魔神達の幻想入り 第35話 |
フラン達と遊び終えた俺は短冊を買いにいこうと、香林堂を立ち寄ることにした。なぜならあそこでは現代にある道具が流れ着くらしいと聞くからだ。
サイとベンケイは丈夫な竹を探しに出かけに行っているようで、こちらは幻想卿にいる全員の分を要しなければならない。特にチルノはHだから書き間違いが酷いかもしれないのでとにかく70枚以上は買い込んでおくとしよう。
ジュウゴロウ「霖之助、霖之助はいるか〜?」
早速香林堂へ入る俺。そこにはロトムによる騒動から立て直った店の様子があるのだが、妙にも現れる様子は無い。その代わりに朱鷺子がやってきた。
朱鷺子「ジュウゴロウさん、何か用ですか?」
ジュウゴロウ「短冊を貰いに着たんだ。70枚ほどあればと思うがそんなのあるわけ・・・」
俺が話し終えるまでに朱鷺子は短冊をさっと取り出す、それも70枚ほどはある。
ジュウゴロウ「助かるよ。今夜は七夕宴会を行うつもりだから、お前や霖之助もよかったらどうだ?」
朱鷺子「喜んで行きます。・・・あの、ジュウゴロウさん、お願いがあるんですが・・・」
ジュウゴロウ「なんだ?」
俺が何か言いたいことがあるのかと朱鷺子に聞き入れた。何故かだが頬を赤くしている。
朱鷺子「余り無理はしたくないんですけど・・・とりあえずこっちに来てください//」
ジュウゴロウ「お、おう・・・」
俺は朱鷺子に手を引かれて部屋に入っていくと、半分だけ残っているカレーを食って気分を悪くしている香林の姿があった。
ジュウゴロウ「・・・朱鷺子、このカレーに何か入れたのか?」
朱鷺子「入れたのではなく、その・・・マムシの抜け殻が鍋に落ちて・・・」
何 故 落 と し た し
俺がこの事情を聞いたときには心に叫んだがレミリアの仕業なのか、コレを食わなければならないという選択が下されてしまう。
ジュウゴロウ「霧之助、バトンタッチだ」
香林「す、すまないね・・・」
腹を抱えながらトイレへと立ち去る香林を見届け、俺はスプーンを手にカレーを一口すくっていただいた。次の瞬間に俺の感覚が拒絶し、素早く置いてあった水を口に頬張る。
ジュウゴロウ「こりゃやばいだろ・・・ってか、朱鷺子は食べたのか?」
朱鷺子「ちょっとだけ・・・」
ちょっとだけって・・・おいテメェ、さては抜け駆けする気だな!?
しかし文句を言うようだと悪夢は解放してくれない。俺は残り半分を食べなくてはならないのだもう一度食ってみるだけで腹が急に痛くなる。
水を飲んでは食ってとの連続が30分も続き、ようやくカレーは目の前から消えてくれた。地獄から解放された俺は後から聞こえる永琳の笑い声に耐えながら地に果て、目を閉じてしまう。
朱鷺子は気絶している俺の顔を上からじっと見つめた。
朱鷺子(本当はジュウゴロウさんが誕生日だと聞いて作ったんですけど、ごめんなさい・・・)
俺がフラン達と遊んでいる間、文が新聞を超高速で発行して噂を広めていたのだ。この事実を知った朱鷺子はプレゼントということでカレーを作ったらしい。
そして見事に失敗したカレーをなんとしてでも処理しようと香林に食わせるが半分で限界となり、そこへ俺が来たのであったのだ。
朱鷺子(お誕生日、おめでとう・・・)
俺の口元についていたカレーのルーを指で拭い、そのまま自分の舌でペロッとなめた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ジュウゴロウ「・・・う・・・ここは?」
香林「気がついたみたいだね」
俺が目を覚ましたときには正常となっている香林が俺を見ており、時計の針はすでに4時をまわっていた。
ジュウゴロウ「(腹は・・・もう痛くないな・・・)朱鷺子はどうしたんだ?」
香林「朱鷺子なら散歩に出かけるって言ってたようだよ。ちゃんと宴会には来るみたいだけど」
ジュウゴロウ「抜け駆けか・・・ってか、霧之助も宴会のことを聞いたのか」
香林「僕も行くことにするよ。それじゃあ、また今夜で」
ジュウゴロウ「お、おう・・・」
しかし朱鷺子があんな不味いものを食わせるなんて有り得ないことだな・・・と、俺はボーマンダ背中に乗って香林堂をあとにした。
とりあえず行くあてもない俺は最初に霊夢のところに行って宴会の予定を伝えようと、博麗神社へやってきた。面には萃香と勇儀が仲良く酒を飲んでいる。
ジュウゴロウ「よぅ、お前等」
勇儀「お、ジュウゴロウじゃねぇか。話で聞いたけど、今夜宴会するんだって?」
ジュウゴロウ「まぁな・・・ん?何でそれを知ってるんだ?」
萃香「実はさぁ、ジュウゴロウが来る前にこんなのが来てたんだよ」
萃香が取り出したのは文々。新聞の記事だ。
おいおい!!俺が短冊を買いに行っている間にそんなことやってたのか!?
