ただの変態じゃないんだからね(仮)【腐】
[全2ページ]
-1ページ-

 

 

 

 

 昼休み、フランシスは教室から校庭を見ていた。

「はぁ」

いつもなら、すでに弁当を食べている時間なのだが、今日は食べていない。なかなか、友達のギルベルトが職員室に行ったきり帰って来ないからだ。

さっき買ったばかりのコーヒーも、後少しで無くなる。これを飲みきってもまだ帰って来ないようなら、先に食べよう。そう思い再びコーヒーを飲む。

「へぇ」

ふと、後ろの入口をみると、女子が弁当を持って中を伺っている。

(たしか、一年のルートヴィッヒだっけ?)

入学式のとき代表の挨拶をしていた。その時、ずいぶんボーイッシュなこが入って来たなとフランシスは思った。だが、改めて見れば十分女らしいことが分かる。フランシスにいわせれば出る所は出ているボディだ。

「お嬢さん、どうしたの?」

「え、あの……」

誰かに声をかけられる前にフランシスは、声をかけた。

「誰かに用があるなら、呼んであげるよ」

弁当をもって、一年生がわざわざ三年教室に来たのだ。きっと好意を寄せる先輩に渡すのだろう。

「あの、にい、いや、ギルベルト先輩は……」

「ギルベルト!?」

まさか、後輩からギルベルトの名前を聞くとは思ってもいなかったため、フランシスは思わず本気で驚いてしまった。

「何か?」

「いや、ちょうどお兄さんもギルベルトを待ってね。アイツなら、職員室に行ってるよ」

フランシスに思うに、ギルベルトは、不良ぶってる優等生だ。先生に頼まれれば断れないし、成績は常に上位だ。顔立ちも良い。ただし、性格に問題があるせいで、モテた試しがない。ギルベルト本人も「彼女、ほしいぜー」と騒いではいるが、本心から欲しいようには、見えない。

 そんな、ギルベルトに弁当持参の女子が来たとなれば、することは一つだ。

「ギルベルトが戻ってきたら、連絡してあげるから、メアド教えて」

 フランシスは、仲介人とになるべく、携帯を取り出す。滅多に来ないギルベルトの春を応援するために。

「あの、これ、渡してもらえれば……あ!」

「ん、どうし――」

「フランシス、テメェ、何してやがる?」

「何って、かわいい後輩が困ってたからね」

 別に嘘はついていない。

(機嫌わるいな)

職員室で何かあったのだろうか。それともフランシスが後輩と話していたからだろうか。だが、普段からナンパしているフランシス。こんな風景は日常茶飯事だ。となると、ギルベルトもルートヴィッヒに好意があるのだろうか。

「ルッツ。こんな所まで、どうしたんだ?」

ニアニア笑い出したフランシスを無視してギルベルトは、ルートヴィッヒに声をかけた。

「朝、渡す弁当を間違ってしまって。何度かメールをしてみたのだが」

「ワリィ、電池切れてた」

携帯を取り出し、確認すると画面が光らなかった。

「わざわざありがとな。ルッツもこっちで食べてくか?」

一瞬考えて、直ぐさまメールを打ち始めた。大丈夫らしく、にっこり笑った。

 

 

-2ページ-

 

 

「ほら、あーん」

「ん」

「……」

フランシスは、目の前で繰り広げられている光景が信じられなかった。友達も彼女もいないと思っていたギルベルトが、ルートヴィッヒと弁当の食べさせっこをしている。最初は、抵抗していたルートヴィッヒだが、慣れたのか諦めたのか慣れた様子で口を開く。そして、ギルベルトに同じようにおかずを口の前に差し出す。生きの合った共同作業だ。

「はぁ」

「どうした? フランシス」

「ん、何でもないよ」

 もう勝手にいちゃつけば良い。フランシスは、さっきまでギルベルトの恋を応援しようと思っていたが、一気にそんな気が失せた。フランシスが手助けしなくても、こんな美味しそうな弁当を毎日作ってくれる人が居るなら、もう問題ないだろう。むしろフランシスは、当てられている。

「ごちそうさま。ルッツ」

「お粗末さま。明日は、間違えないように気を付ける」

「いや、たまにはこういのが有っても良いと思うぜ。同じ学校に居られるのも後少しだからな」

「それもそうだな。そうすると弁当が一つで良いから、楽だ」

「だろ。よし、決定!」

 来る日程を相談し始める二人。顔がくっつくぐらい近くにして、ルートヴィッヒの携帯を見ている。

 

 

「すまない。もう、行かないと」

授業開始まで、後五分を切ろうとしている。日程は、ある程度決まった。

「弁当箱は、俺が持って帰るな」

「ありがとう、兄さん」

「じゃ、また後で。俺の可愛いルッツ」

 ルートヴィッヒが出ていく所まで、きちんと見届ける、ギルベルト。フランシスは、一瞬、聞いては行けない単語を聞いた様な気がした。

「あの、ギルベルトさん? もしかして、今の子って――」

「フランシス……妹に手だしたら」

「いやや、出さないから。大丈夫だから、ね、手に持ってるヤツしまって」

 フランシスは、今までギルベルトに妹がいるとは聞いたことが無かった。だが、これで納得がいった。あんな良く出来た妹がそばにいれば、周りなど、どうでも良いかもしれない。それに、今日だけで、ギルベルトがシスコンだということは十二分に伝わった。その逆も然りだ。

(ああ、なんでお兄さんの周りは、こんな奴ばっかりなんだろう?)

 友達のアントーニョも幼馴染みのロヴィーノを溺愛している。今もきっと、屋上あたりでいちゃついている所だろう。

 隣の席のアーサーも確かブラコンだったはずだ。それなのに、ちゃんと恋人持ち。

「――お兄さんだって、お兄さんにだっているだからね!」

 携帯のアドレス帳から、番号を呼び出しフランシスは、午後の授業をサボることに決めた。

 

 

 

 

あとがき

見事にフランス落ち。

 

説明
・APH
・ギルッツ
・現代パロ
・高校生
※ルートヴィッヒが女の子です
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
2078 2045 0
タグ
APH ルートヴィッヒ ギルベルト フランシス 

けんざきさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。

<<戻る
携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com