深い闇 10 |
「皆さんよく集まってくれました。
今回の会議を開始します、まずは其処にある資料をご覧下さい。
その資料にある通り、今現在私の娘である令子がある魔族に狙われている事がわかりました。
理由はアシュタロスを倒した人間を殺して自分の名を上げる目的などが考えられますが
今現時点では判断できません。ですが、人類の救世主として存在している令子が
もし魔族に殺された場合。神魔族のデタントが崩壊するだけではなく、我々人間全員が
再び恐慌に陥る可能性が考慮されます」
オカルトGメンの会議室。
其処に私が現在使えるあらゆるコネと横島君の力添えによって
集められた優秀なGS達が揃っている。
今回の主役であり、護る対象である私の娘、美神令子。
そして世界に数人しか存在しないレアスキルの持ち主、ネクロマンサー氷室キヌ。
同じGメンスタッフであり優秀な私の弟子である西条君。
A級GSであり令子のライバルである小笠原エミ。
同じく令子の友人で六道冥子。
そして唐巣神父とピエトロ・ド・ブラドー君。
エミさんの所からタイガー寅吉君。
ドクター・カオスと人造人間のマリア。
伊達雪之丞君と魔鈴めぐみさんは今回参加していない。
理由は捕まらなかった事と、断られた事だ。
そして…
神族から武神・小竜姫様とヒャクメ様。
魔族からワルキューレさんとジークフリートさん。
これだけの超一流のGS達に加え神魔族まで加わっているメンバーは
アシュタロスの時以来だろう…
「……いつの間にか世界の英雄に奉られたワケね。どんな気持ちかしら令子?」
「……五月蠅いわね」
令子に何時もの覇気が無い。
それだけではなくおキヌちゃんも心ここにあらずといった感じだ。
横島君一人がいないだけでここまで士気が落ちるなんてね…
「魔族のデータは既に上がっているのか?美神美智恵?」
「はい。今回の件、令子を殺そうとしている魔族はソロモン72柱の1柱
侯爵マルコシアスと判明しました」
「侯爵クラスだと!?上級魔族の一鬼ではないか!
それもアシュタロスと同じ72柱だというのか!」
ワルキューレさんが驚愕で顔が歪んでいる。
私も出来れば夢であって欲しい。
マルコシアスといえば悪霊30個軍団を率いている大悪魔だ。
アシュタロスとは比べ物になりはしないが、
それでもかなり上位の上級魔族であることには間違いない。
特に脅威なのが[炎の氷柱]だろう。
噂によればその一撃は主天使すら一撃で葬り去るといわれている…
人間が何の用意も策もなく勝てる相手ではない。
小竜姫様やワルキューレさんより自力では圧倒しているのだから…
「あ、あの…隊長さん…横島さんは。来ていないのですか?」
おキヌちゃんがおずおずと私に話しかける。
皆も事情は既に承知のはずだろう、彼がいないのはある意味当然とも言える。
今回の件でなんとか再び横島君を令子の傍に戻したいが、果たして上手く行くかどうか…
「横島君は今回不参加です。その代わりに彼のお陰で小竜姫様とヒャクメ様
ワルキューレさんにジークフリートさんに参加して頂いてます。
彼がいない穴は十分以上に塞がっているわ」
「そう…ですか」
「ふんっ!あいつがいなくても何の問題も無いわ!たかが犬っころの魔族なんでしょ?
そんな奴が来たって、すぐにぼこぼこにしてやるわ!」
「令子、相手は仮にも上級魔族。それも下級ですら中級神魔に劣らないと言われている
ソロモン72柱の一鬼なのよ、過信していたら足元を救われるわよ」
「その通りですよ美神さん。僕も一応は中級神魔に属されていますが
下級の魔族であるソロモン72柱の一鬼、セエレ殿と一度手合わせした事があるのですが
下手すれば負けていたのは僕のほうでした。そのソロモンの上級魔族なんです。下手をすれば
最上級神魔に近いかもしれないんですよ。いくら美神さん達が強いといっても負けてしまう
可能性はとても高い、慎重になりすぎても過剰では無いでしょう」
そこまで強いのソロモンの魔族は…
これは雑念を入れたまま戦えば負けるのはこちらね、全力で迎え撃たなければ。
「しかし、解せんな…マルコシアス殿が何故美神令子を襲うのだ・・・?同じソロモンの悪魔を
倒されたからなどと言う事は考えない方だし、あの方はデタント派だったはずなのだが…」
「そうですね、私も一度会ったんですけど。結構気さくな魔族だったのね。
美神さんを襲うような怖い魔族には見えなかったんですけどねー」
「ふむ…何か事情があるのかもしれませんな。
美神君を狙わなければいけない理由か…」
考えてみると、襲われない理由が無いくらい色々な事をしているわね令子は…
「そこらへんは実際会って見ない事にはわかるまい。
で?どうするんじゃ、さっさと今回の作戦を教えてくれんかのぅ。
バイトを途中放棄してこっちに来たんじゃ、保障はちゃんとしてくれよ?」
「明日までに・家賃・支払わ・なければ・大家さんに・追い出され・ます」
「なにか…切実ですね…」
「その辺りはお任せ下さい。直ぐに保障しますので、では西条君今回の作戦を」
「判りました」
その言葉に西条君が頷いてホワイトボードに今回の作戦などを記していく。
「アシュタロスより弱いとはいえマルコシアスもかなりの上位魔族であることは
既に分かっていると思いますが、それだけに弱点も直ぐに探し出す事が可能です」
有名な魔族や神、妖怪であるほど如実に弱点などがはっきりしている為
其れを基にした作戦を立てやすいのも確か。
「今回の件は日本政府も重く見ている。そこで蛇の麁正の使用許可が下りた」
「蛇の麁正ですって!?天十握剣の事ではないですか!
