俺も一緒だからさ。

 と言うか俺のところなんか酷いもんだぞ。すぐに剣や拳が飛んで来る。

 口答えしようものなら、10倍になって返ってくる。

 その上、何もしていなくても、何故か騒動の中心に居たと言って、お仕置きされまくりだぞ」

「それは、おまえがどうしようもない奴だから」

「そうだね、それは俺も自覚している。

 でもそんなどうしようもない奴を、そうやって傍に置いて、叱ってくれたりしてくれるのは

 皆が俺と同じように、一緒にいたいって思っていてくれているからだと思うよ。

 俺もそうだと信じている。

 だから、ねねも同じさ、きっと」

「うっ、・・・でもおまえの所がそうだと言っても、ねねの所がそうだとは」

「桃香のところなら間違いないよ。

 もし不安だって言うなら、まず俺と友達にならないか」

「おまえと友達ですか・・・おまえと友達になれば、ねねも皆の中に入れるですか?」

「もう、ねねは皆と一緒だよ、でもそれに気が付くには自分から一歩を進まないといけない

 俺が出来るのは、ねねの背中を押してあげる事だけ。

 それでも一人じゃないっていうのは、心強いと思うよ」

 

俺は、優しく微笑んで、まっすぐねねの瞳を見てそう言葉を紡ぐ。

ねねは、しばらく俺を見つめたままでいたが、やがて下を向くと

 

「お、おまえがそんなに言うなら、友達になってやるのです。

 だから、おまえは、ねねが皆と居れる様に手を貸すです」

 

そう言って、恥ずかしげに、でも何処か嬉しそうに、ねねは、俺に自分の思いを告げる。

ああ、この娘はもう大丈夫だ。

きっと、自分で空を飛んでいける。

まだ、たどたどしい飛び方でも、人を信じる事を、人に頼ることを気が付き、

もう一つの翼を見つけた彼女なら、きっと飛んでいける。

そして、蜀の皆は、温かく見守ってくれるに違いない。

むろん俺も、出来るだけの事はしてやりたいと思う。

だから、俺は、とりあえず

 

「うひゃ」

 

ぽす

 

俺は傍に居た彼女を持ち上げ、胡坐をかいた俺の上に乗せ

 

「おまえ、いきなりなにを」

「頑張り屋さんに、ご褒美だよ」

 

ぽん

 

 

ねねの言葉を無視して、その頭にそっと手を置き、優しく撫で続ける。

 

最初嫌がっていたねねも、

 

頭を優しく撫でられる感触に負けたのか

 

やがて大人しくされるままになる。

 

俺は、今まで一人で頑張ってきたこの娘を

 

せめて、良く頑張ったね、と言わんばかりに、

 

皆と歩みたいと決意出来た事を褒めるように、

 

彼女の頭を、優しく撫でつづける。

 

後ろからは、皆が宴を楽しむ声が聞こえる

 

今は、こうやって、外にいるけど

 

この娘は、もうあの中に入っていけるはずだと

 

あの中で、心から笑うことが、いつかできるだろう

 

だから、

 

そのためにも彼女から、あの中に入れるように

 

祈りながら、力づけるように、勇気づけるように

 

この頑張り屋さんを、優しく撫で続ける

 

 

 

 

 

-7ページ-

 

宴会席側:

 

 

一刀が、ねねの頭を撫でているころ、宴の席の出入り口では

 

