真・恋姫†無双 〜魏〜 終焉後物語12.5 其の弐
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拠点 ? 楽 進 ?

 

子供「それじゃ楽進様、またね〜」

 

凪「こら、前をしっかり見て」

 

人にぶつかりそうになりながら走っていく女の子を心配しながらも笑顔で見送った。

 

一刀「・・さすが楽進様、人望が厚いですね」

 

凪「いえ、それは私の人望が厚いということではなく、ただ、街の人たちがいい人たちばかりというだけです」

 

そういいながらも、横切る人のほとんどが凪に声をかけていた。尊敬の目を向ける人もいれば、楽しそうに話しかけてくる人、うれしそうに走ってくる子供などその反応は様々であった。

 

一刀「そういわれましても、私の見る限りでは楽進様が街の方々に愛されているようにしか見えないのですが」

 

凪「魏光殿にそうおっしゃっていただけるのは嬉しい限りです」

 

一刀「(全く・・・相変わらず凪は謙遜しかしないな)」

 

謙虚なその姿勢に関心をしつつ、心の中で軽くため息をついた。

 

凪「しかし、魏光殿も変わっておられますよね。警邏の仕事についていきたいとは」

 

一刀「そうですかね。警邏の仕事は街の方々との交流になりますし、それに、他の方々と共にすることで多くのことを学ぶこともできますので、おかしなことではないと思いますが」

 

凪「それはごもっともな考えですが、それを実行される魏光殿には敬服いたします」

 

一刀「・・そうですか?」

 

凪「えぇ。仕事に対する熱心さもそうですが、こうして自発的にいろいろなことをされていらっしゃるのですから。周りには、仕事を面倒くさがる者もいるというのに」

 

ある二人の事を思い浮かべながら、凪はため息混じりに言った。

 

一刀「いえ、そんなことは・・・」

 

凪「実際、私こそ魏光殿から学ぶことばかりですよ」

 

一刀「い、いや・・・・」

 

凪に尊敬の目で見られることは嬉しくあったが、一刀の心境は複雑であった。

 

この三年間で洛陽の内政から街の様子まで、多くのことが変化していた。一刀自身それを把握、もしくは情報として自分の頭の中に整理しておきたかったため彼女たちの仕事を手伝ったり、同行させてもらったりしていたのは事実である。

 

しかし、心の内の半分以上は彼女たちと共に行動をしていたいというのが本音だった。

 

それを凪に褒められ、少し反省する気持ちになっていた一刀であった。

 

一刀「(うぅ・・・心が痛む・・・・)」

 

凪「・・・魏光殿」

 

一刀「はい、なんですか?」

 

凪「・・魏光殿はこの街を見てどう思われますか?」

 

一刀「どう思われますかって、街が賑わっているかどうかってことですか?」

 

凪「それもありますが、我々警邏の状況や街の治安についてを一番お聞きしたいですね」

 

一刀「そうですね・・・・・・」

 

洛陽に着いてから一刀自身の目で確認してきた街の様子を鮮明に思い出す。

 

一刀「そこまで気になったところはありませんが、あげるとすれば巡回路ですかね」

 

凪「巡回路?」

 

一刀「えぇ、何度か警邏の方々の巡回しているところを見させてもらったのですが、気づかないうちになのか、決めているのかはわかりませんが、自分で決めた順路を通られている方々が多かったですね」

 

凪「・・巡回をするときに決まったところを回っているということですか」

 

一刀「そういうことになりますね。でも一概にそれが悪いと言うわけではないのですが。ただ、犯罪者からすれば、警邏の人間を見て今日の警邏はこの道順だとか、あいつはこの路地には入ってこないとか、ある意味その警邏の情報を与えているようなものになってしまいますから」

 

凪「・・・なるほど」

 

一刀「今の洛陽の治安の良さからすればそこまで徹底させるべきかどうかは分かりませんが、用心をするに越したことは無いでしょう。それに、警邏の度に同じ道ばかり歩いていてはその道を歩いていくことが日々の仕事となってしまいます。そうなれば、気を抜きがちになってしまいますし、日々同じことを繰り返す作業になってしまいますからね」

 

凪「・・・・・・」

 

一刀「それに、同じ道でも向きを変えれば違う視点で見ることができます。普段では気づかないようなところにも気づいて警邏の効率も向上していい気分転換にもなるのではないでしょうか」

 

凪「・・それはそうですね」

 

一刀「こんなことしか言うことができませんがよろしかったですか」

 

凪「はい、とても参考になりました」

 

一刀「あ、そうですか」

 

凪「・・実は最近、真桜と沙和の三人で警邏についての話し合いをしたことがありました。そのときは三人ともこれと言って何も思いつくことが無く何も意見が出ずに終わってしまいました。それを考えると我々は魏光殿に比べて情けないものです」

 

一刀「う〜ん・・・・それは違うのではじゃないでしょうか」

 

凪「えっ?」

 

一刀「やはり、そういった改善案や問題の指摘は第三者の意見が必要です。警邏をされているお三方がそこに目が行かないのは当たり前と言えば当たり前ですよ。私自身、警邏に関係ない人間として見させていただいたからこそ気づいただけのことですし」

 

凪「・・・そうなのでしょうか」

 

一刀「えぇ、絶対にそうです。ですから、今度から話し合いをするときは他の方々に参加していただけばいろんな意見が聞けると思いますよ」

 

凪「・・・えぇ、そうですね。では次回からはそうします」

 

