真恋姫無双〜この身塵になろうとも〜呉√5
[全13ページ]
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この作品はキャラ設定が崩壊しています。原作重視の方はご注意下さい。

時代背景がめちゃくちゃです。

一刀くんがチートです。

それでもいいかたはどうぞ。

 

 

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黄巾党の首領、大賢良師率いる本体を撃破した雪蓮達の勇名は、大陸全土に広がり、江東の麒麟児と噂されるようになった雪蓮の下には、街の若者達が集まるようになっていた

それと共に有力者の援助が入り、雪蓮達の軍の規模は拡大していく

しかし、そんな状況を袁術が黙ってみているはずもないと考えた雪蓮達は、今まで以上に周囲に気を配り、袁術に悟られないよう気をつけていた

そんな状況が一ヶ月ほど続いた後、独立に向けて水面下にて動きを進めている雪蓮たちにとっての吉報が、この大陸を駆け巡る

――霊帝の死去――

黄巾の乱において、力の無さを大陸中の民にさらしてしまった漢王朝の要ともいえる人物の死、内乱

権力を欲する者達の血で血を洗う争いが起こり、漢王朝は物凄い勢いで衰退していった

この権力争いは董卓が勝利を収めたものの、それを他の諸侯が素直に認めるはずもなく

大陸全土に吹き荒れた嵐――――反董卓連合の檄文は、割拠し始めていた諸侯の心中にある、野心という名の炎を盛んに煽り立てる

そして、それこそが雪蓮たちの望んでいた混乱……独立するための絶好の機会であった

 

 

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雪蓮「ふぅ……ただいま」

首をパキパキ鳴らし、ダルそうな表情をしながら雪蓮は中庭の中央に集まっている将達に声を掛ける

冥琳「お帰り。……首尾は?」

雪蓮の表情に一瞬笑みを浮かべた冥琳だったが、すぐに表情を引き締めて雪蓮に訊いた

雪蓮「上々。……上々過ぎて拍子抜けしちゃったわ」

そんな冥琳の問いに雪蓮は苦笑を漏らしながら答える

一刀「こちらとしては有り難い限りだけどね」

雪蓮の答え方と表情で殆どを理解したその場に居る将達は、一刀の言葉に頷く

雪蓮「そうだけど。でも、もう少し張り合いが欲しいんだけどね。……復讐する対象なんだから」

雪蓮がそう漏らすと、雅が溜息をつきながら

雅「そうかもしれませんが、相手が愚かであればあるほど楽が出来るのですから」

雅がそういうと雪蓮は少しいじけたように『は〜い』と返事をした

雪蓮「ま、袁術が馬鹿だったお陰で、独立の好機が巡ってきたのは僥倖ってやつかな」

雪蓮が笑顔でそう言うと

冥琳「……いよいよね」

冥琳は雪蓮の目を真っ直ぐに見ながら言う

雪蓮「うん。いよいよ……ううん、ようやく孫呉独立に向けて動き出せるわ」

雪蓮の言葉に他の将も頷く

蓮華「ようやくですね…」

蓮華はそう言いながら昔のことを思い出すかのように目を閉じる

雪蓮「ええ。だけどまだまだ。……反董卓連合に参加し、諸侯の動きを見極める必要があるわ。……皆、ここからが正念場。頼りにしてるわよ」

雪蓮の言葉にそれぞれが思い思いに返事をして、軍議が進められていく

 

いよいよ独立に向けて動き出せる

その嬉しさを静かに噛みしめながら、皆は出撃準備に明け暮れた

だが、その準備は決して董卓を滅ぼすための戦の準備ではない……独立に向けての戦の準備であった

 

 

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雪蓮の勇名を慕って、各地からやってきた兵士達で構成された孫呉の軍団を引き連れ、雪蓮達は反董卓連合が駐屯している合流地点へと向かっていた

雪蓮「冥琳。反董卓連合に参加している諸侯って、どれくらい居るの?」

行軍中、雪蓮はふと気になったことを冥琳に訊いてみた

冥琳「発起人である袁紹と、その尻馬に乗った袁術を筆頭に、北方の公孫讃。中央より距離を置きながら着々と勢力を伸ばした曹操。前の乱で頭角を顕し、平原の相となった劉備。そして我らが主な軍勢となるだろうな。あとは――」