けどこれならたくさん集まるかもしれないとの期待が寄せられる。過言ではないことだ。
そう思っていると、奥で何かの話し声が聞こえてくる。霊夢や魔理沙はいるようだが、1人だけ聞き覚えのない声が聞こえる。
ジュウゴロウ「奥に誰かいるのか?」
勇儀「なんか、人形遣いが来ているらしいぜ?あと吸血鬼も」
ジュウゴロウ「へぇ〜・・・って、吸血鬼!?」
そういえば出かける前にレミリアの姿が見当たらないと思って神社の奥に入る。そこには霊夢、魔理沙、さっき言っていた人形遣いとレミリアがのんびりと寛いでいた。
レミリア「あらジュウゴロウ、やはり来たわね」
ジュウゴロウ「その前に何故ここにいるんだ?勝手か?」
レミリア「ご名答」
速攻で答えるレミリアに対し俺は、この世界に住む人達のシステムはどうなっているのか知りたい程でいだ。レミリアは無責任、フランは凶暴性があって、咲夜は可愛いもの好き、美鈴は睡魔、パチュリーは引きこもりでありながら魔理沙に片思い(小悪魔は特に何もない)と紅魔館ファミリーはそれぞれに見せてはいけないような印象がある。
アリス「レミリア、彼が言ってたって人なの?」
レミリア「そういうことよ」
そういえば人形遣いとはあまり関わっていないし、思えば彼女にはサイを世話してくれた恩があった。
ジュウゴロウ「いまさらなんだが、お前がサイを世話してくれたんだよな?あの時は感謝するぜ。名前はキバシ ジュウゴロウだ」
アリス「アリス・マーガトロイドよ。よろしく」
自己紹介が終わったところでちゃぶ台に置かれている煎餅を一枚いただいた。
霊夢「今夜の宴会の件はもう知っていると思うけど、外の世界でそんなイベントがあるとは知らなかったわね・・・」
魔理沙「願い事を叶えるためのだろ?霊夢ならお賽銭に決まりだぜ」
霊夢「どうせ私はお賽銭よ・・・」
ジュウゴロウ(金にしか目がない奴は絶対に落ちるんだよなぁ・・・)
霊夢「なんか言った?(ギロリ)」
ジュウゴロウ「作者が言ってやがったぞ」
作者「えっ、ワタシ?」
霊夢「霊符「夢想封印」!!」
作者「ヒデブゥーーーーッ!!」
▼効果は抜群だ!!
