ベアトの暇潰し 〜第二話〜 |
〜注意〜
この作品は、完全に作者の妄想によるものです。過度な期待はしないで下さい。
殆んどのキャラが、崩壊&人格変化しているので、何があっても笑って許せる方だけ、お読み下さい。
以上の注意を踏まえた上で、どうぞご覧下さい。
ある屋敷の一室で、一人の少女が溜息を漏らす。その理由は、知人から渡された一枚の手紙。その内容はこうであった。
『戦人とのゲームを一時中止し、新たなる勝負をする事にした。勝負内容は、トーナメント式のタッグマッチ。是非とも参加頂きたい』
少女はもう一度溜息を吐くと、手にしていた手紙を丸めて放り投げる。全く……何を考えているのだ、あの魔女は。おそらくは、彼女の傍に控えている悪魔の入れ知恵だろうが、面倒な事をしてくれたものだ。普通のゲームなら、介入する事も吝かではなかったのに……
そんな事を考えていると、廊下の方から騒がしい声が聞こえる。煩い、関係無い事とはいえ、耳障りだ。そんな事は知らないといった様に、その声はドンドン近づいて来る。まぁいい、どうせ直ぐ通り過ぎるだろう。
しかし、現実は残酷だった。通り過ぎるだろうと思っていた声は、何故か彼女の部屋の前で止まり、あろう事か扉を蹴り開けて入って来た。
「我が主っ!大変ですよ、大変なんですよっ!」
そう喚き散らしながら、手を上下に大きく振っている自分によく似た少女――古戸ヱリカ――の様子に元から居た少女――ベルンカステル――は舌打ちをする。ほら来た……内心そう呟くと、眼を細めてヱリカを睨む。騒いでいる理由も大体想像できる、どうせベアトのゲームに一緒に参加しようと言うのだろう。
そう思っていると、ヱリカは満面の笑みで封筒を取り出す。それは先程、ベルンカステルが丸めて捨て去った物と全く一緒……自分の予想が的中した事に、無性に腹立たしい思いになるが、何とか堪えて口を開く。
「ああ、アンタにも来たのね。最初に言っておくけど、私は参加しないわよ」
「そう!そうなんですよ!いやぁ〜、タッグとなると何よりも息のあった相方が必要じゃないですか。我が主につり合う相方なんて、この世で私しか居ませんしね。そうと決まったら早速……って、我が主っ!?今何と仰ったのですか!?」
「だから、参加しないって……後そのボケは古いわよ」
向けられる侮蔑の眼差しも何のその。古戸ヱリカはベルンの言葉を聞くと「何故ですか!?」とか「主らしくない」とか言ってるが、黙殺する。そもそも自分から動く事も少ないのに、何が悲しくてタッグマッチなんかに、出場しなくてはならないのか。オマケに相方も100点中何点?と問われれば、即答で-1000点くらいは付けてやりたい様な奴だ。デメリットこそ思い浮かぶが、メリットなど一つも無い。
「くぅぅ……主が一緒に参加してくれないと、ドラノールと一緒に参加しますよ!?」
「あら、良い相棒じゃない。頑張ってね」
「えっと……お邪魔だったかしら……?」
不意に聞こえて来た第三の声に、廊下の方に視線を向けると申し訳無さそうに立っている、ラムダデルタの姿があった。ベルンカステルは先程までのやる気の無い表情から一転、笑顔を浮かべラムダデルタに近づく。途中進行方向にあった何かを突き飛ばした気がしたが、そんな事は些細な問題なので、気にしない事にする。
「邪魔なわけないじゃない。貴女だったら何時でも大歓迎よ。何か話があるようだけど、何かしら?」
「えっと……ベアトのゲームの招待状、私にも来たからベルンと一緒に出ようと思って、誘いに来たんだけど……駄目みたいね」
そう言って、残念そうに俯いたラムダデルタの姿を見て、ベルンカステルは数分前の自分を呪った。私のバカ。冷静になって考えれば、ラムダが誘いに来てくれる事ぐらい、分かっただろう。確かにゲーム自体が嫌ではあるが、ラムダと一緒ならばその不快を補っても、尚釣りが来る。だがここで前言を撤回しては、格好悪い。どうすれば……