凪の反応を見て一刀は笑顔になった。一刀としてではないが彼女の力になれたことが嬉しくあった。

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一刀「(よかったよかった・・・)んっ?」

 

ふと凪の左肩に目に留まった。

 

一刀「(この傷・・・・・)」

 

無意識のうちに凪の肩を掴んだ。

 

凪「ふぇ!?」

 

いきなりの出来事に驚かずにいられなかった。

 

凪「ぎ、魏光殿?!」

 

一刀「楽進様、この傷跡はどうされたのですか?」

 

凪「えっ?こ、この傷ですか。そ、それは以前に、沙和や真桜たちと鍛錬をしていたときについてしまった傷ですが・・・」

 

至近距離にある真剣な表情に、あわてながらも説明をした。

 

一刀「(・・・・・・ただでさえ、傷跡が多かったのにまたこんな怪我をして・・・・)」

 

凪「あ・・あの・・・・・・・・」

 

割れ物でも触るかのように掴まれている肩、そしてその肩の傷を悲しそうに見ているその瞳に凪は我を忘れそうになった。

 

一刀「・・・・・・・」

 

凪「ぎ、魏光殿。そ、その・・・」

 

一刀「?どうしましたか」

 

凪「いえ、その、肩を・・・・・その//////////」

 

この状況を恥ずかしく感じながらも、掴まれた肩を離してもらうべく出来る限り一刀に訴えかけた。

 

一刀「んっ?・・あっ!?」

 

ふと我に返り、肩を掴んでいた手を離した。

 

一刀「す、すいません!いきなりこんなことをしてしまい!その、肩の傷の方が気になってしまいつい」

 

凪「い、いえ、そこまで謝られなくても」

 

一刀「(あぁ、やってしまった。昔みたいに当たり前に触ってしまった。やばいな、絶対嫌われるな、ていうか殺されてもおかしくないよな普通。それに、ついじゃすまないだろ!?)」

 

自分の軽率な行動に一刀の頭の中は後悔という単語で埋め尽くされていた。

 

凪「だ、大丈夫ですから、さすがに先ほどは驚きましたが、そこまでお気になされなくても」

 

一刀「いやですが・・・」

 

凪「う〜・・・・・・」

 

この状況をどうしたものかと考え込んでいた凪であったが、視線の先にいつもの二人を見つけた。

 

凪「・・・・・・わかりました。では、少しお詫びをしていただくと言うことで」

 

一刀「?そんなことでよろしいのなら喜んで」

 

凪「それはよかった。では、三人分の昼食代を出していただきたいのですが」

 

一刀「わかりました!三人分ですね・・・・・・・・・・んっ?三人分?」

 

一人分ではなく三人分というところにひっかかった一刀であったが目の前にいる凪は楽しそうに笑っていた。

 

言葉の意味がわからないまま悩んでいると聞きなれた声が聞こえてきた。

 

???「お〜い」

 

一刀「ん?」

 

声のするほうに振り返るとそこには休憩中の沙和と真桜がいた。

 

沙和「光ちんに凪ちゃ〜ん」

 

真桜「おぅ二人とも、ちょうどよかったわ、今から飯にいこう思うとったんや」

 

一刀「・・・・・・・・」

 

沙和と真桜を見て、状況の把握。

 

凪「二人ともちょうど良かった、魏光殿が今日は奢ってくれるそうだ」

 

沙和「え?良くわかんないけど、ありがとなの〜」

 

真桜「おっ、光ちん、気前ええなぁ」

 

急に二人のテンションが上がった。

 

一刀「(・・凪のやつ・・・・・・はぁ、まぁいっか、こいつらと久々に飯が食えるなら)」

 

凪にしてやられたと思いつつ、一刀は笑顔交じりにため息をついた。

 

一刀「では、今日は私が奢りますのでおすすめのお店があればそこに行きましょう」

 

沙和「おすすめならまかせてなの〜」

 

真桜「まっ、おすすめゆうても、うちらの定番の店やけどな」

 

合流した二人は楽しそうに一刀を引き連れていった。

 

凪もその後を追おうとしたが、先ほどのことでふとおかしいところに気づいた。

 

凪「(そういえば、なぜ魏光殿はこの肩の傷にだけ反応されたのだろうか・・・)」

 

自分の身体にある多くの傷の中でなぜこの部分にだけ反応したのか、それ以前になぜ、あそこまで過剰な反応をしたのか、思い直せばおかしなところだらけだった。

 

初めて会ったときは全く何も言われなかったのに、なぜ先ほどはあれほどの反応をしたのか。

 

凪「う〜ん・・・」

 

考えれば考えるほど、答えに行き着きそうには無かった。

 

沙和「凪ちゃ~ん、早くなの〜」

 

先に進んでいた沙和が、立ち止まっていた凪に声をかけた。

 

凪「あ・・あぁ、今行くよ」

 

それに答えて凪も歩き出した。

 

凪「(まぁ、たまたま目に入ったのだろう)」

 

深く考えることをやめ、先にいる三人の後を追った。

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拠点 ? 夏侯惇・夏侯淵 ?

