魔神達の幻想入り 最終話
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神社に戻ってくると、サイ達がいい具合の竹を持ってきて立てているところだった。しかしあの大きさといい、相当重いのだろうと思って俺も手伝うことにする。

ジュウゴロウ「これまたデカい竹だな」

サイ「丈夫なモノを選んでいたら持ち帰りに大変苦労しちゃったよ・・・」

ジュウゴロウ「へぇ・・・」

俺とベンケイが固定している間に竹はいい具合に固定される。霊夢達は幕などの設置をしており、これなら早く終わりそうだと最後の仕上げを行う。宴会の準備が整った時は夕日が沈む前のことだった。

ジュウゴロウ「サイ、宴会といっても何かゲームとかなかったらつまらないのでは?」

サイ「フフフ・・・そんなこともあろうかと思って僕達はこれを用意してました」

するとスキマから紫とともにカラオケセットが出現する。

ジュウゴロウ「カラオケ大会にするつもりか?」

サイ「優勝賞品を掛けたビンゴゲームもありますからそれで楽しませますよ」

ジュウゴロウ「へぇ〜、その賞品ってのは?」

レミリア「これよ」

レミリアが取り出したときに俺はマジかよと呆れた顔になる。それは他でもない『ジラーチの眠り繭』だ。つまり優勝者は願い事を叶えてくれるという意味である。

その時、鳥居から咲夜達紅魔館ファミリーに続いてちびっ子5人衆、守矢神社ファミリー等とたくさんの人が入ってくる。とはいえ殆どが女性・・・男が別の意味で考えればまさに人生バラ色になっているだろう。

レミリア「それじゃあジュウゴロウ、司会は貴方に任せるから好きなようにやってちょうだい」

ジュウゴロウ「・・・ヘッ、女はこういうものか」

俺はマイクのスイッチを入れ、注目する人達の眼を眺めながら口元に近づける。

 

ジュウゴロウ「さぁみんな!宴会の始まりだぁっ!!!」

 

一同「イェェェ〜〜〜〜イ!!」

 

ここはライブ会場なのかとでも言うくらいに歓声が上がる。その一声で人気を取る俺も流石であった。

同時に音楽も流れる。曲は俺の中で一番好きで情熱感溢れる『真っ赤な誓い』だ。

 

 

ジュウゴロウ「立ち止まる、暇なんかないさ〜。考える、余裕なんかないさ〜」

 

「ありったけの思い〜胸に〜。灼熱の戦いの中へ〜・・・」

 

「余りにも大きな、力の壁!世界の闇!」

 

「絶対、負けるもんか!限界超えてぇ〜〜!」

 

「今はわ〜からな〜い言葉ばかりだ〜けど〜」

 

「信じるこの道を進むだ〜けさ〜」

 

「どんな敵で〜も、味方で〜もかまぁ〜わな〜い!」

 

「こ〜の〜手〜をは〜な〜すも〜んか、真っ赤な誓いぃ〜〜!」

 

「いつま〜でも!いつま〜でも!追い続けるんだ〜!」

 

「どこま〜でも!どこま〜でも!明日への勇気を〜!」

 

「どこま〜でも!どこま〜でも!燃え滾るハートをお前とぉ〜!」

 

 

高い声が博麗神社に響き、初球から大盛況を獲得する。他の人にマイクを渡して歌っている間に俺は萃香と勇儀のいる席にきた。

ジュウゴロウ「さぁ約束だ、今夜は飲もうぜ」

萃香「おう、そういえば言ってたっけな」

勇儀「じゃあ一杯、遠慮なくいってくれ!」

渡される大皿に酒が注がれ、グイッと飲み込んでいく。わりと普通な味だなと思うが、それ以外にましな酒なんて用意されているわけがない・・・と思っていると、俺は世界の酒のことを思い出した。