「た、確かに私は自分で手を下すって言うのが、あんまり好きじゃないからね……だけど貴女は参加したいんでしょう?いくら貴女でもタッグマッチだから、一人での参加は不可能だろうし」
これで良い……これでラムダが頼んで来るなら、友の頼みだと言う名目も立つし、ラムダを落ち込ませる事も無い。もし頼んで来ないなら、ゲームに参加せず二人でゆっくり過ごせば良い。どっちにしろ、私に損は無い。唯一つ心配なのは、ラムダが別の相手を誘わないかどうか……
まぁ、大丈夫だろう。随分長く一緒に居たが、ラムダはそこまで交友が広くない。と言うか、多分私しか友人は居ない。ならば私の心配は杞憂に過ぎないに決まっている。
「そうなのよね……仕方ないから、ヱヴァと組もうかしら」
「ラムダ!優勝目指して頑張りましょう!」
冗談じゃない、そもそも私はあいつが嫌いだ。ラムダの駒だからって、何時もラムダにベタベタと……あんな奴と組まれるぐらいなら、前言撤回だろうが何だろうがやってやる!それによくよく考えてみれば、試合で格好良い所を見せれば、十分挽回できるではないか。こんなに悩んでいた自分がバカらしい。
『奇跡の魔女』ベルンカステル&『絶対の魔女』ラムダデルタ 参戦決定
「タッグマッチねぇ……」
突然机の上に置いてあった手紙を読んで、右代宮留弗夫は面倒臭そうに目を細める。別に景品が出るわけでもないし、態々こんな気持ち悪い招待を受ける必要は無い。その留弗夫の考えを読んだのか、横から手紙を覗き込んでいたポニーテールの少女が慌てる。
「べ、ベアトリーチェ様からの招待状だろう?ならば行った方が良いに決まっている」
「つってもなぁ。そりゃ、お嬢ちゃんの顔は立ててやりてぇけどよぉ……仮に優勝しても、無駄に労力払うだけで、何のメリットも無さそうだしなぁ」
その言葉に、ポニーテールの少女――ベルフェゴール――は頭を捻る。確かに留弗夫の言う通り、参加者にメリットは何も無い。かと言って、この誘いを無視すればベアトリーチェが拗ねる事は必定だ。どうにかして、留弗夫にやる気を出して貰わなければならない。
留弗夫はその様子を見て、笑みを浮かべる。良い案が浮かんだ……お嬢ちゃんは俺をゲームに参加させたい。俺は何か労力に見合ったものが手に入るなら、別に参加しても良い。なら、この二つを同時に解消できる。
「そうだな……別に参加しても良いが、報酬は前払いだぜ?」
「わ、私に出来る事なら何でも言ってくれ」
その言葉を聞き、留弗夫は笑みを深めると、ベルフェゴールの手を引っ張り抱き寄せる。いきないの事態にパニックに陥り、何とか抜け出そうと試みるが、確りと抱きしめられており身動きが取れない。そうこうしている内に、留弗夫が自分の頬に手を当てた事で全てを察した。ああ、報酬とはこういう事か……嫌ではない。何時からかは分からないが、自分は留弗夫に惹かれていた。しかし、留弗夫には霧江という伴侶が居た……今なら報酬として割り切れる。後ろめたさが全くないわけではないが、報酬と言う言葉で自分を慰める事が出来るのだ。そこまで考え、ベルフェゴールは静かに眼を閉じる。
留弗夫の顔は見えない……しかし、呼吸音が徐々に近づくにつれて、ベルフェゴールは身を硬くする。その様子に留弗夫は軽く苦笑するが、止める気配は無く遂に後数cmで唇が重なる……まさにその瞬間、風を切り裂きながら一本のナイフが壁に突き刺さる。
「……なぁ、お嬢ちゃん」
「ああ……おそらく、あの二人だろうな」
二人は顔を見合わせるとどちらからとも無く、溜息を吐いた。どうやら、ベルフェゴールの想いが報われるのは当分先の様である。
『右代宮家序列第4位』右代宮留弗夫&『怠惰』のベルフェゴール 参戦決定
『右代宮家序列12位』右代宮霧江&『嫉妬』のレヴィアタン 参戦決定
説明 | ||
第二話です。 ふと気がつきましたが、これってデイブレイクに似てますね…… |
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