恋姫異聞録12
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ー洛陽城内ー

 

 

「董卓殿っ!どこですかっ!董卓殿っ!王允殿の願いにより参上しましたっ!」

 

一馬は城内に入るなり追っ手を引き離し城の中を走り回る、いくら姿を知っているとはいえ姿が見えなければ意味が無い

 

「お願いですっ!私は曹操軍所属、劉封ですっ!王允殿から救出の約束として七星刀を預かっておりますっ!」

 

七星刀の名前を出したとたん、一馬の前に眼鏡の女の子が茂みから飛び出し立ちふさがる

 

「あんた、今の話ほんとうなのっ?王允から七星刀をもらったという話っ!」

 

「ああ、よかった貴方は賈駆殿ですね?王允殿から話を聞いています」

 

「ええ、それより七星刀を見せて、私は言葉よりそれを信じるわ、何故ならその剣は王允

がとても大事にしているもの、簡単に渡すようなものではないもの」

 

その言葉で一馬は腰にさした七星宝刀を抜き出し渡す

 

「たしかに、本物だわ!この宝玉の七星の形、一体王允に何と言われたの?」

 

「ええ、董卓殿を保護してほしいと、それに安心してくださいあなた方の素性を知るものは

われら曹操軍の将だけです。」

 

一馬の言葉に目を見開き安堵のため息を漏らし、隠れていた茂みに振り返り

 

「月、出てきて大丈夫よ。王允が曹操に話をつけてくれたみたい」

 

そういうと先ほどの茂みから一人の女の子が小走りで賈駆に近づいてくる

 

「王允さんが?王允さんは無事なのですか?」

 

「ええ、大丈夫ですよ。私達に保護の依頼をされた後、身を隠されました。あなたが董卓殿ですね?」

 

董卓は一馬の言葉に胸をなでおろし、賈駆に「よかった、ね?詠ちゃん」と笑いかける

 

「それで、これから僕達はどうしたらいいの?」

 

「ええ、私達の軍が洛陽に一番乗りならいいですが、違うときはお二人を乗せて戦場を真直ぐ

自陣に駆けます。」

 

「ええっ!なにいってるのっ!無理に決まってるじゃないっ!」と賈駆が叫びだすが

一馬は「安心してください、この馬ならあの程度は駆け抜けられます」と平然と答える

 

「すごいね詠ちゃん、この人きっと嘘ついてないよ?」

 

「みたいね、だから単騎で洛陽に入れたのね?」

 

「はい、ではしばらく身を隠します。機を見てどちらか決めましょう」

 

解ったわ、と答え馬を下りて歩く一馬に賈駆が着いていこうとするが

董卓は動かないで下を向いている

 

「私は、私はやっぱりいけません。この連合は私を倒さねば終わらない

それにこのような事態にしてしまったのも私の力が及ばなかった為、責は私にあります。

せっかく助けを呼んでくれた王允さんには悪いけど」

 

「な、何を言うのよ月!そんなのあの宦官どもが悪いんじゃないっ!月は精一杯やったわよっ!」

 

いきなりの董卓の言葉に賈駆は驚き、駆け寄る

その後を一馬はゆっくりと追って董卓に近づき、肩に手を置き目線を合わせ口を開く

 

「私は、貴方と同じように自分の力の無さで多くの人を傷つけてしまった娘達を知ってます」

 

「え?」

 

「その娘達は、自分の命で償うのではなく私と共に夢と贖罪のため生きています」

 

真直ぐ一馬の目が董卓を見つめる。真直ぐに、そしてどこか悲しそうに

 

「私にも贖罪の道を歩めと?」

 

「いいえ、それは貴方が決めることです。良かったら兄者に会ってもらえませんか?

きっと貴方に答えを教えてくれます、私のように」

 

首を振りそう答えるとにっこりと微笑む、その笑顔に何かを感じたのか

董卓はしっかりとした目を向けてうなずく

 

「では行きましょう、私は死ぬわけにはいかないので、兄者に怒られてしまう」

 

そういうと賈駆はうなずき「身を隠すならこっちよ」と案内をはじめ

それに二人はついていく

 

 

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ー洛陽前線ー

 

 

ガキンッ!