 

昼下がりの場内、本日の書類整理を終えた一刀が固まった身体を動かすために庭へと向かっていた。

 

一刀「しかし、いつになっても書類の整理ってのは苦手だなぁ」

 

と凝り固まった肩を回しながらつぶやいた。

 

一刀「やっぱり、最初から普通に仕事をしすぎたなぁ」

 

洛陽について、仕事を与えられた初日から一刀は普段どおりに仕事をこなした。

 

その上、以前自分がしていた仕事を、与えられてもいないのに片付けてしまったのだ。

 

その結果、魏光は要領が良く、仕事が早いという評判は当たり前のように華林の耳へと届き、洛陽に戻ってきてたった十日もたたぬうちに仕事の量を倍に増やされたのであった。

 

一刀「何も考えずに行動をした俺の自業自得だな」

 

自分の軽率な行動を悔やみながら苦笑していた。

 

一刀「んっ?」

 

そんなとき、目的地の中庭から気迫のこもった声が聞こえてきたことに気が付いた。

 

一刀「(・・・誰の声だ?)」

 

足を早め、中庭へと急ぐ。

 

一刀「あっ」

 

そしてそこには、鍛練をしている春蘭と秋蘭の姿があった。

 

春蘭「はぁぁ!!」

 

秋蘭「はぁ、はっ」

 

両者引けをとらずに一進一退の攻防をしていた。相手に猪突猛進と言えるほどの突撃を仕掛ける春蘭。

相手の動きを先読みしながら、素早い身のこなしで正確な攻撃をする秋蘭。

 

一刀「・・相変わらずだな」

 

魏が誇る二人の武将の戦いを見ながら、二人の強さに改めて驚いた。

 

春蘭「はぁぁぁ」

 

春蘭が秋蘭に突撃をかける。

 

秋蘭「ふっ」

 

それを見るや否や、瞬時に足、胸、顔の三点目掛けて矢を放つ。

 

春蘭「はっ!」

 

秋蘭へと向かう足を止め、春蘭は自分目掛けて放たれた矢をいとも簡単に落とした。

 

一刀「(うぇ!?あの体勢で、あれをいとも簡単に落とすのかよ)」

 

そして、秋蘭も矢を打ち落とされている間に春蘭との距離をとっていた。

 

春蘭「はぁ!!」

 

と春蘭は距離をとった秋蘭へと再び突撃をかける。

 

秋蘭「くっ!?」

 

先程よりスピードのあがった突撃に秋蘭は一瞬対応が遅れる。そして、その一瞬の遅れが命取りになるレベルの戦いだった。

 

春蘭「はぁぁぁぁ!」

 

間合いを詰めきった春蘭が移動のスピードを乗せた一撃を繰り出す。

 

秋蘭「くっ!」

 

避けきれないとわかると弓を両手に持ち替え、力に逆らわないように攻撃を受け流し、直撃を免れた。

 

春蘭「まだまだぁ!」

 

気迫のこもった声と共に春蘭は攻撃を続ける。斬撃の中に蹴りを織り交ぜ、相手が反撃する暇が無いほどの猛襲だった。

 

しかし、秋蘭は落ち着いていた。普通の者ならばこらえきれずに押されきってしまうところを、斬撃を受け流し、蹴りは身のこなしで避け春蘭の攻撃を捌き続けた。

 

一刀「・・・・・・・・・」

 

その攻防を見ていた一刀は、言葉が出てこなかった。

 

春蘭「ははっ!やるな秋蘭!」

 

秋蘭「ふっ、姉者はさすがと言うべきか」

 

二人の顔には笑顔がこぼれていた。

 

春蘭「しかし、勝つのは私だ」

 

そう言い放つと、春蘭は渾身の一撃を放った。

 

秋蘭「!?」

 

秋蘭はその一撃を受け流そうと試みたが、あまりにも相手の力が強すぎたため受け流すことが出来ず、鍛錬用の弓が粉砕された。

 

秋蘭「くっ!」

 

普通ならば追撃をかけるところだが、相手の武器がなくなったことを確認すると春蘭は剣を引いた。

 

春蘭「・・・勝負ありだな」

 

そして、その言葉を聞いて、秋蘭が降参を告げた

 

秋蘭「・・ふっ、参った」

 

春蘭「ははは!これで私の十勝五敗だな」

 

秋蘭「・・あぁ」

 

一刀「(おいおい、あんなのを十五回もしてたのかよ・・・・)」

 

その会話を聞いた一刀は、二人の桁外れの強さと体力を一層痛感した。

 

鍛錬も終わり、秋蘭に手を差し伸べたとき、自分たちの方を見ている一刀の姿が春蘭の視界に入った。

 

春蘭「んっ?おまえ!そんなところで何をしている」

 

突然声をかけられ、別に疚しいことがあったわけではないが、春蘭に声を張られてしまったことで少しびくついてしまった。

 

秋蘭「あぁ、魏光か」

 

そして、申し訳無さそうに二人の下に歩いていった。

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一刀「どうも」

 

春蘭「どうもではない!なぜあそこにいたのかと聞いているのだ」

 

一刀「あ、いや、ちょっと身体を動かすためにここに来たら、お二人が鍛錬をされていたのでお邪魔にならないように見学をしていたんです」

 

春蘭「ではなぜ隠れていた?」

 

一刀「えぇ!?隠れてなんていませんでしたよ」

 

春蘭「嘘をつけ!あそこから覗いていたではないか!」

 

先ほど一刀がいたところを指差した。

 

一刀「あそこっていわれても、私がいた位置は中庭の入り口ですから、ここから遠くもなければ、どうみても隠れる場所なんてないじゃないですか!」

 

春蘭「なにぃ!?」

 

一刀の反論に腹を立てた春蘭は手に持っていた鍛錬用の武器を落とし、七星餓狼を抜いた。

 

