真恋姫無双〜仁徳の王と共に〜蜀√13
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この作品はキャラ設定が崩壊しています。原作重視の方はご注意下さい。

時代背景がめちゃくちゃです。

一刀くんがチートです。

それでもいいかたはどうぞ。

 

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呉と同盟を結んだ一刀たちは、その足で曹魏の軍勢の後ろを急襲し、補給路の撹乱を計った。

その策は見事に的中し、後方でゲリラ活動をされた曹魏の進軍速度は目に見えて落ちていた。

さらに、その後を引き継ぐように呉の軍勢も曹魏の補給路を次々と遮断していった。

しかし、そこは曹魏。補給路のおぼつかない軍勢にも関わらず、蜀呉にとって対曹魏戦での防波堤の役割を果たしていた江陵を、見事に突破された。

蜀呉も江陵は元から捨ててはいたが、予想より少しばかり落城が早かった。幸い、江陵を制圧した曹魏の軍勢は、体勢を整えるために進軍を停止していた。

それから半月後、江陵の曹魏の軍勢が動き出した事により蜀、呉の両陣営も出陣をする。

決戦に向けて―――

 

 

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一刀「夏口……って、確か長江の流れに沿って発展してる地域でしたよね? さすがに周瑜が指定するだけあって広いし、交通の便も良いしで言うこと無しですね」

