真・恋姫無双 歌姫と天の舞手 二話後編
[全10ページ]
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注意

1、 主人公はオリキャラです。(他にもオリキャラがでます。)

2、 時代背景メチャクチャ、キャラ崩壊(呼び方、言葉使い含む)アリ

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『天の舞手、付き人となる・後篇』

‐町にて‐

<舞十視点>

三人と話は本当に楽しかった。楽しい時間があっという間に過ぎるって本当なんだなって思えた。気がつけば町に着いていて、僕は持っていた三人の荷物をそれぞれに渡していった。

舞十「本当にありがとうございました。」

張角「こちらこそー♪」

張宝「ま、結構面白い話きけたしね。」

張梁「参考にできそうなのもいくつか聞けたわ。」

舞十「そう言っていただけるとうれしいです。」

最初の頃の警戒気味の雰囲気は大分消えていた。張宝さんと張梁さんはまだ完全というわけではなかったけど(張角さんが不用心というのもあるのかも…)少しは信用してもらえたならよかった。

張宝「この後のお礼も期待してるからね♪」

舞十「ハ、ハイ…。」

やっぱりしっかりと覚えてますよね。生半可な物じゃあ駄目かもしれない。よく考えなきゃ…。

張梁「私達はたぶん大通りで歌っていると思うから、後で大通りにきてくれる?」

舞十「わかりました。それじゃあまた後で。」

僕は三人と別れ、ふと気づいた。

舞十「僕ってこの時代の町の造りを何にも知らないじゃん。」

まだ歩き出してもいないのに迷子だよorz

とりあえず賑わいを見せている方に向って歩き出すことにした。

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…………良かった。取りえず市場のようだ。いろんな物が所狭しと売られている。とりあえず見て回ることにした。

しかしここでもう一つ問題が発生した。……文字が読めない。完全にというわけではないけど。職業柄、読めた方がいいという父さんの教えのおかげで古文は結構できるのでなんとなく書いてある意味は解るのだが、生きていく以上それではまずい。まぁ、(良くも悪くも)いろいろなことを教え込んでくれた父さんに今は感謝しよう。とりあえずいかがわしいお店は避けながら散策を続行した。

…どうして言葉は通じるのかは考えたら負けのような気がしたので考えないようにした。そのおかげで救われたのだから

しかし、見れば見るほど痛感する。自分は本当に知らない世界…いや、三国志の世界に飛ばされたのだと。今目の前で動いている人たちはみんな本物だ。むしろ僕のいた現代世界よりも一生懸命に自分らしく生きているようにさえ見える。漫画やゲームや本といったものから得た知識としての三国志は持っているが、そんなものは今の僕にとって何の役にたたないものだろう。

三人と話しているときは忘れていた不安や絶望がまた蘇ってきた。知らない世界に飛ばされるってこんなに怖いことだったのか…。

いきなり違う世界に来て、その世界のために戦える…なんてのはとてつもなくすごい人間なのだということが今更ながらよくわかった気がする。本当に今更だけど…。

道行く人や商人の人に話を聞いて、この町の好事家の元へ行き、いくつかの物を高く買ってもらえたおかげでお金は何とかなった。とりあえずお礼は何とかなりそうだ。ただ、僕自身がこれからどうするか…それこそが大問題だった。

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‐大通りにて‐

<舞十視点>

大通りに着いた僕はとりあえず張角さん達を探す………前にやることがあった。

大通りにあった服屋に入ると、男用の一般的な上着を買い、フードパーカーを脱いでそれを着た。これであんまり目立たなくなったはずだ。フードパーカーを袋にきちんと入れ、改めて張角さんを探すことにした。