ジュウゴロウ「いまどきその台詞は古いと思うな、有名だけど」
魔理沙「全くだぜ。それと、今日はお前の誕生日だって?」
ジュウゴロウ「やっぱそれも聞いてたか。これで俺も酒がグビグビ飲めるからな、今夜が待ち遠しいぜ」
萃香「夜になったら飲むのかぁ?」
ジュウゴロウ「勿論さ。それまでは暇つぶしに人里にでも行ってくる」
てことで人里へ移動した。そもそも建物の中へ一軒すら入っていない俺は酒場に寄ってみようと中へ入ると、そこはおっさん達がワイワイと飲み合ったり話し合ったりの極楽が溢れており、俺はカウンターの空いている席に座る。
ジュウゴロウ「水を一杯、氷を入れてだ」
店主にそう頼むと、氷の入った水が俺の前に置かれた。喉に冷たくきたその時に、脳内では出会ってきたライバル達の顔が次々と映りだし、スウッと消えていく。寂しさもあるが、別れをしなければならない時が必ず来る。そう、あと6日・・・
すると、
男「お前さん、もしかして噂に聞く外来人か?」
なんだと思って振り返ると、おっさんが俺の横側から現れる。
ジュウゴロウ「俺に何か用か?」
男「ちょっとお前の話ってのを聞きたいのさ。あんたは凄い妖獣を操る集団の1人なんだろ?その話をもっと詳しく聞かせてくれないかってな」
ジュウゴロウ「・・・こういうのはなれてるからな、いいだろう」
俺はその3人くらい集まりがいる席に移動し、俺はその世界でのことを話した。話を聞くたびに楽しみだすおっさん達に、おまけとしてこんな話もする。
ジュウゴロウ「これは俺達の世界にある、怒りの湖に関する伝説だ。昔はコイキングの湖って呼ばれているんだけど、漁師はそこで吊り上げているコイキングをいただき、骨を湖に返して感謝を込めていたらしいんだ。だけど漁師が段々と見捨ててきたせいで憎む濃いキングだが、実際では無力すぎた。コイキングはそもそも陸に上がれないからな」
男1「んじゃあ、恐ろしいってのは?」
ジュウゴロウ「それはこのあとからさ。その1匹のコンキングが異変を起こして凶暴なギャラドスへと進化し、ギャラドスは全ての漁師を噛殺した。その時に合ったギャラドスの体は青ではなく、赤になっている。その、漁師の血でな・・・」
男2「マ、マジかよ・・・」
男3「怖ぇ〜・・・」
男1「つまりこういうことだな?噛殺したギャラドスが誕生したことによって、怒りの湖へと名前が変えられたと」
ジュウゴロウ「ああ。ポケモンの中にはミステリーも多数存在するが、特にこれは一例だ。他にもミステリーがあるんだけど恐怖のあまりで寝れないようじゃ無理があるかもな」
男1「いやいや、お前の詳しいことを聞いただけじゃなく。世界の一部のことも教えてくれるなんてありがたいことよ。けどお前、酒は飲まないのか?」
ジュウゴロウ「一応飲めるけど、今夜の宴会まで飲まないつもりでいるのさ」
男2「宴会かぁ〜いいよなぁ〜」
男3「でもまぁ、俺達は俺達でやろうじゃないか!」
男1「そうだな。・・・お?」
ふと、おっさんが誰かを見つけるようにその先を見つめた。どうやら緑の服を着ている少女で背中には2振りの刀を背負っている。
男1「あいつは魂魄 妖夢じゃねぇか」
ジュウゴロウ「妖夢?」
男1「白玉楼っていう屋敷の庭師さ。なんてたって、スキマ妖怪の親友である西行寺 幽々子に仕える者だからな」
紫の親友と聞いて、俺はまた暇が潰せそうだと考えた。
ジュウゴロウ「いい話を聞いたぜ。少しだけだったが付き合ってくれたありがとな、じゃ!」
俺はおっさん達にさよならを言っておくと、妖夢の元に近寄ってみる。すると妖夢が先に気づき、こちらに顔を向けた。
妖夢「・・・私に、何か用ですか?」
ジュウゴロウ「少しな。俺は通りすがりの外来人なんだが、話を聞かせてくれないか?できるなら白玉楼でだ」
妖夢「・・・分かりました」
決まったところで酒場から外へ出て、目指す先である白玉楼へ飛び立った。
第35話でした。
ひさびさの香林堂ですが、朱鷺子以外にも『風鈴』が暮らしているって話を聞いたのですが自分では驚きです(どうも彼女の詳しいことがウィキでは見られなかったので・・・)
しかし本作では風鈴は登場しません。むしろ彼女はまだ幻想郷には来ていないという考えのつもりです。
宴会にちなんでの七夕祭りが行われる前に何か囲うかと悩んでいたところ、まだ白玉楼のことがなかったので次回からそちらに移ることに決まったのはいいが、そこでどうしようか・・・とかも物凄く悩んでいます。
自分ではなんですが、幻想入りはなんか辛いところも感じますねぇ・・・
それでは、次回でお会いしましょう!
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ポケットモンスターの世界に住むトレーナー達が幻想郷へやってくる不思議な物語。 | ||
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