一刀たちが桃香たちに合流してから二日後、新野城に向かって撤退をしている曹操の軍勢に向けて、蜀、呉の両軍は出陣した

そして、曹操が新野城にたどり着くとほぼ同時に蜀、呉も曹操に追いついていた

一刀「曹魏の様子は？」

一刀は斥候からの報告を聞き終えた朱里に声を掛ける

朱里「曹操さんは現在新野城に入っていますが、新野城はあまり大きな城ではないので決戦は野戦になると思います

朱里は斥候からの報告を頼りに戦場予定地を地図上に示す

周瑜「ふむ、では右翼に蜀、左翼に呉。両側から挟みこむような布陣でいくか……」

周瑜がそう呟くと雛里が頷き

雛里「蜀、呉をあえて混ぜずに二つに別けて攻めることで、相手はまったく違う軍を二つ同時に相手しなくてはいけませんからね」

雛里の言葉に周瑜が頷いていると、そこに一人の兵士が慌てて駆け込む

兵士「報告！！　魏軍が新野城より出陣しました！！」

その報はその場にいる全部将の表情を引き締めた

桃香「みんな！　これが最後の戦いだと思うから……後もう少しだけ力を貸して！！」

桃香はその瞳の決意を秘めながら蜀の将たちに声をかける

一同「「「応っ！！」」」

将たちは返事をすると、即座に出陣の準備へと駆け出した

そして、魏、呉、蜀。すべての軍の布陣が終了すると、魏から曹操が出てきて

曹操「劉備よ！　孫策よ！　我が舌峰を受ける勇気はあるか！！」

曹操がそう叫ぶと、桃香が前に出て

桃香「勇気、あります！！」

そう叫んだ。孫策はそれを心配そうに見ていたが止めようとはしなかった

そして、二人は叫びあう。

互いの歩いてきた道、それがあるからこそ譲れないものがある。

そんな二人の言い分を一刀は目を閉じて聞き、そして思う

一刀（やっぱり桃香はまだまだ考えが甘い……でも、だからこそ支えたくなるんだよね。夢物語だと思うからこそ叶えたくなる……）

一刀がそんなことを考えているうちに二人は舌戦を止め戻ってきていた

桃香「今、曹操さんはきっと私たちと同じ卓についてくれてない……だから、この戦に勝って、曹操さんに同じ卓についてもらいたい！！」

桃香がそう将兵に向けて叫ぶと同時に魏、呉から雄叫びが上がり、両軍ともに砂塵を巻き上げる

桃香「この戦に勝利するためにも……みんなの力！！　私に貸して！！」

桃香はそう叫び剣を抜く

兵士「「「おぉぉぉぉぉーーー！！」」」

その姿に兵は奮起し、砂塵を巻き上げ曹魏へと突撃する

一刀「目指すは曹操の旗のみだ！！　俺に続けーー！！！」

一刀はそう叫びながら先陣をきり突撃する。そんな一刀の前に

夏侯惇「華琳様の元にはたどり着かせんぞ！！」

そう言いながら夏侯惇は『七星餓狼』を構える

夏侯淵「その頸、貰い受ける」

夏侯淵も『餓狼爪』を構え、一刀と対峙するが

焔耶「でぇぇぇぇぇい！！」

焔耶は夏侯惇に向けて『鈍砕骨』を振り下ろす

夏侯惇「ちぃ！！　邪魔だ！！」

夏侯惇は何とか受け止めたが、その姿勢のまま後方へと吹き飛ばされる

愛紗「はぁぁぁぁ！！」

愛紗は一刀に集中していた夏侯淵との間合いを一気に詰め連撃を放つ

一刀「愛紗！　焔耶！」

一刀が二人の名を呼ぶと二人は一刀のほうは見ず、目の前の敵将を睨みながら

愛紗「先に行ってください一刀殿！」

愛紗は夏侯淵の矢を弾きながら一刀に言う

焔耶「ここは私たちが抑えますから！　一刀様は早く曹操を！！」

焔耶は夏侯惇の重い一撃を真っ向から受け止める

一刀「わかった！！」

そう言って一刀が駆け出そうとすると

白蓮「一刀！！　乗れー！！」

後ろから、白蓮の騎馬隊が掛けてくる。一刀はその声に反応すると、その場で跳び、白蓮の馬へと飛び乗る

白蓮「一気に行くぞーー！！」

そう言うと白蓮の馬は一層加速する。そして、あっという間に曹操の牙門旗の側まで近寄るが

