くるくる廻る |
くるくる
くるくる
廻る廻る
たけとんぼ
くるくる
くるくる
くるくるくるくる…
綺麗に回れたけとんぼ
其れがお前の役目なら
廻り廻ってあの時へ
「本当にケイはたけとんぼが大好きね」
「うんっ。楽しいし嬉しいんだ」
綺麗な綺麗なたけとんぼ。
大事な大事なたけとんぼ。
あの人がくれた宝物。
あの人がくれた宝物。
「壊しちゃダメよ?」
「壊さないよぉだ!兄ちゃんがくれた宝物だもん!」
綺麗な綺麗なたけとんぼ。
嬉や嬉やたけとんぼ。
くるくる廻って空まで届け。
くるくる廻って彼まで届け。
「かぁちゃん…かぁちゃん……」
大事なたけとんぼを握り締め。
大切な人を何も出来ずに見守って。
傷ついたかぁちゃんを助けられなくて。
どうにもできなくて。
だから、オイラにできることをする。
「ほら…かぁちゃん、凄くとぶようになったんだ。今なら兄ちゃん以上に飛ばせるよ」
「そう、ケイ、よく頑張ったわね…」
「だからさ…だからさ…まだ見ててよ。オイラがたけとんぼ飛ばすの見てて…よ…」
「ごめんね…ケイ…先に逝くお母さんを許してね…」
「かぁちゃん!?かぁちゃあああああん!!」
ゆるゆる廻るたけとんぼ。
かぁちゃんの魂を空まで運んでくださいな。
ゆるゆる廻るたけとんぼ。
悲しい気持ちを空まで運んでくださいな。
くるくる廻って空まで届け。
くるくる廻って天まで届け。
くるくる
くるくる
廻る廻る
たけとんぼ
くるくる
くるくる
くるくるくるくる…
綺麗に回れたけとんぼ
其れがお前の役目なら
廻り廻ってあの時へ
「かぁちゃん。ほらっ、兄ちゃんみたいに高く飛ばせるようになったんだよ」
あの大きな木まで届いたたけとんぼ。
「きっと兄ちゃんも喜んでくれるよね」
緩々廻り落ちていく。
「かぁちゃんも喜んでくれたかな」
足元に落ちる、痛んだたけとんぼ。
それでも大事な宝物。
オイラとかぁちゃんと兄ちゃんを繋げる宝物。
「オイラ、行くね。オイラかぁちゃんの子供だから強くなるんだ!」
手にした大事なたけとんぼ。
懐に大事に大事にしまいこみ。
今度は自分が廻ろうか。
くるくる廻る時の輪を。
オイラは一歩を踏み出した。
説明 | ||
もしかしたらのifを元にしたお話です。 短い文章ですが、この子の気持ちがみなに伝われば幸いです。 |
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