一刀「ちょ!?ちょっとまってください!私は何も悪くはないじゃないですか!」

 

春蘭「まだいうか!」

 

一刀「(もう、こんなに頭悪かったか、こいつ?)」

 

春蘭の意味不明な怒りをどう収めるかを思案していたとき、ふと楽しそうに笑っている秋蘭の姿が目に入った。

 

一刀「か、夏侯淵様、笑われてないで少しは助けてくださいよ」

 

秋蘭「ん?あぁ、そうだな。姉者」

 

春蘭「なんだ秋蘭」

 

秋蘭「魏光は覗きなどしてはいなかったぞ」

 

春蘭「なに!?・・・・秋蘭が言うならばそうなのだろう」

 

と一刀に構えていた獲物をようやく下げた。

 

その様子を見て一刀は胸を撫で下ろした。

 

一刀「(・・・っていうかなんで俺の言葉を信用しないんだよ。俺はちゃんと状況までしっかりと説明したのに、秋蘭なんてほとんど一言じゃないかよ)」

 

秋蘭「まぁ魏光も許してやってくれ、姉者はこういうものなのだ」

 

一刀「い、いえ、私は怒ってなどいません・・・・・(呆れてはいますけど・・)」

 

春蘭「で、お前はなぜここに来たのだ」

 

その言葉を聞いた瞬間、一刀は春蘭を見たまま唖然とした。一刀の顔はかなりおかしなことになっていたがそんなことを考えている余裕はなかった。

 

一刀「(・・・俺・・・・春蘭を甘く見ていたな)」

 

春蘭が一分もたたないうちに自分の言ったことを忘れているとは心にも思わなかった。このとき、一刀は春蘭の潜在能力を見誤っていたことを悔いた。無論、馬鹿としての潜在能力だが・・・・・

 

春蘭「おい、何か言いたそうな顔だな」

 

春蘭がその心の内を悟ったわけではないが、自分を見る目があまりにもおかしいことには気づいた。

 

一刀「い、いえいえ、別に何も・・・」

 

春蘭「・・では、なぜここに来た」

 

一刀「・・・・いや、仕事が一段落ついたので身体を動かしに来たんです」

 

春蘭「そうか、ならば最初からそう言えば良いではないか」

 

一刀「ははは、そうですね。ははは・・」

 

秋蘭「ふふ」

 

人事のように見守っていた秋蘭は一人楽しそうに二人のやり取りを見ていた。

 

秋蘭「ん?」

 

ふと一刀の目の下に隈が出来ていることに気づいた。

 

秋蘭「魏光、その目の下の隈は――――」

 

春蘭「お前、少し疲れているのではないか」

 

と秋蘭の言葉は春蘭に遮られた。

 

一刀「えっ?そうですか。自分ではいつも通りなのですが・・・」

 

春蘭「いや、少しやせたようにも見えるし、それにあまり寝ていないのではないか?」

 

秋蘭「・・・・・・・」

 

一刀「どうでしょう・・・・自分ではよくわかりませんが・・・」

 

春蘭「とにかくだ、お前は華琳様に仕えている身なのだ!そんなような姿を華琳様が見ては、華琳様の気苦労が増えるだろうが。だから、家臣としての自覚をしっかりと持て、いいな」

 

一刀「は、はい」

 

それはまさに正論だった。正論がゆえに一刀は驚きを隠せなかった。なにせあの春蘭にそれを言われたのだから。

 

秋蘭「・・・・姉者、そろそろ街の方へ行くとしよう」

 

春蘭「おっ、そうであったな」

 

一刀「何か用事でもあるのですか」

 

秋蘭「あぁ、お茶のときのお菓子や洋服を買いに行くのだ」

 

春蘭「無論、華琳様のものをだがな」

 

と鼻高々と春蘭が秋蘭の言葉に付け加えた。

 

一刀「・・そうですか」

 

以前ならば、その輪の中に当たり前のように加われていた自分がいたことを一刀は少し、寂しく感じた。

 

秋蘭「では、いこうか」

 

春蘭「うむ」

 

一刀「ではお気をつけて」

 

と見送った一刀であったが、二人が庭から出かけたとき春蘭をひきとめた。

 

一刀「夏侯惇様」

 

春蘭「ん?なんだ」

 

自分を呼ぶ声に足を止め、一刀の方に振り返る。

 

一刀「先ほどはご心配していただきありがとうございます。以後、気をつけるようにします」

 

春蘭「な!?・・・わ、私はお前の心配などをしたのではない!華琳様の部下ともあろうものが自己管理も出来ないようではならんとお前を注意したのだ」

 

一刀「・・・それでも、先ほどの助言は嬉しくありました」

 

以前の口調では言えなかったが、自分の素直な心を率直に伝えた。

 

春蘭「う・・・うぅ・・・」

 

思いも描いていなかった反応をされ、春蘭はかなり参っていた。

 

春蘭「しゅ、秋蘭!早く行くぞ」

 

その場の空気に耐えかねたのか、春蘭がづかづかと先に行ってしまった

 

秋蘭「ふふ、それではな魏光」

 

一刀「夏侯淵様」

 

とその後を追おうとした秋蘭引き止めた。

 

秋蘭「ん?」

 

一刀「夏侯惇様に遮られてすべては聞こえませんでしたが、夏侯淵様にも気を使わせてしまいすいませんでした」

 

とその言葉に秋蘭も少し驚いた。先ほどの言葉が聞こえていたとはさすがに思っていなかったからだ

 

秋蘭「・・・・・・そうか、ではな」

 

その言葉を残し、春蘭の後を追った。

 

一刀「・・・・・・ありがとう二人とも」

 

そう呟くと手に持っていた木刀を構え、鍛錬を開始した。嬉しさに満ちた心を惜しみながら・・・

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拠点 ? 荀 ケ ?

