異伝・恋姫 3章 虎牢関の戦い-3
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  異伝・恋姫 3章    虎牢関の戦い-3

 

 

 

                   おむらいすの邂逅

 

 

 

 

 

一刀が遊撃隊長になってすぐに始めたのは、兵の調練だった。

 

理由はいくつかあるのだが、一刀が新入りなので、隊になめられないようにする必要があることと、あまり政に参加させるには早すぎたことが主な理由だった。

 

実際、一刀が調練を始めた当初は隊長があまりに若いことと、見ない顔だったことでやはりあまり歓迎されていなかった(一部、一刀の前の試合を見ていた者達は歓喜していたが)

 

しかし、調練を始めると、一刀の性格もあり、すぐに誤解もとけ、隊の人々から慕われるようになった。

 

そんなある日、一刀が兵の訓練をしている際に出てきた問題点などをまとめた書簡を整理していたとき

 

「…ふぅ、やっぱり今のみんなにはこれくらいしかできないかなぁ(くー)」

 

一刀は書簡を見ながらため息をついた。

 

実際、隊のみんなは頑張っている。ちゃんと指示したことをやってくれるし、以前のような反発も最近はない。しかし、どうしても能力のほうがついてこない。まぁ新兵で作られた隊だからしょうがない。と言えばそれでおしまいなのだが、戦の時にそれは通用しない。新兵だから死んでいいなんてことは当然あるはずも無いし、精兵は前からある華雄隊や霞隊などがいいに決まっている。実績の無い北郷隊に入ってくることは稀だ。

 

「いやいや、これはわかりきってたことだから、ただの甘えだ(くー)」

 

遊撃隊であるため、大きな打撃を与える必要があまり無いことが唯一の救いだが、それでも来る戦で、消耗は免れないかもしれない。

 

(これなら、最初に俺が斬り込んで、相手の隊列を崩したあと兵に各個撃破してもらう戦術にした方がいいかもしれない)

 

驕るようだが、俺の実力はかなり上だと自覚している。なら、多少自分が危険でも兵の消耗はある程度防げる。

 

「…でも、さっきこれを詠に話したら「そんな事したらあんた死ぬわよ!!」って言われたからなぁ(くー)」

 

本来ならありえない作戦だ、そんなことはわかっている。しかし、今ここでの兵の消耗はかなり厳しい。作戦を選り好みしている暇は無いのだ。

 

「やっぱりこれでいいや。あとで詠を説得してみよう(くー)…腹減ったぁ」

 

先程から鳴っている腹が妙に哀愁を誘っていた。

 

 

 

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考えが一段落ついた一刀は食堂に向かっていた。

 

流石に朝をぬいていたので限界が近くなっていた(まぁ、寝坊したのが悪いと思うのだが)

 

時刻は少し昼を過ぎた位、どうせもう昼ごはんは残っちゃいないだろう。

 

今日は「そういや、こっちに来てからまともに料理してないなぁ」ということで、厨房を借りる事にしたのだった。

 

「せっかくだから、久々に元の世界の飯が食いたいなぁ」

 

そう思い、一刀は早速とりかかった。

 

ここで、一刀は神秘を目撃する。

 

 

 

 

「な、なぜだ…なぜトマトがある…(ガクガクブルブル)」

 

 

 

 

その他にもこの時代の中国では見られない食材がいくつか鎮座していた…

 

 

 

 

 

 

 

…とんでもファンタジーのお約束ですよねー(作者)

 

 

 

 

ともあれ、調理を始めた一刀であった。

 

 

 

 

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はい!ここで料理人北郷一刀氏によるcooking time!!(一人芝居&空腹によりテンションup)

 

 

 

 

 

 

1.とりあえず、ここに何故かあるトマトを細かく切り鍋で煮込みましょう。

 

 

2.煮込んでいる間ににんにく、たまねぎを摩り下ろしておきます。

 

 

「ふぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

 

叫びながらやると気合が入りgoodです(近所に迷惑がかかるので周りをよく確認してから行いましょう)

 

 

3.変態度に磨きがかかったところでお米を炊いておきましょう。

 

 

4.炊いている時間が暇なので釜の火を見ながらいけない妄想に耽るか結局殴れなかった及川を想像でkillしましょう。

 

 

5.煮込んでいる鍋に先程魂で摩り下ろした諸々を静かに投入。混ぜ合わして弱火にしコトコト煮ましょう

 

 

6.この辺から真面目にしましょう※大事

 

 

7.鍋に酢を入れ、まんべんなく混ざるようにかき混ぜた後、火を止め熱を冷ましましょう(なんとケチャップ入手イベント!!)

