真・恋姫無双×仮面ライダー 一刀蒼き仮面の遣い 第5話
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反董卓連合が解散した。

それからすぐに袁紹が白蓮の地を攻め、白蓮は落ち延び、一刀達の保護を受けた。

それからまたすぐに曹操と袁紹が戦い、袁紹は敗北し、お供である顔良、文醜と共に行方不明になっていたが、

何と三人は一刀達の国に隠れていたのを鈴々が発見し、一刀が可哀想だと思って保護する事にした。それから数週間が経った。

そんなある日、北の国境を守っていた兵士の一人が傷つきながら、一刀達が居る城に報告をする。

その内容は曹操軍が攻めて来たとのことであった。

 

「曹操。あの子が動いたか……」

 

報告では曹操軍は五十万で攻めてきたとのこと。劉備軍の規模は約三万。義勇兵を募っても五万人辺りが限界である。一刀は考える。

 

(なるほどね…。長坂の戦いでもしようってのか? 俺はともかく他の兵士達や民達がまずいな)

「五万人で五十万人に勝とうなんて思いつかないのだ」

「でも諦めるわけにはいかないぞ」

「そうですね。とりあえず策を考えないと……」

 

そして一刀以外の皆が悩みこんでしまう。

 

「………(なかなかあの答えが出てこないな)」

 

そんな時、愛紗が「こうなった以上、曹操に一太刀浴びせるか、国を捨てて逃げるか」と言った時…。

 

「じゃあ、逃げちゃおう」

「はっ!? と、桃香様っ!?」

(やっぱり桃香が思いついたか…)

 

一刀は誰にも気付かれないように薄ら笑いをした。

 

(それにしても即答とは……)

「今の私達には曹操さんと戦う力は無いし。それなら逃げるって言うのも一つの手だと思うよ?」

「そんな……! 我々が逃げ出せば。この国の人たちはどうやって自分の身を守ればいいんです!」

「大丈夫だよ。曹操さんならどうにかしてくれるよ。きっと…」

「桃香様、何をお考えです?」

「何って…これだけ圧倒的な差じゃ、勝ち目なんてないし、勝ち目の無い戦いに、兵の皆や住民たちを巻き込めないよ」

「だから逃げるのか?」

「うん。悔しいけど…勝ち目の無い無謀な戦いに住民たちを巻き込みたくないの。…勝ち目があるのなら、一緒に戦いたいって思うけど」

「戦えば人民にも犠牲が出る。……それを憂慮しておいでなのか?」

「……戦って勝てるのなら、私は私のやり方で正しいんだって信じて、戦う事だって出来る。…でも今回は違うでしょう?」

「ああ」

「それに兵の皆を引き上げておけば、曹操さんが村や町に住んでいる人たちに乱暴するって事、無いと思うし」

「曹操軍の軍律の厳しさは有名だからな」

「恐らく桃香様の仰るとおりになるかと」

「まあ、あの曹操なら略奪はしないだろ。俺達は再起を図るために逃げるとするか」

「でも、北には曹操、南には孫策が居て、再起を図る場所なんてあるのかなぁ?」

 

鈴々の意見ももっともであるが、朱里と雛里は南西に向かって今内部で揉めている蜀へ内部の混乱に乗じて入蜀した方が良いと勧める。

 

(蜀って……タイミング早いだろ……)

「うーん…でも、何だか気が進まないなぁ……」

(そこは同じなんだ)

 

桃香が悩んでいると朱里や雛里がその太守、劉璋の悪いところを言って、桃香も仕方ないとして蜀に行くことを決めた。

一刀は方針が決まったとして、とりあえず関所に蓄えている食糧や財を村人に与える事にして、急いで劉備軍全員に撤退命令を出すよう指示、

桃香はその事を村の村長たちに話をしに行ったら、民達もがついていくことになった。

 

(本当に長坂の戦いになりそうだな)

 

