新・恋姫無双〜北郷一刀の外史〜 2
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馬の五常姉妹の三人。

 

長女馬玄・四女馬良・五女馬謖の三人に会った一刀は残りの二人、二女の馬康仲常と三女の馬津叔常にもすぐに紹介された。

 

五人とも姉妹だけあって似たような顔立ちだあるが性格の違いか醸し出す雰囲気は全く別物であった。

 

 

 

二女、馬康仲常。彼女は馬玄の後ろに隠れるようにして現れた。

かなり人見知りらしく最後まで一刀と目を合わせる事無く姉の影から自己紹介を済ませた。

彼女は家人のまとめ役をしているそうで外からの情報もまず彼女に入ってくるらしい。

それを積極的に集め、馬家のために役立てているという。

馬玄いわく荊州一の情報通の自慢の妹と言われ真っ赤になる様がかわいいと一刀は感じた。

 

三女、馬津叔常。馬玄に見た目一番似ているのは彼女であろうが少々線が細い印象を受ける。

やや病弱なためあまり自室を出る事はないが読書が趣味らしく彼女の部屋は書物があふれているらしい。

家族一の知識人で史書・軍略書にも明るく時折人が訪れては語らい去っていくそうだ。

 

 

馬家の五常、馬玄・馬康・馬津・馬良・馬謖。

 

 

一刀の知識では上三人の名前は記憶に無い。

 

もっとも彼女たちが女性という時点で自分の知ってる三国志とは違うためどうでもいいという気分ではある。

この辺は生来の楽天家ぶりが窺える様であった。

 

 

ともあれ、自分の現状を把握するために改めて情報収集として馬謖を除く四人と話を重ねていく。

なぜか馬謖は一刀を気に入らぬようで再三追い出すことを主張したため話よりはずされた。

 

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まだ黄巾の乱は起きておらず、霊帝も健在。ただし先ごろより臥せっているという噂も流れているが詳細は不明。

宦官と何進大将軍の確執はある程度公然の秘密というか諸侯は知らん顔を決め込んでいるらしい。

 

当然劉備・曹操・孫権などの名は知られておらず、孫堅や袁紹。馬騰・劉焉・劉虞などの名は知られていた。

 

 

 

「そう言えばここは荊州ってことは太守は劉表さん?」

 

 

「ええ、荊州の太守は劉表景升。皇帝陛下と血筋を同じくする劉家の権門です。」

 

 

(おや?)

 

 

一刀のイメージする劉表は武人賢者を厚く遇する江夏の八俊。

人材コレクター的な人物だが人柄は良く人徳はあったと思う。

しかし今の馬良の言葉はささやかながら侮蔑の響きを感じた。

 

 

「馬良さん?もしかして太守さんをあまり・・・」

 

 

言葉を濁す一刀に、馬玄は苦笑交じりで妹を見る。

当の馬良は多少の不快感を顕わにして答える。

 

 

「はい、私はあの方にはあまり良い感情は持っておりません。」

 

 

「なぜ?と聞いてもいいかな?」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「瑠奈ちゃん?御遣い様に聞いていただいたら?」

 

 

「・・・・実は先ごろより私は城よりの出仕要請を受けております。」

 

 

白眉の馬良だ。人材コレクターの劉表が自分のおひざ元にそんな高名な賢者がいれば当然そんな話も出てくるだろう。

 

 

「私は私の智を役立ててくださる方になら喜んでお仕えしようと思います。ですがあの方は賢者や武人をただ集めるだけです。何かを成そうというのでは無く。ただ集めたいという事だけが欲望としてある方なのです。私は美術品などではありません。」

 

 

人材コレクター、なんとなくそう思っていたが本当にそう言う人だったのかと一刀が変に納得をしていると馬玄が爆弾を投下する。

 

 

「そうだ♪だったら御遣い様に仕えたら良いんじゃない?」

 

 

「「はいっ!?」」

 

 

良い考えだと浮かれまくる馬玄をよそに焦る二人。

 

 

「な・何を言ってるんですか!何処から来たかもわからない人間に仕えろだなんて自分の妹を何だと思っているんですか!?」

 

 

「お・お姉さま!?突然何を言い出すんですか!!」

 

 