そう言いながら一刀は辺りをキョロキョロと見回す

雛里「そうですね。兵員の移動、兵糧の輸送……全て長江を使えば、陸路で行くよりも十分の一の時間で移動出来ますから」

そう言った途端にすぐ側で作業している兵士に隊長の怒声が上がり、雛里はビクッと跳ね上がるとすぐに一刀の後ろへと姿を隠す

桃香「でも、それは曹操さんも同じだよね?」

桃香はそう朱里に向かって訊く

朱里「そうです。陸路は私たちが行っていた小規模奇襲のお陰で、現在、曹魏の補給路はもっぱら長江を使ったものになっています」

朱里は、未だに一刀の後ろから離れようとしない雛里を見て、少し笑いながら答える

一刀「その辺はさすが曹操といったところかな。それに、江陵から大きな動きがない以上、こちらも作戦が決定したりしない限りは下手に動けないからね」

一刀は涙目の雛里の頭を撫でながら話す

桔梗「うむ。相手はあの曹操だ。下手に動いて出足を挫かれては後事に関わる」

桔梗の言葉にその場に居る一同が頷く

翠「それにしても呉の連中はどうしたんだ? 軍議の席だってのにまだ姿を現さないじゃないか」

翠はそう言いながら、辺りを見渡し呉の将たちの姿を探す

鈴々「そういえばそうなのだなー。……お兄ちゃん、何か知ってるー?」

鈴々は一刀の袖をクイクイと引っ張りながら一刀に訊く

一刀「いや、知らないけど。まぁ、ゆっくり待てばいいんじゃないかな? どうせ焦っても何も始まらないんだから」

そう言って一刀はやっと落ち着いた雛里の頭を撫でるのを止め、今度は鈴々の頭を撫でる

孫策「何が始まらないって?」

すると、一刀の後ろのほうから孫策が声を掛ける

一刀「ん? 軍議が始まらないから、のんびりしてようか〜と話していたところですよ」

そんなことを言う一刀に孫策は軽く笑う

桃香「初めまして、孫策さん! 私の名前は劉備、字は玄徳っていいます! よろしくお願いしますね♪」

桃香は孫策に満開の笑顔を向けながら、元気よく自己紹介をする

孫策「……う、うん」

そんな桃香に対して孫策は何故か戸惑っていた

桃香「?? どうかしましたか?」

孫策の様子が変なのに気付いた桃香がそう訊くと

孫策「いやいや。……若いなぁって。元気いっぱいすぎて思わず仰け反っちゃったわ」

孫策は、ははっ、と苦笑をしながら手を差し出す

孫策「私は孫策。字は伯符。……よろしくね、劉備」

桃香は差し出された手を握ると

桃香「はい♪」

と元気よく返事をした

一刀「それじゃあ、早速軍議に移りましょう。……孫策さん、状況の説明をお願いしてもいいですか?」

桃香や孫策たちは設置された机を囲むように移動すると一刀が孫策に発言を促す

孫策「私より周瑜の方が詳しいわよ。……って訳でお願いね、冥琳」

そう言いながら孫策は周瑜に向かってウィンクをする

周瑜「はぁ。……現在、曹魏の軍勢は江陵に留まり、態勢を整えている。しかしそれもあと少しだろう。兵員、兵糧……進軍に必要な物資がしきりと搬送されている。その規模はかなり大きい」

周瑜は一つ溜息をついた後、桃香たちに現状を説明する

白蓮「……ってことは部隊が大規模に動くってことか」

白蓮は顎に手を当てながらそう言う

周瑜「そういうことだ。そこで問題になってくるのが、曹魏がどう動くかだが……」

周瑜は白蓮の言葉を肯定し、説明を続ける。白蓮は間違った事を言ってなかったと一人心の中で安心していた

朱里「前の戦いによって、蜀と呉が手を組んだことは、曹魏の陣営に間違いなく伝わっているでしょう。そして私たち蜀の軍勢が、すでに呉と合流したことも、曹操さんは知っているはずです」

と、朱里が言うと

雛里「恐らく、今このときの軍議も、どこかで聞き耳を立てている人が居ると思います」

雛里が不安そうな表情で言う

一刀「そうですね……たとえば……」

そう言うと一刀は『龍砲』を構え、矢を放つ。その矢は一人の蜀の鎧を着た兵士の足を貫く。一刀は急いでその兵士を捕まえようとしたが、直前でその兵士は喉を掻っ切った。

その様子を見た一刀は、側にいた兵に話しかける。

一刀に話しかけられた兵士は頷くと、近くにいた兵士に声を掛け、自害した兵士を運んでいく

一刀は元の位置につくと

一刀「上手くいきませんでした」

苦笑をしながらそう言った

白蓮「よく気が付いたな一刀……」

白蓮は唖然としながら一刀に話しかける

一刀「あの兵士は俺の隊の人に付けさせている黒い腕巻きをしていたからね。俺は隊の人たちに基本、軍議を行っている所には近づかないように言ってあるし、どうしても近くで作業を行う際には俺に一声掛けるように命令してるからね」

一刀がそう言うと白蓮はポンッと手を合わせ

白蓮「ああ! だから一刀の兵は軍議中でもよく一刀に話しかけていたんだな」

白蓮がそう言うと一刀は軽く頷きながら

一刀「それと匂いかな。黒い腕巻きにはある香水をつけるように言ってあるんだけどあの兵士からはその匂いがしなかった。それ以外の変装は完璧だったんだけどね」

一刀の言葉に白蓮は納得したように深く頷いていた

愛紗は少し怒った顔でそう呟く

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雛里「潜入は出来ているのですが……。まだ一人も帰ってきていません」