進む速さが遅いのもあるので、愛紗と星の意見により、軍を二つに分けて、曹操軍を食い止める部隊と益州の城を落とす部隊に分けて、

殿は一刀が受け持つ事になった。

 

「ご主人様……」

「ダメですご主人様!」

 

愛紗が反対する。

 

「ご主人様はこんなところで死ぬべき御方ではありません!」

「何で俺が死ぬことを考えてると思う?」

「相手は大軍。それをたった一人でお止めになるなんて……。せめて私も……」

「ダメだ。俺一人で曹操軍を止める。愛紗達は桃香……、それに民達を守る義務がある。

そして俺は……皆を守る義務がある。だから俺一人でやる」

「しかし!」

 

愛紗がまだ言おうとすると一刀は愛紗が抱きしめる。

 

「……ご主人様……」

「愛紗……、分かってくれ。俺だって本当は皆と戦いたい。だけど、他の皆じゃ死ぬ可能性もある……。

だったら死ぬ可能性が一番低い俺がやるべきなんだ……」

「……」

「分かってくれ。愛紗……」

「ご主人様……」

 

愛紗が少し黙る。桃香の目にはわずかにだが涙が溜まっていたが皆に悟られないようにしていた。

 

「愛紗ちゃん……」

「はい。行きましょう」

「桃香」

「うん?」

 

一刀は自身の刀、『紫電』を桃香に手渡す。

 

「これを預ける。絶対取りに戻るからな」

「うん」

「じゃあ、桃香、民の事はよろしくな」

「ご主人様も気をつけてね」

「ああ」

 

桃香達は先を急いだ。

 

「行ったな……」

 

一刀は桃香達が行くのを一刀は見送った。

 

「よし、俺も……行くぞ!」

 

一刀は馬を走らせ、ガタックゼクターを呼び寄せる。

そして一刀の手にガタックゼクターが収まる。

 

「変身!」

「Henshin」

 

一刀は一気にガタックライダーフォームに変身する。

 

「はいや!」

 

一刀は馬を飛ばし、ある場所で曹操軍を待ち受ける。

一刀が向かう場所、長坂橋である。

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一刀は長坂橋で曹操軍を待ち構え、一刀が長坂橋に着いてから数十分で曹操軍の大軍が見えてくる。

 

「まずは一発いくぞ!」

「Clock up」

 

一刀がスラップスイッチを押してクロックアップし、見えてきていた曹操軍の兵士達をガタックダブルカリバーで斬っていく。

そして一刀はクロックアップが解除される直前に長坂橋の前に戻る。

 

「Clock over」

「何!?」

「これは……」

「どうなってるんですか〜?」

 

突然目の前に居た兵士達が血を流し、死んでいったのだ。

 

「皆のもの気をつけろ!」

「相手はこちらの想像を超える速さでこちらを襲ってくるぞ!」

「何ですか、それは?」

 

ガタックの能力は黄巾の乱の時に一刀達と行動していたことのある夏侯惇、夏侯淵がその時いなかった二人の少女。許緒、典韋にクロックアップの注意を促す。

 

「分かりました」

 

そして少し兵士が減ったものの、曹操軍は長坂橋にやって来た。

一刀はガタックダブルカリバーをツインモードにする。

 

「ライダーXブレイク」

「Rider X Break」

 

一刀はライダーXブレイクを発動させ、目の前に居た兵士達をX文字が襲い、兵士達は少しばかり混乱する。

 

「Clock up」

 

一刀は再び、クロックアップを使い、曹操軍を襲う。

そして兵士達をどのくらいか斬り終えた後、夏侯惇に斬りかかろうとした時……。

 

「はっ!」

「ぐわっ!」

 

夏侯惇のスピードは遅くても一刀に一太刀浴びせたのだ。

そして後ろから許緒の鉄球と典韋の巨大ヨーヨーが襲って来たのだ。

 

「のわっ!」

 