 

 

8.ご飯が炊けたようなので細かく切った鶏肉と一緒に中華鍋に投入しましょう

 

 

9.はて、この時代で鶏肉は食われていたのかね?とメタ発言をしながらご飯を炒めましょう

 

 

10.7で作ったもの(以後ケチャップと)を入れ、炒めたご飯がまんべんなく赤くなるまで混ぜながら炒めましょう

 

 

11.鳴いているお腹を騙し騙しご飯を盛り付けましょう

 

 

12.卵を2個割り、そこに少々の油を入れ、空気を入れるようにかき混ぜましょう(この時、卵を切るように混ぜることで、投入時白身がブルンと落ちてビビることが少なくなります)

 

 

13.中華鍋に油を引き卵を投入します。ここで匠の技を披露し、丸く仕立て上げます。

 

 

14.これを先程盛りつけたご飯の上に乗せ、真ん中からゆっくり切ってみましょう。

 

 

「ふぉぉ大奥ぁwsでdrfgyh!!!!」

 

 

15.空腹過ぎて若干イタイ子になっている子は置いておき、出来上がった14にケチャップを掛けましょう

 

 

「キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

 

 

 

 

 

目の前には黄金色に輝くオムライスが出来上がっていた。

 

 

 

 

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と、いつの間にか食卓に見ない顔があった。

 

見ないと言うか、たまに動物たちと昼寝をしているところを見るだけで話したことがない女の子であった。

 

「…………」

 

眠たさそうな顔をしながらも、なぜかじーっと前を見つめて食卓に座っている。

 

見たところ、一刀の他に厨房で料理を作っている人はいない。料理待ちじゃないのか?

 

そう不思議におもいながらも、

 

「…とりあえずは、と」

 

せっかくできたオムライスが冷めてしまったら勿体無いと、とりあえず食卓に持っていこうとし、

 

そこで、再度食卓に何ともなしに座っている少女に目を向け

 

「う〜ん」

 

せっかくだからと、もう一人分をチャッチャと作ってふたり分を食卓に運んでいった。

 

(もしいらなくても、俺が両方食えばいいからな)

 

何を言い訳がましく、と苦笑を漏らしながら少女の元へ料理を持っていくのであった。

 

 

 

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「なぁ」

 

「…………?」

 

いつの間にかいた少女にファーストコンタクトを試みる一刀。

 

「腹減ってないか?」

 

食卓についているのにこの質問は無いかと思いながらも聴いてみる。

 

「………お腹すいた」

 

「はは、そうかい」

 

そう言いながら少女の目の前にオムライスを置く

 

「……なにこれ?」

 

「うまいもんだ、喰ってみりゃわかる」

 

そう言いながら自分の席にも同じものを置いて

 

「いただきます」

 

不思議そうにこちらを見ている少女を前にそう言ってオムライスを頬張る一刀。(結構限界だった)

 

「…いただきます」

 

真似するように少女も手を合わせオムライスを頬張る

 

「…………!」

 

少女の頭にあるくせ毛(アホ毛?)が直立した!!

 

(あれはなんだ!?ただのアホ毛じゃねぇ!!)

 

そう一刀が戦慄しているうちに少女はどんどん消化していく

 

すると一刀が半分も食べていないうちにすべて平らげてしまった。

 

「………無くなった」

 

すると少女は悲しそうにお皿を眺める。くせ毛もヘタリとしおれてしまっている。

 

「もぐもぐ」

 

「………(じー)」

 

今度は食べている一刀を凝視し始めた。

 

「もぐもぐもぐ」

 

「………(じーー)」

 

「もぐもぐもぐもぐ」

 

「…………(じーーー)」

 

「………………」

 

「…………(じーーーー)」

 

(はぁ)

 

「ちょっと待ってろ」

 

そう少女に言い残し、一刀は厨房に入っていった。

 

「…………?」

 

それを少女は見送り、再び自分の空になった皿を眺め、俯く。

 

「…………」

 

厨房ではなにかを炒める音が聞こえるが、少女の気持ちは沈んだままだった。

 

 

 

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???side

 

 

 

 

(みんなとお昼寝をしていたらご飯の時間過ぎてた……)

 

本来なら自業自得なのだが、少女にはあまりにも過酷な運命だった。

 

(ご飯食べたけど、足りない)

 

親切な人が自分の分のついでに作ってくれたが、あくまで『ついで』だった。

 

(みんなもいない。どうしよう……)

 

先程までいた青年もいなくなり途方にくれる。

 

そうして、どれくらい過ぎたのだろうか。

 

「お、ちゃんと待ってたな?」

 