雛里は少し俯き気味にそう言う

周瑜「ふむ……それなら大丈夫だ。我が軍には優秀な将が居るからな。……周泰!」

周瑜が少し大きな声で呼ぶと

周泰「はい!」

元気な声と共に一刀の背後に一人の女の子が忽然と姿を現す

翠「へぇ〜、こんなちっこいのが優秀な将なんだ?」

翠は周泰を見ながらそう呟く

一刀「翠。今の発言は良くないぞ。見た目なんて関係ないだろう?」

一刀が少し翠を睨みながら言うと翠は周泰に一言「ごめん」と謝った

桃香「ところで周瑜さん。優秀ってどういうこと?」

桃香がそう周瑜に訊く

周瑜「情報収集に長けていてな。……すでに曹魏の動きを掴んでいる。頼む」

そう言って周瑜が周泰に視線を向る

周泰「はっ。曹魏の軍勢はまだ江陵に留まっていますが、近くの軍港には、すでに多数の船を用意しているようです」

周泰の報告に星が首を傾げながら

星「船? 陸路を捨て、長江を使うのか……」

そう言いながら星は周泰を見る

周泰「恐らく」

周泰は星の問いに頷く

白蓮「まぁ考えられることだろうなぁ。大規模の移動で一番厄介なのは、間断なく小部隊にちょっかいかけられることだし」

白蓮がそう言うと

朱里「まぁそういうことでしょうね。……しかし船を使うとなると、予定していた戦地を変更しなくてはいけませんね」

朱里は机の上に置かれた地図を見ながらむむむぅ〜と唸る

雛里「……周瑜さん。曹魏の軍勢が長江を下ってきた際に決戦できそうな場所はありますか?」

そう雛里に問われた周瑜は間を空けることも無く

周瑜「赤壁だな」

そう答える

朱里「ならばそこを予定戦場としましょう」

地図から目を離し、唸るのをやめた朱里がそう言う

周瑜「賛成だ」

周瑜も、元からそう考えていたのかすぐに頷き返す

愛紗「しかし曹操の軍勢は巨大だぞ。……船戦をすれば戦場が狭く、動きに限りが出来るから五分の戦いは出来るかもしれんが……」

愛紗の不安そうな表情を見て星も頷く

星「うむ。呉の連中はともかく、我々には船戦の経験は無い。……勝てるかどうかは分からんぞ」

星がそう言うと、翠と白蓮が溜息をつきながら

白蓮「私の部隊は船戦じゃ活躍できないからな……」

そう言いながら白蓮はガックリと肩を落とし

翠「同じく」

翠もまた同じように肩を落とす

紫苑「私と桔梗、一刀さんの部隊が中心になるでしょうね」

紫苑の言葉に桔梗は目を輝かせながら

桔梗「うむ!」

と元気よく頷く

一刀「どちらにしても、なんとか敵をこちらの懐に誘い込む必要があるんだけどね」

一刀が桔梗の活き活きとした表情に苦笑しながらそう言うと

孫策「懐に誘い込む……か。それって結構簡単じゃないのよね」

孫策が呟く

一刀「知ってますよ。けど、孫呉の皆さんなら可能だと信じてますから」

孫策の呟きに一刀は微笑を向けながらそう返す

孫策「あら、言ってくれるじゃない。それじゃあ、その期待にはなるべく応えるようにしなきゃね」

そう言いながら孫策は妖艶な笑みを浮かべる

一刀「と言っても、正直接近戦で頼りになるのが呉の人たちのみとなると、そこで決着をつけるのは難しそうだね」

一刀の言葉に朱里が軽く頷き

朱里「接近戦で決着をつけるのが無理ならば、一計を案じるしかありませんね」

そう言う朱里に続いて

雛里「たとえば、曹操さんの部隊に一当てした後に整然と後退するとか……」

雛里の言葉に愛紗が頷き

愛紗「曹操ならこちらの策を見抜いてくるはず……。それを逆手にとって足止めをするということか」

愛紗がそう言うと雛里が「そうです」と言って頷く

鈴々「でも足止めするだけじゃ、戦況はそんなに変化しないのだー」

鈴々がそう言うと、周瑜が

周瑜「止めるだけならばな。それに応じて、何かしらの策を打つ必要がある」

そう言うと周瑜は目線で「何か案はないか?」と他の面子に問う

一刀「今のところ出来そうなのは、小規模の船団での奇襲と崖の上に虚兵くらいかな? とりあえず曹操さんには疑心暗鬼になってもらいたいね」

