真・恋姫無双×仮面ライダー 一刀蒼き仮面の遣い 第4話
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戦いから半年が経ち、一刀達は平原の相となってそこを治める事になった。

桃香と一緒に街を歩く一刀。二人は乱も終わって平和になったのだと感じていた。

 

「本当に賑やかだね〜」

「ああ本当に……」

 

街を見て、活気があることにのんびりとした状態になる二人。

 

「桃香…」

「何? ご主人様」

「手、繋いで良い?」

「……うん♪」

 

桃香と一刀は手をつなぐ。

 

「こうしてずっと笑って居られると良いね」

「ああ……」

 

一刀は少し黙りこんでしまう。

 

「ご主人様?」

「ああ、済まない。少し考え事しててね……」

「ご主人様の友達の事?」

「そう……」

 

一刀は森の死んだ時の様子が今でも簡単に思いだせる。

 

「前にも言ってるけど、俺はあれ以来決めたんだ。俺の愛してる人達や仲間を傷つける奴は誰であろうと倒すって……」

「うん」

「それって……桃香の理想と逆なんだよね」

「うん」

「そんな考えをしている俺でもこう思ってる。俺は桃香が好きだ」

「うん」

「それに愛紗と鈴々、朱里に雛里も……」

「うん」

「こんな考えをしている俺でも…一緒に居ていいかな?」

「いいよ、ご主人様。だってご主人様は私達のご主人様だもん」

 

桃香が笑顔で一刀に答える。

 

「ありがとう、桃香」

 

二人は笑顔で歩いていると……。

 

「あの太守様」

「うん?」

 

街を歩いているとある商人が一刀に声をかけてくる。

 

「何ですか?」

「実は太守様に渡したいものがあるのですが……」

 

その商人は自分の商売道具の中から刀のようなものを出して、一刀に見せた。

そして一刀は驚いた。

 

「これって……『紫電』じゃないか?」

「その剣の名前は知りませんが、あなたの名前があるようで……」

 

商人が一刀の名前が彫ってある部分を見せる。

その剣の鞘には雷で切り刻まれたように『北郷一刀』と書かれていた。

 

「そうだ……。これは俺の剣だ」

「ご主人様の剣?」

「でも何でこれを?」

「たまたま道を歩いていたら、落ちていたのですが……。なかなかのものだと思って拾いましたら、太守様の名前が彫ってあったので、太守様に会ったらお渡ししようと思いまして……」

「そうか……。ありがとうございます」

 

一刀が紫電を受けとる。

 

「しかし、その剣。鞘から取り出せないのですが……」

「ああ、取り出せないのは当然さ。これは北郷家の人間しか抜けないんだ」

「…てことはご主人様は抜けるの」

「当然だ。抜くから少し離れてろ」

「うん」

 

桃香が一刀に言われて下がる。

そして一刀は剣……いや、刀『紫電』を鞘から抜いた。

そこから抜き出された刀の刀身は名前の通りの色で薄紫色をしていた。

 

「なんかすごそうだね〜」

「まあ機会があったら、俺の技を見せてあげるよ」

 

そう言って一刀は刀を鞘に納めた。

そんな時……。

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「ご主人様ー、桃香さまー」

 

朱里があっちこっち探していたようで息を切らして、二人のところに来る。

 

「朱里ちゃん? 何かあったの?」

「えっとですね、すぐにお城に戻ってもらってもいいですか?」

「緊急事態か!?」

「そういうのじゃないです。実はお城に、星さんが訪ねてきて…」

「星か……とりあえず帰るか」

 

そして三人は城に戻り星と再会した。

星はあの邑で一刀達と別れた後も、放浪の旅をしていたとの事であった。

 

「放浪? お主ほどの人物が何故そのような真似を。探せばいくらでも仕官先はあるだろうに」

「私は安く無いのでな。我が剣を預ける人物は、我が眼で見、我が耳で聞いてから判断したかったのだ」

「それで見つかったのかー?」

「ふむ。それが中々難しくてな。主となる人物の器量と徳、そしてその周囲にいる人間の質。その三つを兼ね備える勢力は少なかった」

「少なかったってことはいくつか見つけたって事?」

「一応は。…ただどの陣営に於いても、どこか肌が合わぬところがあったのです。…だからこうして放浪していたというわけで」

「それにしても気になる。星ほどの人物が認めたという勢力と言うのは、どこになるのだ?」

 

