真・恋姫無双 〜美麗縦横、新説演義〜 恋姫のキャラで『○○』をパロってみた:その一 |
*この作品は『戦国BASARA』のキャラを恋姫キャラに置き換えたパロディです。色々無茶があるかもしれません。
CPは基本原作キャラで、オリキャラは少数というよりほぼ皆無です。たまにどうしても恋姫のキャラで配役に無茶があると思った時だけ使います(すでに三つ目に登場)。オリキャラについては別に投稿してある『真・恋姫無双 〜美麗縦横、新説演義〜 設定集』をご参照ください。
以下の方はご注意を。
・恋姫のキャラでパロディとか無茶あるだろ、という方。
・配役に納得いかない!という方。
・オリキャラやオリ設定が嫌いな方(ちょっとでも登場するのがいやだという方)。
・戦国BASARA?何それおいしいの?という方(要するに原作を知らない方)。
今回のパロディは三つ。
「行き着く先は同じでも」 雪蓮(秀吉)×冥琳(半兵衛)
「永遠などなくても」 一刀(長政)×蓮華(お市) ←雪蓮(信長)にやや厳しめです。
「?に包まれて、眠れ」 司馬懿(久秀)×華琳(信長) ←全体的にダークです。
タイトルのいくつかは「群青三メートル手前」様より拝領仕りました。
それでは、どうぞ。
「行き着く先が同じでも」 秀吉雪蓮×半兵衛冥琳
軽く呼吸を整え、手に持った武器にこびり付いた血を振り落とした。
視線を向ければ、そこに転がるのは物言わぬ骸、骸、骸の山。
つい先程、私の手でその生に幕を下ろさせたものだ。
地平線に沈もうとする夕焼が、嫌に眩しく見える。ほんの僅かに気を抜き、そしてその僅かの隙に付け込んで、私の中に巣くう病魔が牙をむいた。
「…ッ!?ヴッ、ク……ハァ、ハァ……」
口を塞いだ手をのけて見れば、真っ赤に染まる掌が瞳に映る。
私の身体を蝕み続けるそれは日を追うごとに牙を、爪を鋭くして私の身体を内から喰らい続ける。
恐らく……いや、きっと私はそう長くない。
私の身体だ。誰でもない私が、一番その限界を知っている。
罪だというのなら、甘んじて受け入れよう。
幾千幾万の命を奪い続けた代償がこれだというのなら、それでも構わない。
だが―――
「……まだだ。まだ…あと少しでいい」
最愛の主君であり、友である雪蓮の願いを。
天下統一の、その先へと続く悲願を叶える為の道を築く、それまでは。
ふと、遥か遠くで何かが響いた気がした。
軍師泣かせの「勘」の持ち主である雪蓮ではないが、嫌な予感が脳裏をよぎった。
鳥の鳴き声が。
決して聞きたくなかった声が。
明らかな殺意が。
「―――ッ!!全軍、配置につけ!!」
勝利に浮かれていた兵たちを一喝し、もう一度武器を構える。
間違いない。
迫り来るは、襲い来るは―――敵の援軍。
(人海戦術……それにしても数が多すぎる!!)
ゆうに二百人は殺したと思っていた。
それだけの数は、全て囮だったとでも言う気か?
―――人の事を云えた義理ではないが、敵の将の人格を疑う。
何百人つぎ込むつもりだ?
何百人襲ってくる?
何百人―――殺せばいい?
刹那考え、直ぐに思考を中断する。
馬鹿か私は。敵が幾ら死のうと知った事か。
雪蓮の道を、願いを、想いを妨げるというのなら……。
「全て―――潰すまで!!」
残された時間は、あと幾ばくあるだろうか。
許された猶予は、あとどれだけだろうか。
明日死ぬのだとしても、今夜死ぬのだとしても、構わない。
今は、今だけは―――倒れるわけには、死ぬわけにはいかないの!!
「周公瑾、覚悟ォ!!」
攻撃の合間、ほんの僅かの隙を縫って人混みの中から敵が槍を突き出す。矢が雨の様に降り注ぐ。
全てを切り抜ける程の武は私にはない。
全てを叩き潰す程の力は私にはない。
足を引きずり、手の感覚を無くし、血が滴り落ちる。
それでも敵は私の事情など知るまい。知った事ではあるまい。
襲い来る。迫り来る。
何百、何千と。
身体の限界などとうに超えている。
今動けるのが不思議なくらいだ。
「まだ……まだ終わるわけには、いかないの!!」
武器を振り抜く。
返り血を真正面から浴び、僅かに視界が遮られる。
刹那、脇腹を何かが貫く感触と生温かいものが半身を包む感覚に襲われた。
「ッ!!」
動きが、止まる。
それまで制御の一切を無視していた身体が、激痛と共に悲鳴を上げて崩れ落ちる。
(そ、んな……!)
ここで、終わるというの?
こんな所で、夢半ばで、散るというの?
(い、や……)
まだ、終わりたくない。
(いや……!)
まだ、終わりではない。
(嫌…!!)