一刀がそう言うと周瑜は頷き

周瑜「そうだな。伏兵は匂わせておくべきだろう」

すると、桃香が不安そうな表情で

桃香「でも、あの曹操さんが私たちの思惑通りに動いてくれるかな?」

そう呟く

雛里「普通の人がこの策を弄したら曹操さんは間違いなく看破すると。しかし、そこで役立つのが私たちの虚名と周瑜さんの名声です」

雛里がそう言うと、周瑜が少々呆れたような表情で

周瑜「謙遜するな。世に伏龍鳳雛の名は実力と共に知れ渡っているのだからな」

周瑜の言葉に続いて孫策がすこし意地悪な表情で

孫策「はわわ軍師とあわわ軍師としてね♪」

そう言いながら孫策は軽く笑う

朱里「はわわ……」

雛里「あわわ……」

二人は少し泣きそうな表情をしながら一刀に縋りつく

一刀「じゃあそれを基本方針としよう。……どうかな、孫策さん、桃香」

一刀は近づいてきた二人の頭を撫で、苦笑しながら、二人の王に問う

桃香「異議なーし♪」

桃香は元気よく返事をするが一刀はその能天気な返事と表情で今までの会話の内容の殆どを後でもう一度説明しなくてはならないなと感じる

孫策「異議は無いわ。……興覇。天幕の後ろに居る奴、捕まえておいてね」

孫策は一刀に返事をした後、後ろに控えている甘寧にそう命ずる

甘寧「御意!」

甘寧がそう返事をすると、すぐに駆け出す

一刀「俺もねずみ狩りに行ってくるね」

そう言うと一刀は甘寧とは逆の方向へと駆け出す

桃香「えっ!? まだ誰かいたんですか!?」

桃香が驚きながらそう孫策に訊くと

孫策「うん、ねずみ。処理するから安心して」

 

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その後、一刀が間者を捕まえている間に軍議は終了した。一刀は捕らえた間者を桃香にではなく、孫策のところに持っていく

一刀「はい。曹操のところの間者」

そう言いながら一刀は両手、両足を縛り、口に布を銜えさせた間者を孫策と周瑜の前に出す

孫策「へぇー。よく捕まえられたわね」

孫策は感心したような表情を一刀に向ける

一刀「運が良かっただけですよ。それよりも本命の策は決まりましたか?」

そう言いながら一刀は周瑜に視線を向ける

周瑜「あぁ。これだ」

そう言って周瑜はまだ手にうっすらと残っている『火』の文字を見せようとした。すると一刀も

一刀「これですよね?」

うっすらと笑いながら掌を見せる。そこには『火』の一文字

周瑜「ほぉ…。よく分かったな」

それを見せられた周瑜は一刀のことを面白いものを見つけたような目で見てくる

一刀「天下に名高い周公謹殿に褒められるとは光栄ですな」

一刀がそう言うと孫策と周瑜は笑みを浮かべる。それを見た一刀は「それじゃあ」といってその場を去ろうとしたが、ふと、天幕の出口で立ち止まると

一刀「俺は何があろうと孫呉の皆さんの絆を信頼しているよ。それと……」

そこで一刀は顔だけ孫策たちのほうに向けながら

一刀「その人、有効に活用してね。そのために桃香じゃなくて孫策さんたちの所に持ってきたんですから」

そう言い残してその場を立ち去った。そして、残された孫策と周瑜は

周瑜「もしこの戦が終わり、蜀と争う事になったとしたら……一番注意すべきはあの男。北郷一刀なのであろうな…」

周瑜がそう呟くと

孫策「武においては呂布にも劣らず、智においては伏龍鳳雛と並び立つ……ですもんねぇ」

孫策は苦笑しながら言う

孫策「でも、戦ってみたいかなとも思うんだけどね〜」

そう言いながら孫策は笑顔を浮かべる

周瑜「私としては勘弁して欲しいものだな」

周瑜がそう言うと孫策は「だよね」と言って頬をかく

 

 

その後、一刀が桃香たちの元に戻るとすぐに曹操の部隊の足止めのために出陣をする。そして、蜀呉同盟は一当てした後、計画通りに整然と撤退。朱里、雛里、周瑜の読み通り、曹操は追撃を掛けては来ずにいた。