ジュウゴロウ「勇儀、主に飲む酒ってこれくらいか?」

勇儀「そりゃそうだけど、何か思いついたのか?」

ジュウゴロウ「外の世界じゃいろんな酒があるっていうみたいだぜ。お前達でも知らない酒がわんさかとな」

萃香「それって美味いのかぁ?」

ジュウゴロウ「勿論だ。焼酎やビールは有名だし、外国じゃあウィスキーやシャンパンが世界中に名を上げてる。外の世界にある酒はまさに宝の山だ」

勇儀「すげぇ!この酒も美味いけどそっちも飲みたいぜ!」

ジュウゴロウ「だろうな、今度は俺が注いでやるよ」

大皿を勇儀に、酒入りの瓢箪を俺に渡して注がせると、容赦ないように大皿を55度も傾けて酒を飲み干す。

飲む勢いに強さを感じた俺の後ろに「おーい」と声を掛けられると、神奈子とロウダイがやってきた。

神奈子「私達も混ぜてくれよ、さっきの話を聞いて興味がわいた」

ジュウゴロウ「・・・まぁ、こういうのは当たり前か。いいぜ」

ロウダイ「決まりだね。それじゃあ仲良く飲むとしよう!」

ってことで4人仲良く酒を飲むこと5分、飲み仲間として友情を深めたのだが俺以外は酔っ払いにより撃沈する。特に俺の胃にはもう5尺は飲んだというのにピンピンしているのは誰でも信じられないことだ。

けど少しは楽しめることができた俺はその席から腰を上げて移動、次は紅魔館ファミリーに寄ってみようとした次の瞬間に誰かが抱きつく。誰だと思って振り向くと・・・

レミリア「れみ☆りあ☆う〜」

ジュウゴロウ「な・・・!?」

一体何が起きたのだろうか。目の前に見えているレミリアの様子が可笑しい。

というかお前、レミリアなのか!?カリスマオーラを持ったあのレミリアなのか!?

だったらなんだその可愛さ全開の顔は!!

とツッコんでいる俺の前に咲夜と文がカメラで写真を撮っている。

ちょっと待て、俺はスターじゃないんだぞ!!ってか、誰か助けてくれ!!

ジュウゴロウ「レ、レミリア・・・少しだけ離れてくれないかな?そうでなきゃ動けないし・・・」

レミリア「う〜?」

下から彼女の目を俺に見せる。ヤバい、眩し過ぎて脳が・・・溶ける・・・!

サイ「はいみなさん!これよりビンゴゲームを行いますのでカードをお受け取りください!」

いいタイミングでビンゴが行われた。ナイスだぜ、サイ!あと1秒でも遅れてたら俺はこいつに悩殺されていたかもしれんからな!

ジュウゴロウ「ほら、ビンゴが行われるんだから離れてくれるか?」

レミリアは頷いて俺の服から手を離した。

しかしあれが吸血鬼、レミリア・スカーレットというのならまさに知ってはいけない真実だろう。俺はその真実を見てしまったけど・・・

咲夜「お嬢様をあそこまで可愛がらせるとは流石です、ジュウゴロウ様!」

文「衝撃的瞬間、たしかに撮らせていただきました!」

見ていた2人(特に咲夜は鼻にティッシュを詰めている)も感激でいたが、俺には爆弾の導火線がつけられたかのようなイラつきが一気にたまった。

ジュウゴロウ「お前等・・・」

 

一度だけあの世に逝かせたろか。

 

と、憤怒の炎を全開にしていた俺だが、これだと神社が大爆発を起こしてしまう。俺は水を掛けられたあとに出る煙のように頭から蒸発した。

ジュウゴロウ「そういえば、パチュリーはどうしてるんだ?」

咲夜「それならあちらに・・・」

咲夜の指差す先に見えているのは、魔理沙を綱のように引っ張りあうパチュリーとアリスがいた。

・・・ん?アリスも?

魔理沙「ちょっと2人共!せっかくの宴会だから楽しくしてくれねぇか・・・イテテテテテテッ!!」

パチュリー「先に魔理沙の手に触れたのは私なのよ!?離してくれる!?」

アリス「私は元から魔理沙のそばにいたのよ!?貴方こそ離しなさいよ!!」

えええええっ!?アリスも片思いだったのか!?

お前の神経はどうなっているのか知りたいよ!!と、ツッコむ俺の前にアドがカードを差し出す。

ジュウゴロウ「ああ、わりぃな。けどあの3人は流石に無理そうだからキャンセルしてくれるか?」

アド「シャンハーイ」

そのままアドは別の人にカードを配りに行った。言ってなんだがパチュリーよ、これはお前の自業自得だと思え。

さて、場所移動でもしようかと思っていると、足元に違和感を感じたので見下ろしてみると、なんと一頭身の霊夢がいるではないか。

「ゆっくりしていってね!!」

 

ぎゃああああああ!!生首だあああっ!!今度は生首だあああああっ!!