夏侯惇の攻撃で少しのろけていた一刀は二つの攻撃をもろに受けてしまい、転がりこんでしまう。

 

「Clock over」

「くそ……クロックアップ中の俺に当てるなんて……」

「貴様の攻撃が直線的だからな。見切るのはそう訳は無い」

「そう言うことか……」

「とどめだ!」

 

夏侯惇が一刀にとどめを刺そうとした時、突然目の前に何かが現れ、夏侯惇を襲う。

 

「くっ!」

「姉者!」

「「春蘭様!」」

 

後ろに飛ばされた夏侯惇の方に駆け寄る三人。

夏侯惇や駆け寄った三人は一刀の前に現れたものを見る。

一刀もその現れたものを見る。

 

「お前は……ハイパーゼクター……」

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そこに現れたのは雨瞳の元を離れたハイパーゼクターであった。

 

「何でお前が……」

 

一刀がハイパーゼクターに問おうとすると、ハイパーゼクターはスラップスイッチに張り付く。

 

「使えってことか……」

 

一刀が考えるが考える暇は無いと考える。

 

「ハイパーキャストオフ!」

「Hyper Cast Off」

 

一刀がハイパーゼクターのホーンを倒し、ハイパーキャストオフをする。

するとガタックの体が変化していき、装甲と角がさらに分厚いものへと変化した。

 

「Change Hyper Stag Beetle」

 

一刀はガタックハイパーフォームへとさらなる変身を遂げたのだ。

 

「姿が少し変わっただけではないのか?」

「あまり油断はできないぞ。姉者」

「ハイパークロックアップ!」

「Hyper Clock up」

 

一刀はハイパーゼクターを押す。

すると一刀はハイパークロックアップ状態になり、夏侯惇達を素手でなぎ払っていく。

 

「ぬあっ!」

「くっ!」

「きゃあ!」

「ああ!」

 

夏侯惇達、将の四人が派手に宙を舞い、地に落ちた。

 

「Hyper Clock over」

「……どういうことだ……」

「全然軌道が読めなかった……」

「それはそうだ。今のはハイパークロックアップ。クロックアップのさらに上を行く速さを持ってるんだ」

「はいぱー……クロックアップ?」

「そうだ。いくら俺の攻撃が直線的でもこっちはそっちの攻撃を受ける前に完全に回避できる」

「Hyper Clock up」

 

一刀は再びハイパークロックアップを使い、起き上がろうとした四人を再び素手で攻撃した。

 

「ぐわぁ!」

 

また四人は飛ばされる。

そして四人は立ちあがった。

 

「こうなれば……。秋蘭、皆を頼むぞ」

「姉者?」

 

夏侯惇が一刀に捨て身の攻撃を仕掛けようとした時、曹操がやって来て夏侯惇を止めた。

 

「待ちなさい春蘭。私の許可なく死ぬ事など絶対に許しはしないわよ」

「しかし!」

「下がれ春蘭! そして武器を置け! これは命令だ!」

「は、はっ!」

「秋蘭、軍を下がらせろ! これ以上北郷を刺激しても何もならん。無駄な損害を増やすだけよ」

「しかし御身になにかあっては…」

「何も無い。……でしょう? 北郷」

「さあな」

「下がらせろ、秋蘭」

 

夏侯淵は曹操の指示通り、軍を下がらせた。

 

「何を考えている?」

「何も。…ただあなたの誇り高さを愛おしいと思っただけよ」

「そうかい」

 

一刀は変身を解く。

 

「それよりも……改めまして、久しぶりだね、曹操」

「ええ。久しぶりね。北郷一刀。とは言っても私はそんなに暇じゃないの。

劉備に伝えなさい。今回は逃がしてあげる。…更なる力をつけて私の前に立ちはだかりなさい。その時こそ決着の時。

あなたの理想の力がどれほどのものか…楽しみにしていると。そう伝えなさい」

「……、信じて良いのか?」

「我が魂にかけて」

「……そうかい」

 