 

鈍い音が響き、張遼の偃月刀が宙を舞い地面に突き刺さる。

片膝を地に着く張遼に春蘭の大剣が向けられ

 

「私の勝ちだな、張遼」

 

「くっ!・・・・・・・はぁ、負けや負け!まさかここまで強いとは、噂は伊達ではないっちゅうわけやね」

 

張遼はその場で胡坐をかいて座ると、春蘭を見上げて「あんたの勝ちや、好きにせい」

と口の端を上げて笑う、それを見て春蘭は剣を下ろし

 

「そうか、ならば我が軍に下ってもらおう、華琳様が貴様を所望している」

 

「え?うちを?うう〜ん、まぁええか!負けてもうたし、あんたらと居ればまた手合わせできるんやろ?」

 

「フフフッ、そうだなまたやろう」

 

そういって春蘭は手を差し出し、張遼はそれをつかんで立ち上がる

 

「あ、そんでな〜悪いんやけど、うちとこの騎馬隊もええかな?どうせこのままやったら皆捕らえられて

どうなるか解らん」

 

張遼は自分の兵たちのほうに振り返り顔を少しくもらせる

 

「ああ、元よりそのつもりだ、でなければ無駄に死人が出る」

 

「ほんま?よかった、あ!それでついでなんやけど月が、董卓があんたらにどう伝わってるか解らんけど・・・・」

 

張遼が言葉を言い切る前に秋蘭が春蘭の隣に立ち

 

「大丈夫だ、先ほど一馬が洛陽に単騎で乗り込んだのは董卓殿の保護のためだ」

 

「ほんまか!よかったぁ〜!」と胸をなでおろし安心する

 

「秋蘭よ、私はこれより正門を目指す。秋蘭は張遼を華琳様の下へ」

 

「なっ!だめだ私も共にいく、姉者は片目を負傷してるのだぞ」

 

そこへ兵士を掻き分け沙和が春蘭にかけより、「沙和がつれていきますなの〜!」

そういって元気よく提案してくる

 

「そうかすまないな、では秋蘭よ私の左目の代わりになってくれ」

 

「ああ!」そう答えると正門に向かい走る。それをみて張遼が二人の

姿をうらやましそうに眺める

 

「ええなぁ、戦場で背中を預けられる相手がおるちゅうんは」

 

「うんなの〜!じゃあ華琳様の所まで案内するの〜」

 

 

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ー洛陽城門前ー

 

 

「姉者、呂布が近いわざわざ相手する必要は無だろう、距離を置いて進軍しよう」

 

「ああ、無理をして昭に叱られてもたまらんからな」

 

そういって笑う、秋蘭もその様子を見て傷は大丈夫だと確信し笑い返す

春蘭は、兵たちに正門左側で激突する呂布と劉備、麗羽の軍を横目に正門右側から

門を目指す

 

が、そこに反応した呂布が劉備たちの攻撃をまた無理やりこじ開け抜け出し

春蘭たちの前に立ちふさがった。

 

「・・・・・ここから先・・・・だめ」

 

「ちっ、来おったか!」

 

そういって洛陽正門を背に方天画戟を構え追ってきた関羽、張飛と春蘭、秋蘭

に対峙する

 

「関羽かっ、趙雲はどうした?」

 

「夏候淳殿、星は孫策殿と華雄に当たっている」

 

「そうか、ならば我らで呂布を討つしかないな」

 

「気をつけろ、こやつ尋常ではないっ」

 

四人は呂布に武器を構える、四人の気迫を平然と受け流し呂布はゆっくりと

方天画戟を肩に担ぐと、瞬時に間合いを詰め秋蘭に方天画戟で横に薙ぐ

 

ガキィィィッ

 

とっさに反応した春蘭の大剣が受け止める。しかしあまりの衝撃に手がしびれ

更に強引に押し込もうとする力にじりじりと押される

 

「くっ、なんという力だ!私が押されるだとっ!?」

 

押される春蘭の後ろから秋蘭が弓で呂布の額めがけ矢を放つ、が矢は首をひねりよけられ

そのまま力だけで強引に春蘭を武器ごと秋蘭の方へ吹き飛ばす、その隙を見逃さないとばかりに

関羽と張飛が放つ左右からの袈裟斬りを右手に持った戟で押さえ、左拳を関羽の腹に放ち

強烈な拳撃を受けた関羽の体がくの字に曲がり膝を地面に着いてしまう

 

「ごあっ、げはっ」

 

「あ、愛紗!だいじょうぶかっ!」

 

張飛が目線を関羽に向けた瞬間、戟を握る呂布の右手がギリギリッと音を立て

握り締められ、凄まじい力で蛇矛ごと関羽に向けて飛ばされる

 

「うわわわわっ!!!あうっ!!!」

 

「がはっ!くっ鈴々、大丈夫か?」

 

関羽、張飛が二人重なり地面に倒れているところに呂布の戟が振り下ろされ

 

ガキンッ!ギギギギギギギッ!!