さすがに大通りにはさっきの市場よりもいろんな人が行き来している。ここで彼女たちを探すのか…。

舞十「特徴的な人たちだったけど、そう簡単には見つからないかもね。これは」

誰に言うでもなく独り言をつぶやきながら僕は大通りを歩き出した。

しかし三人は意外とあっさり見つかった。答えは簡単。歌声と音が聞こえたからだ。

僕が三人を見つけたころには聞こえていた歌が終わっていて、三人が一呼吸入れていた。

あまり人は集まってはいないみたいだけど、いくらかおひねりも入っている。

張宝「ありがとうございましたー!では、次の一曲、聞いていただきましょうか。」

張角「伴奏、いくよー。」

張梁「ええ。」

どうやら次の歌が始まるみたいだ。聞いていくのもいいかも知れない。

僕は通行の邪魔にならない場所で張角さん達の歌を聴くことにした。

楽器の伴奏と共にやがて演奏と歌が始まった。

張角「♪〜?〜♪〜」

張宝「♪〜♪〜?〜?〜」

張梁「♪〜♪〜?」

僕は三人の歌に聞き入っていた。それは聞いたことのない歌で、正直にいえばまだ多くの人をうならせることはできない歌であった。でもなぜかとても心に沁みるようだった。うまく言えない何かが僕の中にたまっていく。

舞十「(ツー)…あっ。」

僕の目から一滴、涙がこぼれた。しかし苦しいわけじゃない。逆に心が軽くなっていくのを感じた…さっきまで心の底にあった不安や絶望が少しだけ消えていくかのように。

同時に僕は父さんの言葉であり、佐野小路団の鉄則を思い出していた。

(誠太郎「何時いかなる時も、自分の心に『楽しさ』を持つべし!自分が楽しくなければ、相手を喜ばせることなんてできないぞ!」)

そうだった。僕は佐野小路団の団員として大切なことを忘れてた。相手にお礼をしたいなら、僕が沈んでてはだめだ。今は助かったことを喜び、助けてくれた人を笑顔にすることを考えよう。

舞十「よし。」

僕はその場所から離れ、動き出すことにした。歌を聞く前とは比べ物にならないくらい体が軽かった。三人の歌を最後まで聞いていたいけど、僕は僕のやるべきこと、三人へのお礼のために準備をすることにした。そしてこれからの事に対してひとつの『考え』が浮かんだ。

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先ずは周りの人や地元の人に聞き込みを行い、この町でいちばん美味しいという料理屋をみつけ、その場所を覚える。少し大きめの店だったのでお店の人に頼み、前金を払って席を予約しておいてもらった。生半可な贈り物より、やっぱり一番元気になるのは食べ物だと思う。家の劇団もそうだったし。

次に同じ方法で宿を探し、料金を前払いし、三人の部屋を用意。

そして市場へ行き

商人「まいどー。」

水筒を四つ買い。井戸の場所を聞いてそこで水を汲んだ。歌い終わった後だから、きっと喉も乾いているだろう。

さあ、後は三人を呼んでくるだけだ。

桃を落とさないように気をつけながら三人の元に向かったのだが…。

張宝「だから結構です!」

男「いいじゃんか。女だけじゃ危ないって心配してるんだぜ?」

張梁「心配は無用です。」

張角「そ、そーいうことですからー。」

男「遠慮すんなって。」

いかにもガラの悪い男に絡まれていた。

舞十「なに?このベタな展開。」

…なんて言ってる場合じゃない。

舞十「一体なんですかあれは?」

町人「見ての通り。あの子達をどうにかしようとしてるのさ。女だけしかいないってわかってね。」

舞十「役人は?」

町人「すぐに来てくれたらあんな奴がのさばるもんか。それにあいつ喧嘩好きでそれなりに腕が立つからなぁ。」

周りの人は厄介事に巻き込まれたくないみたいで、助けは期待できない。

違う。他人ばっかり頼りにするな。演劇でも最後には結局自分がしっかりと演じ切るしかないじゃないか。恩人が目の前で困っているのに自分がやろうとしないでどうするんだ。今の僕なら最悪三人を逃がすくらいはできる。『あの時』みたいに待ってるだけなんてもうだめだ。