 

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一刀「みんなお疲れ様。作戦はとりあえず成功……って感じだね」

一刀は陣地に戻ると戦に出た皆に労いの言葉を掛ける

周瑜「ああ。敵の主力を戦場に釘付けに出来ている。今の状況こそ、最大の戦果……と言ったところだろう」

周瑜は一刀の言葉に頷きながらそう言う

朱里「しかしこの均衡も長くは続かないでしょう。あとはどうやって策を仕上げるか、ですが……」

朱里は顎に手を添えながら不安そうな表情を見せる

雛里「例の策を実行するにしても、最大の効果を求めるには今の状況は素直すぎますね……」

雛里は眉間に人差し指を当てて、「う〜ん」と唸りながら必死に策を考える

黄蓋「……なんじゃ。また軍議か。下手な軍議、休むに似たりじゃな」

そこへ、黄蓋がトゲトゲしい言葉を言いながらやってくる

周瑜「黙れ黄蓋。たかが前線の一指揮官が、偉そうな口を叩くな」

黄蓋の言葉が気に入らなかったのか、周瑜は黄蓋を睨みつける

黄蓋「……ほお。公謹よ。わしに喧嘩を売っているらしいな?」

黄蓋もまた僅かな殺気を放ちながら言葉を返す。そんな様子をみた桃香が

桃香「ねえねえ一刀さん。止めたほうがいいんじゃ……」

桃香は心配そうに二人を見ながら一刀の服の袖を引っ張る

一刀「いいから黙って見てよう」

一刀は不安そうな表情の桃香に微笑みを向ける。その間にも周瑜と黄蓋の言い争いは激しさを増し、ついに……

周瑜「もう良い! 黄蓋! 貴様の役を剥ぐ! 一兵卒として戦場で死ね!」

その周瑜の大声は陣中響き渡る

黄蓋「……わしを一兵卒に落とすじゃと……!」

黄蓋は周瑜の言葉に表情を歪ませる

周瑜「上官に対する侮辱、命令不服従、主を冒涜する発言……役を剥ぐには充分な理由だ。失せろ、黄蓋。自分の天幕に戻り、謹慎していろ。……この戦いが終わったあと、貴様に正式な罰を通達する」

周瑜の言葉に黄蓋は拳を震わせながら

黄蓋「……勝手にせい!」

そうはき捨てると背を向け自分の天幕へと去っていった。その姿を見送った周瑜は側にいた将に何か言いつける。その将も何か言いたそうにしていたが、周瑜の剣幕に諦めたのか俯き、去っていった

桃香「あ、あのぉ〜……。この時機に喧嘩は良くないと思うな〜」

桃香はおどおどしながら周瑜にそう言う

周瑜「劉備よ。いくら同盟を結んだからといえ、呉の内部に関することに口出しはしないでもらおう」

周瑜がそう言うと愛紗が一歩進み出て

愛紗「同盟しているからこそ口を出しているのだ! 貴様らの不仲が戦況に響いたらどうする!」

そう愛紗は強めの口調で言う。すると、一刀は愛紗を手で制し

一刀「それ以上は無しだよ愛紗。それに他の皆も」

そう言って一刀は周りで不服そうな顔をしている蜀の将を見回す

愛紗「しかし!」

一刀に止められた愛紗は不満の声を上げるが

一刀「いいから……今は俺の言う通りにしてくれ…」

一刀は真っ直ぐに愛紗の目を見つめる

愛紗「……わかりました」

そんな一刀の態度に何かを感じ取った愛紗はしぶしぶ引き下がる。そして、その場は一旦解散となり各自自分の天幕へと戻る中、蜀の面々は一刀、朱里、雛里を中心にして小さな輪を作り話し合っていた

一刀「まずみんなに言いたいんだけど、周瑜さんと黄蓋さんの喧嘩は演技だから安心して欲しい。俺たちの大本命の策を尤も大きな被害を相手に与えるためにはこうするのが一番なんだ」