 

流石に俺でも尻餅をついて驚く。しかもこの生首、勝手に動いているし俺の腹に乗っかる。

やめろ〜!!来るな〜!!ってか、

 

こ っ ち 見 ん な

 

「ゆっくりしていってね!!」

ジュウゴロウ「・・・え?」

頭の上に何かが乗っかる。とりあえずそれを顔の前まで手に持つと、今度は一頭身の魔理沙がいるではないか。

「「ゆっくりしていってね!!」」

ジュウゴロウ「・・・・・・・・・・」

キバシ ジュウゴロウ、得体の知れないこの2人によりビンゴに参加できずに気絶し、目が覚めたときには神社内の布団の中で寝ていた。

咲夜「お目覚めになりましたか?」

ジュウゴロウ「咲夜か・・・霊夢と魔理沙の生首が動いてやがったからビックリして・・・」

咲夜「初めてでしょうけど、あれは『ゆっくり霊夢』と『ゆっくり魔理沙』です。本人とは関係ありません」

ゆ、ゆっくり?そういえばゆっくりしていってねって・・・しかも本人とは関係ないとなると俺は一安心したが、肝心のビンゴゲームはどうなったのだろう?

ジュウゴロウ「ビンゴのほうは?」

咲夜「残念ですけど、ビンゴゲームのほうはすでに終了しました」

ジュウゴロウ「・・・そうか・・・」

俺は体を起こして外に出ようとすると、咲夜が言い忘れていたかのようにこう伝える。

咲夜「妹様が、神社の外で貴方を待っているみたいですよ」

ジュウゴロウ「フランが、俺を?」

何か用でもあるというのか知らないが、俺は人込みを掻い潜って鳥居のところに行くと、フランが待っている様子があった。話しかけてみる。

ジュウゴロウ「俺に何か用があるのか?」

フラン「うん、星が綺麗だったからジュウゴロウに見せたかったの」

空を見上げてみると綺麗な星が輝いていた。思えば、こんな夜空を見るのは外の世界では全くないだろう。

フラン「ジュウゴロウ、私はあの時に優勝して願い事いったんだよ」

ジュウゴロウ「えっ、ビンゴのか?」

フラン「うん。なんて言ったと思う?」

俺に近寄るフランの顔を見て、俺は何を言ったかを考える。どうせ遊ぶことだろうと俺はそう答えたのだが、

フラン「ブブーッ、はずれ」

以外にも予想が違っていた。俺はなんなのかと酒から酔い覚めたような感じで答えを聞く。

フラン「実はね・・・ジュウゴロウの妹になりたいの」

ジュウゴロウ「え・・・?」

 

俺の・・・妹?

 

フラン「初めて会った時を思い出すと、ジュウゴロウは私の弾幕を楽しんでくれてたからすこし驚いちゃった。そのあとにジュウゴロウも本当の楽しさを教えてくれて、私はもっと遊んでみたいと思ってたんだよ。そして食事のマナーも、外の世界のこともいっぱい話してくれたから、今の私がこんなに変われたのが嬉しい。そしたら私は、ジュウゴロウの顔を見るたびになんだか暖かくなってきて、それで・・・私はジュウゴロウとそばにいたいって思ってたからそれを願い事にしたの」

ジュウゴロウ「フラン・・・」

フランは俺の目を見つめる。

フラン「お兄様。私のこと・・・好き・・・?」

俺は少しだけフリーズ状態になる。思えば、俺はあいつが強いと聞いて戦っただけなのにいつの間にか楽しんでいた。まるでもう1人の俺みたいに・・・。

ジュウゴロウ「・・・好きだ」

俺はフランの頭を優しく撫で、レミリアとフランの兄になろうとこの胸に誓った。しかしフランがビンゴに優勝するなんて、奇跡といいようがない。レミリアは酔っ払いで能力が薄れているからないだろうと思うと、それ以外に方法が思い浮かばなかった。

それに、知らない間に俺も紅魔館の家族となっていたんだな・・・

「ジ〜・・・」

すると上のほうで聞き覚えのない声が聞こえた。見上げたその時には驚きを隠しきれずにいられなくなる。

ジュウゴロウ「・・・ジラーチ・・・!」

そう、今まで繭に眠っていたジラーチが既に目覚めていたのだ。何かの間違いと思ってその姿をポケモン図鑑で見ても殆どがシンクロしている、つまり本物のジラーチであるのだ。