冥琳の言葉に合わせて雪蓮は指折り数えていく。そして少し笑みを浮かべながら

雪蓮「……さてさて。一年後まで生き残っていられるのは、どの諸侯かしら?」

そう言う雪蓮の顔は心底楽しそうであった

穏「そうですねー。有能な人もいれば、無能な人もいますからねー」

穏の言葉に雅が深々と頷きながら

雅「袁紹や袁術が良い例ですね。逆に劉備などは、後々脅威となってくる可能性がありますね」

雅がそう言うと雪蓮は『う〜ん』と唸り声を上げ

雪蓮「劉備に会ってみましょうか……」

雪蓮は不意に顔を上げてそう言った。冥琳もある程度、雪蓮がそう言ってくると考えていたのか

冥琳「それもいいだろう」

と、一言言うだけであった

 

それから数刻後

雪蓮達は無事に反董卓連合に合流を果たした

 

 

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一刀「おおっ……こりゃ凄い。黄巾党の時に比べると、さらに規模が大きくなってるな」

反董卓連合の陣地に入った一刀は、まずその兵士の多さに驚かされていた

冥琳「当然だ。袁紹や袁術、曹操……野心ある人間ならば勢力拡大に力を入れるさ」

一刀の驚いた顔を見て、少し笑いながら冥琳は一刀にそう言った。

一刀「でも、兵士の練度には差があるね……。期待できる勢力は少ないみたいだね……」

いつの間にか一刀の表情からは驚きは消え去り、目を細め、じっと各勢力の兵の動きを見続けていた

雪蓮「そうみたいね。……ところで冥琳〜。軍議に行ってきて〜」

一刀の言葉に同じように目を細めていた雪蓮はパッと表情を変えて、冥琳に手を合わせて茶目っ気たっぷりの笑顔で頼む

冥琳「軍の代表が行くべきだと思うけど?」

雪蓮の頼みに呆れ、こうなったら雪蓮は絶対に行かないのだろうと思いながら、冥琳はダメもとで雪蓮に訊いてみるが……

雪蓮「却下。だって興味ないもの」

悩む様子もなく却下された

冥琳「はぁ〜……」

そんな雪蓮にとても深い溜息を吐く冥琳

雪蓮「冥琳はそうやって溜息を吐くけど。……どうせみんなが主導権を握るために、腹の探り合いをするのは目に見えてるんだから。そんなところ行きたくないわ」

雪蓮は心底面倒そうな表情をして、冥琳に言う。冥琳もまた同じような表情をしていた。そこへ

雅「なら私が行きましょう。一刀にもついてきてもらいますけどね」

雅は二人にそう言うと一刀に会心の笑みを向ける

一刀「はぁ……わかった。俺もついていくよ。他の諸侯の代表も見てみたいし」

 

最初、一刀は軽い気持ちで軍議に向かった。しかし、そこで出合ったのは紛れもない馬鹿。一刀自身、それなりに頭は良いほうなのでより一層、その酷さがわかってしまった。故に、軍議から戻ってきた一刀はどこか疲れ果てているようにも見えた

 

 

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雪蓮「お帰り〜二人とも。……って、一刀死んでるじゃない。何かあったの?」

雪蓮の視線の先には、何故か戦場に出た後の兵士のように燃え尽きている一刀の姿があった

雅「お馬鹿さんが何人か紛れ込んでいましたからね。だいぶむかついていたみたいですよ」

雅は横目で一刀を確認しながら雪蓮にそう言う

冥琳「それで、先陣はどこが?」

冥琳がそう訊くと、一刀が顔を上げて

一刀「劉備のところだってさ。まぁ捨て駒じゃないかな? 頭角を顕したっていったところでまだまだこの中じゃあ弱小勢力である事には変わりないからね」

一刀はそこまで言って少し乱れていた服装を直すと

一刀「でも、劉備のところには、関羽や張飛、といった豪傑や諸葛亮や鳳統といった智将もいるから、この状況を乗り切ればいくらでもその勢力を伸ばす可能性はあるね」

一刀がそこまで言うと、雅が

雅「さらに言うと、曹操よりは与しやすそうでしたね」

雅の言葉に雪蓮、冥琳の二人は反応し

雪蓮「……味方に引き込める?」

雪蓮はそう静かに雅に訊く

雅「可能でしょうね」

雅もまた同じように静かに答える。雪蓮は雅の答えを聞いた後に少し考えるような素振りを見せると。顔を上げて

雪蓮「ふむ……。よし、劉備を助けましょうか」

そう言った

冥琳「それも手か……ならば劉備の陣地に使者を出しておこう」

そういうと、冥琳は近くの兵に声を掛けて、劉備に使者を遣わし、雪蓮達は劉備の陣地へと向かっていった

 

