真・恋姫無双紅竜王伝番外編B〜関雲長の決意〜
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私の名は関羽。字を雲長という者だ。桃香―――劉備様と鈴々―――張飛とともに桃園で義姉妹の契りを結び、漢王朝をお助けして天下万民が笑って暮らせる世の中を作ろうという志を掲げて乱世に飛び込んだ。

しかし―――現実は甘くはなかった。

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徐州での戦いで捕らわれた私は漢王朝にしばらく仕える事になり、織田大将軍の指揮下に収まる事になった。降将の私には『許可なく一人で出歩いては行けない』『許可なく武器を所持する事』などの制限がつけられたが、それ以外は比較的自由だ。

「ん・・・」

私が与えられたのは許昌城・王宮内に造られた大将軍邸の一室。この邸宅は先の『洛陽の変』の反省を踏まえて堀を構え、塀を高くした城郭のようになっている。また陛下の住まう王宮から歩いてすぐという立地で、これは変事が起きた際にすぐに大将軍邸に逃げ込めるためであるそうだ。

・・・これについては陛下がこの場所に築くよう勅命を下したとも言われているそうだが、真相はどうなのだろう。

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寝巻からいつもの服に着替えて食卓に赴くが、そこに屋敷の主の姿はなく自分の世話を担当してくれる侍女を発見して声をかけた。

「おはよう。閣下はもう朝餉を終わられたのか?」

「おはようございます、関将軍!閣下なら王宮に上がられましたよ」

元気よく返事をしてくれた彼女に礼を言って、私は彼女に朝餉を持って来てくれるよう頼んだ。

昼から私は王宮に呼ばれているのだ。なにやらお茶会を開くようで、私はそれに招かれたのだが―――

「織田殿は『会わせたい相手がいる』としかおっしゃらなかったが・・・」

 

迎えに来た年配の女官(陛下のお世話をする女官長だそうだ)に連れられて向かったお茶会の場は、王宮の中庭の様な所だった。そして、そこにいた面子に私は驚きを隠せなかった。

漢王朝丞相にして魏国王・曹孟徳。

 

漢王朝の軍権を握る大将軍・織田舞人。

 

そして―――

(・・・誰だ?)

その2人の要人に挟まれているにもかかわらず、まるで物怖じせずにニコニコと談笑している黒髪の少女。

(それなりに身分のある家の出の娘なのだろうか?)

「あら、来たわね関羽」

「遅いぞー、関羽」

出迎えた2人に軽く会釈してあいさつを返す。

「こんにちは!」

「あ、ああ。こんにちは・・・」

そして元気よく挨拶してくれた少女にも、その笑顔に圧倒されながら挨拶を返す。彼女は着席した私の前にある杯にお茶を注いでくれた。

(曹操殿のお気に入りの侍女なのかな?両家の子女がこの様な事をしてくれないと思うが・・・)

そんな事を考えながら、私はグイ、とお茶を飲む。中々淹れ方が美味いのか、美味だった。

「すまないが、もう一杯もらえないか?」

「あ、はーい」

侍女?の少女にお代わりを要求すると、彼女は笑顔で注いでくれた。その様を見てなぜか曹操殿が感心したかのように呻く。

「関羽、あなたってつくづく恐れ知らずね・・・」

「え?それはいったい・・・?」

疑問に思って織田殿の方を見ると、彼は悪戯っ子のように笑って「後で分かるよ」と言って私の疑問をますます深めていった。

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お茶会の後、私は偏将軍を拝命する事になっている為王宮内の謁見の間に案内された。そこには曹操殿と織田殿を筆頭に文武百官が立ち並んでいた。

「・・・以上を以てそなたを偏将軍に任ずる。織田大将軍のもと、大陸の平和の為にそなたの武勇を朕に貸してほしい」

「ははっ」

陛下のお言葉に私は頭を垂れ、就任式は無事に終わる・・・かに思われたが、曹操殿に私だけ呼び止められ、皆が退出した後玉座の間には私と織田殿と曹操殿、そして―――

「あ、あ―――!」

「初めまして・・・っていうべきでしょうね。偏将軍関羽」

先刻、私に給仕をしてくれた黒髪の少女が玉座の最奥の御簾の奥から神々しい光を纏って現れた。

「姓は劉、名は協、字は伯和。後漢王朝の11代目の皇帝を務めている。よろしく頼むぞ、関将軍」

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陛下と出会い、夕餉までいただき歓談したその日の夜、大将軍邸の自室に戻った私は考え事をしていた。

(私は此処に来るまで、陛下は織田殿と曹操殿に操られていると思っていた)

しかし―――ここ許昌に来てその考えは変わった。

たしかに魏国と漢王朝の発展は曹操殿の手腕に依るところはあるが、その政策には陛下も関わっている。

そして、陛下は自身を操れと曹操殿に告げたという。

「大陸の平和の為に、か・・・」

曹操殿と織田殿は真に天下太平の為に動いているという事なのだろうか・・・

「我が力、天下の為に生かしてみるのもいいかもしれないな・・・」

ここに来たのも何かの縁だ。

自分の力を試してみるのもいいかもしれないな・・・

説明
番外編第三話です。
漢に降った関羽。開かれたお茶会で彼女に茶を注ぐのは・・・
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コメント
風向きが変わった?(ブックマン)
フラグゲット! ところで桃香はどうなる?(車窓)
執筆お疲れ様です。良い感じですね・・・このまま愛紗は舞人陣営に居たほうがいいかと、そして桃香の甘さを指摘してやれば(ry  次回も期待です。(狩人)
むむむ、此れで愛紗は堕ちた!にやり。之から愛紗はどうなるんでしょうね・・・。蜀に誤解を解くのか、其れとも漢の職に重きを置くのか。まぁ、編将軍の任務に力を入れて取り組めば其れが蜀に伝わり、どうして愛紗が→愛紗が仕えたいと思うほどならば・・・→愛紗が信じる人ならば・・・と誤解も間接的に解くことも出来ますから・・・どっちだろう・・・ 次作期待(クォーツ)
やっと誤解が解けたようですね。本当に頭固いなぁ、蜀の連中は。まぁ、それが長所であると言えなくもないんですけど・・・・(峠崎丈二)
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