ようこそ、二次へ 八話 |
いきなり、二次元の世界にやってきてしまった俺。
元の世界に戻るためには七色の物を探し出さなければいけないらしく
二次元の世界の人達とワイワイやりながら頑張る話。らしい。
前回のだいだいなあらすじ。
恋にご飯をあげたり、ラーメン屋で星さんに会ったり。
そして、念願の七色の物の情報を手に入れた!!
では、本編どうぞ!
八話 恋姫無双 〜北郷軍E〜
城門で星さんを待っていると馬に乗って星さんは来た。
「アレ?馬、一頭しかいないんですけど・・・・?」
馬は星さんが乗って来た一頭のみ。他に馬は見あたらない。
「サク、お主馬に乗れるのか?」
「乗れません!!」
生まれてこのかた一度もないよ!
「だから、私の後ろに乗れ」
「はぁ・・・ってええぇぇぇ!?」
「何をしておる?早くしないと日が暮れてしまうぞ?」
「いや、でも、そのぅ・・・・・・」
正直かなり恥ずかしい。役得だぁ!いやっほぉぉぉぉぉう!!とか思ってもヘタレな俺には無理です。
とか考えてモジモジしていると
「ふむ。お主も健全な男の子だから意識してしまうのも仕方ない事だ。
だがこれでは埒が明かないのでな」
と星さんは馬から降りてこちらに近寄ってきて・・・
「はぐっ!・・・・」
首の後ろに手刀を一発。
「さて、行くか」
そのまま俺の意識は遠のいていった。
・・・あー地面が揺れてる。ちょっと寝心地悪いなぁ・・・。
・・・つか、ここどこ?
「・・・ハッ!」
目が覚めた。
「おぉサク、目が覚めたか。もう少しで目的地だぞ」
後ろから星さんの声がする。
状況的に前に俺、後ろに手綱を持った星さんがいる事になる。
そして、背中に感じる柔らかいこの感触は・・・
「せ、星さん胸が当たってるんですが・・・」
「当てているのだ」
「えぇ!?」
「冗談だ。これ以上さがったら私が馬から落ちてまうからな」
「むぅ・・・」
嬉しいけど、この状況は俺のノミの心臓が持つかどうか・・・
「着いたぞ」
早っ!?さらば俺の幸せタイム。もう少しだけ・・・いや、なんでもない。
「ここからは歩きで行くぞ」
星さんは馬から降りる。俺も星さんに続いて馬から降り・・・落ちる。
「イタタタ・・・」
「何をやっているのだ?ほら、馬の手綱を引いてきてくれ」
星さんは山道を歩き出す。
「あっ、ちょと、待ってくださいよ」
俺は馬と一緒に星さんを追いかけた。
山を歩き回ること十数分。
「誰もいませんねー」
俺は後ろを歩く星さんに話しかける。が、いくら待っても返事がない。
「星さん、どうかしたんですか?」
何かあったのかと思い後ろを振り向く。
「・・・いない」
そこには、さっきまで後ろを歩いていたはずの星さんの姿はなく
山道に木々が道なりにひっそりとたっているだけだった。
「ちょ!?星さん!星さーーん!!」
こんな場所に一人置き去りにされても(馬もいるが)何もできないし帰り道も分からないよ!
「とりあえず探さないと・・・」
来た道を引き返そうとすると
「そこの貴方!ちょっとお待ちなさい!!」
「えっ?」
一人ぼっちで泣きそうな時に人の声。天は俺を見捨てなかった!
「すいません、連れとはぐれてしまって困ってたんです。白い服を来た人見ませんでし、た・・・・か?」
振り向くとそこにいたのは、三人組の女性。そして顔には蝶の仮面。
そのうち一人は虹色の仮面を着けていてクルクルの金髪縦ロール。
・・・金髪縦ロール?いや、まさかね。
「あなた、その馬を置いて行きなさい!素直に言う事を聞けば命は取りませんわ」
「すいません、大人しく言う事を聞いてください」
「ほらほら早くー。斗詩は怒るとこわいんだぞ〜」
「もぅ文ちゃん!何勝手な事言ってるの」
やっぱ袁紹たちか・・・。
しかしこの状況・・・どうする?どうするよ俺!?
