連載小説121?125 |
加藤君からもたらされたとんでもない情報。
それはなんと、加藤君の彼女がここに来るというのだ!
「やべー! いくらなんでも疑われるって!」
「大丈夫だと思うけど?」
私はしれっと答えた。
「なんでそんな事言えるんだよ! この面子じゃ疑われるのが当然だろ!」
「だって、ここには加藤君に気のある女の子なんていないし…」
「うん」
「彼氏はいないけど、君にはあんま興味ないし」
「あ! 恋愛的、て意味合いでだから!」
とフォローを入れたのは蓮ちゃんだけど、効果低いよ!
「興味ないってのも傷つくけど…」
「でもねえ。実際私達が興味あったら、それこそ危ないでしょ」
全く、修羅場になんかしないっての。修羅場になるなら、二人だけでやって頂きたい。
「で? 後どのくらいで来るわけ?」
「ん〜、詳しくは言ってなかった。今どこにいるのかも言ってなかったし。
ていうか、俺も今ここにいるとは言ってなかったし」
なんですと?
「それじゃ、たどり着き用がないじゃん」
「言われてみりゃ、そうかもな」
そうかもな、じゃないよ。それじゃあ会えないっての。
「ほら、今から伝えなきゃ」
「い、いや、無効が要求するまでは…て!」
て?
「あ! ああああああ! ああああああああああああ!」
? なんだろう、この驚き方…
「な、なんで!」
???
「ちょっと、何がどうしたのさ!」
「そ、そこ! いるんだよ! なんでいるんだよ!」
この言い方は、もしや…? もしや彼女さん登場なのか?
「香奈!」
「清隆〜〜っ! なに浮気しとるんか〜〜っ!」
へ? 関西弁? なんで?
〜つづく〜
いきなり現れた加藤君の彼女。
なんで場所が分かったんだろう。
なんでこんな一瞬で現れたんだろう。
「この、浮気者〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」
「ち、違うって違うって! んなんじゃねーんだって!」
あれ? 何この態度。物わかりがいいんじゃなかったの?
「せやったらこの面子はなんやの! 説明しぃ!」
「こ、これはだなぁ…って! さっきメール入れただろ! そもそも、
なんでいるんだよ!」
うんうん。
「いたらあかんの? うちはいたらあかんのか!」
「そうじゃなくてだな…」
「ちょっと加藤君、負けてるじゃん。ちゃんと説明してよね」
じゃないと、この空気、火の粉がこっちに降り掛かりかねん。
「メール? あの話、下手な言い訳やないんか? この状況で、
何を信じって言うんや」
うわー、嘘扱いされてるよ。そりゃそうだよなぁ。
「全面的にだよ。俺は嘘は言ってねーよ」
「うんうん。私らは潔白だから」
「あんたは黙っとき! そもそも、あんたらなんやねん! 四人も居って、
本命はどれや! 誰なんや!」
ひ〜! 取りつくしまがないよ…
「違うって言ってんだろ…全く…」
「何を証拠に言うんや? 証拠もあらへんのに」
言われてみればそうかも。でも、証拠も難しいよなぁ…
「証拠も何も、こいつら今日知り合ったんだぞ…」
「私はクラスメイトだったけど、今日初めて名前を知ったし…」
「そ、そーなんか?」
「加藤君もえりかも、嘘言ってないよ」
「あたしらなんて、学校すら違うしねぇ」
「こくこく!」
頼む! みんな援護頼む!
「そ、そやったら、話くらい聞いたってもええけど…」
お、態度軟化? だといけど…
「うんうん! まず話を聞いて! 本当に浮気相手じゃないから!」
「嘘発見機に誓えるか?」
う、嘘発見機? 懐かしい単語だ…
「誓うに決まってるじゃん!」
「ならええわ。疑うて悪かったな。清隆も、疑わしい事はせんときよ?」
「あ、ああ…」
よ、ようやく…かな。
「じゃあ、和解できた所で改めて…」
「そやね」
さあ、新たな出会いだ!