愛紗が尋ねると星は、まずは曹操を上げたが、どうも百合百合しかったからやめたらしい。

次に上げたのが孫策だが、完璧な布陣過ぎて自分が活躍できないとしてやめたとのこと。

そして星がここに来たのは一刀達と共に戦いたいと言ってきたのだ。

皆がそれを受け入れ、星は一刀達の正式な仲間となった。

それから一ヵ月後、河北の袁紹から董卓を討とうと手紙が来て、一刀達は悩んだ末、参加を決めた。

そして反董卓連合の陣営に着くと、そこには手紙の送り主の袁紹を初め、曹操、袁術、孫策の旗と名高いものばかり来ていた。

後は馬騰の旗と官軍の旗がいくつかとついでに白蓮の旗もあった。

一刀が着いた時、まだ総大将が決まっておらず、軍議にしても皆腹の探りあいとかばかりで進展していなかった。一刀はかなり呆れた。

一刀は桃香と打ち合わせて、何とか袁紹を総大将にしてさっさと話を終わらせた。

しかし桃香達は連合軍の先陣に立つように言ってきたのだ。一刀達は戦力的には小さいのであまり逆らう事が出来なかった。

一刀は条件をいくつかつけて先陣に出る事になった。

皆にその事を伝え、朱里達の案で虎牢関を抜けることになった。

 

(やっぱり虎牢関か…。てことは呂布…。本気で戦わないとまずいかもな……)

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一刀達は虎牢関の前にある巳水関へと進んだ。

巳水関には華雄と呼ばれるかなりの武将であるとの事だが、誇りを大事にしてるとの事で、挑発すれば出るかもしれないとの事で挑発したら、本当に出てきた。

 

「本当に出てくるなんて…、皆、行くぞ」

『応っ!』

 

一刀の軍全員で総攻撃する。

攻撃の中、一刀の元に華雄がやって来る。

 

「お前がこの軍の大将か?」

「華雄か……」

 

一刀と華雄が対峙する。

 

「私と一騎打ちの勝負をしろ!」

「…………」

 

一刀は考える。考える中華雄の瞳を見る。

 

(こいつ、俺と同じか?)

 

一刀は華雄の瞳を見て思う。

華雄も大切な仲間を守るために戦う人間なのだと。

 

(華雄の場合は董卓になるのか? しかし董卓がそんな人望があるとは思えない。

でも、この世界だと何か違うのか?)

「どうした? 一騎打ち受けるの受けないのか、答えろ!」

「……いいぜ。その一騎打ち受けてやる」

 

一刀がガタックダブルカリバーを構える。

そこに愛紗と鈴々がやって来る。

 

「ご主人様!」

「お兄ちゃん!」

「愛紗、鈴々。悪いけど、華雄の相手は俺一人にさせてくれ」

「ダメです。もしご主人様がこのような場所で倒れてしまっては…私達は……私は……」

 

愛紗の目に涙が溜まりそうになるのが一刀には分かった。

 

「大丈夫。俺は死なない。仲間を置いて死ぬなんて……、俺には出来ないさ。俺を信じてくれ」

「ご主人様……」

 

一刀と愛紗の間にただならぬ空間が出来る。

 

「おい」

「……さてと悪かったな。待たせちまって……」

「ふん。私と戦うのなら構わん。……行くぞ!」

 

先手は華雄が仕掛けてきた。

華雄は斜めから己の得物を振って来るが、一刀はそれを紙一重でかわす。

 

「甘いわ!」

 

華雄がすぐにその得物を一刀に向けて振り下ろす。

しかし一刀はその攻撃を読んでいたのかの如く、頭を下に落とす。

 

「うりゃあ!」

 

一刀がガタックダブルカリバーをかがみながら、華雄の得物を挟む。

 