 

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雪蓮たちが劉備の陣地の前まで来ると、そこに一人の綺麗な黒い髪を後ろで束ねた将が立ち塞がる

???「待て! お前たちは何者だ? 何故我らの陣に入ってくる?」

その黒髪の将は少し威圧的な態度で雪蓮達の前に立つ

冥琳「控えろ。こちらにおわすは我らが孫呉の盟主、孫策様だ。……陣を訪れる事は先触れの使者から伝わっているはずだが?」

冥琳がそう言うと、黒髪の将の表情も少し緩み

???「ああ、あなたが江東の麒麟児か」

そう呟いた

雪蓮「なにそれ?」

雪蓮は女の子の呟いた言葉がなんなのか理解できずに一刀のほうを見る

一刀「最近みんなが雪蓮のことをそう呼んでるんだよ……知らなかったの?」

一刀がすこし驚いて様な表情で雪蓮に訊くと

雪蓮「全然。そんなに有名なの?」

雪蓮が再度、一刀に訊くと

???「ええ。あなたの名は大陸中に響いていますから」

一刀が答える前に黒髪の将がそう言った。その後ろでは小柄な女の子が両手を頭の後ろで組みながら

張飛「お姉ちゃんかっくいいのだー♪」

そう言っていた

雪蓮「ありがとう。それよりも、二人の名前は?」

雪蓮は張飛にそう言うと、二人の名前を訊ねた

関羽「我が名は関羽。字は雲長」

そう言いながら関羽は姿勢を正す

張飛「鈴々は張飛なのだ」

張飛は頭の後ろに手を組みながらそう答える

雪蓮「そう。あなたたちが関羽ちゃんに張飛ちゃんなのね。……ねぇ劉備ちゃんいる? ちょっとお話したいから呼んでほしいんだけど?」

関羽「呼ぶことは構いませんが。……一体どのようなご用でしょう?」

そう言う関羽の表情はにこやかな笑顔だが、その裏にははっきりと警戒を見て取れた。それを見た一刀は

一刀(こういうタイプって雪蓮が一番嫌うんだよな〜……)

そんなことを考えながら一刀はそっと雪蓮の表情を覗く

雪蓮「…下がれ下郎」

そこにはさきほどまでとは違い、明らかに不機嫌な雪蓮がいた。その様子を見た一刀は心の中で深い溜息を吐く

関羽「なに!?」

さすがの関羽もあまりにも急な態度の変わりように驚きを隠せずにいた

雪蓮「我は江東の虎が建国した孫国の王! 王が貴様の主人に面会を求めているのだ。家臣である貴様はただ取り次げばよい」

そう言って雪蓮はキッと関羽を睨み付ける

関羽「なんだとっ! 我らには王を守る義務がある! たとえ王が相手であろうと不信の者を桃香様に会わせられるかっ!」

そう言うと関羽は『青龍偃月刀』を抜き

関羽「それでもまかり通るというのならば、この関羽が相手になろう!」

そう言って、その切先を雪蓮に向けた

一刀「向けたな……」

関羽が雪蓮に『青龍偃月刀』を向けた瞬間に一刀は駆け出し、関羽の背後に廻る。

張飛「愛紗!」

張飛はそう叫びながら『蛇矛』を手に取るが、一刀は関羽の背後を完全に取っており、下手に動くことが出来ずにいた

関羽「……っ!」

関羽は一切反応する暇もなく背後を取られ、その首に一刀の『髑髏』を突きつけられていた。一刀が少し力を入れて『髑髏』

を引けば関羽は声を上げることもなく死ぬだろう

???「愛紗ちゃん!? どうしたの!?」

そこへ、新たに一人の女の子が走ってくる

 

 