 

一刀「うん、今日もいい天気だな」

 

久しぶりに休みをもらった一刀は、一人で街をぶらついていた。

 

一刀「しかし、洛陽も変わったようで変わってないよな」

 

昔、何度も歩いていた道を見てふと呟いた。

 

一刀「あそこの店も店先の台が新しくなっているだけだし、その横も並んでる商品の数と種類が増えただけだしな。」

 

三年も経てばいろいろと変わっているだろうという考えで洛陽に戻ってきたが、実際はその反対で、ほとんど変化なしというのが現実だった。

 

一刀「さすがに元の世界みたいに機械で全部やるわけじゃないからな、古くなった家を新しく建て直す程度だろうし。店の新装とか開店のたびに立て直していたんじゃ時間と労力がかかるしな」

 

元の世界とこの世界では文化や文明の違いがありすぎると言うのは理解をしているが、やはり実際に自分の目で確かめていなければその感覚も薄れていくものだ。

 

一刀「まぁ、でもなんだかこっちの方が落ち着くなぁ」

 

お店一軒一軒の見た目に大きな違いは無くとも、元の世界よりも活気に満ち溢れ、人情ありふれるこの街が心から好きなのだと実感していた。

 

???「はち〜」

 

そんなことを考えていると子供たちの元気な声が聞こえてきた。

 

一刀「ん?」

 

声のした方へと足を進めるとそこには「学校」と書かれた看板をかけた建物があった。

 

一刀「が、学校!?」

 

元の世界では見慣れた文字ではあるがこちらの世界ではあるはずのない文字。一刀自身、学校の文字を見るのは久しぶりだった。

 

一刀「(なんで、こっちに学校があるんだ?・・・・・・・あっ)」

 

以前、華琳に元の世界の教育制度の話をしていたことを思い出した。

 

一刀「(華琳のやつ、学校を作っていたのか。華林のことだから呉・蜀と連携してそうだな)」

 

自分が戻ったあとでも、自分の残した知識や情報を使ってくれていたことは嬉しくあった。

 

学校を見ながら感慨にふけていると、その中から聞きなれた声が聞こえてきた。

 

???「では、ここに十二個のりんごがあります。そのりんごを三人の人間に均等に与えたら一人何個ずつになるかしら」

 

一刀「この声は・・・・」

 

音を立てないように中を覗き込む。

 

 

その部屋のなかには教壇らしきところで桂花が強弁をとっていた。

 

一刀「(やっぱり桂花か)」

 

男の子「三つ〜」

 

桂花「ちょっとあなた、もう少し考えてから答えなさいよ。三人に三つずつあげたら九つしかりんごを使わないでしょ」

 

自信満々に間違えを答えた生徒に対して呆れながら注意した。

 

男の子「ええ〜っと」

 

そう指摘されると男の子は机に広げてある紙に何かを書き出した。

 

男の子「十二個を三人にあげるから・・・・」

 

問題をつぶやきながら十二個の丸を書き出した。その丸の上に三種類の印をつけてりんごを三等分しはじめた。

 

男の子「ええっ〜と・・・・・・あっ、わかった!四つずつだ」

 

ようやく導きだした解答をうれしそうに桂花に答えた。

 

桂花「ふぅ・・・たしかに正解だけれど。あなたね、しっかりと九九を覚えていないからそういうことになるのよ」

 

一刀「(おぉ!?あいつ今九九って言ったぞ)」

 

建物の外から聞き耳を立てていた一刀は九九という単語を聞き逃さなかった。

 

一刀「(九九ってこの時代にあったっけ?ていうか、まず、九九っていう呼び名自体日本のものじゃ・・・・って、そういえば華林に渡した書類に俺が書いたんだったな)」

 

以前、華林に渡した自分の世界の思想や知識を書いた書類のなかに九九についても記していたことを思い出した。

 

男の子「だってぇ、あれ覚えるの難しいよ〜」

 

桂花「それはあなたがめんどくさがっているだけでしょ。しっかりと見ていなさい」

 

そういうと桂花はおもむろに頭のよさそうな女の子を指名した。

 

桂花「五十五個のりんごを七人に均等に分けると答えはどうなるかしら」

 

女の子「えぇ〜っと・・・・・一人七つずつわけて残りが六つになります」

 

桂花「ええ、そのとおりよ」

 

桂花のその言葉に部屋の子供たちは驚きの声をあげた。

 

 

注目が集まってしまったことに恥ずかしくなり、その女の子は顔をうつむいてしまった。

 

桂花「わかったかしら、しっかりと覚えていればちゃんとさっきの問題も簡単に解けるようになるのよ」

 

男の子「・・・は〜い」

 

桂花「みんなもわかった?覚える必要のあるものはしっかりと覚えること。いいわね」

 

生徒全員「はーい!」

 

桂花「それじゃあ今日はここまでね」

 

終了の合図とともに生徒たちは席を立ち始めた。

 

一刀「(おっ、終わった・・・・・しかし、桂花も様になってるな。前見たときはひどかったからな)」

 

以前、三人娘と街の警邏をしていたときに偶然その現場を見たことを思い出していた。

 