「なんで彼女さん関西弁なんですか!」
「え、いきなりそれなんか?」
「俺が説明するよ、それは…」
だって、気になるんだよ〜。でも、加藤君が説明してくれて何よりだ。
「じゃ、頼む」
「ああ」
ほっほっほ。楽しみだ。
〜つづく〜
私は仲直り一番に、彼女さんがなぜ関西弁なのかを訊いた。
そしたら、その答えは加藤君が答えてくれるらしい。
「こいつ、中学に上がるまで関西にいたんだよ」
「なんだ、普通の理由じゃん」
「ふ、普通じゃあかんの? そもそも、誰が説明しても同じやし…」
謎は解けたけど、普通過ぎてこれ以上会話が続かないや。
「えと、関西弁の子と接するのは初めてだけど、よろしくね」
「それ、うちの事バカにしとるんとちゃうよな?」
「えりかはそんな事考えないと思うぞー」
「うん、楓の言う通りじゃわ」
「私はえりかちゃんの事よく知らないけど…」
それぞれのフォローがありがたいやらなんやら。
「で、本人としてはどーやの?」
「バカにするわけないじゃん。それはそうと…」
私は香奈ちゃん(だっけ?)に席を勧めると、じっと見つめた。
「な、なんやの…」
「彼女さん…ていうのはよそよそしいから名前で呼ばせてもらうけど、
香奈ちゃん、かわいいね〜。うへへ」
「あ、それ私も思った。加藤君にはもったいない」
「あたしにも負けてないね!」
み、みーちゃん。
「ちょ、今度はおだてる作戦なん? なんも出ぇへんよ?」
「大丈夫大丈夫、期待してないから。それより、なれそめは?」
「加藤君のどこがいいの?」
「学校離れて寂しくない?」
「えっと…質問攻めで、ごめんね…」
私達、質問攻め? でも、こんな状況が悪い!
「お前らなぁ。そんなに質問攻めにするなよ。それよりも、だ」
「ん? 何? 清隆」
おや? 私らの質問は無視する気かい? この男は。いけないねぇ。
「こいつらの質問より先に答える事があるだろ」
「せやから何? 隠す事なんてなんもないから、なんぼでも答えるよ?」
おお! なんか、態度がちょっと柔らかい! これが恋か…
「お前…なんでこのタイミングでここに来れたんだよ! どうして、
この場所が分かったんだよ!」
そういえば! そっちの怪異がまだ謎のままだった! 関西美少女に、
すっかり持って行かれてたよ。
「なんや、そないな事か。簡単な事や〜」
気になる気になる! どきどきワクワク!
「それはやなぁ」
私達一同は、香奈ちゃんの言葉に耳をダンボにした。
「とその前に、なんや喉乾いたわ。先何か飲んでもええ?」
「だーーーーーーーっ! か、構わないから早く教えろーーーーーーー!」
加藤君のずっこけっぷりは、それはそれは見事だった。なんていうか、
私達全員分の代表って感じで。
「せやったら、今から持って来るさかいちと待ってな」
「あ、あぁ…」
香奈ちゃんて、結構マイペースなんだなぁ。
〜つづく〜
いきなりこの場に現れる事ができた理由を知りたい私達。
でも、香奈ちゃんはドリンクバーに行ってしまった。
「ねえ。いつもあんな感じなの?」
「まあな」
「で? 加藤君は彼女のどこが好きなの?」
「あ、それは気になるのぅ」
「ちょっと、あんまり訊いたら悪いよ…」
蓮ちゃんだけが健気に制止してるけど、私達は興味を止められない。
ここは香奈ちゃんが戻って来る前に訊きたいなぁ。
「ね、どうなのさ」
「お、お前ら…」
「お待たせ〜。ん、どないしたんや?」
ちっ、香奈ちゃんが戻って来ちゃったか。
「あぁいや、別に何も。さ、説明してくれるかな?」
「そやね」
よかった、深追いされなくて。話に乗ってくれるかキレるか、
多分…その二択だもんね。
「で、どうしてこのタイミングでここに来られたんだ?」
「ん〜、簡単な事や。イマドコサーチ!」
ババッとケータイを取り出した香奈ちゃん。そういえば聞いた事があるなぁ。
「これを使うとな、調べたい番号のケータイがどこにあるか、分かるんや」
「そっかそっか、その機能を使ったわけだね」
なるほど納得。
「ちょっと待て香奈」
「ん、なんや?」
おや? 加藤君は納得してない様子。