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関羽「…桃香様」

関羽がそう声を漏らすと同時に一刀は『髑髏』を関羽の首下から外し、もといた位置に戻る

???「何かあったの愛紗ちゃん?」

走ってきた女の子が関羽に訊くと、関羽はいたって平静を装い

関羽「なんでもありませんよ。桃香様」

そう答えた

雪蓮「あなたが劉備?」

雪蓮は走ってきた女の子にそう訊く

劉備「はい。そうですけど……あなたは誰ですか?」

劉備は雪蓮の問いに頷くと、逆に雪蓮に名を訊いてきた

雪蓮「孫策。字は伯符。孫呉の王よ。……ま、今は呉の王といっても今は領土も無く、家臣も少ないけどね」

そう言いながら雪蓮は笑みを浮かべる。その笑みは明らかな余裕があった

劉備「あ、あなたが孫策さんだったんですかぁ」

劉備は驚いて、ぽかんと口を開けたままだったが、ふと意識を取り戻すと

劉備「あの、ご用の方は?」

首を傾げながらそう訊いてきた

孫策「うーん……とりあえず挨拶。あと、ちょっとした提案に来たのよ」

雪蓮がそう言うと、劉備はさらに深く首を傾げながら

劉備「提案……ですか?」

そう訊く劉備の後ろでは、関羽と張飛がジッと一刀を睨み続けていた。肝心の一刀は二人にまったく興味を示す事もなく、

辺りをキョロキョロと見回していた

雪蓮「あなたたち、先鋒を任されたのよね? 勝てる見込みはあるの?」

雪蓮がストレートにそう訊くと、劉備は少し表情を曇らせて

劉備「正直解りません。私には愛紗ちゃんや鈴々ちゃんみたいに優秀な仲間がいるけど、兵力の差があまりにも多すぎますから……」

後半になるにつれて、劉備の声は段々と小さくなっていった

雪蓮「なら。私たちが手伝ってあげましょうか?」

そんな雪蓮の提案に劉備は素直に驚くが、さほど間を置かずに

劉備「でも、そんなことをして孫策さんになんの得があるんですか?」

そう訊いてきた

孫策「あら、意外としっかりしてるのね」

雪蓮がすこし驚いたというふうな顔で劉備を見つめると

劉備「日ごろからみんなに鍛えられていますから」

そう言って劉備は雪蓮に笑顔を向ける。その笑顔を見ながら雪蓮は少し何かを思案して

雪蓮「いいわ。私も胸襟を空けて話しましょう」

劉備の目を見つめ続けながらそう言った

 

 

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雪蓮「知ってるかは分からないけど、今の私たちは呉を奪われ、袁術の客将という身分に甘んじているわ。だけどこのままで終わらせるつもりはない。……母様が広げた呉の領土の全てを回復してみせる。そのためには外の味方が必要なの……分かるかしら?」