「くっ!」

「ライダーカッティング!」

「Rider Cutting」

 

その音声と共にガタックダブルカリバーにエネルギーが溜まり、そのエネルギーを使い、華雄の得物を破壊した。

 

「ぐわっ!」

 

華雄はそのエネルギーの力に後方に飛ばされ、そこに一刀が来る。

 

「私を殺すのか……」

「……いや……」

 

一刀は華雄の腹にパンチを入れる。勿論そのままの力だとちょっとした怪我では済まないので、かなり手加減した。

華雄は意識を失い、意識を失くした華雄を一刀が肩に抱える。

 

「ご主人様、華雄をどうするつもりなのですか?」

「少し聞きたいことがあるからな……。とりあえず生かす」

「はぁ……」

 

愛紗達は一刀の意図がイマイチ分からなかった。

そして巳水関は将が居なくなり、落ちた。

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それから華雄は一刀達の陣に連れられて、尋問を受けた。

一刀は縛る気はなかったが、桃香や愛紗達が心配として、華雄を縄で縛った状態であった。

 

「私をどうするつもりだ?」

「何、ちょっと聞きたいことがあるだけだよ」

「何だ? 私は口を割る気は……」

「そちらの軍の秘密を聞こうなんて思ってないよ。俺はただ君の瞳に見えた想いを確かめたいだけだ」

「私の瞳に見えた想いだと?」

「そうだ。君の瞳は誰かを守りたいと言う強い意志が見えたんだ。俺のように……」

「お前のようにだと?」

「そうだ。俺は過去にあることがあってな……。それ以来俺は仲間を守るためならこの手を血に染めることも辞さないことに決めた。

君もそうなんだろ?」

「そうだ。私はこの命に代えても董卓様を守る!」

「それは分かる。でも何故だ? 董卓は暴君のごとく都で悪さをしていると聞くけど……」

「そんなのは流言だ!」

「? どういうこと?」

 

一刀はその言葉の意味を華雄から聞く。

華雄の話によると董卓が暴君と言われているのは袁紹が大事にして董卓を倒そうとしただけであり、董卓は別に悪いことはしていない。

しかも袁紹だけでなく、十常侍の権力争いに巻き込まれただけとのことであった。

 

「なるほど……。それであの瞳か……」

「……はっ!」

 

華雄はようやく自分が全部ばらしてしまったことに気がつく。

 

「しまった。全て言ってしまった……」

「それじゃあ……」

「くっ!」

 

一刀が華雄に近づく。華雄は思わず目を閉じる。

しかし華雄の予想とは別の事を一刀はした。

一刀は華雄を縛っていた縄を解いたのだ。

 

「……何の真似だ?」

「そんなこと聞いて、このまま人を殺す俺じゃない。その言葉を信じるなら俺は董卓を助けてやる」

「何だと!?」

「ご主人様、本気ですか?」

「本気だ」

「何故、そんなことをする? 貴様に何の得がある?」

「さあな、無いだろうな。まあ董卓にも言われるかもな。何の得があるのかって……。

その時に言うけど、今の俺の心境としては、俺と同じ想い……。仲間や主のために戦う奴を死なせたくないだけさ。

でも、それを知らずに俺達は董卓軍の兵士達を殺しちまったな……」

「…構わん。兵士とて戦場で死ぬ覚悟は出来ている……」

「そうか……。その言葉で少し心が楽になる……」

 

一刀が華雄の両手を取る。

 

「……私の事はいい。それより董卓様を助けるのは……」

「さっきも言ったが、俺は本気だ。皆はどうする?」

「ご主人様がそうするならそうするよ♪」

「ご主人様の真意は完全には分かりませんが、私達はご主人様に従うだけです」

「悪いな……巻き込んで……」

「お兄ちゃんが気にすることは無いのだ」

「うむ。我らは好きで主に仕えているのだからな」

「……と言うことだ、華雄。悪いが力を貸してくれないか?」

「……いいだろう……」

「いいよな。朱里、雛里」

「……ご主人様はダメだと言っても華雄さんを仲間にするつもりですよね?」

「だったら、私達は反対しません」

「……本当に悪いな」

 