程�c「二番隊と三番隊の皆さんは左右に展開。一番隊と四番隊の皆さんは前後に展開してくださいー」

戦場に似合わない気の抜けるような声と共に、曹の牙門旗を囲むように槍隊が展開する

白蓮「ちぃ！　これ以上は馬じゃあ近づけない！　悪い一刀、ここまでみたいだ」

白蓮は一刀のほうを向き、申し訳無さそうな表情をする

一刀「いや、充分に助かったよ。ありがとう白蓮」

そう言って一刀は馬から飛び降りると真っ直ぐ曹の牙門旗を睨みながら

一刀「どうしたもんかね……」

そう呟いた。すると左右に人影が二つ現れる

桔梗「一刀よ。すぐに穴を開けてやるから待っておれ」

そう言いながら桔梗は『豪天砲』を槍隊に向かって連射する。すると、その箇所にポッカリ穴が開く

しかし――

程�c「さっさと埋めて下さいー」

程�cが一声掛けるとすぐにそこが新たな兵で埋められる

鈴々「にゃにゃにゃーーー！！」

それを一刀の隣で見ていた鈴々は兵を引き連れ突貫する。鈴々が蛇矛を一振りするだけで何人もの兵が吹き飛ばされていた

桔梗「ふむ、わしらも負けてはおれん。皆、行くぞ！！」

その姿をみた桔梗は鈴々の後に続く。回りの兵も同様に突貫していく

一刀はすでに乱戦になった中を縫うように進み、ついに曹操の前に辿りつく

曹操「よくぞこの曹孟徳の前に――！！」

曹操は何かを言おうとしていたが途中でやめると静かに『絶』を構える

一刀「言葉は不要。何か語りたいのならばその鎌で語れ。飾りでなければの話だが……」

一刀はそう言うと同時に駆け出し、曹操との距離を一気に詰める

曹操「弓兵が接近戦とは……この曹孟徳を舐めるな！！」

曹操はそう叫び『絶』を一刀の頸目掛けて真横に薙ぐが

一刀「舐めてるのはそっちじゃないのかな？」

一刀は最小限の動きで避けると、曹操の胴に拳を叩き込む

曹操「ぐぅっ！！」

曹操は自ら後ろに跳ぶことで威力を殺そうとしたが、一刀の拳の速さが予想以上だったために殺しきれず、致命的な隙をつくる

一刀「……ふっ！！」

一刀がその隙を見逃すはずもなく。通常矢を三本同時に放ち、ほぼ間を空けずに漆黒の矢を放つ

曹操は態勢を崩しながらもなんとか通常矢を叩き落し、漆黒の矢は身体ごと地に転がる事で避けた……しかし……

一刀「終わりです」

その言葉と同時に、曹操の『絶』を持っているほうの腕は踏まれ、額は一刀の『龍砲』がしっかりと捕らえられていた

それと同時に曹操は周りを見ると、蜀の方面はもちろんのこと、呉の方面でも次々と旗が降ろされているのを確認し

曹操「私の負け……か」

そう呟く

こうして、曹魏は蜀呉同盟に負けた。この後、桃香、孫策、曹操の三人で話し合った結果。天下を三分するということで合意した

というよりも、反対していたのは曹操だけで、戦に負けた曹操が

曹操「私たちは負けたのだから特に何も言う事はないわ」

と言って桃香たちの意見に素直に従ったのだから当然のことと言えよう

それから月日は経ち、三国は互いに協力しながら繁栄を続けた。そして、年に何回か三国の重臣たちを集めて大規模な祭りを行う事となった

夏侯惇「おっ！　北郷ではないか！！　今回は貴様などには負けんぞ！！」

そう叫びながら夏侯惇はビシッと一刀を指差す

一刀「あっ！　おじちゃん、元気だったか？」

一刀はそんな夏侯惇を全力で無視して、そばにいるおじちゃんに声を掛ける

夏侯惇「貴様ーーー！！」

夏侯惇はそんな一刀の態度に激怒して、『七星餓狼』を抜くが

夏侯淵「やめろ姉者。そうやってすぐ怒るから前回、北郷に良いようにしてやられたのを覚えてないのか」

そう言いながら夏侯淵は前回、一刀に挑発された夏侯惇が勢いあまって場外に飛び出して負けたことを思い出す

夏侯惇「あ、あれは！！　こいつが卑怯なだけで……」