一刀が小さな声でそう言うと、朱里と雛里以外が驚きの表情をみせ、朱里と雛里に本当なのか? というような視線を向ける

朱里「はい。恐らくは周瑜さんと黄蓋さんが事前に打ち合わせをしていたのかと思います」

朱里がそう言うと雛里もゆっくり頷く

星「しかし、我らにも言ってくれれば……」

そこで星は何かに気がついたようにハッと顔を上げる

一刀「下手に皆に話すと何処からか漏れ出る可能性もあったからね。それに敵を騙すにはまず味方からって言うだろ?」

一刀がそう言うとその場にいる一同が頷く。そして、その場に居る一同は納得したような顔で自分の天幕へと去っていった

 

そしてその夜、黄蓋は自身の兵を引き連れ曹魏へと降った。その報は蜀呉同盟の陣中を大いに混乱させた

だが、その自陣の混乱こそ朱里、雛里、周瑜、そして一刀の望んでいたのもだった

 

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一刀「うぅ……疲れた」

そう言いながら一刀は天幕の中に入る、そこには、孫策、周瑜、朱里、雛里の四人が卓について待っていた

朱里「お疲れ様です、一刀さん。桃香様たちは理解できてましたか?」

へとへとになって天幕に入ってきた一刀を朱里が苦笑いで迎える

一刀「二人がいつの間にか消えてたから俺一人でみんなに今回の策を説明しなきゃいけなくなったよ………特に鈴々、焔耶への説明は大変だった」

そう言いながら一刀はホロリと涙をこぼす

雛里「お疲れ様です」

そう言って雛里は水を一刀に差し出す。一刀はその水を一気に飲み干す

一刀「それで、黄蓋さんの様子は?」

一刀は周瑜のほうを見てそう訊く

周瑜「ああ。……黄蓋は今、曹魏の前線に配置されているらしい」

周瑜がそう言うと孫策が驚いたような表情をしながら

孫策「あら。……あのおチビちゃん、さすがの器量ね。あからさまにおかしな降伏をした人間を、そのまま前線に配置するなんて」

孫策の言葉に周瑜は不適な笑みを浮かべながら

周瑜「そうしなければならん事情があるのさ」

周瑜がそう言うと孫策は不思議そうに首を傾げる

朱里「覇王としての評判、ですね」

朱里がそう呟くと周瑜は一つ頷き

周瑜「そうだ。覇王であるが故に、曹操は常に天下に態度を示さなければならん。それが曹操を覇王たらしめている無形の力。……風評というものだ」

孫策は「なるほど」と言いながら頷く。そんな孫策の姿に一刀は微笑みながら

一刀「後は火と風を待つだけだね……」

一刀がそう言うとほぼ同時に風向きが変わり東南の風が吹き始める

周瑜「時は来た……雪蓮。力を貸して頂戴」

周瑜がそう言いながら立ち上がると

孫策「もっちろん♪」

孫策は笑顔で返事をしながら立ち上がる。朱里、雛里、一刀もそれに続いて立ち上がる。すると、そこに周泰が天幕に入ってくる

周泰「曹魏の船団から火が上がっております!」

周瑜は周泰の報告に頷くと

周瑜「すぐに出陣だ! 黄蓋殿を迎えに行くぞ!!」

周瑜の言葉に周泰は短く「はっ!」と返事をするとすぐに駆け出し、天幕を後にする。孫策や周瑜、一刀たちも天幕をでる。その視線の先には真っ赤に燃える曹魏の船団があった

 