 

「は、早く立てっ!いつまでも押さえられんっ!」

 

振り下ろされた戟を春蘭の大剣が受け止め、震える剣が戟と重なりカチカチと音を立てる。

その隙に体を起こし関羽と張飛は抜け出す、戟を受け止められ動きの止まった呂布を

秋蘭の弓が見逃さず呂布の側面に一息で三射し額、喉、心臓を襲う

 

「・・・・無駄・・・」

 

そういって春蘭の腹を蹴り飛ばし、振り向きざま戟で矢を一振りで叩き落す。

 

「な、一振りで叩き落しただと?くっ!姉者っ大丈夫かっ?」

 

「ぐぅっ、大丈夫だっ!しかしこいつは何という強さだ、昭の評価通りだな」

 

春蘭は立ち上がり武器を構える、関羽と張飛も間合いを計り武器を構え対峙し

それを見ながら呂布はまたゆっくりと方天画戟を肩に担ぐ

 

「くそっ、また来るぞ!気をつけろっ!」

 

呂布の肩に方天画戟が着く瞬間

 

「恋殿〜!恋殿〜!!セキト達の回収が終わりましたぞ〜!」

 

陳宮が叫びながら馬で駆け寄ってくる姿を確認すると「・・・逃げる・・」そういって

陳宮の後ろに飛び乗り正門から駆け出した

 

「なっ!逃げるだとっ!」

 

「追うなっ!あれは手に負えるものではない、昭の言うとおり放っておけば害は無い」

 

「む、それは・・・御使い殿が言ったのか?」

 

春蘭が関羽を止めると、少し顔をうつむかせて聞き返す

それに対し春蘭は首を縦に振る

 

「そうか解った、すまないが御使い殿に伝えてくれないか?虎牢関では失礼なことを言った

呂布を甘く見ていたと」

 

「話は聞いている、気にするな自分の主を思ってのことだろう?昭はそんな小さなことを気にせんさ」

 

そういうと春蘭はにっこりと笑いかける、そして秋蘭のほうを振り返り「そうだろう?」

というと秋蘭は「そのとおりだ姉者」と笑い返す。

 

「では悪いが私達は洛陽に一番で入らなければならぬのでな、先にいかせてもらう、行くぞ秋蘭」

 

「ああ、関羽よ私から伝えておこう、それと昭は御使いと呼ばれるのを嫌う、だから名前で呼んでやってくれ」

 

二人はまた兵を引き連れ正門に走るが関羽はそれを追わず見送る。

 

「愛紗、いいのか?鈴々達が一番に入らなくて」

 

「ああかまわん、どちらにしろ今の私達は兵を借りている。その借りを返せないから

このくらいしか出来ない」

 

 

 

 

 

説明
反董卓連合
洛陽攻略辺A

今回主人公と華琳様出ません^^;
春蘭、秋蘭、一馬の三人です
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コメント
ブックマン 様コメントありがとございます^^そういっていただけて何よりです><(絶影)
読み応え有りました。(ブックマン)
tomasu様いえいえ^^主人公と言えば一刀君なので間違えるのも仕方ないですよ(絶影)
すいません。僕が書き間違えてました。一刀くんじゃなくて、昭くんでしたね^^;(tomasu)
書き忘れました、一刀くんですがでません。今後だすか出さ無いかは考え中心です><(絶影)
tomasu様コメントありがとうございます^^夏候姉妹はこれからも活躍していきます。これからもより魅力的に書いていこうと思います><(絶影)
絶影さんのssは、なんといっても魅力たっぷりの夏侯姉妹がいいですね。今回は春蘭がかっこよく、そして愛紗との会話の中に成長した姿もみれてすごく輝いてました。次回からの一刀くんと月たちの接触や、袁家が悔しがるところなど期待して待っております。(tomasu)
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