その声に顔を上げるとそこにはさっきの料理が大盛りで目の前においてあった。

 

 

 

 

 

Side out…

 

 

 

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「お、ちゃんと待ってたな?」

 

一刀は超速攻で作った(幸いにもケチャップと米の残量はいっぱいあった)大きなオムライスを少女の前に置いた。

 

それを見て一瞬目を輝かせるも

 

「………いいの?」

 

自分の分しか無いことに気がついたのだろう、そう言いながらこちらに視線を向ける。

 

「さっき俺も食ってたろ?お腹いっぱいだ。…それに」

 

「それは君のために作ったんだよ」

 

そう言って一刀は微笑んだ。

 

それを聞いた少女の行動は早かった。

 

すぐに目の前の料理に手を付けると、もきゅもきゅとすごい勢いで食べていった。

 

「……ははっ」

 

その勢いに若干気圧されつつ、

 

「うまいか?」

 

と少女に聞いてみると、

 

(コクッコクッ)

 

と食べながら返事をしてくれた(返事?)

 

「それ、オムライスって言うんだよ」

 

一刀がそういうと、少女は食べる手を止め、

 

「……おむらいす」

 

ああ、と一刀が笑いながら肯定し

 

「おむらいす、おいしい」

 

そういった後、また黙々と食べ始めた。

 

その後、少女が食べ終わるまで二人の間に会話はなかったが、その空気は幸せそうな色をしていた。

 

 

 

 

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その後、食べ終わった食器を片付けていると、先程まで一緒に少女がこちらにやってきた。

 

その走り方がなんだか小動物みたいだなと思い、微笑ましい気持ちになりながら見ていると、

 

「ん、どうしたんだ?」

 

「………お礼」

 

どうやら先程のお礼がしたいらしい

 

「ついてくる」

 

「ちょ、どこ行くんだ?」

 

そう言いながらも、服の端を引っ張られてしまい、少女についていく一刀であった。

 

 

 

 

 

「………ちょっと!!誰よ、食器出しっぱなしで!!!………あっ、一刀、あんたね!あとでちゃんと説明しなさいよぉぉぉぉ!!!」

 

 

 

…どうやら後で詠に怒られることも確定したようだった………どうせ説明させてくれないくせに……言わないけど

 

 

 

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少女に連れてこられた場所は城のはずれの木陰だった。

 

「すわる」

 

そう言うと、一刀を座らせ、

 

どしーん!

 

「うわっ」

 

座った一刀の上に何かがのしかかってきた。

 

「ちょ、ちょちょちょ……!!!」

 

のしかかられた一刀は何が何だかわからず、突然の襲来者に狼狽した。

 

「……やっぱり」

 

のしかかられている一刀を見ながら誰ともなく少女がつぶやく

 

「ちょ、いい加減に……」

 

そういうと、一刀はのしかかられている襲撃者を抱き上げると、

 

「………犬?」

 

「セキト」

 

「セキト?」

 

「そう」

 

「君の飼い犬なのかい?」

 

その言葉に、少女は少し拗ねたような顔で

 

「………違う」

 

否定の言葉に一刀は少女に言葉を促す

 

「セキトは、家族」

 

その言葉に、一刀は一瞬きょとんとなるが、

 

「あはははははは」

 

そうか、家族かと破顔し、

 

「セキト、セキトかぁ、……暖かいなぁ」

 

襲撃者の頭をワシャワシャと撫でた。

 

「名前」

 

「ん?」

 

「恋の名前は、恋」

 

「あ、あぁ、俺の名前は一刀、北郷一刀だけど……君のそれは真名だろう?」

 

「いい」

 

「失礼だけど、俺は君を今日知ったばっかりなんだけど…」

 

「一刀、良い人」

 

「………」

 

「セキトが懐いてる、それに」

 

「ご飯もくれた」

 

その言葉に、少しガクッと来たが、それでも、

 

「だから、良い人」

 

それでも、彼女の笑顔は可愛くて、

 

「……あ、あぁ!じゃ、じゃあ俺の事も一刀でいいよって、…もう呼んでるか」

 

精一杯に返す言葉が格好つかなくて、

 

「じゃあ、俺たちは友達だな」

 

「………友達?」

 

「そ、友達。いついかなる時でも、打算なしに付き合える友達」

 

「…よくわからない」

 

「そっか」

 

「じゃあ、暇なときにおしゃべりする仲間みたいなもんだ」

 

「それなら、…わかる、かも?」

 

「友達がお腹すかせてたら、一緒に作ってやったりもするな」

 

「………友達」

 

「な、友達だろ?」

 