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愛紗「でぇぇぇぇい!!」

愛紗が『青龍偃月刀』を振るうと、曹魏の兵の数人の命が散っていく

愛紗「曹操は何処だ……!!」

愛紗は迫り来る曹魏の兵を倒しつつ曹操の姿を探すが何処にも見当たらない

目に入るのは舞い上がる曹魏の兵と各所で奮戦する味方の将の旗ばかり

そんな愛紗の背後にいつの間にか一刀がぴったりとくっついていた

一刀「愛紗! この辺の敵を倒したら、一旦皆と合流しよう。どうやら曹操はもうこの辺にはいないみたいだ!」

一刀がそう叫ぶと愛紗は頷く。それを確認した一刀は愛紗と協力して、すさまじい早さで辺りの曹魏の兵を血祭りにあげていった

そして、一刀と愛紗は桃香たちと合流する

 

周瑜「さて、何人か曹操に追撃を掛けてほしいのだが」

周瑜がそう言いながら蜀、呉の将の顔を見る

黄蓋「わしが行こう」

そう言いながら黄蓋が一歩前に出る

桔梗「呉の老体が行くのなら、わしも行こうかのぉ」

そう言いながら桔梗も前に出る

周瑜「ふむ……あと一人ぐらい欲しいが……」

周瑜がそう言うと一刀が手をあげ

一刀「じゃあ俺が行くよ。俺の隊は被害が少なかったからね」

一刀の言葉に周瑜は頷き、伏兵を配置する箇所を指示していく。黄蓋、桔梗、一刀はそれぞれ兵を引き連れ指示された箇所へと出陣する

他の将たちは一旦、城へと戻り態勢を立て直してから曹操の軍勢と当たることとなった

 

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それから、二日後

一刀の隊が待機している箇所に曹操の軍が差し掛かる

小さな崖の上に待機しながら一刀は

一刀「来たか……日がくれる前に一当てするぞ。そして日が暮れてからは隊を三組に別けて三回くらい当てるぞ。休む暇なんか与えるな」

一刀がそう言うと隊の者達は言葉なく頷く。そして、曹魏の先頭が丁度真下に来ると同時に一刀は駆け出し、兵たちもそれに続く

そして、一当てすると一刀が殿となって即座に撤退。それにより曹魏は一旦進軍を停止した。

そして、日が暮れ、夜になると。

一刀「かかれーー!!」

一刀の号令と共に蜀の兵が曹魏を奇襲する。それが三回ほど間断なく続いた後、止んだ

曹操は兵を何組かに別け、見張りを交代でやらせ、残りの兵には休息をとるように指示した。そんな中

 

『ヒュッ ドスッ』

魏兵「ぐえっ」

見張りの兵は次々と殺されていく、殺された兵士には必ず漆黒の矢が刺さっていた

「見張りになると死ぬかもしれない」

そんな考えが魏の兵士たちの脳裏に焼き付き。数多の兵が夜の闇に逃げ出す。

一人、また一人と逃げていき。気が付けば曹魏の兵は百万いたのが、赤壁での敗戦、黄蓋、桔梗、一刀の追撃によりその数を五十万近くまで減らしていた

 

曹魏の兵の数を減らしたのを確認した一刀は兵を引き連れて桃香たちの元へと合流する。

そして、蜀、呉は進む。魏との決戦の場、新野へと向かって

 

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白蓮日記

今回も出番は少なかったな

でも水上戦だから仕方ないな……うん

でも次回は最終決戦だし、陸上戦だし、野戦だし、活躍したいな……

 

-11ページ-

どうもkarasuです

いかがだったでしょうか? 楽しんでいただけたでしょうか?

次回にて、蜀√は完結となります。原作とは少々違った終わり方になっております。

さて、前回の呉√アフターifにて行ったアンケートで多かったのが

凪√  9票

白蓮√ 7票

松○√  5票 

 

となりました………

 

 

とりあえず一つ―――

松○√に投票した大佐たち、とにかく落ち着いて下さい。そんな√私には書けませんから!!

え〜、次に呉√にまで出張したにも関わらず凪に負けた白蓮に涙目な私がいます……。

ここまでくると凪の人気の高さに驚くばかりですね。

 

まぁアンケート結果がこうなったので凪√でいくと思いますがまだまだ個別√を投稿するには期間があると思うので他の将達にも望みはありますがね。

 

 

それではここまで読んでくださりまことにまりがとうございます。これからもほそぼそと続けさせていただきます。

 

 

ん? これは白蓮さん、どうしたのですか?