僕は周りを見渡した。するとさっき服を買った店の主人が持ってる長めの棒が目に入った。

僕は頭で考えるよりも早く動いていた。

舞十「すいません。その棒貸してください。」

服屋「へ?へい、構いませんが。」

舞十「ありがとうございます。すみませんが荷物をお願いします。」

服屋の主人が持ってる棒を借りると。僕は無我夢中で駈け出した。

<舞十視点終了>

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張角「い、いいかげんにしてー!いらないって、言ってるでしょ!」

男「おいおい、いい加減にするのはそっちだろ?人の親切をなんだとおもってんだ。俺様が護衛してやるから、そのことを向こうで話し合おうって言ってるだけだろ?」

張宝「それが信用できないっていってるの!」

張梁「(役人は期待できない。どうにかしないと。)」

張角は妹をかばうように前に立ち文句をいう。しかし男は厭らしい笑みを消さない。

役人が来ないことに危険を感じ、張梁が逃げる算段を考えようとしていた時だった。

舞十「ちょっと。いらないって言ってるんだからもうやめましょう。大人げないですよ。」

男「ああ?」

張角「ふぇ?」

張角達が男の後ろをのぞいてみると舞十が男に向かって声をかけていた。

舞十「すみません。遅くなりました。準備ができたので呼びに来たんです。」

男「何だよ。俺は今この子達と大事な話があるんだ。どっか行けよ。」

舞十「すみませんが、僕の方が先に約束していまして、恩人のこの人たちにお礼をしなければいけないので。」

舞十はそう言うと張角達を見た。舞十を見た張梁は舞十の言わんとしていることを理解し、姉二人をつついて目配せをした。

張梁「(合わせて。)そうだったわね。もう準備できたの?」

舞十「はい、さっきも言いましたがそれで呼びに来たんです。」

男「ちょ、勝手にはなs」

張宝「(分かった。)ちー達を満足させられるんでしょうね?」

舞十「断言はできません。ですがこちらができる限りの事はしたはずです。」

男「だかr」

張角「(はーい♪)早くいこー。案内よろしくねー♪」

舞十「はい。それじゃあ行きましょうか?」

男を無視して話を進めた舞十達はその場から離れようとした。しかし

張角「あぶなーい!」

ブンッ

舞十「っと。」

男「てめえら。勝手に話し進めんじゃねえ!」

男は舞十に向かって拳を振ってきた。だが舞十はそれを横に飛んで避けると、男に向かい合った。

舞十「何をするんです。危ないじゃないですか。」

男「うるせぇ。俺のことを無視した罰だ。殴られろ。こっちの気のすむまでな。」

舞十「そんな理不尽な理由を聞く気はありません。」

男「なんだとー。」

舞十の態度に男は今にも殴りかかりそうだった。

張角「ちょっとぉ。危ないよー。」

張梁「姉さん。離れてましょう。」

張宝「いや、さすがにまずいでしょ。あれは。」

張梁「…たぶん大丈夫。だから早く。」

張角と張宝の心配をよそに張梁は姉二人を押さえ離れさせた。

張梁には舞十の態度が、相手をあえて挑発しているように感じたのだ。

舞十「(三人は離れた。よし、後はこの人だ。)」

事実、舞十は冷静で、態度は挑発であった。挑発の目的は二つ、三人から男を話すことと、男の冷静さを奪うことだった。男はいきり立って舞十を睨んでいたが、舞十は別に怖くはなかった。なぜなら

舞十「大丈夫。怖くない。威張っているけど、父さんに比べたら弱い。」

舞十は相手が自分に稽古をつけていた誠太郎に比べて弱いと悟っていた。舞十は確かめるようにつぶやくと持っていた棒を構えた。それは一般的な槍の構えではなく、力を抜いて普通に立ち、前に構える。いわゆる防御の態勢だった。

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男「何ぶつぶつ言ってやがるんだ!いまさら泣き言は聞かないぜ!」