そして曹操は軍を引いた。

 

「さてと俺も…って馬が無い?」

 

一刀は自分が止めていた馬が無いことに気がついた。

 

「クロックアップで帰るのか?」

 

そう思っていた時……現代の世界にしか聞こえないはずの音が聞こえてくる。

一刀はその音の方を向く。そこから一刀に近づくのはバイク。

それも森が乗っていたバイク『ガタックエクステンダー』であった。

 

「何でこいつが?」

 

ガタックエクステンダーは一刀に近づき、一刀の前に止まる。

 

「乗れってことか?」

 

一刀はガタックエクステンダーに乗る。

するとガタックエクステンダーは勝手に動き出した。

 

「うおっ!? 俺が乗ってるのに何で勝手に動くんだ!?」

 

一刀はガタックエクステンダーに振り回されるように、その場を去っていった。

進む方向は桃香達の目指すところとは少しずれているところだった。

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一刀は勝手に動くガタックエクステンダーに乗っかったままであった。

そこで一刀が見たものは……。

 

「翠! たんぽぽ!」

 

それは翠達西涼軍が何故か西涼とは離れた場所で先ほどの曹操軍とは別の曹操軍に追われて、戦っていたところであった。

その曹操軍の指揮をしていたのが、元董卓軍の将の張遼であった。

 

「張遼か……。月達には悪いが……」

 

一刀は飛んでくるガタックゼクターを掴む。

 

「変身!」

「Henshin」

 

一刀はガタックマスクドフォームに変身する。

そしてそのまま西涼軍と曹操軍の間に入り、翠達の前に出る。

 

「お、お前は!」

「久しぶりだな。翠、たんぽぽ」

「一刀さん!」

「何でお前がここに居るんだ!?」

「導きかな……」

 

一刀はそう言って曹操軍の方を向く。

 

「うりゃあ!」

 

一刀はガタックバルカンで曹操軍を攻撃。

攻撃を受けた兵士達は吹き飛ばされる。

 

「しかしこれだけの数だ……」

 

一刀はガタックゼクターのホーンを一気に倒す。

 

「Cast Off」

 

その音声と共に鎧は飛び散った。

 

「Change Stag Beetle」

 

一刀はガタックライダーフォームになる。

 

「行くぜ!」

「Clock up」

 

一刀はクロックアップを使った。

先ほどは動きが直線的過ぎたために夏侯惇達にカウンターを入れられたので、直線的に動かないようにして、敵兵を倒していく。

 

「ライダーXブレイク」

「Rider X Break」

 

一刀はクロックアップ中にライダーXブレイクを発動させ、敵兵を多く倒した。

 

「まずいな……。撤退せい!」

 

張遼が兵士達に撤退を命令し、兵士達は撤退していくが、張遼だけはそこにとどまった。

 

「どういうつもりだ?」

「ウチは殿や。あいつらを死なせるわけにはいかんしな……」

 

一刀はその時の張遼の目を見る。

 

「俺と同じ目をしてるな」

「うん?」

「よし、なら俺と一騎打ちしようぜ」

「一騎打ちやて?」

「ああ。俺はクロックアップなしで戦ってやる。俺が勝ったら俺と一緒に来てくれ」

「何の得があるんや?」

「そんな目をしている人を死なせたくないってのもあるが、張遼。

お前に会わせたい人がいるってことだな……」

「まあ、それはウチに勝ってからやな」

「ああ」

 

一刀はガタックダブルカリバーを構える。

張遼も一刀に合わせるように偃月刀を構える。

二人の回りに緊張が走る。

そしてしばらくして二人は一気に走りだす。

 

「てゃああああああ!!」

「うぉおおおおお!!」

 

一刀は走りながらガタックダブルカリバーをツインモードにする。

そして二人は同時に武器を振り下ろす。

二人の武器はぶつかり合う。

 

「ふぅうううううううん!」

「うぉおおおおおおおおお!!」

 