一刀「(春蘭を・・・・・だとか、秋蘭を何考えているかわからないやつとか言ってたもんな)」

 

昔に比べれば恐ろしいほどの成長を遂げているように見えることが不思議だった。普通に考えれば当たり前のことではあったのだが・・・・。

一刀「(まぁ、いいもの見せてもらったし、後は気付かれないようにここを離れるか)」

 

見つかったらどうなるのかが目に見えていたので桂花が片づけをしている隙にこの場を離れようとした。

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女の子「あっ、魏光様」

 

一刀「!?」

 

しかし、その行動も一人の少女のおかげで水泡とかしてしまった。

 

女の子「こんにちは」

 

一刀「こ、こんにちは」

 

その場から今すぐに逃げたかった一刀であったが、その女の子の幼気な笑顔を無視をするわけにはいかなかった。

 

女の子「魏光様、先ほどの私の解答を見ておられましたか」

 

一刀「う、うん。ちょうど見ていたよ」

 

女の子「どうでしたか」

 

一刀「あぁ、すごかったよ。あの問題を簡単に解いたんだから」

 

と目を輝かせている女の子の頭を撫でてあげた。

 

女の子「えへへ」

 

撫でられて嬉しそうにしている女の子とは裏腹に、一刀は横から恐ろしい殺気と突き刺さるような視線を肌で感じ取った。そして、恐ろしいオーラをまといながらコツコツと音を立てて一刀の横で足を止めた。

 

桂花「ちょっとあなた」

 

一刀「ハ、ハイ」

 

恐る恐る呼ばれた方へと顔を向ける。

 

桂花「どうしてあなたがここにいるのよ」

 

子供たちの前のせいか物腰はやさしく見せているが、完全に目の奥底に怒りと敵意が感じられた。

 

一刀「い、いや、今たまたまここを通りかかったものですから、ちょうどこの子とお話をはじめたところなんですよ」

 

桂花「今?」

 

一刀「え、えぇ」

 

冷たい視線を受けつつ、どうにかこの場を誤魔化すために安易な嘘をついたのだが、

 

女の子「それは違うじゃないですか。だって、魏光様は先ほどの私の解答を聞いてくださっていたとおっしゃいましたよ」

 

一刀&桂花「・・・・・」

 

またもや、この少女の活躍により最悪な状況が生み出されてしまった。

 

一刀「(純粋ってときに残酷だよな、ハハハ)」

 

一刀は子供の純粋さに感動しながら、心で泣いていた。

 

桂花「あなた!嘘をついた上に、授業をのぞき見していたのね!?」

 

一刀「い、いや、たまたま通りかかったものですからつい」

 

桂花「ついで覗く必要はないでしょう!」

 

一刀「そう言われても学校がどういうものなのか気になったので・・・」

 

桂花「あなたの事情なんて知らないわよ。それに、私はあなたのことが嫌いなのよ!」

 

一刀「(・・・・左様ですか・・・・・)」

 

突然の宣言、心のうちで思うことはあったが一刀は言葉を返さなかった。

 

桂花「だいたい、あの猪や秋蘭があなたなんかを認めたせいで華林様もあなたを認めなくちゃならなかったのよ。普通だったらあなたなんかここにいるはずの人間ではないのよ」

 

一刀「(春蘭・・・・・俺のこと認めてたっけ?)」

 

桂花「華林様が言うからあなたを野放しにしているけど、もしあなたが変なことをしたらすぐにでもここから追い出し―――」

 

一刀「(相変わらず元気なやつだな。んっ?)」

 

桂花のヒートアップする嫌味を適当に聞き流していた一刀だったが、桂花のうしろに忍び足で近づいて小さな影を見つけた。

 

一刀「(?・・・・・さっきの男の子か?)」

 

小さな影の正体はさきほど問題を答えられなかった男の子だった。

 

一刀「(何してんだ?)」

 

男の子は楽しそうな顔をして手に何かを持ったまま、桂花の背後へと近づいていく。

 

桂花「―――なのよ、って聞いてるのあなた!?」

 

一刀「へっ?あっ、はい聞いてますよ」

 

桂花「あなた絶対に聞いてなかったでしょ!これだから男は―――」

 

と突然、背後にいた男の子は桂花をつついた。

 

桂花「なによ!今、取り込んで―――」

 

男の子「じゃーん」

 

桂花が振り向いた瞬間、手に持っていた蛇を桂花の目の前に出した。

 

桂花「・・・!?――――――――」

 

蛇が元々苦手だったせいか、いきなりの出来事だったせいか、体を強張らせながら声にならない悲鳴をあげていた。

 

桂花「・・・・・」

 

一瞬、固まったかと思うとその体がふらっと揺れた。

 

一刀「!」

 

倒れかけた桂花を咄嗟の反応で抱き抱えた。

 

一刀「お、おい大丈夫か桂花」

 

突然の出来事に真名を読んでしまったが、一刀からすればそれどころではなかった。

 

男の子「あ、あれ?」

 

女の子「じゅんいくさま!?」

 

気を失っていた桂花には自分を心配する声も自分を呼ぶ声も届いてはいなかった。

 

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桂花は夢の中で懐かしくて、そして気持ち悪いような不思議な感覚に包まれていた。

 

桂花「うっ・・・」

 

その感覚がなくなった途端、桂花は目を開いた。

 

桂花「・・・・・あたしの部屋?」

 

寝起きのせいか頭がぼんやりしていたが、見えている天井が自分の部屋のものということは理解できた。

 