男は舞十が防御の態勢になるのを見ると、舞十に殴りこんできた。

舞十「千舞流・基の型ノ序、『回薙(かいち)』。」

しかし舞十は受けることなく、右足を下げ、素早く体を回転させよけた。しかし回転は止めず、そのままの勢いを使い長く持った棒で相手を薙ぐように振った。

男「がぁ!?」

棒は男と首の顎の間に当たり、当たり所が悪かったのか、男は崩れ落ちた。

町人の間では拍手や歓声が起きていた。

舞十「はぁ…はぁ…はぁ…。」

しかし舞十には何が何だか分からなくなっていた。先ほどまでは無我夢中で何とか三人を助けようと冷静に勤めていたが、いざ終わってみると、自分が結構な無茶をしたことが認識できた。

舞十「死んではいないよね…?」

舞十はまだ混乱する頭でとりあえず男が気絶していることを確認すると、緊張の糸が切れたように座り込んだ。

張角「だいじょーぶー?」

そんな舞十に張角達が心配そうに寄ってきた。

舞十「大丈夫です。ちょっと緊張が切れただけなので。というか何度も心配ありがとうございます。」

張角「いいんだよぉ。今回は、こっちが助けてもらっちゃたんだからー。」

張宝「でもまさかあの男をのしちゃうとは思わなかったわよ。」

舞十「自分でもびっくりです。」

それは舞十の正直な感想であった。それを聞いた張角と張宝がぽかんとしていると、張梁が別の方を見ながら舞十に話しかけてきた。

張梁「…役人がやっと来たみたい。立てる?」

舞十「まだちょっと。」

張梁の見た先には役人が二人向かってくるのが見えた。しかし舞十はまだ立てないようだった。

張宝「かっこ付かないわね。」

舞十「おっしゃる通りです。」

張梁「いいわ。役人には私が説明しておくわ。」

舞十「ありがとうございます。」

張梁は役人に事情を説明をしに行った。町人の証言もあって聴取はあっという間に終わり、男は気絶したまま連れて行かれた。

舞十「あ、来たみたいです。」

張角「あー、やっと来たー。」

張宝「人和ー。遅いわよー。」

張梁「これでもかなり早く終わったのよ。」

事情を説明し終えた張梁が帰ってくると舞十は動けるようになっていて、服屋へ棒を返しに行ってきたところだった。

舞十「そういえば、これどうぞ。喉乾いたでしょうから。」

舞十は返してもらった荷物から水筒を取り出し、三人に配った。

張角「ありがとー。ちょうど喉乾いてたんだー♪」

張宝「無駄に声使ったもんねー。」

張梁「まったくだわ。」

三人は一気に水を飲み終えると、一息ついてから口を開いた。

張梁「さてと、だいぶ時間がたっちゃったけど、お礼をしてもらいましょう。」

張宝「さあ、そこへ案内しなさい。」

張角「おっれい♪おっれい♪」

舞十「わかってます。それではついてきてください。(…お礼の最中にダメモトで頼んでみよう。さっきの『考え』を。)」

舞十は三人を連れて歩き出した。

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‐料理屋の中‐

張角「おーいしー♪」

張宝「すみませーん。焼売追加ー。」

張梁「私は胡麻団子を。」

舞十「………。」

舞十は三人の食べるペースの速さに唖然として箸を止めていた。そんな舞十を気にすることもなく三人は目の前の料理を食べていく。

舞十「食べますね。皆さん。」

張角「だってー。今日はここで食べたいって三人で話してたんだもーん♪」

張宝「だけどお金が苦しいって人和が許してくれないんだもん。」

張梁「ここはちょっと高めだから。…まさか舞十は払えないなんて…。」

舞十「言いませんよ。安心してください。…さすがにやばくなったら止めますけど。」

張角「それじゃー、それまではじゃんじゃん頼もー♪」

三人が食べてる物の値段を店員から聞いて頭で計算しながら、舞十は苦笑いした。

やがて四人は食べ終え、お茶を飲みながら話しだしていた。

舞十「えーと、とりあえずこの店は満足していただけましたか?」

張角「うん♪あーおいしかったー。」

張宝「ってこれで終わり?」

舞十「いいえ。宿の方も用意させてもらいました。後でご案内します。」

張梁「あら。気が利くのね。」

張宝「それじゃあ、最後に杏仁豆腐頼もーっと。宿の心配はなくなったわけだし。」

自分の気配りでずいぶん気が良くなった三人を見て、舞十は決心を固めていた。

舞十「(言い出す機会はここしかない。)あの、実は頼みがあるんです。」

張角「え?」

張宝「何よ、急に?」

張梁「……どうぞ。」

聞く姿勢になった三人に、一度深呼吸してから舞十は考えはきりだした。

舞十「僕を、三人の旅に一緒に連れて行ってください!」

張角「へ!?」

張宝「ええっ!?」

張梁「………。」

舞十の発言に驚いたのは張角と張宝だけで、張梁も多少驚いていたが、どこか予測していたような顔だった。

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舞十は続けて言葉を発する。

舞十「こんな言い方は卑怯だけど、僕は三人にまだ全然恩を返せていません。ですから三人についていって少しずつでも返したいと思います。行く当ても、身寄りもない僕にできることは、それしか考え付きません。そして何より、大通りでの三人の歌に元気をもらいました。出来るならば、僕に三人の夢を、大陸一になるという夢を手伝わせてください!お願いします!」

