真恋姫無双〜風の行くまま雲は流れて〜第5話 |
はじめに
この作品は恋姫無双を題材にオリキャラメインで進行します
原作重視、歴史改変反対の方はご注意ください
今回の話は桂花がメイン
一刀は…どうすっかな〜
袁家に仕官してきた日を今でも覚えている
同じ村で育ち、私より三年早く袁家に仕えた二人の親友は内輪での歓迎の席を作ってくれた
「将軍の部屋といっても他の人とあんまり変わらないのねぇ」
桂花の感想に二人の親友は苦笑をもらして答える
「どんな部屋を想像していたんだ?おまえは」
腕を組んで呆れるようなため息を吐く青年
張?、字を儁乂(しゅんがい)真名を比呂と名乗る桂花より六つ年上の幼馴染、得意の弓術が当主の目に留まり賊討伐の折、数々の武功を立て、わずか三年で将軍まで上り詰めた士
背中まで伸びた黒髪を青い布でまとめ、一見女性のような整った顔立ちは密かに城内の女官の憧れの対象となっていた
「まあ比呂がどの部屋をもらったところで殺風景なことには変わりないでしょうね」
寝床があればどこでもいいのでしょう?と笑うもう一人の青年
田豊、字を元皓(げんこう)真名を悠と名乗る桂花より七つ年上の幼馴染、洛陽で一年間の留学を経て袁家に仕官し、現在は袁家の政事を取り纏める官
深緑の髪を短く刈り、誰にでも分け隔てなく接する彼の性格と比呂に負けず劣らずの顔立ちはやはり密かに女官の人気を比呂と二分していた
「確かに、比呂の部屋なんてどこでも一緒よね」
つられて笑い出す少女
荀ケ、字と文若、真名を桂花と名乗る二人の幼馴染、猫耳のフードを被るその下には栗色の髪、利発そうな顔立ちはまだ少女の枠を超えておらず、二人にとってはこれから職場を共にするとはいえ、まだまだ妹同然の存在。
弱冠十四歳という年齢ながら四世三公と呼ばれる名門中の名門、袁家に今日から仕えることになった
「将軍職だからと寝る所に変わりはない、ついでに言えば食うものも他の士官と変わりはないぞ」
ほらとっとと座れと促された先には、成程、豪華な器に質素な料理
「何分、急ごしらえだったからな」
すまんと詫びる比呂に二人は笑い
「解っていませんね「ねぇ」
怪訝な顔を浮かべる比呂に桂花は振り向き
「こういうのは気持ちの問題なのよ」
同郷の三人が三年振りの再会となれば話は尽きず
「親父さんはどうしてる?」
「三五回目の禁酒に挑戦中よ、今のところ四日が最長記録ね」
「しかし桂花までが袁家とはねぇ」
「いっそ村ごと引っ越そうかなんて騒いでいたわ」
「文官の仕事はどうなの?厳しい?」
「なれればそうでもないですよ、大きな街ですし気分転換する店もたくさんあります」
「なら今度紹介してよ、おいしい甘味所があれば尚良いわ」
「将軍様は普段なにしてるのかしら?」
「からかうな、兵の調練とたまの休みに釣りに出てる」
「といっても釣竿を垂らしてぼ〜っと空をみてますよねぇ」
「性分だ、考え事に集中できる」
「相変わらずねぇ」
ふと桂花は、変わらない幼馴染が唯一昔を変わった点に目が行く
「そういえば比呂、髪伸ばしているの?昔は伸びても肩にかからなかった位だったのに」
そうなのだ、三年前、最後に見たときよりも比呂の髪は遥かに伸びている
尤も人間生きていれば髪が伸びるのは当たり前、だが以前は肩にかかるころには邪魔になると切っていた筈だった
何故か一瞬…彼が暗い目をした気がした
比呂の変化に気づいた悠が彼の目の前の点心をつまみ
「将軍にはそれなりの威厳というものが必要なのですよ桂花、何分比呂には髭が似合いませんからねぇ」
悠の発言に思わず噴出し
「…っ!?それもそうね、比呂に髭は似合わないわ…ああでも比呂、その長い髪は中々似合っているわよ」
一瞬想像した比呂の髭面に笑い出し、顔を渋面にした比呂にフォローを入れる
「張?将軍、袁紹様が及びです」
比呂が扉を見やるのと、扉の向こうから声が聞こえたのは同時だった
「相解った、すぐ行くと伝えてくれ」
扉から人が離れる気配に比呂はこちらを振り向き、すまんがお開きだと告げる
「こんな時間に呼び出しなの?」
疾うに夕餉の時間は過ぎているというのに、空気の読めない人なのねぇと桂花は今朝挨拶したばかりの当主の顔を思い出していた
「話はまた今度という訳ですね、片付けときますか?」
やれやれと席を立ち片付けようとする悠に比呂はそのままで構わんと手を翳す
「では今日はこの辺で、桂花、自分の部屋までの路を覚えてますか?」
「馬鹿にしないで、子供じゃないんだから」
悠にからかわれ腰に手を当てて抗議する桂花の姿に比呂の目がまたしても悲しげに閏う、そんな彼に気づき
「大丈夫?飲みすぎたんだじゃない」
袁紹様には明日にしてもらえるよう言って来たら?そう気遣う桂花に大丈夫だと応え
「文官は朝から早い、初日から寝坊は格好悪いぞ」
桂花の頭を撫でながら告げてくる比呂に
「比呂まで私を子供扱いして!」
彼の手はそのままに非難の声をあげた