そして華雄が一刀達の陣営に加わることになった。

 

「真名は……無いのだが……」

「いいさ。俺も無いし……」

 

華雄は真名が無いことを嘆きそうになったが、一刀がフォローした。

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連合軍は巳水関を抜き、虎牢関へと迫った。そこに董卓軍は虎牢関から出陣するのを見て、一刀は考える。

 

「華雄」

「何だ?」

「虎牢関、守ってるのって、呂布か?」

「ああ、そうだ。それと張遼と陳宮も居る」

「そうか……」

 

一刀は考える。ガタックの力でもクロックアップなしでは呂布に勝てる見込みはあまりないのかもと……。

 

「とりあえず、皆、先に言っておくよ」

「何でしょう?」

「呂布と戦う時は絶対に一人で戦おうとするな。俺も一人で戦おうなんてしない。

戦うなら最低でも二人だ。呂布の強さは恐らく愛紗、鈴々、星を合わせたくらいはあるはずだ。

下手したらガタックよりも強いかもしれないからな」

「そこまで言いますか」

「俺は仲間を死なせたくないからな。呂布と一人でいた時は逃げろ。二人の時も逃げることを勧める。

戦う時は絶対三人以上だ。俺もそうするからな」

「……わかったのだ」

「よし、行くぞ!」

 

一刀達は突撃し、董卓軍を倒していく。その勢いにより張遼に撤退を勧めた呂布は軍師の陳宮と共に残った。

呂布は一気に突撃し、袁紹の頸を貰い受けようとしているのだ。

 

「ちんきゅー」

「ここにおりますぞ!」

「敵は?」

「今、我らの目の前に立ちはだかっている敵は、劉備とかいう人間の部隊。呂布殿ならば鎧袖一触でぶっ飛ばすことは可能ですぞ!」

「ほぅ〜じゃあ、その力を俺達に見せてくれないか?」

「え?」

 

呂布は気付いていたようだが、陳宮は気付いていなかった。いつの間にか愛紗、鈴々、星、一刀(ガタック)が目の前にいた。

 

「よくぞ気付いたな、呂布よ!」

「ここから先は行かせないのだ!」

「うーむ。何だか我々の方が悪役のような台詞を言っているな」

「仕方ないかもな……。悪いけど、四人同時を相手してもらうぜ」

「……ふふっ」

 

呂布は大胆不敵にも笑った。

 

「笑えるほどか……」

「お前、頭良い」

「それほどでも……」

 

一刀は肩についているガタックダブルカリバーを両手に握る。

それに合わせて、愛紗達も武器を構える。

 

「さて……」

 

先手は呂布が取った。呂布は方天画戟を振るい、愛紗や一刀達は何とかその攻撃を受け止めた。

 

「ふぅ〜、思ったより手が痺れるぜ」

「……よく止めた」

「くっ……何たる剛力…!」

「恋、強い、…舐めてると死ぬ」

「別に舐めてるとはこれっぽっちも思ってないけど、そう思ってたんなら謝るよ」

「……謝る必要……ない」

「あ、そ。だったら今度はこっちの剛力を見せちゃおうか!」

 

そんな一刀よりも先に愛紗達が攻撃してしまう。しかし愛紗達の攻撃は呂布に「振りが大きい」とか「軌跡が単純」とか「早いけど怖くない」などで簡単によけられた。

 

「後一人…」

「悪いが、一気にやらせてもらうぜ!」

「Clock up」

 

一刀がスラップスイッチを押して、クロックアップを発動し、自身の速度を上げて、攻撃する。

しかし一刀は董卓軍の将を殺したくないと思い、ガタックダブルカリバーを一時肩に置き直して、素手で呂布を攻撃する。

呂布は最初はクロックアップの速度に慣れておらず、一刀の攻撃を受け続けていたが……。

 

「そこっ」

 

呂布が方天画戟を一刀の居る場所に向かって思いっきり振った。

 

「ぐわっ!」

 

その攻撃は一刀に命中し、一刀は転がる。

 