張宝「それしかって…。」

張梁「………。」

張角「んんー。」

舞十は頭を下げて三人に懇願した。三人は顔を見合わせて考えあっていたが、やがて張角が口を開いた。

張角「…お姉ちゃんはいいと思うなー。」

張宝「天和姉さん!?」

張角「気は利くしぃ、お話は面白いしぃ、それに初めてだよ。私達の歌。こんなに真剣に認めてくれた人ー。」

張梁「この先さっきみたいなことにならない保証もないしね。それなりに強いみたいだし、持ってる知識も使えそうよ。」

張宝「人和まで?これじゃちーだけが悪者みたいじゃない。」

張梁「地和姉さんの言いたいことは解るわ。でも今現時点で一番信用できると思う。」

張角「ちーちゃんは嫌なのー?」

張宝「そこまで嫌ってわけじゃ…。あたしだってこいつがそれなりに信用できるのは解るわよ。」

張角「それじゃあー、決まりだね♪」

三人は相談を終え、舞十の方を向いた。舞十は不安そうな面持ちで言葉を待った。

張角「決定しましたー♪」

張宝「あんたはちー達の付き人としてぎりぎりで採用されたわ。」

舞十「は、はい。ありがとうございます。」

張宝「ただし勘違いしないでよ。あたし達はまだあんたを信用したわけじゃないんだからね。」

舞十「わかってます。いきなり信用なんてしてもらえません。これから信用してもらえるように頑張ります。」

張梁「あなたの持ってる知識、それを私達が歌で大陸一になるために役立ててもらうわ。当然世話役だから他にもいろいろしてもらうけど。」

舞十「自分にできる限りで頑張らせてもらいます。」

張梁「安心して、使えないと思ったら、即座においていくから。」

舞十「……そうならないように頑張ります。」

舞十は冷や汗をたらしつつもとりあえずついていけるようになったことに安堵した。

張角「それじゃー、お姉ちゃんから早速♪」

舞十「は、はい!(いったいどんなのがくる?)」

安堵したところにいきなりきたはじめてのお願いに舞十はすぐ動けるように身構えた。

張角「まず一個目。これからは、一緒に旅するんだからー、敬語は使わなくていいよ。」

舞十「ええっ!?でも僕は付き人…」

張角「お姉ちゃん、堅苦しいのは嫌なのー。」

張角からの突然の無茶ぶりに舞十は他の二人に目配せしながら尋ねた。

舞十「いいんですか?」

張宝「まぁ、あんまり堅苦しいのはちーも嫌だし。」

張梁「…そのくらいならいいわ。それに旅する分にはそっちの方が違和感もないでしょうし」

舞十「わかりま…いや、わかったよ。これでいいの?」

張角「うん。その方が、舞十は自然みたいだしね♪」

舞十「まぁ、普段は敬語じゃない…からね。(敬語になれちゃったから戻すのちょっとかかりそう。)」

舞十は苦笑いを浮かべつつ、お茶を口に運んだ。

張角「それと、もう一度自己紹介しよ♪これから旅する仲なんだしー。」

舞十「それもそうで…だね。じゃああらためて。僕は佐野小路舞十。これから三人のために一生懸命頑張らせてもらうのでよろし…く。」

舞十はところどころ敬語が出るのを押さえながらも何とか自己紹介を終える。

張角「わたしは、張角でーす♪真名は天和(てんほう)だよー♪」

舞十「え?真名って。」

張宝・張梁「「姉さん?」」

張角「さっき助けてくれたお礼だよ。それにー、お姉ちゃんは舞十には真名を預けてもいいって思えるもん♪」

舞十「(二人に殺されるかも、僕。)」

舞十は無言の二人に対してプレッシャーをかんじた。しかし返ってきたのは意外な答えだった。

張宝「…あたしは張宝。真名は地和(ちーほう)よ。」