侍女「お気づきになられましたか」

 

気が付いた桂花を確認すると、部屋に明かりをともした。

 

桂花「・・あたしはどうして自分の部屋に?それに、なんであなたがここに?」

 

体を起こして、侍女に問いかけた。

 

侍女「私もお話をお聞きになっただけですので詳しいことはわかりませんが、お昼頃に荀ケ様が学校のまえで気を失われたので、ここまでお運びしたと言われておりました。そのときに、荀ケ様が目を覚ますまでそばにいてあげて欲しいといわれましたのでここにおります」

 

桂花「私が・・・気を失った・・・・・」

 

鮮明になっていく意識の中、今日の出来事を少しずつ思い出していく。

 

桂花「そういえば、蛇を見てからの記憶が・・・・・・」

 

一人で何かをつぶやいたかと思うと、突然黙り込んでしまった。

 

侍女「荀ケ様?どうされましたか」

 

そんな桂花を心配して侍女が声をかけた、と同時に桂花の体が震えだした。

 

桂花「ねぇあなた!」

 

ものすごい剣幕で侍女の肩を掴んだ。

 

侍女「は、はい!?」

 

桂花「あの男は!?」

 

侍女「あ、あの男と言われましても!?・・ぎ、魏光様のことですか」

 

桂花「そうよ、そいつのことよ」

 

侍女「荀ケ様をお運びになられた後に私にお任せして、どこかへ行かれてしまいましたが」

 

桂花「なっ!?あいつがあたしを運んできたっていうわけ」

 

侍女「は、はい」

 

その言葉を聞いて、桂花は怒りに震えていた。

 

桂花「あの変態!あんたなんかに触られてあたしが孕んだらどうする気なのよ!!」

 

侍女「(そ、それはないかと・・・)」

 

桂花「で、あいつは今どこにいるの!!」

 

侍女「わ、わたくしは存じ上げません」

 

侍女が知らないことをわかるや否や、桂花はものすごいスピードで部屋を飛び出した。

 

侍女「荀ケ様!?」

 

一瞬の出来事に部屋に取り残された侍女は茫然としていた。

 

 

 

城内で会った秋蘭に聞いたところ、先ほど城壁の方へ行くのを見たという情報を得た。

 

桂花「(あんの男!見つけたらただではおかないんだから)」

 

秋蘭の情報を信じて、城壁へと一直線に走っていく。

 

桂花「(着いた!)」

 

城内を走り回り悲鳴をあげている足で階段を登りきると、そこには一面の星空が広がっていた。

 

桂花「(・・・よ、夜?)」

 

侍女に話を聞いてからがむしゃらに動き回り続けていたせいか、あたりが暗くなっていたことに気づいていなかった。

 

桂花「(はぁ・・・はぁ・・・)」

 

息があがりながらも辺りを見渡す。

 

桂花「(・・・はぁ・・・・・・い、いた!)」

 

階段から離れたところにいる一刀を発見。叫びたい衝動を抑えながら一歩一歩近づいていく。

 

桂花「(言いたいことはたくさんあるのよ!あんた・・・には・・・・・・)」

 

雲に隠れていた月が顔を出すと、空を見上げていた一刀をその光が照らしだす。

 

一刀「・・・・・・・・」

 

夜空を見上げている一刀の顔はどこか悲しそうで、その瞳には涙が浮かんでいるようにも見えた。

 

桂花「・・・・・・・・」

 

憂鬱なその顔はどこか見覚えがあり、なぜかいらつきと懐かしさがこみあげていた。そして桂花の心の中では先ほどまでの怒りが嘘のように消えてかけていた。

 

桂花「(な・・・なんなのよあいつ)」

 

言いたいことが山ほどあったのに、一刀に話しかけることもあちらに足を進めることもできずにいた。

 

一刀「・・・・・・・・・・・・・」

 

桂花「(・・・・・・・・・・・・)」

 

そのままの状態が続いて数分、一刀が桂花の存在に気付いた。

 

一刀「・・・んっ?あっ、荀ケ様。もうお身体の方は大丈夫ですか」

 

話しかけられた桂花は、石のように固まっていた身体をようやく動かすことができた。

 

桂花「あ、あなたに心配される筋合いはないわ」

 

一刀「・・そうですか」

 

その皮肉交じりの返答を聞き、桂花が元気そうなことが分かると一刀は笑顔になった。

 

桂花「・・・・あなたはここで何をしていたのよ」

 

一刀「はい?私ですか」

 

桂花「そうよ、あなた以外にだれがいるのよ」

 

少し、怒り気味に返答をした。

 

一刀「・・・そうですね・・・・ただ星を見ていただけですかね」

 

桂花「・・それだけ?」

 

一刀「えぇ」

 

桂花「・・・こんな時間に星を見上げている時間があったら、他の仕事でもしておきなさいよ」

 

この時間帯はたいていの人間が自由に行動をする時間ではあったが、嫌みの一つでも言っておかなければ気が済まなかった。

 

一刀「はは、そうかもしれません」

 

しかし、目の前の男の反応は穏やかなものだった。

 

桂花「・・・・・・・・」

 

桂花自身、嫌味を言っても気にせず、嫌いだと宣言をしたのに目の前で笑顔でいられるこの男のことがよくわからなかった。

 

桂花「(な・・なんなのよこいつ。・・調子狂うわね)」

 

と黙っていた桂花に一刀が話しかけた。

 

一刀「そういえば、荀ケ様はどうしてここへ」

 