紛失していたとばかり思っていたのですが、まさか今も実在しているなんて…」
小竜姫様が驚いている。
其れもそのはずだろう。
蛇の麁正(をろちのあらまさ)別名、蛇の韓鋤の剣(をろちのからさひのつるぎ)
天十握剣(あまのとつかのつるぎ)とも呼ばれる日本に存在する中で最上位に属する神剣。
素戔鳴尊(すさのをのみこと)が八岐大蛇(やまたのをろち)を斬った際に用いた神の剣。
八岐大蛇を斬ったと言う事で、世界に蛇と龍そしてそれに属するものに対して
絶対的な威力を誇る剣なのだ。
蛇や龍とはあらゆる動物などの集合体を概念として形成されたもの。
そう…蛇の麁正は龍はおろか、あらゆる動物に属するものに対して
致命的な攻撃力を誇っている事になるのだ。
それはつまり、魔族とはいえその身を狼とするマルコシアスには最有力の概念武器となる。
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注意:
蛇の麁正が動物に効果があるというのはこのSS内のオリジナルの設定です。
ソロモン72柱の中で下級中級といった区別は特にありません。
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「アシュタロス戦後、オカルトGメンの特殊結界形成車の改造が進み。
一定の数を設定されたように設置して結界を形成した場合、
総合50万マイトまでの捕縛結界を一時的に形成できるようなった。
人間界では魔族や神族の魔力などは著しく下がる。
これだけの高出力の結界ならばアシュタロスのような最上級神魔なら
ともかく、マルコシアスのような侯爵クラスなら十分止められるというデータが出た」
「50万って…それ私達も中にいたら押しつぶされないワケ?」
「そこは大丈夫だよ、結界は敵味方を識別できるからね。
ただこの結界を起動させるには幾つかの問題があるんだよ」
そう、結界を起動して神剣で魔族を倒すだけならばこんなに大人数は要らない。
「成程、結界形成車を予め配置するわけには行かないんだね。
相手も罠があることくらい承知済みだろうから…私達は結界車が配置につくまでの護衛
といった所かな?」
「その通りです唐巣神父。
残念ながら僕達オカルトGメンの精鋭でも貴方達のような一流のGSには遠く及ばない。
マルコシアスの用意しているだろう30の悪霊軍団相手では悪戯に死人を出すだけですから」
悔しいがまだ私と西条君以外のGメンの能力はいい所2流止まりでしかない。
それでも普通の悪霊などの除霊ならは簡単だが相手が魔族、それも上位魔族なら
ただの邪魔にしかならない。
「結界形成車は合計で5台あります。
各1台ごとの警備を貴方達にお任せしたい。勿論僕も其方の警備に回る予定です」
「西条さん、私はどうするのよ?
嫌よ?狙われてるのが私なのに黙って隠れてるなんて性に合わないわ!」
「令子には一番危険な役所があるわ」
親としてはそんなことはさせたくは無い。
だが、指揮官としては令子は作戦遂行の為に死地に送らなければならない…
こんな時に横島君がいれば、安心して令子を前線に出せるんだけど…
「貴方は神魔の皆さんの援護を受けて囮になってもらうわ。
マルコシアスの狙っているのは令子貴方なのだから、これ以上有意義な囮も
いないでしょう?」
「…上等じゃない。丁度むしゃくしゃしてたのよ…マルコシアスだかまるこめ
だか知らないけど、私に喧嘩を売ったからには徹底的にボコボコにしてやるわ!!」
令子の其れが強がりだとわかっているのはこの中に何人いるだろうか…
やはり貴方には横島君が必要、きっと横島君ならこの状態の令子を見捨てて置けないはず。
下手をすれば食われてしまうがエサと釣り糸は張った…
後は横島君という最上級がつれるのを待つしかないわね…
今は出来る事をやりましょうか、私は西条君に代わり作戦の詰めを詳しく説明して言った…
説明 | ||
深い闇の10話upです。 ついに美神さんを狙っている魔族の名前が出てきました。 これからどうなるのでしょうね…(あれ? 今回は多少説明文が多いかもしれませんが 笑って許してもらえると助かります(汗 少しでも楽しんでもらえたらうれしいです。 |
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