「愛紗、どうだ、これでも一刀殿が信用できぬと申すのか」

「あれだけでは、まだ判断をつけるのは、まだ早いと、私は考えている」

「おぬしも相変わらず固いのー、愛紗よ、あやつは我らが出来なかった事を、

 ああやって、やって見せたのだ。 ワシは北郷殿を十分信用に値すると思うぞ」

「そうねぇ、ねねちゃんが、これで少しでも心を開いてくれれば、それだけでも、北郷さんが来てくれて

 良かったと、私は思うわ」

「・・・・ねね・・もう大丈夫・・・」

「うん、もう大丈夫なのだ」

「あいつが、まぁ心を開くって言うんなら、ボクは受け止めてあげてもいいわよ」

「詠ちゃんそんな事言って、一番心配してたじゃない」

「ゆ、月、そんなんじゃないわよ、ボクはあいつがいつまでも・・」

「はいはい、詠ちゃんが言いたい事は判っているから」

「うー、そんなんじゃないのに」

「でもねねちゃんの事は本当に良かったです」

「うん、朱里ちゃん、そうだね。 北郷さんには感謝しないと」

「まぁ、ねねの事には感謝するけど、あたしは、あいつを信用するかどうかは、まだ保留させてもらうよ」

「うん、蒲公英も! 白黒はっきりつけてからじゃないと決められないよー」

「なんだ、おまえはまだそんな事言っているのか、あれはあきらかに、おまえの油断が招いた事だろう

 まぁ、私は、桃香様に手を出さなければ、どうだろうと知ったことではない」

「焔耶には関係ないよ、あんたは黙ってて」

「まぁまぁ、蒲公英ちゃんも焔耶ちゃんも、今は、ねねちゃんの事を喜ぼう」

「桃香様がそうおっしゃるのなら」

「ふんだ、でもねねの事は、素直に喜べるかな」

「さすが、お兄さんなのですよー、これでまた一つ、お兄さんの毒牙にかかったのですよー」

「ちょ、ねねはまだ小さいんだぞ、あいつそんな節操無しなのか?」

「風はもとより、季衣ちゃんや、流琉ちゃんもお兄さんの毒牙にかかったのですよー」

「○×※△□◇!!

 ・・・・ねねを、そんな変態の毒牙にかけさせてたまらせるか!

 あたし、あいつを吹っ飛ばしきてやる」

「言ってらっしゃいなのですよー」

「あっ、ちょっと、翠ちゃん待って・・・」

 

翠はそう言って、止める桃香を引きずって、のっしのっしと歩んでいく

 

「風、おぬしも人が悪い」

「これぐらいのお仕置きは、必要なのですよー」

「その割には。一刀殿を止めなかったようだが」

「それはお兄さんなら、ねねちゃんを何とかしてくれると思ったからなのですよー」

「それが判っていて翠をけしかけるとは、北郷殿も哀れとしかないな」

「それと、これとは話しは別なのですよー

 風は思うのです。

 お兄さんの、半分は優しさで出来ていると思うのですよー」

「ほう、もう半分は?」

「それは言わずもながなのですよー だから、こうなっているのですよー」

「ふむ、風も大変だな」

「そうなのですよー」

 

そうして、お互い納得しあっていると

騒音のと共に、賑やかな声が聞こえてくる。

 

「ひぃぃぃぃぃーーー、な、何だいきなり」

「わ、翠いきなり何なのです。これは」

「だまれ、この変態やろう。あたいが成敗してくれる」

「だぁぁ何の事だよ」

「待て、こいつー」

「待てって言われて、待つやつはいないーーーっ」

「翠ちゃん落ち着いて」

「なんだか知らないけど、追いかけっこなら、鈴々も負けないのだー」

 

風は、そうやって、いつのまにか、宴会会場どころか城中を巻き込み。

一刀を中心に、皆が賑やかな悲鳴と笑い声があがる姿を、

嬉しそうに、楽しげに見ていた。

その中には、ねねも心から楽しげにしている姿があったことを

一刀も、皆も気が付いていた。

 

風は、願うのだった。

 

こんな毎日がいつまでも続いて欲しいと

 

たとえ、それが無理でも

 

この平穏で賑やかな毎日が

 

一日でも長く

 

続くように

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 

-8ページ-

 

あとがき

 

どーも、うたまるです。

毎度同じ出だしで申し訳ございません。

 

さて、今回は、ねね(陳宮)を中心に書いて見ました。

「ちんきゅうきっーーーく」という強力な技を持ちつつも、

軍師としては、あの二人に隠れてしまい、影の薄いヒロインの一人です。

えっ、もっと影の薄いのがいる?

はて、そんなのいたかな?   (舞台裏で泣く ハム

とにかく、そんなねねの、心の葛藤を一刀視点で書いてみました。

種馬スキルも良いですが、やはり、その根本は一刀の優しさにあると思うからです。

 

今回、作中で、一刀の技やスーツの性能の一部が明かされました。

 

抜刀牙:縮地&抜刀術の連携技

    前話、霞戦で一刀が即興で思いつき使用

    明治初期のある流浪人を描いた某漫画から来ています。

    最初は天剣とそのままにしようかと思いましたが、

    なんとなく一刀らしくないと思い、こういった名前になりました

牙 突:縮地&突きの連携技

    前の話で一刀が抜刀牙を思いつき、他に組み合わせが出来ないかと編み出した

    同じく某漫画から取ってきています。

    体重を乗せているため、突進力が高く、高い攻撃力を持っていますが。

    抜刀牙が線に対して点の軌跡のため、避わされたら隙が大きくなってしまいます

    一刀はまだまだ改良の余地があると試行錯誤中

    作中に在るように、そのまま相手に激突する事もしばしば、

    最初、凪相手に試した時も、咄嗟のカウンターを腹部にもらい、悶絶する始末

    此処まで来ると自爆技かも(w

 

 