雪蓮がそう言うと劉備は小さく頷きながら

劉備「だから私たちに協力するんですか?」

そう雪蓮に訊ねた

雪蓮「そう。……それに劉備。あなたもこれからの割拠の時代を生き抜くためには、どこかに味方が必要でしょう?」

雪蓮の言葉に劉備は少し顔を俯かせた後に

劉備「……はい」

そう声は小さくとも強く答えた

雪蓮「お互いの利益が一致している気がするのだけど……わたしの勘違いかしら?」

雪蓮はそう言いながら、顔に微笑を浮かべて首を傾げる

劉備「……いいえ。孫策さんの仰る通りだと思います」

そう言う劉備に雪蓮は目を細めながら

雪蓮「……なら、協力する?」

そう問う雪蓮に対して、劉備は

劉備「どうして……私なんですか?」

そう雪蓮に訊いてきた。劉備の目は雪蓮を疑うというよりは、疑問を持っているといったような感じであった

雪蓮「貴方が義理堅そうだったから。……信用できそうっていうのが一番大きな理由。次いで二つ目が、あなたと私たちの勢力が今は五分五分だからよ」

雪蓮はそんな劉備の目を真っ直ぐ見つめたまま答える

劉備「なるほど……。分かりました。でも……」

そこで劉備は一旦言葉を区切り、大きく息を吸い込むと

劉備「孫策さんが信用できるかどうか。私にはまだ判断できません」

そう言ってきた。雪蓮は劉備の言葉に目を細めながら

雪蓮「ふむ……信義を見せろと?」

そう訊ねた

劉備「そうです」

劉備は雪蓮の問いに大きく頷く。そんな劉備に雪蓮は微笑を向けると

雪蓮「いいでしょう。なら見せてあげましょう」

そう言って雪蓮は大きく頷く

雪蓮「孫呉の戦い振り、その目に焼き付けておきなさい。もし私が信用に足らないと判断したのならばそれはそれで良し。……いつか戦場で矛を交えるだけよ」

雪蓮はそう言って笑顔を劉備に向ける

劉備「……分かりました。では孫策さんの信義、しっかりと見させていただきます」

雪蓮の言葉を聞いた劉備は雪蓮に笑顔を向ける

雪蓮「では一刻後に出発で良いわね?」

雪蓮は、劉備が『はい』といったのを確認すると背を向けて歩き出した。その後ろを追う様に冥琳と一刀も背を向けて歩き

出した

 

 

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劉備たちとの対面を終えた雪蓮たちは出陣準備で混雑する連合軍陣地内を自分達の天幕へと向けて歩いていた

雪蓮「彼女……なかなかやるわね」

雪蓮はそう言いながら振り返り、劉備の天幕のあった方を見る

一刀「そうか? 俺には雪蓮の言葉を全て疑ってかかっているだけで、嘘と真を見極めようとすらしてなかったように見えたぞ?」

一刀が呆れたような表情でそう言うと、冥琳が少し笑いながら

冥琳「しかし、そうでなければこの乱世は生き残れまい」

そんな冥琳の言葉に一刀は頬を掻きながら『まぁね』と呟いた

雪蓮「というよりも、雰囲気に反して意外と強かだったことに驚いたかな〜」

雪蓮がそう言うと

一刀「それは俺も思った」

一刀は深く頷きながら雪蓮に賛同する

雪蓮「だけど、ああいう型の人間は、一度信用できると認めさせたのならば、心強い味方になってくれるわ」

冥琳は雪蓮の言葉に一度頷くと、眼鏡の位置を直しながら

冥琳「ならばまずは初戦。水関で信用を得なければならんな」

雪蓮は冥琳の言葉に頷きながら

雪蓮「そうなんだよねぇ〜。でも、どうしよっか?」

そう言って、一刀のほうを見る

一刀「どうしよっか? って言われても、俺たちと劉備のところの兵力を合わせたところで、水関の兵力には遠く及ばないからなぁ。さらに敵さんは難攻不落の水関に籠もってくるだろうし……打つ手なしじゃないの?」

そう言いながら一刀が冥琳のほうを見ると、冥琳も溜息を吐きながら頷いていた

雪蓮「打つ手無しって。そんなもの必要ないわよ。火の玉になって―――『雪蓮の言ってる事は戯言だから気にしないで良いからな一刀』…ぶぅー。戯言なんて酷い!」

雪蓮がとんでもないことを言おうとしていたが、全てを言い切る前に冥琳が割ってはいる

冥琳「ところで一刀。なにか良い案はないか?」

頬を膨らませている雪蓮を軽くあやしながら冥琳は一刀にそう訊いた

一刀「案もなにも、そもそも俺たちのほうが圧倒的に兵力で負けてるのに、砦に籠もってる敵を攻めようって考え方自体が間違っていると思う。まずは、敵と砦を切り離す方法。次に、切り離した敵兵と砦への対処。最後に砦を陥落させる方法を考えるべきじゃないかな?」

一刀がそう言うと冥琳は『ふむ』と言って頷くと

冥琳「では情報の整理から始めるとするか――」

そう言って今現在分かっている情報を一刀に言う。そして全てを言い終えると二人でなにやらコソコソと話し合い、時には

難しそうな表情を浮かべ、時には腹黒い笑みを浮かべていた。

その様子を一人見ていた雪蓮は

雪蓮(なんか私だけ蚊帳の外って感じ? いいもん。私はあの二人と違って、純白な乙女だから!)