「Clock over」

 

攻撃を受けたと同時にクロップアップが解除された。

 

「ご主人様!」

「お兄ちゃん!」

「主!」

 

三人が一刀に駆け寄る。

 

「大丈夫だ。少し攻撃を受けた程度だ……。(まさかクロックアップ中に攻撃するとは……)」

 

一刀は考える。ライダーフォームの状態で呂布に遠距離攻撃を仕掛ける方法を……。

しかしガタックはマスクドフォームの時はガタックバルカンで攻撃できるが、ライダーフォームはバルカンが無いので遠距離攻撃が出来ないのだ。

そんな時、一刀の頭にはあることがよぎった。

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それはある時、森と変身しながら訓練していた時の事であった。

 

「なあ一刀」

「何だ?」

「ガタックって、ライダーフォームになると、遠距離攻撃ないよな?」

「ああ、俺のサソードもない気がするけどな……」

「まあな。そこで俺は考えたんだ」

「ガタックのライダーフォームでの遠距離攻撃の事か?」

「ああ。俺、このダブルカリバーを繋げれないかなって思うんだけどさ……」

「やってみろよ」

 

一刀に言われて森がガタックダブルカリバーの柄の部分を繋げようとする。

すると柄の部分は繋がり、一つの両刃の剣となった。

 

「出来たじゃん」

「名付けて『ガタックダブルカリバーツインモード』てのはどうだ?」

「良いじゃないか」

「そんでこれをライダーカッティングの要領でエネルギー波を出せないかな思ってな……」

「なるほどな。やってみろよ」

 

そしてまた森はやろうとするが、エネルギーは少しは溜まるが、ライダーカッティング程のエネルギーが溜まらない。

 

「なかなか出来ないな〜」

「まあそのうちできるだろ」

「そうだな」

 

二人は笑った後、その時の訓練を終えた。

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(やってみる価値はあるか……)

 

一刀は肩に付いているガタックダブルカリバーの柄を繋げ、ガタックダブルカリバーツインモードにした。

 

「よし、行くぞ!」

 

一刀はガタックダブルカリバーにエネルギーを溜める。

そして叫ぶ!

 

「ライダーXブレイク」

 

一刀の叫びと想いに答えるかのようにゼクターが今までにない音声を発する。

 

「Rider X Break」

 

そして一刀はその場で自分の目の前でカリバーをXの字を描く。

一刀がXの字を書き終えたと同時に、Xの字のエネルギーは前に直進し、呂布はそれを方天画戟で受け止めるが、エネルギーの方が強く、呂布の服は切り裂かれ、呂布は弾かれて宙を舞う。

Xの字のエネルギーはその強いエネルギーのまま、閉じられた虎牢関の門をXの字で切り裂き、門は破壊された。

 

「今よ! 全軍突撃!」

 

虎牢関の門が破られたと同時に一刀達以外の軍が虎牢関に流れ込んだ。

 

「……とりあえず……」

 

一刀はガタックダブルカリバーを肩に付け、倒れた呂布を肩に抱える。

そこに……。

 

「貴様ーーーーーー!!」

 

そこに小さな少女、陳宮がやって来た。

 

「呂布殿を返せ!」

「陳宮だな……」

「そ……そうです……」

「だったら君も連れて行く」

「え?」

 

一刀は陳宮を気絶させ、陳宮も肩に抱いて、自分達の陣に連れて帰った。

陣で華雄と協力し、二人に事情を説明、呂布は董卓を守ってくれるのを約束してくれるのならと言うことで、一刀に降り、陳宮は呂布に従い、降った。

その際に二人の真名を教えてもらった。呂布は恋。陳宮は音々音(ねねね)。

そして真名を全員で預けあった。

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それから連合軍は董卓のいる洛陽を目指すが、どうも董卓の部隊が無い事に桃香が不審がる。

 