飲み物ですか。ありがとうございます。頂きます。

 

ゴクッ ゴクッ ゴクッ

 

 (??●???????●??)ウヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒィ

説明
投稿です
今回と次回にて蜀√は完結です。
過度な期待はせずに生暖かい目で見ましょう。

<●><●>
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コメント
相変わらず可愛えぇ。(readman )
今までの鬱憤を晴らすかのような白蓮の大活躍期待してますよ。(ブックマン)
松〇・・・一体どんな熱い外史になるのだろうか?もしこの外史の扉が開いてしまったら一刀と松〇と華陀でお願いしますww(kaito)
がんばれ白蓮、外史では君以上に出番のないヒロインもいる(w(うたまる)
落ち着いてますよ、えぇ、火山の中のマグマのように松〇√!!!凪√を希望してます。(SPLIGAN)
最後の最後に白蓮の活躍を!!(pandora)
今からでも遅くない!ハム√を!だめなら凪をハムのダブルハーレム√をををををを!!!(ヒトヤ)
凪√+松〇√=凪&松〇√というのはどうでしょう?(凪と松〇、何か波長が合いそうな気がする)(拾参拾伍拾)
古典的に言えばタバスコ・ワサビ系かと>飲んだ物 しかし白蓮さん・・・でも考え様によっては松〇がいなければその5票が入って逆転してた可能性があったわけでwよしこうなったら修〇と合体したハムさん√というのはいかがだろうか?karasuさんw(村主7)
カロン大佐;誤字報告感謝です。多くてすみません……訂正しときます。(karasu)
やはりkarasu一刀は良いですね。原作では崖上の伏兵について駄目だしされたりしたのに、冥琳にあそこまで言わせるとは・・・。そして何より何飲んだんですか?!体を大切に続き頑張って下さい 次作期待(クォーツ)
お〜い何を飲んだんだ〜(スターダスト)
誤字報告 6p その報は大いに蜀呉同盟の陣中を大いに混乱させた→「大いに」が1つ多い 7p 続きいて立ち上がる→続いて 曹魏の船団かた→船団から 8p 桃香たちの合流する→桃香たちと 支持された箇所へ→指示(カロン)
ほわちゃーなマリア大佐;報告感謝! 訂正しときます。(karasu)
自由人大佐;報告感謝です。訂正しときます。(karasu)
白蓮・・・軍議で結構発言してたからOKー!!でも、日記を読むと悲しくなってくる。(rin)
更新お疲れ様です。やっぱり赤壁で白蓮さんの出番無しか…水上戦じゃ騎馬隊より弓隊ですから、白蓮さんの出番は無いとは思っていましたが、意見を言える立場にはなれていたので良かったですね。次は野戦だから遊撃隊としてでもきっと出番はありますよ(多分…)(レイン)
おっ!ついに次回白蓮の出番かな?続きを楽しみにしています^^(零壱式軽対選手誘導弾)
4Pで愛紗は何を呟いたんでしょうか?しかし・・・もうハムなんですね。最後もこんな日記がつくのでしょうか?(ほわちゃーなマリア)
白蓮、今回は軍議に出て発言も多かったからなかなか良かった!次回は野戦だからきっと活躍できるよ!でも凪に惜敗か…それでもその次には白蓮を書いてもらえると信じてる!だから…ウヒヒヒヒヒヒヒーッ!! 御報告 4p:周瑜が少し多いな声で呼ぶと/大きな声で ではないでしょうか?(自由人)
待ってました!!)(美道)
白蓮…_| ̄|○  こうなったらkarasuさん脅して松●√書かせてウサバラシだハムさん!(ぇ(闇羽)
うを!? 閲覧もコメントも一番乗りは初めてだな。 んで、最後に何飲まされたんすか・・・・?(峠崎丈二)
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