「説明、不十分じゃないのか?」
「そ〜か? 十分やと思うけど…」
うんうん。
「じゃあ言わせてもらう。まず、イマドコサーチは調べられる側の許可がいる。
次に、それだけじゃあ俺の場所を細かくは突き止められない。第三に、
突き止めてもここまで来るのには時間が必要なはずだ。どうだ?」
「そういえば…加藤君、名探偵?」
「なんやの、名探偵って。しゃーないなぁ。あんま言いたい事やなかったけど、
清隆が知りたい言うんなら説明したるわ」
ほうほう。加藤君の希望なら叶えるってことか。愛だね。
「前デートした時にな、うちの番号を無条件解除に設定変更したんや
「な!」
おお、やる〜。彼氏のケータイを勝手にいじくるなんて。
「せやから、サーチ確認が出ぇへんかったんや。ま、場所については、
正直博打やね。来週の事についてメールもらったやろ? それでな、
この辺りのお店をしらみつぶしに当たったんや。たまたま、うちもこの近くにおったさかい」
「なんてこった…人のケータイ勝手にいじるわ、店を総当たりするわ」
「でも、そのお陰で私達は会うことが出来た。たまたま近くにいた、
ていうし、これは絶対縁だよ」
お、いい事言ったぞ私! でも、人との出会いは全部縁だからな〜。
ここでみーちゃんと出会ったのも、そのお陰で蓮ちゃんと知り合えたのも。
「あ、そうだ! 蓮ちゃんも香奈ちゃんも、アドレス交換してもいい?」
「えぇよ」
「私も」
こうして始まるアドレス交換大会。
「えっと…俺は?」
〜つづく〜
始まったアドレス交換会。
加藤君? あぁ、スルースルー。
「俺はスルーかよ」
「だって、毎日会えるじゃん。それに、身内以外は女の子のデータだけで埋めたいし」
「へ〜、えりかそういう意識あったんだ」
おや? 楓さんには初耳だったかな?
「あったよ〜。だって、男ったらしみたいじゃん?」
「そうかな。それは受け取る人によるんじゃない? 交友関係が広い、
て思われるだけかもしれないし」
ふむふむ。ま、言ってる事は分かるんだけどなぁ…
「ん〜、うちも口挟んでええ?」
「そりゃ当然だけど、どうしたの?」
香奈ちゃん、何か言いたい事がある模様…
「あんな? うちもこの子の言う事分かるよ。できれば、家族以外は
清隆以外の男は登録したないもん」
「おお〜、ありがたい! 同胞だ! って、そういえば、自己紹介がまだ、
だったね。それなのにアドレス交換だなんて…」
ふと気付いた大事なこと。そこで私達は自己紹介を始めた。
**********
「そんで、えりかが清隆のクラスメイトなんやね」
「そうそう。といっても、今日知り合ったんだけどね」
はっきり言って、男子に興味のないわたし。加藤君には悪いけど。
「俺、正直ショックだったぜ?」
「ごめん〜。でも、ホントに男の子に興味なくて」
「えりか、恋愛せぇへんの?」
な!
「ちょ、ちょっと! 香奈ちゃん何言ってるの!」
「そやけど、そやろ? 彼氏おれへんのやし、気になるやん」
〜〜〜〜〜〜っ!
「楓! 楓は何も言わないでよ?」
「分かってるって。私も今は彼氏欲しいモードじゃないし」
「ほうほう、楓もか」
「みーちゃん、私もなんだけど…」
と、遠慮がちに挙手するのは蓮ちゃん。おお、蓮ちゃんらしいよ!
「仲間!」
私はその手を取った。
「仲間? う、うん…」
「で、みーちゃんは? 彼氏は?」
「あぁ、こっちも沙汰はないよ」
お、みーちゃんも仲間だ。
「なんや、幸せなんはうちだけか」
「し、幸せって! 私、彼氏いないけど幸せだもん!」
ここは言っておかねば、力説せねばなるまい。
「みんな、同意をお願い!」
私は力強く訴えた。
「え?」
でも、なんか、みんなの反応が悪い…
「ちょっと、どういう事?」
ねえ、どういう事?
〜つづく〜
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第121回から第125回 | ||
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