「おやすみ」
「ええ、また明日」
「じゃあな」
こうして
三人がそろっての最初で最後の宴は終わりを告げた
無事部屋に戻ってきた桂花であったが布団に入るもなかなか寝付けれないでいた
普段眠りなれた自分の布団と違うせいかもしれない
明日からの仕事に不安を感じているせいかもしれない
久しぶりに会った幼馴染二人と話ができて興奮しているのかもしれない
…違う
比呂のあんな顔を見たからだ
それまで見たことのない
今にも子供が泣き出しそうな
悲しみに押しつぶされそうな
…助けを、求めているような
私が知っている三年前の比呂ではなく
私が知らない何かを見てきた三年後の比呂…
変わっていない…最初はそう思った…けど
桂花は違和感を感じずにはいられなかった、それも二人ともに
髪を切らず、伸ばしている比呂
昔はすぐに切りたがっていた、伸びたらすぐ邪魔になると
悠も…昔はあんな口調じゃなかった、今の仕事の影響もあるのだろう、でも…それにしたって
いくら考えても考えは纏まらず、布団の中をゴロゴロと転がる桂花
「もう!埒が明かないわ!」
窓から外を見れば月は既に天辺まで昇っている、部屋に戻ってから時間はそれなりにたっているようだ
「…そろそろ、戻ってきたかしら」
さすがに当主との会談とはいえ終わっただろう、こんな時間まで続いては明日が辛い
このまま起きていれば自分に身にも降りかかるというのに、桂花は扉に手をかけ自分の部屋を出た
「比呂、いる?」
彼の部屋に戻ってみると暗く、まだ戻ってきてはいなかった
先ほどまで三人が囲っていた食台の上の蝋燭に火をつけ、桂花は改めて彼の部屋を見渡す
つい先ほどまで自分がいた部屋と変わらない造りの、この城ではごく一般的な個人の部屋
だが此処は間違いなく彼の部屋なのだと匂いでわかる
部屋の奥にある彼の寝台に腰掛け、ストンっと横になる〜途端、彼の、嫌ではない、懐かしい香りが桂花の鼻腔をつく
かつて一緒に畑を耕し、川に釣りに行き、街に買い物に出かけ、草原に寝転び雲を見上げれば、風が運んでくれる彼の匂い
彼が変わったと思ったのは自分の思い過ごしかもしれない
ふと枕元を見上げるとそこには一冊の本
〜部下に慕われる上司の秘訣百ヵ条〜
「比呂ってばこんなの読んでるの?」
寝る前にこれを読む彼の姿を想像し、思わず噴出しそうになる
「相変わらず変な方向にまじめねぇ」
よかった、彼は、比呂は
私の知っている比呂だ
不意に重くなる瞼に、桂花は抗えなく眠りにつく
はやくかえってきなさいよ
それからしばらくして
不意にもぞもぞと布団に入ってくる人の気配に彼が戻ってきたのだと寝ぼけながらに理解した
「桂花?…戻ってきたのか」
「んん〜っ?」
すぐ横にいるそれに抱きつき、桂花は深く息を吸う
なつかしい、大好きな彼の匂い、だがそこに嗅ぎ慣れぬ女性の匂いが混じって入ってくる
比呂
袁紹様と
何をしていたの?
あとがき
ここまでお読みいただきありがとうございます
初めての方もそうでない方もこんばんにちわ
ねこじゃらしと申します
というわけでして第5話でした
勘のよろしい方は読み始めてすぐに感付かれたかもしれませんね
そうです…これが実は本来の第一話なんです
<なんだって〜!?>
実は前4話は5話を記載するにあたって削ったところをちょぼちょぼと垂れ流していたわけです
<なんだって〜!?>
これまで悠の説明が全くなかったのもこれが原因です、まあ次回以降フォローしときますけど…
そんな大事な第5話がなぜかデータ消失…へこみました
とりあえず記憶を頼りにかいてみたのですが…なんか違う
もしかしたらそのうち手直し入れるかも…
次話からもやっぱり桂花さん中心の予定ですがそれにしても麗羽様の出番ないっすね(涙)
…あとなぜか先に投稿した3話よりも4話の方が総閲覧が上なのは、偏に麗羽様が脱いでくれだお陰だと勝手に分析しとります。
その麗羽様と比呂のベットォインン!!なところもかなり修正入っておりまして実に丸々1ページ削っております。
そのうちどっかの回想にでも紛らわせるか…
それでは次の講釈で
説明 | ||
第5話です 今回は桂花にズームアップ |
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コメント | ||
PON様、コメント頂き有難う御座います。そこはほら…いろいろ引っかかっちゃまずいかなとw(ねこじゃらし) 別にベッドでの描写も削らなくていいのにw(PON) ブックマン様、コメントいただきありがとうございます、桂花の男嫌いに理由付けがあっても良いんじゃないかと…ベタなパターンですが、ちょっと次の講釈を覗くのが楽しみになってきたwww(ねこじゃらし) ついにバレてしまいましたか・・・(ブックマン) |
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