そんなことを考えていた

 

その後、反董卓連合は水関へと進軍を開始。大量の旗が靡き、人の波が水関へと迫っていった。

そして、反董卓連合が水関前へ到着すると先鋒を押し付けられた劉備軍の中から何人か出てくると水関へ向けて何かを

言っていた。一刀は何を言っているのかは分からなかったが、その内容が罵言等であることは解っていた。

 

 

しかし、敵に動きはない。たまに城壁上の旗が一斉に立ったりもしたがすぐに降ろされていた

その様子を見ていた雪蓮が袁術のもとへ行きった後、水関への挑発を開始した。

するとあっという間に水関の城門が開き、中から華雄の部隊が出てくる

 

一刀「馬鹿だな」

一刀は水関から出てきた華雄の部隊を冷たい目で見ながらそう呟いた

冥琳「ああ。馬鹿だ」

冥琳も一刀と同じように華雄の部隊を冷たい目で見ていた

一刀「本当に俺があんな奴の相手をするのか? 雪蓮を連れて帰ってくるだけじゃだめなのか?」

一刀は横目で冥琳の顔を見ながらそう訊く

冥琳「だめだ。このまま素直に退いたのでは言うだけ言って逃げたようにも見えてしまう。なんかしらの功績が欲しいからな」

冥琳がそう言うと、一刀は溜息を吐きながら『髑髏』を肩に担ぐと

一刀「さっさと終わらせよう……」

そう小さく呟いて駆け出した

雅「がんばれ一刀♪」

その背に雅の応援を受けながら

 

 

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華雄「でぇぇぇぇぇい!!」

華雄が『金剛爆斧』を横に凪ぐと、複数の兵士が吹き飛ばされる

一刀「おっと」

一刀は吹き飛ばされてきた兵士を受け止める

兵士「す、すみません。北郷様」

そう言いながら兵士は足をふらつかせながら立ち上がろうとしたが

一刀「下がっていいよ。君達の敵う相手じゃないから」

立ち上がった兵士を手で制しながら、一刀は周りの兵士達にも聞こえるような声の大きさで言う

華雄「ふん。貴様ならば敵うと言うのか?」

そう言いながら華雄は『金剛爆斧』を地面に突き立てる

一刀「試してみるかい?」

一刀はそう言って、『髑髏』を肩に担ぐと指をクイクイと動かし『かかってこい』と挑発する

華雄「貴様も私を愚弄するか!!!」

たったそれだけのことで華雄は激怒して一刀に『金剛爆斧』を振り下ろす。その速さはやはり猛将と言われるだけのもので

あった。しかし、怒っているせいなのか、その太刀筋は単調で一刀は、簡単に避ける事が出来た

一刀が華雄の攻撃を避ける度に華雄の怒りは溜まっていき、どんどん攻撃が大振りになっていく。そんな華雄の様子を見て

いた一刀は

一刀(精神面で問題ありすぎだろ……。そりゃ猪武将とも呼ばれるよな)

そんなことを考えながら、華雄の攻撃に合わせて『髑髏』を動かす。すると、華雄の『金剛爆斧』は一刀の『髑髏』の刃を

すべり地面に叩きつけられる。その上に立った一刀は華雄のわき腹目掛けて蹴りを放つ

華雄「ぐはっ」

華雄は一刀の攻撃を防げずにまともに喰らい、砂煙を上げながら地面をすべる。そして止まると、足を震わせながら立ち上

がる。そんな華雄に一刀は

一刀「いくらなんでも精神面で未熟すぎる。もっと冷静に物事を考えられるようになれ」

そう言って華雄の腹に拳を叩き込む。華雄はその一撃で意識を手放し一刀に向かって倒れこむ。一刀は華雄を、優しく受け止めると

一刀「だが、技術のほうはいいセンスだ」

そう小さく呟き

一刀「敵将華雄! この北郷一刀が生け捕った!! 敵兵は素直に降参するか逃げるがいい!! だが、まだ抵抗すると

なれば容赦はしないぞ!!」

そう叫んだ。一刀の叫びがあたりに響くと、敵の兵士達は次々に武器を落として投降していった

こうして、水関の戦いは連合軍側の勝利で幕を閉じた

 

 

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一刀が冥琳に提案した案を任され、雅と共に実行して、雪蓮達のもとに帰ってくると、そこでは劉備と雪蓮が笑顔で話し合っていた