閃 光:スーツに内蔵されている強力な閃光装置で、左籠手の手首側に内蔵されている。

    機能は、相手の視覚を一時的に奪うもの、ただし、"氣"による充電に時間がかかり8秒程必要

    充電中又は使用可能時は、籠手全体が薄く光っている。

    本来は電気を必要とするが、世界を跨いだ影響か一刀の"氣"でも代用可能となった

    しかし、本当の電気のように前もって溜めておく事はできない。

    また"氣"の使用量が多く、充電に時間がかかるため、乱発するのは実用的ではない。

    また、"氣"を押さえれば、懐中電灯のように使用できるが、籠手自体も光ってしまうため、

    めだってしまうので、一刀の性格上使用される事はないだろう

 

さて、次回は、とうとう蜀の問題解決に入りますが、

皆さんが想像しているとおり、原作の最後で出た問題が主になります。

しかし、私としては、それだけではなく、あるヒロインの心の中に沈殿しているある問題を

浮き上がらせて行く予定です。

 

 

・・・・今回、シリアスな場面が多く、

どたばたシーンや、一刀の悲鳴が少なくなってしまったのが、

自分的に残念だったかな

 

さて、馬岱との再戦はあるのか

蜀ヒロインとのフラグは立つのか

風は、そんなヒロイン達を防ぐ事が出来るのか

他国や朝廷の問題はどこに消えたのか

などと突っ込みどころ満載ですが、

次回、頑張って書かせていただきますので

どうか最後までお付き合いお願いいたします。

 

 

 

説明
『真・恋姫無双』魏END後の二次創作のショート小説です。
いよいよ、蜀編に入ります。
今回のメインヒロインは陳宮です。
一刀は蜀でどんなドタバタを繰り広げるのでしょうか
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コメント
恋姫小説ではよく見るけどさ 他国の重臣に怪我でもさせれば主の顔を潰すことになる上に国家間の摩擦が生じることもあるって分かんないかなw まぁ華琳だったら事情を聞いたら許しそうではあるけどさ立場のある人間だってこと理解してないよね(Alice.Magic)
4P 「お兄さんに何かあれば、護衛に付いた人達とその家族は処分されるのですよ」→謀反を企んだならばともかく、護衛失敗で家族まで処分ってのは・・・さすがに無いと思うんだけど(汗。それだけ一刀の護衛は重要であるというのならば説明もつかないこともないんですけど、やっぱりやりすぎかな・・・?(loid)
抜刀牙と聞いて、某巨熊と戦う野良犬軍団を思い出したwww(tokitoki)
牙突とか、るろ剣からのパクリっすか(あいうえお)
さてさて蜀のメンツがすべて陥落するのにいかほどかかるのかな?(零壱式軽対選手誘導弾)
蜀のヒロインはねねで決まりですね。(ブックマン)
翠の一人称は「あたい」ではなく「あたし」で間違いないですね。(Sirius)
愛紗と翠が落ちるのは時間の問題www(rin)
ところどころ関羽の”関”の字が”閑”になってますね。(闇羽)
これなら馬岱が相手でもいけるんじゃないか?(サイト)
お疲れ様です。ところで細かな誤字よりも馬超の一人称「あたい」がどうしても気になります。「あたい」→「あたし」が正しいかと思い一応報告。(黒い人)
ねねフラグに期待(asf)
氏の書く風はいいですねー、楽しく読ませていただいてます(heinkel)
風は頼もしいけど、やっぱり策士なんですよねwねねの問題を早くも解決した一刀…良いお兄さんキャラでした。さて次回はどんなドタバタや悲鳴を見せてくれるんでしょうかね? 御報告 5p:閑(→関)雲長に自分以上と言わせしめた、あの袁人(→燕人)張飛とは思えない無邪気さだった。 7p:詠は『私』ではなく『ボク』 ではないでしょうか?(自由人)
更新お疲れ様です。何はともあれまずは一言、音々ちゃ〜ん!可愛いよ〜!原作ではチョイキャラっぽかった彼女ですが、この外史では魅力175%(当社比)です。ひょっとしたら、原作でもこんなにも多くの葛藤を小さな体に秘めていたかと思うと、彼女が不憫に思えて仕方ない。一刀君、今回も色々な意味でお疲れ様でした。これからも次々と毒牙に(以下略)(レイン)
翠よ魏の重鎮に手を出したらやばくね?(motomaru)
なんと!一刀の殆どはバファ○ン+バイア○ラだったとはw [削除] (にゃものり)
5pの”袁人張飛”は”燕人張飛”ではないかと。間違ってたらすみません。(南華老仙「再生(リボーン)」)
5P11,12行目 ”虎退治”が”虎胎児”になってました。一応ご報告。(nayuki78)
牙突www(うめぼし)
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