フラン「この子も私と見合ったときにすぐ仲良くなれたんだよ、ほら!」

ジラーチはフランの胸に抱きついた。丁度彼女がぬいぐるみを抱いているくらいのサイズをするジラーチと、それを抱いて笑っているフランの姿はとっても嬉しそうだ。

まるで、俺が素敵なぬいぐるみをフランにプレゼントしたような光景だ。

ジュウゴロウ「いい願い事がかなってよかったじゃないか。じゃあ、そろそろ戻ろうか」

フラン「うん!」

ジラーチは俺から授けたボールを使ってフランが所持することとなり、今でもジラーチは彼女の肩やボールの中でニコニコと笑っている。

その後に俺達は用意した短冊で、優勝を逃した人達もこれで叶えてあげようとの願い事を書き入ると夜空に輝く星の下に吊す。これで本当に願い事がかなうかは分からないけど、ジラーチはいつかまた奇跡を起こしてくれるのかもしれない。

こうして俺は、紅魔館の家族として、大魔神の仲間と共に生き続けることになった。けど始まったばかりである新たな伝説の隣には、最後の舞台となる伝説があった。そこで俺は、紅魔館の家族達も現代に招待してあげようと考える。きっと喜んでくれるのは間違いない、何よりもフランなら外の世界のすばらしさが分かるからな。

 

そして6日後、解散記念大会当日のスタジアムにはファミリーも一緒にいた。

 

フラン「お兄様〜頑張れ〜!」

 

フランは相変わらずに俺を応援する。けど嬉しいさ、応援してくれるから俺はもっと強くなれる。それが絆の力というものだ。

最初の試合で大将の俺とシロナとの対決が行われようとしている。スタジアムに実況の声が流れ出した。

 

実況者『本日によって大魔神は無くなりますが、彼等の刻んだ伝説は永久に不滅です!始めに大将同士の対決、ジュウゴロウ選手対シロナ選手の試合を開始いたします!』

 

互いには相棒のボーマンダ、そしてガブリアスが繰り出される。

ジュウゴロウ「シロナ、俺はお前と出会えたから心が変われた。明日になればもう会えなくなるが、例え俺がどこへ行こうとも忘れはしない。絶対にだ!」

シロナ「フフッ、私も貴方と会えてよかったけど寂しくなるわね。けど悔やんだりしないわ、これは私でも予想できない真剣勝負。言うなれば・・・」

 

2人「「正々堂々と戦うってこと・・・!」」

 

観客席から見ているファミリーのうち、レミリアと咲夜は開始直前までに話をしていた。

レミリア「咲夜、どっちが勝つと思う?」

咲夜「どうでしょうか・・・けどお嬢様ならきっとジュウゴロウ様を・・・」

レミリア「だけどそうはいかないみたいよ」

咲夜「といいますと・・・?」

レミリア「運命が見えないのよ。2人に発されるオーラが、このスタジアム中を支配しているせいで・・・」

それでもレミリアに見えている運命が一つだけあった。

 

レミリア「勝敗は分からなくても、面白い運命になりそうね。フフッ・・・」

 

実況者『それでは、試合開始!!』

ジュウゴロウ「さぁいくぜ!!ボーマンダ!!!」

シロナ「天に舞え、ガブリアス!!」

 

最後の舞台で俺の最後の戦いが始まる。

 

 

 

 

魔神達の幻想入り 【完】

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どうも皆さん、ダークボールです。

本日によって魔神達の幻想入りは終了ということになりました!見てくれた皆さん本当にありがとうございます!

アフターストーリーを期待しているとコメントしてくれたのは嬉しいのですが、残念ながら続編は予定しておりませんので申し訳ありません!><;

ですが大魔神の戦いははまだまだ続きます。きっとどこかでその様子があるのでしょうね。

特にジュウゴロウもスカーレット家の長男となり、フランと楽しく遊んでいる様子がその後でも脳内には思い浮かびあがります。

というわけでこれを持ちまして、本作はこれにて終了です。次回作も既に出来ているので今日投稿予定なので期待してください!

それでは、次回作でまたお会いしましょう!

説明
ポケットモンスターの世界に住むトレーナー達が幻想郷へやってくる不思議な物語。
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コメント
nanasinさん>殆どは思いつきなのですが、これに引き出す自分が驚きです。新しく作った作品にもなにとぞよろしくお願いします。(ダークボール)
ニルヴァーシュさん>ありがとうございます。彼の戦いに終わりは無いということでこんなシメにしてみました。喜んで光栄です(ダークボール)
凄く面白かったです!!最後の切り方最高でした!!(ニルヴァーシュ)
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