一刀「ただいま」

雅「ただいま戻りました」

一刀と雅がそれぞれ声を掛けると、呉の将、劉備たちの将、共にそちらをみる

雪蓮「お帰り一刀。何してたの?」

雪蓮を笑顔で迎えながらそう訊く

一刀「お仕事」

一刀は少し恨めしそうな目で雪蓮を見るが、雪蓮はすぐに視線を逸らした

冥琳「一刀も雅殿もお疲れ様」

冥琳がそう言って二人を出迎える

雅「この程度じゃあ疲れませんよ。今回の戦は特に何もしないで終わりましたからね」

そう言って横目で雅は一刀を見る

一刀「そういえば華雄は目を覚ました?」

一刀がそう訊くと、冥琳は首を横に振り

冥琳「まだ気を失ったままだ」

冥琳がそう言うと一刀は『そっか』と気のない返事を返す

劉備「あの〜。そちらの二人はどちらさんですか?」

そこに雅と一刀のことを知らない劉備が訊いてくる

雅「これは失礼いたしました劉備さん。私の名は程普。字は徳謀。以後お見知りおきを」

そう言って雅が軽く頭を下げると劉備もつられて頭を下げる

一刀「北郷一刀。ちなみに姓が北郷で名が一刀。字と真名は無い。好きなように呼んでください劉備さん」

そう言って一刀が劉備に笑顔を向けると、劉備も『はい』と言って笑顔を返す

雪蓮「それじゃあ、お互いに紹介も済んだことだし。虎牢関への進軍準備に戻りましょうか」

雪蓮のその一言でその場は解散となり、劉備たちも自分たちの天幕へと戻っていった

 

次に連合軍が目指すのは虎牢関。そこは水関以上の難所である上に、そこには天下無双と名高い呂布が待ち構えていた。

 

 

-13ページ-

どうもkarasufです。

いかがだったでしょうか? 楽しんでいただけたでしょうか?

まだ一刀くんのチートはさほど出ていませんね。次回の虎牢関では大いに出していくつもりでいますけどね。

前回の作品にてアンケートを行いましたが、たくさんの大佐が協力してくれた事に感謝したいと思います。本当にありがとうございます。1月末まで続けるつもりなのでどんどんコメントして下さい。

 

それと、次回は拠点を投稿しようと思っています。誰の拠点になるのかは私が投稿するまで秘密です。……期待はしないでくださいね

ご意見、ご要望などがありましたら、気軽にコメント、ショートメールして下さい。

 

 

ここまで読んでくださりまことにありがとうございます。これからもほそぼそと続けさせていただきたいと思います。

 

説明
投稿です
『反董卓連合』に突入です。
過度な期待はせずに生暖かい目で見ましょう。

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コメント
向けたな といった瞬間に背後をとる一刀さん  かっこいい。  (qisheng)
猪関羽さん……。(readman )
関羽はもっと人を見る目を養うべきです。(ブックマン)
いよいよ独立に向けてカウントダウンが始まりましたね。『信用を得れば裏切らない』確かに劉備軍はその典型と言えるでしょう。まぁ、愛紗さんと鈴々ちゃんに真っ向から挑んで勝てる一刀君ですが、恋さん相手にはどうなる事やら…最後に華雄さん、ご生存おめでとうございます(笑)(レイン)
truth大佐;誤字報告感謝です。訂正しときます。(karasu)
トーヤ大佐;報告ありがとうございます。訂正しときます。(karasu)
果たして真っ向勝負かはたまた奇襲戦法でいくのかwどれだけのチートっぷりか期待しております>恋との勝負 しかし華雄さん・・・呉の元でメンタル面強化されてヒロインフラグとかw(村主7)
まぁ、華雄を逆に鎧袖一触って時点で既に結構なチートと言えなくも無いですが、やはり今までの展開を鑑みると更なる見せ場が欲しい所では有ります。頑張って下さい 次作期待(クォーツ)
まさかとは思いますが一刀のセリフ、メタ○ギアの影響じゃ・・・あるわけないかー。(Rion)
この頃の蜀は馬鹿で盲目ですからなぁ・・・・周りが全く見えてない。 まぁ、仕方ないんだが・・・・ 一刀に関しては流石の一言ですな。 次回も楽しみにしてますよ〜♪(峠崎丈二)
関羽の背後をとった時点で一刀の強さが伺えますが…やっぱり恋との戦いが一番解かり易いですよね。それにしても一刀黒いですね。武器が髑髏だからかなw(自由人)
P9ページ雪蓮「どこかに見方が⇒どこかに味方」  一刀が強え〜!!恋との勝負が楽しみです。(トーヤ)
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