力勝負に勝ったのは一刀であった。

張遼の偃月刀は宙を舞い、地面に刺さった。

 

「ウチの……負けやな……」

「ああ……」

 

一刀は変身を解く。

 

「それじゃあ約束通り……」

「ウチを連れていくのはええけど、誰に会わせる気や?」

「君のよく知ってる人だよ。ところで……」

 

一刀が次に翠達の方を見る。

 

「何で翠達はこんなところに?」

「実は……」

「西涼は曹操に襲われた。そして馬騰も殺された」

「何?」

 

一刀は驚く。

 

「どういうことなんだ?」

「それはウチが話す」

 

張遼が説明する。

それは曹操が一刀達を襲う少し前の事であった。

曹操は西涼を攻めていったのだ。

もっとも曹操は西涼を攻める前に馬騰に降伏をするように降伏勧告を出したのだが馬騰はそれをよしとせず、曹操と馬騰は戦い、馬騰は死に、翠達は生き残った一族を連れてここまで逃げてきたのだ。

曹操は馬超の強さを知っているので、追撃部隊を出したのだ。

 

「なるほどな……。行く宛ては?」

「ないんだよね〜」

「だったら俺達と一緒に来い」

「え?」

「でもいいのか?」

「俺達は既に仲間だ。俺はそう思ってる」

「仲間……」

「ああ、そうだ。来ないか?」

「……とりあえずそうさせてもらうか……」

 

一刀は翠、蒲公英、そして張遼を連れて桃香達との合流地点に向かった。

それからしばらくして合流地点付近でとある部隊を見かけた。

 

「ご主人様!?」

 

それは愛紗と雛里が率いていた部隊で、突然現れた翠達の部隊を警戒して様子を見に来たのだ。

 

「愛紗、雛里。無事だったか」

「はい。ですが、何故ご主人様がこちらの方に?」

 

一刀は愛紗達に何故自分が愛紗達の後ろにいたはずなのに前の方から現れたのかと翠達と張遼が居ることを説明した。

 

「そうですか……」

「うん?」

 

一刀は微妙にだが、愛紗の後ろに何やら黒いオーラのようなものが見えた気がした。

 

「まあ、そう言うわけだ。それじゃあ、桃香達のところに行こう。心配してるからな」

「はい」

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一刀が桃香達と合流したのはもう夜であり、桃香達は益州の城の一つに入っていた。

 

「ご主人様っ!」

 

桃香が帰ってきたばかりの一刀に抱きついてきた。

 

「うわっ! 桃香」

「ご主人様、ご主人様、ご主人様〜……!」

 

桃香はずっと離れ離れでようやく親に会えた子供のように泣きながら一刀に抱きつく。

 

「ただいま、桃香……」

 

一刀は自分の胸に頭を寄せる桃香の後頭部を優しくなでる。

 

「心配かけたね。けど、約束どおり、ちゃんと戻ってきただろ?」

「うん……うん……良かったよぉ……!」

「いくらなんでも泣きすぎじゃないか?」

「ぐすっ……ごめん、でもね、嬉しくて……」

「でも俺も皆にまた会えて嬉しいよ。大丈夫だったか?」

「主こそ。それに鈴々、恋、ねね。…ご苦労だったな」

「無問題なのだ!」

「……(コクッ)」

「このくらい、ねねにとっては朝ごはん前なのです」

「何か妬けるな〜」

 

後ろにいた張遼がようやく声を出す。

 

「お主は……」

「ああ、これにはちょっとした事情があってね……」

 

一刀が張遼が居る理由をその場に居る皆に話した。

 

「なるほど、さすがは主…。ところで主よ……」

「ああ、状況は?」

「はい。現在、私達は益州の国境近くにある、このお城に入城してます。

入城は速やかに、そして穏やかに進みました。思った以上に州牧である劉璋さんから人心が離れているという事でしょう」

「ってことは戦闘にはならへんかった?」

「城内の住民たちが諸手を上げて歓迎してくれた。もはや劉璋を認めるものは居ないかもしれん」

「それはそれで可哀想だな……」

 