1、逃げる 2、素直に馬を引き渡す 3、仲間にしてもらう 4、華蝶仮面を呼ぶ
・・・よし、我が家に古くから伝わる伝統的な戦いの発想法を有効活用させてもらおうか
それは!『逃げる』!!
「あっ、あれはなんだっ!!?」
と俺は袁紹たちの遥か後方、遠くの空を指差して注意を促す。
「なんですの?」
「なんだー?」
「なに?」
見事に三人とも後ろを向く。
「撤退じゃー!」
俺は馬の手綱を引き、回れ右をして走りだす。
「何もありませんわよ・・・ちょっとあなた何処行きますの!?文醜さん追いかけなさい!」
「あいよー」
「はぁ、はぁ、少しは離したかな?」
俺は後ろを確認する。
「待ちやがれー!」
数十メートル先に追いかけてくる人影が見える。
しかも、近づいてくる早さが尋常ではない。
「S・H・I・T シット!」
こんなことを格好つけて言ってる場合じゃないんだけど
正直もう走れない・・・。
「よーし、追いついたぞー!さぁ、馬を渡してもらおうか」
「嫌だって言ってもダメですよね・・・」
「うん、ダメだと思う。麗羽様一度言ったら聞かないから」
「文醜さん、まだですの?」
袁紹、顔良の二人が追いつく。
「もう、まどろっこしいですわね。文醜さんさっさと片付けてしまいなさい」
「ほいほーい。ごめんなーお兄さん。ちょっと我慢してな」
そう言って文醜は大剣を構えて、振りかぶる。
「我慢とかそういうので済まない様な気がするのですが!!?」
俺のツッコミもむなしく大剣は振り下ろされる。
あぁ、俺ここで死ぬのか・・・。
「待てぇい!!」
「誰だ!?」
大剣を振り下ろす手が止まる。
「この声・・・星さん!!」
俺は声のした方を見て、すぐ近くの木の枝に立っている人影を見つける。
「はて?誰かと勘違いをなされているようだが、私は星とやらではないぞ」
そこにいたのは蝶の面を付ているが、紛れもなく星さんの姿。
しかし、本人は気付かれてないと思っているのだからすごいと思う。
「あなた、誰ですの?」
「可憐な花に誘われて、美々しき蝶が今、舞い降りる!我が名は華蝶仮面!
弱きを助け強きを挫く、正義の化身なり!」
星さん・・・華蝶仮面は木から華麗に飛び降りると槍を構えた。
「邪魔をするのであればあなたも倒すまでですわ。文醜さん、顔良さんや〜っておしまい!」
「あらほらさっさ〜」
文醜はノリノリで返事をする。
「じゃあ、いっくぜー!」
「もう!文ちゃん一人で突っ込まないでよー」
大剣を垂直に振り下ろす文醜、その大きな隙をカバーするように顔良がばかデカイ金槌を水平に振る。
武器が振られるたびに聞こえる風を切る音、地面を叩く音が二人の武器の重さを物語る。
「よっ、ほっ」
その攻撃をひらりひらりとまるで蝶が舞うように華蝶仮面は避けていく。
「はーはっはっはっは!当たらなければどうということはないぞ!」
挑発するように言う。
「くっそー・・・おりゃぁ!」
文醜は再び大剣を振る。
それに続いて顔良も大金槌を振る。
「ふっ、はっ、とう!」
華蝶仮面はまたも華麗に避け、そして宙を舞って大金槌の上へと降り立つ。
「えっ、ええぇぇぇ!!?」
自分の武器の上に乗られた顔良はかなり驚いている。その様子を楽しむように華蝶仮面は笑いながら
「ふふっ、ではこちらもいかせてもらおうか」
と大金槌からヒラリと降りて槍を構え直す。
「では、いくぞ!」
素早い動きで槍を突き出す。
「うわっ」
「ひゃあ」
文醜と顔良は何とかそれを受け流す。
二人の相手しているのに華蝶仮面は一歩も退くことはなく、むしろ押している。
「もうっ!何をやっているんですの!!さっさと片付けてしまいなさい!!」
袁紹の急かす声が聞こえる。
「そんなこといっても無理ですよ麗羽様ー。この人すごく強いんですからー」