桂花「わ、私のことなんてあなたには関係ないでしょう」

 

一刀「いや、そりゃそうですけど・・・」

 

理不尽な返答にさすがの一刀もたじたじだった。

 

桂花「私は忙しいんですから、こんなところで時間を潰している暇はないのよ・・・それじゃあ」

 

意味不明な切り出しをしてきた桂花に、一刀は反応が遅れた。

 

一刀「・・・・・・えっ?」

 

すると桂花は、一刀の顔も見ずに階段の方へと足を進めた。一刀もそれを茫然と見送ることしかできなかった。

 

しかし、階段を下りる手前でその足を止め、一刀の方を向いた。

 

一刀「?」

 

桂花「あなた明日も仕事があるのよ。仕事のできる人間は限られているのだから、風邪なんてひいて仕事ができませんなんて言葉は通用しないんだからね。ふんっ!」

 

その言葉を言い残し、桂花は城内へと消えていった。

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

桂花が見えなくなった後も、一刀は呆然としていた。

 

一刀「・・・・・・・あいつ・・・・何しに来たんだ?」

 

桂花が残していった言葉の意味も、ここに桂花が来た理由もわからないまま、この日も平和な夜が流れていった。

 

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・ ・ ・ 雑 談 ・ ・ ・

 

お久しぶりです。今回も拠点の方を書かせていただきました。

 

だって・・・・たくさんコメントもらったんですから( ゚∀゚)

 

まぁ、そんなこんなで今回はこの三人を書かせていただきました。そんなに濃い内容ではないですが、三人ともらしく書けたんじゃないかと思います、ハハハ・・・

 

それと次回はお話を進めて行きたいと思っています。本当は今回のこれと同時進行して、同時にあげたかったのですが、私の作業能力では無理でした。

 

ですので次回の更新になりますサーセン!!

 

次の回については・・・・・別段話すこともないですね。

 

続きとはではないですし。

そういえば、

 

お話とは関係ないんですが、よければ聞いてください。

 

今月、某所の普通のレストランでご飯を食べていたときのことです。

 

いたって普通に食事をしていたら、横の席にいた奥様方から「しゅりちゃんごめんね」と赤ちゃんをあやす声が聞こえてきたんですよ。

 

一瞬、何も考えずに聞き流しそうになったのですが、

 

・・・・!?しゅ、朱里!?!?

 

って思わず反応してしまいました。

 

しかも、まさか出来事に振り向きそうになりましたが、ギリギリ理性を保つことができました(笑

 

しかし、彼女たちの名前の人はいるものなんですね。『なぎ』とか『かりん』あたりは普通にいそうな気がしていましたが、まさかはわわ軍師がいるとは思いませんでした。

 

このぶんではあわわ軍師も・・・・

 

ていうか、朱里と聞いただけでこの反応をしてしまった私はどうなのかと思うんですがね(笑

 

 

 

それでは、いつも、支援、コメント、閲覧してくださってる方ありがとうございます!!

 

それではまた次のお話でお会いしましょう (・ω・)ノシ

 

説明
harutoです。
今回も拠点です。
それと時系列は気にしないでください(_ _)

熱読してもらえれば光栄です^^
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
9409 6719 97
コメント
motomaruさん:ミスチョイスではなかった^▽^でも実際は皆さんに聞いたんですけどね(笑(haruto)
睦月 ひとしさん:そうですね。意味があったり一生懸命考えられてつけられた名前なのかもしれませんが、私からしたら「どうなんだその名前?」と思うことが時々あります。(haruto)
jackryさん:蓮華っていう葬儀屋ですと!?何故孫権さんは葬儀屋なんかを・・・・・違うな(笑(haruto)
一刀さん:なんと!?かなり身近なところに軍師が!でも、弟君のほうが朱里だったら、少しかわいすぎる気が・・・・(haruto)
ゲストさん。:えぇ〜!?星彩さんですか・・・・・・こういう言い方は少し失礼かもしれませんが変わったお名前の方ですね。(haruto)
BookWarmさん:またまたご指摘ありがとうございます!またしても誤字ですね;;しっかりと訂正しておきます。(haruto)
田仁志さん:実際、恋姫キャラからとった名前だったら・・・・・・どうなんでしょうね?少し親の趣味が入りすぎな感じが否めないですね;;魏光君にはこれからもがんばってもらいます!(haruto)
ジョージさん:普通ですかよかった(^▽^;)しかし、「愛紗」さんがいられるとは・・・・・いちどお会いしてみたいものです(笑(haruto)
楽しく読みました。最近の子供の名前は本当に突拍子もないものや、こんなんわかるか〜!というものまでありますから・・・。では次回も楽しみにしています。(睦月 ひとし)
友達の妹か弟の名前が朱里なんだよな〜ww(空良)
桂花。かわいいよ。桂花。無双繋がりだけど今のマンションに住んでる人で星彩って言う人ならいるw(ゲストさん。)
ナイスチョイスです!!(motomaru)
へぇ〜いるもんなんですねぇそういう名前の子も。赤ちゃんの名前なら、実際恋姫から取った名前だったりしてwwwないですかねww 更新お疲れ様です。魏光さんの活躍次も楽しみに待ってます♪♪(ペンギン)
いえいえ、普通ですって。俺なんて病院とかでも『かりん』とか聞く度反応しちゃいますしwwww 一度『愛紗』(字も同じ)さんにもお会いした事があったりもwwwww(峠崎丈二)
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