張梁「…確かに助けてもらったことは評価すべきね。私は張梁。真名は人和(れんほう)よ。」

舞十「え?え?」

二人も舞十に対して真名を教えたのだった。舞十が訳が分からず混乱していると、

張宝「勘違いしないでよ?さっきも言ったけど、ちー達はまだ信用しきってないんだからね。これはさっきのお礼!これで貸し借り無し!」

張梁「それに前に話したけど、真名を預けられたということは、それだけの責任があなたにもできたという事。さっきのあなたの言葉。中途半端じゃ済まさないから。」

舞十は張梁の目を見て思考を止めた。彼女の目にある決意、それはいつも見ていた誠太郎の目に似ていた。抱いた夢を願うのではなく、そこへ突き進もうとする、そんな眼であった。舞十の中の混乱や戸惑いは消えていった。

舞十「………わかった。自分のできる限りなんて言わない。張角…いや、天和達の夢のために全力で手伝わせてもらう。」

舞十もまた、真剣な決意と目で三人を見据え、決意を新たにした。

 

三国志によく似た世界に飛ばされた少年、佐野小路舞十の旅は、三姉妹の付き人として始まった。

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どうもareareです。最後まで読んでいただきありがとうございました。舞十が三人の

世話役としてついていくまでなのですが、いろいろ詰め込みすぎたのか、かなりの量になってしまいました。そのうえ更新が遅いと悪いことづくめです。前回も書きましたが、これから頑張りたいと思います。

舞十がネガティブなのは前回から抜けません。やっぱりそう簡単には立ち直れないものだと思います。今回はそんな舞十に希望の光が照らす…といったふうにしてみました。

話の展開がベタすぎ、かつ速すぎるかもしれませんが、これからの話できちんと信頼していく様をかけていけるよう頑張りたいと思います。

張三姉妹は最初の頃はもしかして演奏だけだったのかもしれませんが、自分のところは、歌も歌っているということにしています。ご了承ください。

 

ご意見・ご感想をいただけたら幸いです。

 

最後の補足は、今回使った技の簡単な説明です。…別にどうでもいいかもしれませんが。

 

 

千舞流・基の型ノ序、『回薙』(せんぶりゅう・きのかたのじょ、『かいち』)

千舞流の基本の構え「基ノ型」から出す技の一つ。体を素早くひねって造った回転で薙ぐように相手をうつ。主にカウンターに使う。「序」の漢字通り、他の技への派生にもなる。

 

説明
連投すみません。二話の後編です。
いろいろ詰め込んだ感はありますが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
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コメント
無事仲間になれましたね。次はどこに行くのかな?(ブックマン)
ジョージ様へ 有難うございます。ご期待に応えられるよう、拙い文ですが頑張っていきたいと思います。(areare)
BookWarm様へ 申し訳ありません。自分もこちらを見ずに書いてしまいました。黄巾の乱に関しては、自分の考え付くヒントではネタバレになってしまうので、申し訳ありませんが何も言えません。(areare)
ふむ、黄巾党がどうなるかが見ものですね。 今後の展開が非常に楽しみです(峠崎丈二)
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