「えぇ〜、良い考えだと思うわよ?御遣い様にはここで生活して行く上で色々と補助をしてくれる人は必要だし、瑠奈ちゃんは主が見つかれば堂々劉表様の招請をお断りできるじゃない一石二鳥〜♪」

 

 

二人は顔を見合わせなぜか頬を赤くしていた。

 

 

 

「反対!」

 

 

次の瞬間外で立ち聞きしていた馬謖が飛び込んで来て大声で叫ぶ。

 

 

「反対!反対!!反対!!大反対〜!」

 

 

 

「姫奈、うるさいわよ。」

 

 

「奈々姉さまは正気ですか!?このような得体の知れない者に瑠奈姉さまを預けるなど!」

 

 

一気にまくし立てる妹に困った子とため息をつきつつ向き合う馬玄。

 

 

「前にも言ったでしょう。彼の事は先生もお認めになっておられるのよ?」

 

 

「私は信じられません!先生が仰ったのがこんな男だとは!!」

 

 

手には剣を持ち今にも切りかからん勢いで一刀を睨みつける馬謖。

 

 

(俺そんなに馬謖に嫌われるようなことしたかなあ?)

 

さすがに何度となく抜き身を振り回し追い掛け回されれば一刀もただのシスコンでは無いんだろうと思い始めているがそれを面と向かって聞く事は出来ずにいた。

 

 

 

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「わかりました。じゃあ先生の所に行って彼が御遣い様かどうか判断していただきましょう!」

 

 

一刀が考え込んでいるうちに二人の話は進んでいたらしい。

 

 

 

 

「水鏡先生?」

 

 

「そう、私たち姉妹が師事している方で荊州の名士のまとめ役をしてらっしゃる方よ」

 

 

「えっと、水鏡先生というとひょっとして名前は司馬徽さん?」

 

 

 

 

ちょっと意外そうにする3人。

 

 

 

 

「よくご存知ですね。先生は私塾を開かれてからずっと水鏡と名乗られているからあまり本名を知る人はいないんですよ?」

 

 

 

馬良の言葉に馬謖は更に不機嫌に、馬玄は上機嫌になっていった。

 

 

そうして、その二日後馬玄・馬良・馬謖の三人に一刀そして数人の護衛を伴い私塾のある襄陽に向け出発をした。

 

 

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馬家より馬で三日程、段々と治安が悪くなっているのは荊州も変わらないようで護衛無しでは遠出は出来ないらしい。

 

 

実際に二日めの野営中に野党が近づいたらしいが護衛たちは主家の女性たちに野党の姿を見せることなく追い払っていた。

 

 

その対応に馬玄は感謝をし礼を述べたが馬謖だけは不機嫌そうに護衛隊長の女性を見ていた。

 

 

一刀も感謝しその女性に礼を述べると実直そうなその女性はニッコリ微笑むとこれが自分の仕事ですからと答えた。

 

 

感心した一刀は彼女の名前を問うと最初は御遣い様に名乗る名ではないと固辞していたが馬玄が教えるように言うと頬を赤らめながら名乗った。

 

 

 

「私の名は王子均と申します。御遣い様」

 

 

「へ?オウシキン・・・オウヘイシキンサンデスカ?」

 

 

「は・はい、いかにも自分は王平子均と申しますが?」

 

 

なぜ自分の名を?と続けたそうな王平を他所に馬謖をちらりと見ると考え込む一刀に全員が不思議そうに見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(たしか馬謖が斬られる事になった街亭の戦いに副将として出陣してた武将って王平じゃなかったっけ?結局王平の言うことを聞かずに山の上に陣を張った馬謖はボロ負け敗残の軍をまとめ壊滅を防いだのが王平。馬謖がなんか王平さんを避けてるのって無意識下に苦手意識でも持っているのかな?)

説明
前に書いてから半年以上経ってます。

プロローグだけで結果として放置、言い訳は出来ません。

ですが許されるならスローペースでも書いていきたいと思います。
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コメント
続きが気になる〜。(劉邦柾棟)
あの二人に会うのかな?(ブックマン)
おぉーいままでにない感じの話ですね。どのように物語が展開されるか予測できない分楽しみにしております!頑張ってくださいな(ころも)
馬謖が一刀を毛嫌いする理由が気になります。続きが楽しみです。(tokitoki)
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