一刀は苦笑いした。

 

「ところでウチに会わせたい人ってのは?」

「ああ、そうだな。出てきてくれ、月」

 

一刀がそう言うとどこからともなく、月と詠が現れた。

 

「月! 詠!」

「霞(しあ)さん」

「久しぶりね」

「あんたら死んだとちゃうの?」

「まあそれは嘘なんだよな」

 

一刀は張遼に月が居る理由を説明した。

 

「せやったんか……」

「悪いな。本来なら張遼もあの時一緒にするべきだったんだが……」

「まあ、ウチは華琳に捕まったからな……」

「だがもういいだろ」

「せやな。華琳には悪いけど、あんたには感謝せんとな」

 

張遼は一刀達に感謝した。

 

「ところで翠はどうする?」

「どうするって?」

「俺達の理想に手を貸して欲しいんだ」

「理想?」

「皆仲良く、平和に暮らせる世の中を作る事! それが私達の理想だよ♪」

「あんたらの理想はこれだったんかいな?」

「ああ」

 

張遼は曹操軍とは何か別のベクトルの理想で動いていた桃香達をある意味感心した。

 

「今の世の中、どっかおかしいのだ。力があればどんな事でもまかり通るのなら、力の無い人たちには地獄でしかないのだ」

「だからこそ、圧政に苦しみ、日々の暮らしの中で笑顔を浮かべる事さえ忘れてしまった人々を助け…そして共に笑って暮らしたい。私達はそのために戦っているのだよ」

「……話は分かる。けど、力で理想を実現しようとするあんたらだって、傍から見れば、他の奴らと一緒じゃないのか?」

「だろうね。確かに俺達は力ずくでやっている。だけどそれは皆わかってる。だけど俺達の目指してる道が、みんなのためになるんだって信じてる。

少し変な言葉を言うけど、力なき正義は無力。正義なき力は暴力。俺達はそのどちらでもないものを使って、戦ってるんだ」

「そんなことして、あんたらに何の得があるって言うんだよ?」

「みんなの笑顔を見るだけでも充分得になるよ」

「そうだよ」

 

一刀の言葉は皆も同じ意見を持っていたので同意する。

 

「ははっ。そんな夢物語を、この乱世の時代に思い描いている奴らがいるとはね」

「まあ、ウチはそういうの嫌いやないで」

「乱世だからこそ、夢を忘れるわけにはいかないんだよ」

「確かにね…」

 

馬超は皆の言葉を聞いて、改めて一刀達の仲間になる事を決めた。張遼も仲間になることにし、皆に真名預ける。張遼は霞(しあ)である。

こうして一刀の陣営はまたにぎやかになった。

説明
この物語のメインは真・恋姫†無双の話ですが、主人公の一刀の性格が原作と全然違う部分が存在します。それが嫌な方はご閲覧をご遠慮願います。
なおこの物語の原作者は書いた著者ではありません。
原案者の許可をいただき、原案者の名前を書かせてもらいます。
原案者 ビスマス  作成者 BLACK
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コメント
あいかわらずこの世界は化け物が多いな・・・(pandora)
一刀の刀の紫電・・・・・・どんな刀なんだろう?(スターダスト)
霞が仲間に!!わい嬉しいわ~♪(杉崎 鍵)
まさかのここでハイパー・・・もうちょっとあとかと思いました!! これからも更新頑張ってくださいね♪(紫皇院)
「てれびくん」の応募者サービスのDVD『仮面ライダーカブト 超バトルDVD 誕生! ガタックハイパーフォーム!!』とPS2版に登場するらしいですよ。残念ながら私は見たことがないですね。(南華老仙「再生(リボーン)」)
ガタックのハイパーキャストオフ・・・たしか番外編でみたことあったような・・・なかったような・・・(スーシャン)
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