まだ、終わらせたくない。
「倒れるにはまだ早いわよ?冥琳」
倒れこみそうになる身体を包む、暖かな温もり。
「私達の夢は、道は、まだこれからでしょ?」
微笑むのは、私の最愛の主君。
「ひっ……は、覇王だァ!!」
「ひ、怯むなぁ!!討ち取れ、軍師もろとも此処で殺せェ!!」
周囲で何かが何かを吠えている気がするが、雪蓮はまるで誰もいない草原にいるかの様に優しい笑みを浮かべた。
「行きましょ、冥琳」
霞みかけた意識が。
消えかけた視界が。
「私の道は、私達の願いは…」
今は驚くほどにハッキリとしている。
「こんなところで」
「…終わるものじゃないわ」
一閃。
大地は、鮮血に包まれた。
「……我が盟友に傷をつけた報い、その死を以て償ってもらおうかしら?」
覇王が、微笑む。
天下に君臨する、最強の女傑がその剣を振い、大地は鮮血に染め上げられる。
「…我が主の道を妨げた罪、今更許されると思うな」
その傍らで構えるは、一人の女性。
覇王に絶対の信頼を置かれる、戦国最高の軍師。
「孫呉の宿願、今こそ果たす時!」
「この先には、私の夢がある―――!!」
戦乱の中、生まれ落ち、出会うべくして出会った二人。
その道の先は―――今も、続いている。
「永遠などなくても」 長政一刀×お市蓮華 (*注意:表現が雪蓮に厳しめです!)
何故あの様な女の妹を妻にしたのだ、と幾度陰口を叩かれた事だろうか。
その度に彼女が心を痛め、泣きそうになる姿を幾度見てきた事だろうか。
「蓮華」
彼女の、俺の妻の姉はこの乱世において最も畏れられている存在。
近隣に蔓延り、敵対した者達は容赦なく、例外なく殺された。
「蓮華」
でも、それが何だというんだ。
蓮華の優しさは蓮華の姉にはない。蓮華の姉の無道さは蓮華にはない。
蓮華と、蓮華の姉とは違うんだ。
どうしてそれを誰も分かろうとしない。
「蓮華」
「何?一刀」
そっと彼女の頬を撫でると、蓮華は僅かに頬を赤らめて問う。
ほら、こんな優しい表情が彼女の姉に出来るというのか?
「蓮華」
「…どうしたの?さっきから変よ、一刀」
ほんの少し首を傾げて、今度は俺の頬に手を当てる蓮華。
ほら、こんな風に誰かを心配する事が彼女の姉に出来るというのか?
違う。彼女と、彼女の姉は違う。
けど周りは誰もそうは見ない。蓮華も、蓮華の姉も同じ血族だから。姉妹だから。
だから蓮華の存在はいつか俺の一族に、家臣に、国に害を為すというのだ。
下らない、と笑ってやった。
ふざけるな、と怒鳴ってやった。
「蓮華、愛してる」
「なっ!…………うん、私も」
愛を囁けば、彼女は顔を真っ赤にして、それでも正直に答えてくれる。
それだけで俺の心は満たされる。安らかになる。
例えそれが彼女の姉の、その軍師の策謀だとしても俺は構わない。
この刹那の幸せすら偽りだとしても、知った事か。
俺が抱くこの気持ちが図られたものだとしても―――
「蓮華」
それでも、俺が抱いたこの気持ちに嘘偽りなどないのだから。
「愛してる」
「焔に包まれて、眠れ」 久秀司馬懿VS信長華琳 (*警告:ダーク警報発令中!)
火は、好ましい。
燃える色、音。五感に訴える感覚もまた、愉快だ。
「……卿は、火は好きか?」
振り向けば、彼女はその体躯に似つかわしくない覇気を露わにする。
嘲笑を止める術を持たぬ私には、それだけで笑みが零れてしまう。
「問うまでもなかったな、孟徳公」
「……下衆が」
吐き捨てる様に呟く少女は、その手に持った鎌をブンと振る。
それだけで私の傍にあったかがり火がかき消された。
「ほう?どうやら甚く不機嫌な様だな?何か、大事なものでも奪われたのか?」
「……ッ!」
彼女の瞳に久方ぶりに宿る光は、紅蓮の怒りの業火の様な色。
思わず美しいと、そう感嘆せずにはいられない。
「奪われたのは、貴殿の目にかけていた女か?それとも忠に厚い犬か?それとも……」
「黙れ!司馬懿!!」
彼女に頭を垂れて以来いつぶりやも知れぬ激昂。
嗚呼、その澄んだ声音も惜しい。実に惜しい。
「卿はいくつも『モノ』を持っている。少しばかり拝借した所で、別段怒り狂う必要もあるまい?」
「どの口が、それを言うか……!」
その覇気に、社が震える。
火の色は、尚も鮮やかに、しかし何処か彼女の……否。
「……ああ。『あの男』か」
「ッ!!」
やはり、そうか。
この色は、私が唯一嫌った色。
あの男を―――眼前の少女が愛した男を、連想させる色。
混ざりけのないそれは、汚れを知らぬそれが……
「私は、大嫌いなのだよ…!」
指を鳴らせば、予め仕込んでいた火薬が爆発し、業火が社を包みこむ。
鮮やかな赤。艶やかな紅。
美しい。実に美しい。