夏侯惇も思い出したのか、だんだんと語尾が弱くなっていく

一刀「いらっしゃい。わざわざ成都までお疲れ様」

一刀がそう言うと曹操は微笑みながら

曹操「まったくね。あなたが居なければこんな所まで来たりしないわ」

そう言いながら曹操は一刀に擦り寄ると

曹操「ねぇ一刀。私に仕える気は本当にないの？　女装して」

曹操は上目遣い気味に一刀を見るが

一刀「これっぽっちもそんな気はありません」

一刀はさっと曹操から離れるとはっきりと否定する

曹操「あら、それは残念。でも私はいつまでも待ってるわよ」

そう言いながら曹操は成都の城に向かってく、その後ろに魏の将たちが続く

桃香「一刀さんは人気者だねー」

桃香はクスクス笑いながら一刀の背を叩く

孫策「まったくね。ところで呉に来る気は無いの？」

いつの間にか、一刀と桃香の側に孫策が来ていた

一刀「いらっしゃい孫策さん」

そう言いながら一刀が微笑みかけると

雪蓮「だから〜。私のことは雪蓮で良いってばー。ところで、さっきの返事を聞きたいなー」

そう言いながら雪蓮は腕を絡めその豊満な胸を一刀に当てる

一刀「ダメですよ。いくら雪蓮のお願いでも聞けません。俺は桃香の臣下なんだから」

そう言いながら一刀は雪蓮の腕からスルリと抜ける

雪蓮「ぶぅ〜。一刀連れてきたら冥琳が好きなだけお酒と肴買って良いって言ってたのに〜」

雪蓮は頬を膨らませながら恨めしそうな目で一刀を睨む

一刀（雪蓮さん、本音が漏れてます！）

一刀は心の中でそっと突っ込む

雪蓮「それじゃあ、桃香、一刀。また後でね〜」

そう言うと雪蓮は成都の城に向かってスキップをしながら向かって行った

一刀「あれ？　呉の他の人たちは？」

一刀がふと思った疑問を口にすると

桃香「それならさっき城に着いてたよ。一刀さんと入れ違いに」

桃香がそう言うと一刀が

一刀「じゃあなんで雪蓮だけここに……」

そこまで言って一刀はなんとなく解ったので考えるのをやめた

桃香「それにしても、皆笑顔で良いことだらけだね」

桃香は街を見回しながらそう呟く

一刀「でも、まだまだ笑顔じゃない人もたくさん居るかもしれないから。頑張らなくちゃな」

そう言いながら一刀は成都の城へと歩き出す。その背中に

桃香「いつもありがと。一刀さん」

桃香は誰にも聞こえないような声でそう呟く

一刀「ん？　何か言った？」

一刀は後ろで桃香が何か言ったように感じたので振り返る

桃香「何でもな〜い♪」

桃香はそんな一刀に微笑みかけながら成都の城に向かって走り出す。その後を一刀も追う

その背に王としての風格を少しだけ見ながら―――

どうもｋａｒａｓｕです

いかがだったでしょうか？　短かったですが楽しんでいただけたでしょうか？

途中を原作とは少し違う感じにしてみたのですが大丈夫でしたか？　少し不安ですね。

これにて蜀√は完結です。残るは二回目の呉√のみとなりましたね……。

最近は他の著者様の作品を拝見させてもらっているのですが、どの著者様の作品も面白くてついつい自分の作品の更新を忘れてしまいますね……申し訳ない。

さて、蜀√も終わったので、本格的に個人√の構想を練り始めようとしているのですが、、まずはどのキャラクターで逝くのかを決めていただきたいと思います。

今のところ凪が第一候補なのですが、この次のページにて行うアンケートで最終決定をしたいと思っていますのでご協力のほどよろしくお願いします。

興味のない方はここまでとなりますので、他の著者様の作品を読みにいくか、他の著者様の作品を読みにいくか、はたまた、他の著者様の作品を読みにいくかしましょう。絶対ですよ！！

ここまで読んでいただきまことにありがとうございます。これからもほそぼそと続けさせていただきたいと思います。