「確かにこれはちとおかしいな。内部で何かあったのかな?」

「どうでしょう? 巳水関と虎牢関を失ったとはいえ、洛陽にいる董卓さんの軍勢の規模は、連合軍とさして違いはありません。

その状態で内部崩壊することは無いと思うのですが」

「斥候は放っているのか?」

「はい。まだ帰ってきてませんけど…」

「どっちにしろ前に進むしかないのだ」

「じゃあ、注意しながら洛陽に行こうか」

 

しかし注意はしたのだが、何にも無いまま洛陽まで着いた。

 

「何もなかった……。仕方ない斥候に行くか」

「ご主人様、自分から行くの?」

「うん、そうだよ」

「ねぇねぇ、お兄ちゃん」

「うん?」

「鈴々も斥候に出ても良いー?」

「どうして?」

「んとねー。状況を自分の目で確かめたいのだ」

「いいよ。俺も行くし」

「でも、危なくないかな?」

「大丈夫、大丈夫、俺と鈴々は行くぜ」

 

一刀と鈴々は潜入し、とりあえず二手に分かれる事にした。

二人が分かれて捜索していると鈴々がなにやら高貴な女の子と少し強気な女の子がいた。

ちなみに一刀はクロックアップして鈴々の後を隠れながら移動して見ていた。

 

(うわ、綺麗な子だな。でもあっちの眼鏡をかけた子は少し怖そうだな)

 

一刀は鈴々と女の子達のやり取りを見て、何か様子が変だと感じた。鈴々もそれを感じた。

 

(とりあえず鈴々が俺のところに来るはずだから、急がないとな)

 

クロックアップで急いで鈴々よりも先に合流地点に戻った。

それから何食わぬ顔で鈴々が自分の観た事を言い、自分が話していた女の子が董卓だと言う。

ちなみに特徴を言うと華雄達三人は、それが董卓だと簡単にばらした。

 

(そりゃ、あんなに兵達に囲まれてたんじゃ、ばれるよな……)

 

朱里と雛里は鈴々からの情報を聞いて、董卓は逃げる気で、連合軍は董卓を殺すまで追い続けるであろうとのこと。

これが権力争いというものである。

 

「俺は……俺はそんな事を許さない!」

 

一刀の目には怒りの闘志が燃え上がる。

 

「ならば、俺達で先に洛陽に入って董卓に会おう!」

 

一刀達は洛陽に進入。街では董卓達が強行突破でも逃げようとすると……。

董卓達は一刀達に捕捉され、一刀達と会ってしまった。

 

「ああー!? あんたは!?」

 

賈駆が鈴々の存在に気付く。

 

「へへー、また会ったのだ。そっちの大人しそうな女の子が董卓だよね?」

「ち、違うわっ! 董卓はボクよ!」

「まあまあ、君。そんな嘘はいけないぜ」

「何でよ!」

「詠……」

 

そこに隠れていた華雄、恋、ねねが現れる。

 

「あー! あんた達!?」

「華雄さん、恋さん、ねねちゃん……。無事だったんですか?」

「まあ、色々あってな……」

「今はご主人様と居る」

「な、何でよ!?」

「まあ、それはおいおい話すさ。それに君、大将としての威厳が感じられないからね〜」

「ぐっ……」

「で、どうなんだい?」

「……私が董卓です」

「ちょっ!? 月(ゆえ)!?」

「ま、正直な子、俺は嫌いじゃないよ」

 

そして一刀と董卓は互いの前に出た。

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「改めまして、こんにちは」

「あ、えと……こんにちは」

「……」

「……」

 

一刀と董卓は挨拶をした後、見つめ合ったまま黙る。

 