「卿はこの世界に、何も感じぬのか?」
燃え盛る赤が、社を包む。
天に昇る紅が、漆黒の空を染め上げる。
何もかも燃え、何もかも消える。
「司馬懿……貴様ァ!!」
「ハハハ……アッハハハハ!!」
憎しみに燃え、怒りに燃え、悲しみに燃え。
踊り狂うそれは、甘美に思えて他ならない。
そう。
あの男を奪った時と、同じ様に―――
何時だったか、もう覚えてはいない。
だが心の底から、魂の欠片から、私の存在全てが、あの男を拒絶した。
最初に会ったのは、確か彼と孟徳公が愛し合っている時だったか。
それとも、私の底を見透かしたような事をほざいた彼に刃を突き立てた時だったか。
それとも―――本能寺で、彼女の目の前でその心の臓を月下に晒した時だったか。
初めてとも言えただろう。
自分の中の獣以外の『何か』に恐怖を覚えたのは。
まだ私の中にそんな感情が残っていた事にも驚いたが、私にそれを覚えさせた彼もまた恐ろしかった。
別段武技に優れている訳でも、智に秀でている訳でもない。
『未来』から来たというその少年を孟徳公は欲し、手に入れ、そして彼に溺れた。
しかもその未来の知識とやらのお陰で、孟徳公は金ヶ崎で死に損ねた。折角のお膳立てを台無しにした無能な朝倉には後で高くついたツケを払わせたし、名族だ何だと謳っていた朝倉など今となってはどうでもいいが。
後で聞いた所によれば、その時危機を告げたのは他ならぬ彼だったとか。
『アンタに―――アンタなんかに、華琳の道を阻ませはしない』
偉ぶった口を叩いた彼には平手を見舞ってやったが、それだけで私の腹の虫がおさまると思ったら大間違いだ。
この乱世、いくつもいくつも『欲しい』と思ったモノが絶えず、私は欲望のままにそれを奪っていった。
孟徳公もまた自らに忠実な方だった。あの男に会うまでは。
私は彼女に惹かれていたのかもしれない。あの男が来るまでは。
あの男が来て、あの男に会って、孟徳公は変わってしまった。
私が求め、崇めた彼女は消えて、ただの愚かな女に成り下がった。
愛?信頼?
酷く不快だ。不愉快だ。
だから私は奪ってやった。
初めてだったよ。『欲しくない』モノを奪ったのは。
そうして、孟徳公はまた変わった……否、戻られた。
その中に燻ぶる、あの男の存在以外は。
「卿からは、何を貰おうか」
復讐に燃えるは、結構。
「命か」
怒りに震えるは、結構。
「天下か」
だが―――
「それとも…あの男に植えつけられた、『心』か」
そんなもの、貰った所で使い道などない。
そんな事を知りながら、しかし剣は舞う。踊る。
「奪って、捨ててしまおうか……」
そうして燃え尽きて、消えゆくを眺めるも一興か。
「あの日と同じ様に、引き裂いて喰らってしまおうか」
……せめてもの、私を驚嘆させた事に対しての、温情だ。
「いっそ…貴殿と共に消してしまおうか!曹孟徳よ!!」
「是非もないわ!消え失せろ、司馬仲達!!」
紅の焔に包まれて、永劫に私の前から失せろ。
北郷、一刀。
後記
口調がおかしい……てか全体的におかしい茶々ですどうもです。
初めは米坊さん同様、fateの英霊を誰にしようかなぁ(元ネタを絞らずに)……って考えていたら、いつの間にか頭の中で恋姫×BASARA=…みたいな方程式が浮かんでいました。
『蒼華繚乱の章』はまだ三話しか投稿してないというに、何をやっているんだ……orz。
さて、こういったパロディですが多分これからもチョクチョク投稿するかもしれません。
長編書いていると、どうしてもこういった話を書いて頭を切り替えてみたくなるもので……。
というわけで、現在募集中のアンケに新たに『恋姫のキャラでパロディ』を追加します(ヲイ)。
希望される方は…
1、元とする作品(例:戦国BASARA) ←極端にマイナーなものは避けてくださいお願いします。
2、配役(例:華琳を織田信長、雪蓮を豊臣秀吉) ←極端に無理のあるものはやめてくださいお願いします(例:戦国BASARA、朱里で真田幸村…など)。
をコメントorあしあと等でお願いします。みなさんのご意見、お待ちしております。
あ、他のアンケも引き続き募集中&推敲中なので、どしどしお寄せ下さい。
それでは。
説明 | ||
茶々です。 『蒼華繚乱の章』執筆中の茶々です。 本編書いている途中米坊さんの『恋姫無双のキャラで聖杯戦争を予想』を読んで、途端になぜか頭の中にBASARAパロディが浮かび書きました。 まさかの二時間チョイの思考で三つです。正直書きなぐっただけ的な感じがしますが、よろしかったらどうぞ。 |
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