コクコクと、頷いている恋を見てまた笑う一刀。

 

「そうと決まったら、握手だな」

 

「あくしゅ?」

 

こうやるんだ、と一刀は恋の手を取る

 

「こうやって、手を握って俺たちは仲間だぞって伝え合うんだ」

 

そう言って掴んだ手をぶんぶん揺らす。

 

「……握手」

 

なぜか恋は心が暖かくなった気がした。

 

同時に顔も熱くなった気がした。

 

もちろん、お前たちも友達だぞぉと、セキトと戯れながら言う一刀に視線を向けながら

 

「恋の、友達……」

 

と、暖かくなった心にそう刻むのであった。

 

 

 

 

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あとがき

 

すんませんまじすんません。自分調子乗ってましたぁ

 

流石に1ヶ月以上も開けてしまい、本当に申し訳ないと思っております。

理由は、ぶっちゃけるとたいしたことじゃないんですが、1月全般は学校の行事が忙しく、執筆が出来ませんでした。2月に入ってから、暇は暇だったのですが、本サイトの素晴らしい作品を見てしまい、愚かなことに自分の作品と比較してしまい、一時的なスランプに陥ってしまいました。今回はいわばリハビリに近い作品になってしまい。つくづく自分の文才のなさに落ち込みそうになりながら書きました。ですので、今回に限り、厳しめな注意などは遠慮して欲しいなぁと、…あぁ、すみません、石を投げないでください。あたると痛いんです。

 とまぁ、猛省をしたところで、今回の話の解説をしたいと思います。今回は呂布こと恋ちゃんと一刀君のほのぼのライク的(?)な話にしてみました。はい、拠点です。次の話は月ちゃんの話にしたいと思うのですが、書いてわかりました。

 

拠点の話って書くの難しいぃぃぃアバババババババ

 

いやほんとに、拠点をたくさん書いているss作家様マジぱねぇと思いながら書きました。

なんといか、どれくらいあまあまだったらいいのかなとか、このキャラこんなんだっけ?と思いながら半信半疑で書きました。もちろん、いつもよりも書くスピードは遅かったですしね(いままで更新してなかったやつが言うなですか、はいすいませんもうしわけありませんそうです僕貝になります)

 とまぁ、いつもの通り、何が言いたいのか自分でも分かりませんが、これからもちゃんと書いていくつもりです。…多分、きっと。

 こんな駄文に付き合ってくださった皆様に抱え切れないほどの感謝の意を。

では、次回でまた会いましょう。ほっち〜でした。

 

説明
1ヶ月以上もの間更新してなくて申し訳ありませんでした。理由&その他雑談は最後のあとがきで。では異伝・恋姫 3章 虎牢関-3です。いつも通り拙い文章ですが、暖かく見守ってやってください。では、どうぞ
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コメント
癒しをありがとうございます。(ブックマン)
ココまで一気に読んできました。面白く良い作品だと思っています。そして…やっぱりカワイイですょね恋!…虎牢関後の展開も楽しみにしています。このまま月の所に…仕えるのかも気になります^^;(kyou)
一度でいいから恋がご飯をはむはむこくこくしてるとこを見てみたいものだw(サイト)
晃様>あー、あーそうですね。なんて言うか、次の話で書く予定です。ホントに拠点て苦手なんですよ。あと無口というかあんまり自分からしゃべらないキャラって…^^;(ほっち〜)
ヒトヤ様>詠はまだそんなにデレていない、はず、いや、多分…^^;(ほっち〜)
M2様>え、えっと…ご、ご都合主義万歳ってことで、…通せませんかね?^^;(ほっち〜)
自由人様>恋ってこういうキャラで良かったっけ?と何度か手が止まったりしましたが、楽しく見れたのなら幸いです(ほっち〜)
おやっと?様>そう言っていただけると嬉しいです。次回も頑張りたいと思います(ほっち〜)
今頃詠は一刀の口付けた割り箸を舐めてるのだろう・・・(ヒトヤ)
待ってました&お疲れ様です。恋ちゃんが食べてる時に会話は必要無いと思うんですよ、恋ちゃんの顔さえ見てれば♪そして読んでる途中からお腹空いてきちゃってちょっとつらかった…orz 続きは楽しみですが無理せず頑張って頂ければ幸いです。でも出来るだけ早く御願いしますよ(一読者の願望ですb(自由人)
おれもオムライスが食べたくなってきたwww更新まってましたよ〜。自分のペースを崩さない程度で更新はいいと思いますよ。まぁ一読者としては早いほうがいいですけどwww次回も期待しながらまってます。(おやっと?)
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