「ご、ご主人様? 何を見つめ合っておられるのですかっ!?」

「いやぁ〜、あまりに可愛くて綺麗だったから……」

「ご主人様っ!?」

「ごめんごめん。さてと……董卓ちゃん」

「はい……」

「悪いけどこのまま君を逃がす事はできないから、大人しく俺達に捕まってくれない?」

「それは……」

「そんなの出来るはずないでしょ! 月を守るためにはどこまでも逃げるしかないんだから!」

「と言っても、俺達はともかく連合軍はどこまでも君達を追うぞ。この戦いの責任を擦り付けるために…。それは分かっているよね?」

「くっ…」

「今の俺達はこの戦いの本質がわかった。だから追い詰められる君たち二人を放っておく事はできない」

「…どういうことですか?」

「董卓ちゃんには世間上ここで死んでもらう事になる。俺達が保護する事でな。そうすれば、追われない筈だ」

「それはそうかもしれないけど…でも、そんなことして何になるのだ?」

「最低でも二人の命は助かる」

「主よ。まさか今更偽善に目覚めた、とでもおっしゃるのか?」

「偽善だと言うなら、そうなのかもしれない。

けど、諸侯の権力争いに巻き込まれた二人の姿を見て俺の心は痛んだ。

この二人は悪くない。例え悪いと言われても俺は味方になってやる。

ふ、本当に偽善だな。自分で言うのもなんだけど……」

 

一刀は顔を手で隠すようにして笑ってしまった。

 

「ふむ……。しかし主よ。もしこの密事が袁紹たちにバレたら、今度は我らが権力争いの贄とされるぞ」

「その時は、俺が一人で袁紹達を倒す。まあ、そうならないように色々小細工はするつもりだ。

だがこれは俺の我が儘だ。皆はどう思う?」

「……んとねー、鈴々はお兄ちゃんの意見にさんせーなのだ」

「私も良いと思うよー?」

 

そこに走ってきた桃香がやって来た。

桃香の考えは一刀と同じであると言い、案外バレないと考えた。曹操と孫策は本質を分かっている上で参加していて、袁紹と袁術にバレなきゃと考えた。

 

「やはり私は賛成できません」

 

愛紗が反論する。

 

「愛紗の言もわかるがな。…まぁ、これについては我らがとやかく言うことではあるまい。董卓と主の間で決めることだ。

どうだ、董卓よ。我らが主の申し出を受け入れるつもりはあるか?」

「……一つ、質問があります」

「なんだい?」

「私達を助けて、あなたたちに何の得があると言うのですか?」

「得はないな。かと言って処罰をしても俺達に得はない。しいて助けて得があるのなら、自己満足。

そして個人的には可愛い女の子を殺せないのが俺の本音だな」

「そうそう…って、ご主人様。相変わらず女の子に目が無いねぇ…愛紗ちゃんに呪われちゃうよ?」

「愛紗に呪われるのも、悪くないな」

「そういう言い方、好きじゃありません。気障っぽくて」

「ははは…まあそれはともかくどうかな?」

 

改めて董卓に申し出るが董卓も賈駆も疑いの眼差しである。

 

「もしかして……疑ってる?」

「当たり前よ! ボクたちは人の甘言に乗ってこんな権力争いに巻き込まれてしまった。その権力争いを担っていた人間が、今、手を差し伸べてきたって受け止められるわけない!」

「それはそうだろうけど……俺達は本気だぜ。ただ信じるのは君たち次第だ」

 

董卓は考え込む。そして考えた結果…。

 

「…信用…しても良いのですか?」

「もっちろん♪」

「そんな嘘は言わないさ。それに……」

「何ですか?」

「君を命がけで守ろうとする人の目を見て、本当に助けてあげたいって思ったのさ……」

 

そう言って一刀は華雄達の方を見る。

 

「詠ちゃん。私、この人達を信じたい」

 

賈駆は董卓の意見に従う事にした。

 

「私達の身柄、あなた方にお預けします」

 

董卓達の身柄は一刀達が預かる事になり、名前を捨てるかどうかになり、真名を預ける事で解決した。

董卓は月、賈駆は詠と真名を名乗った。そして処遇としては一刀の侍女になってもらう事を桃香が提案しそうなった。

その後、やって来た袁紹達を交渉で何とかごまかして、一刀達はさっさと去っていった。

説明
この物語のメインは真・恋姫†無双の話ですが、主人公の一刀の性格が原作と全然違う部分が存在します。それが嫌な方はご閲覧をご遠慮願います。
なおこの物語の原作者は書いた著者ではありません。
原案者の許可をいただき、原案者の名前を書かせてもらいます。
原案者 ビスマス  作成者 BLACK
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コメント
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