「でも、そのほうが燃えるだろー斗詩」
「全然燃えないよー・・・」
激しい攻防は続く。
そんな現実離れした戦いを見ながら、ふと思う
「・・・俺空気だなぁ」
まぁ凡人からかけ離れた能力を持った人達と
戦えるわけないからここで見てるしかないのだけれど。
そうこうしていると
「うわ!?」
「きゃあ!!」
文醜、顔良の武器が二人の手元から離れる。
華蝶仮面は矛先を二人に向け
「ここで退くなら、私はこれ以上危害を加えるつもりはない」
「「麗羽様〜」」
二人は袁紹に助けを求めるような声を出す。
「仕方ないですわね。今日の所はこれぐらいしてあげますわ。
文醜さん、顔良さん後ろに向かって前進ですわ!!」
先に歩きだす袁紹の後を武器を拾い上げて二人がついていく。
「ちょっと待たれい!」
去ろうとする三人に華蝶仮面が声をかける。
「なんですの?」
「その仮面は私の知り合いの友人が落とし物なのだ。すまぬが返していただけぬか?」
星さん・・・俺の探し物の事を忘れてなかったんですね!
けど、あの袁紹が素直に渡してくれるとは思えないんだけど・・・
「・・・いいですわよ」
「ええっ!いいんですか!?」
驚いてつい声に出してしまい慌てて口をふさぐ。
「私は寛大な心を持っていますのよ!これぐらい当然ですわ」
「すまぬな。礼を言う」
華蝶仮面は袁紹から仮面を受け取る。
そして袁紹たちが去っていくのを見送ると、華蝶仮面は
「では、私はこれにて。さらばだ」
と言ってどっかに行ってしまった。
「・・・ってまた一人か」
たぶんすぐに星さんは帰ってくると思うけど。
とりあえずその場で待つ事にする。
すると、ガサゴソと茂みから音がする。
「な、なんだ!?」
一難去って、また一難か!?
「おぉ、サク。こんな所にいたのか探したぞ」
出てきたのは星さんだった。
「脅かさないで下さいよ・・・」
「そういえば、さっき友人と会ってな。人助けをしていたら
お主が探していた七色の物を見つけたからお主に届けてくれと」
そう言ってさっき袁紹が着けていた面を渡そうとする。
「あっ・・・今は渡さないで下さい。今それに触れるとすぐに帰らなきゃいけなく
なると思うので・・・。北郷さん達にお礼とお別れもいいたいですし・・・」
「ふむ、そうか。では預かっておこう」
星さんは懐に仮面をしまう。
「ところで私の友人に助けられたのはお主だろう?」
「あ、はい」
助けてくれたのは俺の目の前の人だけどなぁ・・・
「それで、その、華蝶仮面はどうだった?」
「どうだった・・・ですか?」
「いや、例えばカッコよかったとか・・・」
いつもはっきりと物事を言う星さんの歯切れが悪いと思ったら、そういうことか。
「はい!すごく美しくて、闘ってる姿はまるで蝶が舞いを舞っている様に華麗でした」
「そうか、そうか。そんなに美しかったか!」
「・・・星さんすごく嬉しそうですねー。俺は華蝶仮面の事を言っているのに
まるで自分が褒められているみたいに・・・」
「いやっ、その・・・ほら友人が褒められるとなんか嬉しいものではないか」
「そうですねー」
少し慌てている星さんは可愛かった。
その後、山を下りて町へと向かったのだけど、
行きと同様以上のドキドキのせいで山での出来事以上に疲れてしまった。
八話 恋姫無双 〜北郷軍E〜 終わり
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ようこそ、二次へ 八話です。 七色の物の情報が手に入り、 その情報をたよりに星と山へ向かう事に・・・。 |
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